推し活ぐー!

明日葉

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・いざ本屋!

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「自由研究コーナー……自由研究コーナー……って、あったーーーー!!」
李衣菜ちゃんはエスカレーターを降りてすぐに走り出した。
出版社近くの大型書店には、近所の本屋さんとはくらべものにならないほどたくさんの本が並んでいた。
それもそのはず。5階建てのビル丸々一つが本屋さんなのだから。
児童書や学習参考書がある3階のレジ近くに、自由研究特設コーナーができていた。
ペットボトルロケットや、天体模型のモールドやスイカのビニールボールが置いてあって、楽し気な雰囲気だ。
「えっと、穂香の本、穂香の本……」
「あっ、これ!!」
平積みではなく、立てかけられている本の中に、自分の本の背表紙を見つけて、すぐに手に取る。
「うわーー、すごい!!穂香の本だーーっ!!」
「本当に売っているんだ。
今まで、インターネット本屋さんでしか売っているの見たことなかったから、なんか……すっごいうれしい!」
「ね、私もすっごい嬉しい!!穂香ほんとすごいよーー!!」
自分のことのようにはしゃいで抱き着いてくる李衣菜ちゃんを見て、嬉しさがこみ上げる。
たくさんの作品の写真に、ピンク色の表紙には「小学生の考える、小学生のための押し活グッズ!」の文字。
帯には「小学生から不器用な大人まで、誰でも簡単に作品が作れます!人気小学生ハンドメイド作家が送る作品集!自由研究にもおすすめ!」と書いてある。
なんだか涙がでそうになった。
「ねえねえ!!写真とろうよーー!!」
「え、本屋さんって基本、撮影禁止なんじゃ……」
「りいな、ちょっと聞いてくるーーー!!」
李衣菜ちゃんは、レジに向かってばびゅんと走り出した。

以外にも、本の中身を撮らないなら、撮影しても大丈夫と言われたそうな。
この自由研究スペースが映えるから撮っていく人が多いのかも。
私と李衣菜ちゃんは、私の本を持ちながら写真を3枚ほど撮影した。
「写真を撮らせてもらったし、何も買わないのは気が引けるから、何か買おうかな」
「りいなも、こんな大きい本屋さんなかなか来ないから、児童書コーナー行ってくる!
あっち、めっちゃ児童文庫の種類多いーー!!」
私達は自由研究コーナーに本を戻して、児童書コーナーに行った。




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