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恋の終わり
綺麗は汚い、汚いは綺麗
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明美はむむむと眉間に皺を寄せた。ヨハネス様は王女の語学教育のため王宮へ行った。昨日、ヨハネス様に執務の手伝いをするよう言われた。そこで今朝からアーサー様に帳簿の読み方を教わっていた。一昨日までは語学力を回復させるよう言われていたのに。
とりあえず借方が左で貸方が右だってことは分かった。アーサー様曰く「そのことは絶対に忘れないように。後でややこしくなったとしても……、いいですか? 借方が左で貸方が右です」とのことだった。資産が貸方で、負債が借方なのは分かった。けれど、なんで収益が借方なの? 収益って資産のようなものだから貸方じゃないの?
それにしても、帳簿というものを初めて見た。数字は正直なのだろうけれど、私にとっては、ただの数字の羅列にしか見えない。アーサー様の説明を聞きながら、ノートの隅に小さく「借方=左」「貸方=右」と何度も書き込んだ。渡された書類を元に仕訳を進め、ノートに書き込んでいく。
「この場合、受取手形は借方ですよ」と、アーサー様は冷静に訂正した。
「あれ? でもさっき……」と私は首を傾げた。
「ほら、受取手形が決裁されたので貸方の反対の借方になります」
うむむ。とりあえず受取手形を借方に書いた。
「じゃあ、貸方に現金と書けばいいですか?」
「はい、そうです。さすが習得が早いですね」
私はふぅと息を吐き、ノートの隣に置かれた帳簿を見た。細かい文字でびっしりと書かれた数字と文字。再びノートに仕訳を書き始めた。私は唇を尖らせ、窓の外を見た。5月なのに、しとしとと降り続く雨。思考まで曇ってしまいそう。
「こういうのって、役に立つのかな」と私は頬杖をついた。
「思った以上に役立ちますよ」とアーサーが新たな書類の束を持ってきた。
部屋の端にいたロイス様が突然立ち上がり「おや、仕訳のコツをもう掴んできたようですね」と私のノートを見た。
その言葉に、ほんの少しだけ背筋が伸びる気がした。
去年のクリスマスに申し出た時は断られたのに、ヨハネス様に一体どんな心境の変化があったのか分からない。胃からせり上がりる何かに、私はダッシュした。
*
ヨハネス様から、夫婦の寝室で待っているよう連絡があったのは夕方のこと。もうカーテンは閉じられた。ヨハネス様はついさっき帰ってきた。恐らく今は食事か湯浴みの最中だろう。体を冷やさないようベッドに入った。正直、眠い。けど、今日は頑張って起きていよう。私は壁を睨みつけた。その瞬間またまた吐き気に襲われ、私はベッドと部屋から飛び出た。
スッキリゲッソリした後、私はもやもやした気分で部屋に入った。するとヨハネス様がベッドに座っていた。ヨハネス様が小さく広げた腕の中に飛び込むと、静かに頭を撫でられた。それからベッドの中に入った。あったかい。
ヨハネス様が「エリザベス。大事な話がある」と私の髪を撫でた。
私はひょっこりと目をヨハネス様の目と合わせた。ヨハネス様の楓のような目には強い強固が意思が読み取れるけれど、奥には揺れ動くものが見える。何となく嫌な予感がして、私は身を起こした。ヨハネス様がこういう目をする時はろくなことが怒らない。私はそっとヨハネス様の手に触れた。冷たい。ヨハネス様は祈るように一瞬だけ目を瞑った。
「エリザベス。ジュリア王女がヴァロワール大使の子息のもとに嫁ぐ話は聞いただろう」
「ええ」と私は眉根を寄せた。嫌な予感は深まる。
「そこで当家の侍女にフランス語を仕込み、王女様に献上することとなった」とヨハネス様は私も額に口付けた。
ヨハネス様の瞳が揺れている。私の心が、揺れている。本当に……。私は無理やり笑って、ヨハネス様の頬に手を伸ばした。
「そこで私を侍女ということにして、王女様に献上するのですか?」と私は首を傾げた。
「ああ」とヨハネス様は私の目尻を優しく拭った。「其方も、其方の子も……この国から出るべきだ」
「男の子であれば疑念の眼差しを向けられ、女の子であれば後宮入りとなりかねないからですか?」
ヨハネス様は「子の未来を思えば、その方が良いであろう?」とゆっくりと頷いた。
私は俯いてしまった。確かに子どもの未来を思えばゴーディラックを出た方がいいのかも。だけど……。
「どうせ、あなたはこの国に残るのでしょう?」
「ああ」とヨハネス様は私の髪先を取り口付けた。「私も一介の貴族としてこの国を支える義務がある。それからエリザベス、先日モハメド・ドロンと打ち合わせをしていた時に知ったことがある」
モハメド・ドロン。確かヴァロワール大使の息子で、ジュリア王女の婚約者。大学で政治学を学んでいる。私がフランス語と英語を解することを見破った人。
「モハメド様によると、半年前に其方の祖母がヴァロワール領事館に捜索願を出したそうだ」
おばあちゃんが? 私はゆっくりと目を見開いた。
ヨハネス様は「身重の其方が帰国しても、生活できるよう財産は与える」と前を向いた。
「離縁する、ということですか?」
「ああ。
私の手がヨハネス様の頬から滑り落ちた。ヨハネス様の表情が読めない。
「ヨハネス様。なぜ? 私と子どもの身の安全を守るためであることは分かっています。しかし……、私をこの国から出すことに関して陛下は何と?」
「この件に関して、陛下の意向は仰いでいない。だが、問題はないであろう」とヨハネス様は1度言葉を区切った。
ヨハネス様は1度俯き、瞬きをした。顔が固い。
「かつて其方がこの国に来た時、陛下はもともと其方をこの国から追い出すつもりだった。しかし私は初めて其方を見た時、其方をこの国から出すことなど考えられず陛下を説得した。ヴィンス7世の子孫である其方をこの国から出せば、将来子を生んだ時にどのような火種となるか……。しかし此度、この国に来たのは女。王位継承権など得られぬ。そう説得した」
「え?」と私の口元が微かに引き攣った。
え、じゃあ私がずっとゴーディラックにいたのって……? 特に意味がなかったの? 私は荒ぶりそうな感情を抑え、お腹に手を当てた。落ち着け、落ち着け明美。
「それから陛下が其方を側室にと望まれた直後に、そなたが特務ではないかという冤罪が掛かった件も私が仕組んだ」
「はぁ?」
思わず素頓狂な声が出た。けれど、よく考えると腑に落ちた。だって、あの事件からトントン拍子に状況が変わったから。まず冤罪が原因で瑕疵がついたため、後宮には入れなくなった。そこでヨハネス様と婚約することに。さっきのお言葉と、普段の言動を思い返すにヨハネス様は私に……恋愛めいた感情を抱いているのだろう。だから……今考えるとあの当時の状況はヨハネス様に都合よく物事が動いていたかも。
「ちなみに……」と絞り出た私の声はか細く震えていた。「どのように冤罪を作られたのですか?」
ヨハネス様はカーテンの方を見た。それから顔を私の方に向けた。
「ロイスだ。彼はフランス語が喋れるため、彼にはヴァロワールからの外交官になりすましてもらった。ロイスは其方を探しに来た外交官という設定でヴァロワールからゴーディラックへ行く船に乗った。そこで船の客室係だった男が、外交官の言ったことを陛下に密告するよう仕向けた」
視界が暗転した。
とりあえず借方が左で貸方が右だってことは分かった。アーサー様曰く「そのことは絶対に忘れないように。後でややこしくなったとしても……、いいですか? 借方が左で貸方が右です」とのことだった。資産が貸方で、負債が借方なのは分かった。けれど、なんで収益が借方なの? 収益って資産のようなものだから貸方じゃないの?
それにしても、帳簿というものを初めて見た。数字は正直なのだろうけれど、私にとっては、ただの数字の羅列にしか見えない。アーサー様の説明を聞きながら、ノートの隅に小さく「借方=左」「貸方=右」と何度も書き込んだ。渡された書類を元に仕訳を進め、ノートに書き込んでいく。
「この場合、受取手形は借方ですよ」と、アーサー様は冷静に訂正した。
「あれ? でもさっき……」と私は首を傾げた。
「ほら、受取手形が決裁されたので貸方の反対の借方になります」
うむむ。とりあえず受取手形を借方に書いた。
「じゃあ、貸方に現金と書けばいいですか?」
「はい、そうです。さすが習得が早いですね」
私はふぅと息を吐き、ノートの隣に置かれた帳簿を見た。細かい文字でびっしりと書かれた数字と文字。再びノートに仕訳を書き始めた。私は唇を尖らせ、窓の外を見た。5月なのに、しとしとと降り続く雨。思考まで曇ってしまいそう。
「こういうのって、役に立つのかな」と私は頬杖をついた。
「思った以上に役立ちますよ」とアーサーが新たな書類の束を持ってきた。
部屋の端にいたロイス様が突然立ち上がり「おや、仕訳のコツをもう掴んできたようですね」と私のノートを見た。
その言葉に、ほんの少しだけ背筋が伸びる気がした。
去年のクリスマスに申し出た時は断られたのに、ヨハネス様に一体どんな心境の変化があったのか分からない。胃からせり上がりる何かに、私はダッシュした。
*
ヨハネス様から、夫婦の寝室で待っているよう連絡があったのは夕方のこと。もうカーテンは閉じられた。ヨハネス様はついさっき帰ってきた。恐らく今は食事か湯浴みの最中だろう。体を冷やさないようベッドに入った。正直、眠い。けど、今日は頑張って起きていよう。私は壁を睨みつけた。その瞬間またまた吐き気に襲われ、私はベッドと部屋から飛び出た。
