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兄
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目が覚めたのは、午後2時前だった。
看護婦が寝ている私に気遣ったのだろう、起こさないように昼食を置いてくれていた。
冷めきってしまっているけど、よくあることなのでさほど気にせず口に運ぶ。
今日は私の大好きなみかんゼリーもあるから残さず食べなきゃ。
コンコン。
ドアの向こうから、ノック音がした。
「はい」
ドアを開けて笑顔を見せたのは、お兄ちゃんだった。
上質な黒いコートを備え付けのハンガーに掛ける姿から、「ああ今は冬なんだ」と気づく。
「調子はどう? 」
「大丈夫だよ」
私は心配そうな顔のお兄ちゃんに、笑って答えた。お兄ちゃんの顔が綻ぶ。ふっと頬が緩むこの笑顔が大好きだ。
「そりゃあよかった」
お兄ちゃんは私のベッドの横のイスに座り、頭を撫でてくれた。
「そうだ、リオから手紙だよ。渡してくれ、って頼まれたんだ」
「ありがとう」
私は大事にその手紙を受け取った。
リオは私の弟だ。弟、といっても双子なので年齢に差はない。だけど姉として、その細かい区分は重要なんだ。
そっと手紙の封を破った。男の子にしては随分綺麗な文字の紙が手のひらに開かれる。
「お姉ちゃん
体調は大丈夫?
お見舞いに行けなくてごめんね。
いつか行くから、待っててね。
退院したら、2人で海に行こう。
楽しみにしてるからね。
頑張れ。
リオ」
私は重病だから面会謝絶というものらしく、特別に許可されたお兄ちゃん以外の人と会うことはできない。
だからリオだけでなく、お父さんやお母さんとも会ったことはない。
寂しくないの、って思われるかもしれないけど、全然寂しくない。
だって、お兄ちゃんがいるから。
それに、会ったことがない家族と会えない、なんて、みんなが思うより寂しくない。それより、会ったことがある人と二度と会えない、っていう方がよっぽど辛い。
「リオに、元気でた、って伝えて」
「うん。きっと喜ぶよ」
その後お兄ちゃんは2時間も、リオのことを私に話してくれた。リオが元気に学校に通っていること。昨日の夜、この手紙を書くのに30分もかけたこと。最近、可愛い彼女ができたかもしれない、ってこと。
リオが幸せそうで、何よりだった。
看護婦が寝ている私に気遣ったのだろう、起こさないように昼食を置いてくれていた。
冷めきってしまっているけど、よくあることなのでさほど気にせず口に運ぶ。
今日は私の大好きなみかんゼリーもあるから残さず食べなきゃ。
コンコン。
ドアの向こうから、ノック音がした。
「はい」
ドアを開けて笑顔を見せたのは、お兄ちゃんだった。
上質な黒いコートを備え付けのハンガーに掛ける姿から、「ああ今は冬なんだ」と気づく。
「調子はどう? 」
「大丈夫だよ」
私は心配そうな顔のお兄ちゃんに、笑って答えた。お兄ちゃんの顔が綻ぶ。ふっと頬が緩むこの笑顔が大好きだ。
「そりゃあよかった」
お兄ちゃんは私のベッドの横のイスに座り、頭を撫でてくれた。
「そうだ、リオから手紙だよ。渡してくれ、って頼まれたんだ」
「ありがとう」
私は大事にその手紙を受け取った。
リオは私の弟だ。弟、といっても双子なので年齢に差はない。だけど姉として、その細かい区分は重要なんだ。
そっと手紙の封を破った。男の子にしては随分綺麗な文字の紙が手のひらに開かれる。
「お姉ちゃん
体調は大丈夫?
お見舞いに行けなくてごめんね。
いつか行くから、待っててね。
退院したら、2人で海に行こう。
楽しみにしてるからね。
頑張れ。
リオ」
私は重病だから面会謝絶というものらしく、特別に許可されたお兄ちゃん以外の人と会うことはできない。
だからリオだけでなく、お父さんやお母さんとも会ったことはない。
寂しくないの、って思われるかもしれないけど、全然寂しくない。
だって、お兄ちゃんがいるから。
それに、会ったことがない家族と会えない、なんて、みんなが思うより寂しくない。それより、会ったことがある人と二度と会えない、っていう方がよっぽど辛い。
「リオに、元気でた、って伝えて」
「うん。きっと喜ぶよ」
その後お兄ちゃんは2時間も、リオのことを私に話してくれた。リオが元気に学校に通っていること。昨日の夜、この手紙を書くのに30分もかけたこと。最近、可愛い彼女ができたかもしれない、ってこと。
リオが幸せそうで、何よりだった。
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