文学家志望と哲学的彼

Mr.恐山

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始まりは暗く

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 4月の始まり、冷たい、乾いた風が私の頬を虐める。もう春になるというのに大気がまだ冬の顔を覗かせている。しかしこれも冬から春へと周りの色が変化する為の名残なのだろうと半ば諦め、肩を少し震わせながら学校へと向かう。この学校というのは昔からどうも好きにはなれなかった。幼い頃から強制的に長時間の拘束を約束される。だが、私は人の顔色を必要以上に伺ってしまうという性情のせいか、子供の頃から両親の顔色を伺い、教師の顔を伺い、友の顔を伺い、生きてきたのだ。
 「おはよう。今日も寒いね。」
突然背後から誰かが私に話しかけてきた。水樹だ。
彼女は水樹といい去年のクラスの友人だ。去年の入学式で、隣の席が彼女だったのだが、彼女は気さくに私に話しかけてきてくれたのだが、その時の私はまた顔色を伺いつつ、醜い愛想笑いしかできなかった。その時の私はただうまく私は笑えているだろうかとしか思っておらず、いま思い出しても恥じてしまう。それでも彼女は私と仲良くしてくれた。だが、それでも私は常に彼女の顔色を伺っている。
ああ……また顔色伺い、顔色伺い、顔色伺いだ。こんな私に絶望さえ感じる。もしかしたら私はもう死ぬまでこの様に人に怯え、社会に怯え、自分に怯える日々を死ぬまで過ごすのかと……
 「ねえ……ねえってば!美玲!」
私は生きている価値などない……いや、もうすでに生きているのかもわからなくなっ…
「またアホなこと考えてるんでしょ!?」
「痛いっ!叩かないで!」
「小説家志望かなんか知らないけど日常に持ってこないで!鬱陶しい!」
「わかったわよぅ……」
 私の名前は真坂 美玲!高校2年生のJK2!
今から高校2年生初の始業式が始まるの!春はやっぱり出会いの季節…ワクワクして生きるのがとりあえず最高な気分!
隣にいるこの子は水樹 亜美!先ほどの紹介は実は嘘で話しかけたのは私の方で愛想笑いしてたのは亜美のほうだよ!
「あんたさぁ……太宰が好きなのはわかるけど1人の時に暗いこと考えすぎだよ?さっき何考えてたかはわかんないけどさぁ、多分死んだほうが~みたいやつでしょ?」
さすが親友……全て読まれてる……
「あんた根は明るすぎてヤバいのになんで太宰なのかなぁ……不思議すぎなんだけどぅ……」
「まあまあ、彼は天才だよ?あの私ですら読んだら暗い気持ちになってしまう…自分が物語の中にいる様に錯覚させられるのはさすがは太宰マジックなんだよ!?」
「あー……はいはい……」
「興味なさそう!」
 私のクラスは……3組かぁ、亜美も3組だ!
「っしゃああああ!」
周りがビクついている。まあ、いいけど!
 新しいクラス……新しい雰囲気……この感じが好きなんだよなぁ……
「ちょっと……なんか転校生来るらしいよ……」
 「うん……」
「あーまたなんか考え事してるよー……」
 「おーい、席につけ!噂でちょくちょく知ってるやつもいるかも知んないけど転校生が来たから~……」
「本当だったんだー……ねえ、美玲?」
「死を……選ぶことこそが……」
「もー!またアホなこと口走って!見てみなよ!」
「もー!叩かないでって言ってるじゃ……」
これが彼との出会いだった。
 「赤場 流羽です。よろしくお願いします。」
 そう言い終えた彼はこちらを見つめ、私もその瞳を見つめ返す。彼の瞳は少し儚げで、文学的な要素を見出せる。
 「じゃあ、赤場だから一番前の席な。右端一番前、席番No.1の宿命。」
「はい、わかりました。」
そう静かに言い終えると彼は慣れた様に自分の席へと向かった。
「やっぱ赤場だとあの位置慣れてるのかなぁ……なんてねぇ美玲?」
「ん?そうだね……そうなんじゃないかな……」
「なんか変ね……」
 とりあえずなんでしょう。
ホームルーム終わったら絡みに行こう。
そう思った。



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