スッキリゲッソリした後、私はもやもやした気分で部屋に入った。するとヨハネス様がベッドに座っていた。ヨハネス様が小さく広げた腕の中に飛び込むと、静かに頭を撫でられた。それからベッドの中に入った。あったかい。
ヨハネス様が「エリザベス。大事な話がある」と私の髪を撫でた。
私はひょっこりと目をヨハネス様の目と合わせた。ヨハネス様の楓のような目には強い強固が意思が読み取れるけれど、奥には揺れ動くものが見える。何となく嫌な予感がして、私は身を起こした。ヨハネス様がこういう目をする時はろくなことが怒らない。私はそっとヨハネス様の手に触れた。冷たい。ヨハネス様は祈るように一瞬だけ目を瞑った。
「エリザベス。ジュリア王女がヴァロワール大使の子息のもとに嫁ぐ話は聞いただろう」
「ええ」と私は眉根を寄せた。嫌な予感は深まる。
「そこで当家の侍女にフランス語を仕込み、王女様に献上することとなった」とヨハネス様は私も額に口付けた。
ヨハネス様の瞳が揺れている。私の心が、揺れている。本当に……。私は無理やり笑って、ヨハネス様の頬に手を伸ばした。
「そこで私を侍女ということにして、王女様に献上するのですか?」と私は首を傾げた。
「ああ」とヨハネス様は私の目尻を優しく拭った。「其方も、其方の子も……この国から出るべきだ」
「男の子であれば疑念の眼差しを向けられ、女の子であれば後宮入りとなりかねないからですか?」
ヨハネス様は「子の未来を思えば、その方が良いであろう?」とゆっくりと頷いた。
私は俯いてしまった。確かに子どもの未来を思えばゴーディラックを出た方がいいのかも。だけど……。
「どうせ、あなたはこの国に残るのでしょう?」
「ああ」とヨハネス様は私の髪先を取り口付けた。「私も一介の貴族としてこの国を支える義務がある。それからエリザベス、先日モハメド・ドロンと打ち合わせをしていた時に知ったことがある」
モハメド・ドロン。確かヴァロワール大使の息子で、ジュリア王女の婚約者。大学で政治学を学んでいる。私がフランス語と英語を解することを見破った人。
「モハメド様によると、半年前に其方の祖母がヴァロワール領事館に捜索願を出したそうだ」
おばあちゃんが? 私はゆっくりと目を見開いた。
ヨハネス様は「身重の其方が帰国しても、生活できるよう財産は与える」と前を向いた。
「離縁する、ということですか?」
「ああ。
私の手がヨハネス様の頬から滑り落ちた。ヨハネス様の表情が読めない。
「ヨハネス様。なぜ? 私と子どもの身の安全を守るためであることは分かっています。しかし……、私をこの国から出すことに関して陛下は何と?」
「この件に関して、陛下の意向は仰いでいない。だが、問題はないであろう」とヨハネス様は1度言葉を区切った。
ヨハネス様は1度俯き、瞬きをした。顔が固い。
「かつて其方がこの国に来た時、陛下はもともと其方をこの国から追い出すつもりだった。しかし私は初めて其方を見た時、其方をこの国から出すことなど考えられず陛下を説得した。ヴィンス7世の子孫である其方をこの国から出せば、将来子を生んだ時にどのような火種となるか……。しかし此度、この国に来たのは女。王位継承権など得られぬ。そう説得した」
「え?」と私の口元が微かに引き攣った。
え、じゃあ私がずっとゴーディラックにいたのって……? 特に意味がなかったの? 私は荒ぶりそうな感情を抑え、お腹に手を当てた。落ち着け、落ち着け明美。
「それから陛下が其方を側室にと望まれた直後に、そなたが特務ではないかという冤罪が掛かった件も私が仕組んだ」
「はぁ?」
思わず素頓狂な声が出た。けれど、よく考えると腑に落ちた。だって、あの事件からトントン拍子に状況が変わったから。まず冤罪が原因で瑕疵がついたため、後宮には入れなくなった。そこでヨハネス様と婚約することに。さっきのお言葉と、普段の言動を思い返すにヨハネス様は私に……恋愛めいた感情を抱いているのだろう。だから……今考えるとあの当時の状況はヨハネス様に都合よく物事が動いていたかも。
「ちなみに……」と絞り出た私の声はか細く震えていた。「どのように冤罪を作られたのですか?」
ヨハネス様はカーテンの方を見た。それから顔を私の方に向けた。
「ロイスだ。彼はフランス語が喋れるため、彼にはヴァロワールからの外交官になりすましてもらった。ロイスは其方を探しに来た外交官という設定でヴァロワールからゴーディラックへ行く船に乗った。そこで船の客室係だった男が、外交官の言ったことを陛下に密告するよう仕向けた」
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