1 / 1
宛先の見つからないラブレター
しおりを挟む
萌花は授業中に目を覚ました。
愛してる、と誰かに言ってみたい衝動に駆られた。
*
誰に言えばいいんだろう?
沙月や小鈴たちは論外。好きでも嫌いでもないし、イジメのターゲットになるよりマシだからいるだけ。友愛の欠片もない。
教壇を見た。
先生に言ったらややこしいことになるし、臭いからやだ。って古文の授業じゃん。変なこと考えた原因こいつか。
*
学校が終わった。
沙月は今日、野球の先輩とデートがあるからって椅子で先輩を待ってる。
私も一緒に待つべきだと思った。けど今日はバイト先が忙しい日。だからさっさと学校を出た。
バス停でバスを待ちながら、周りを見た。
あのくたびれたリーマンは奥さんに愛してるって言ったことあるのかな?子ども部屋おじさんかもしんないけど。
あのカップルはどうなんだろう?あのカップルの片割れうちの兄貴だから、言ってたとしても知りたくないけど……。
親はどうなんだろう?母さんはよく「亭主元気で留守がいい」って言ってる。父さんは典型的な昭和親父だから小っ恥ずかしくて言えないな。
私から親に、は。ムリだな。家出たいし。大学は一人暮らしにするし。
ってか、愛してるって言うのより、アイラブユーって言う方が楽じゃね?
ま、いっか。
バスが来たから乗った。
スマホとイヤホンを出して、とりあえず動画サイトに飛んだ。
そもそも愛って何だっけ?
商店街の近くのバス停に着いた。
降りた時、夕方の5時。
通りにはまあまあ人がいる。商店街だからか、どの時間も主婦が多い。土日は家族連れが増えるけど、他に行く所がないのかな?
チラホラと高校生くらいの子もいる。向こうにイ○ンがあるから、そっち目当てだろうなぁ。
バイト先の店が近づいてきた。
アーケード屋根に陽が差している。パリとかにあるような天窓だったらステンドグラスみたいになったんかな?
魚住のおっちゃんが呼び込みしてる。よく喉枯れないな。
あ、パン屋のお兄さんも呼び込みしてる。後1時間で閉店だもんな。
店が見えた。吉井さんも呼び込みしてる。
私は駆け出した。駆けて、吉井さんに挨拶してからバックヤードに入った。おばちゃんっぽいデザインの制服に腕を通しながら、ふと思った。
私はこの町が好きだなぁ。
愛してる、と誰かに言ってみたい衝動に駆られた。
*
誰に言えばいいんだろう?
沙月や小鈴たちは論外。好きでも嫌いでもないし、イジメのターゲットになるよりマシだからいるだけ。友愛の欠片もない。
教壇を見た。
先生に言ったらややこしいことになるし、臭いからやだ。って古文の授業じゃん。変なこと考えた原因こいつか。
*
学校が終わった。
沙月は今日、野球の先輩とデートがあるからって椅子で先輩を待ってる。
私も一緒に待つべきだと思った。けど今日はバイト先が忙しい日。だからさっさと学校を出た。
バス停でバスを待ちながら、周りを見た。
あのくたびれたリーマンは奥さんに愛してるって言ったことあるのかな?子ども部屋おじさんかもしんないけど。
あのカップルはどうなんだろう?あのカップルの片割れうちの兄貴だから、言ってたとしても知りたくないけど……。
親はどうなんだろう?母さんはよく「亭主元気で留守がいい」って言ってる。父さんは典型的な昭和親父だから小っ恥ずかしくて言えないな。
私から親に、は。ムリだな。家出たいし。大学は一人暮らしにするし。
ってか、愛してるって言うのより、アイラブユーって言う方が楽じゃね?
ま、いっか。
バスが来たから乗った。
スマホとイヤホンを出して、とりあえず動画サイトに飛んだ。
そもそも愛って何だっけ?
商店街の近くのバス停に着いた。
降りた時、夕方の5時。
通りにはまあまあ人がいる。商店街だからか、どの時間も主婦が多い。土日は家族連れが増えるけど、他に行く所がないのかな?
チラホラと高校生くらいの子もいる。向こうにイ○ンがあるから、そっち目当てだろうなぁ。
バイト先の店が近づいてきた。
アーケード屋根に陽が差している。パリとかにあるような天窓だったらステンドグラスみたいになったんかな?
魚住のおっちゃんが呼び込みしてる。よく喉枯れないな。
あ、パン屋のお兄さんも呼び込みしてる。後1時間で閉店だもんな。
店が見えた。吉井さんも呼び込みしてる。
私は駆け出した。駆けて、吉井さんに挨拶してからバックヤードに入った。おばちゃんっぽいデザインの制服に腕を通しながら、ふと思った。
私はこの町が好きだなぁ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる