推し活ぐー!

明日葉

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46階建ての寮は、まるでタワーマンションのようだ。
入口までの道のりは小さな公園みたいになっていて、所々ベンチが置いてある。
小さな小川が流れていて、川のせせらぎが涼し気だ。
大きな木が植えられているので、ほどよく木陰ができて、真夏の午後だというのに、少し涼しく感じた。
カードキーになっている学生証をかざすと、オートロックの玄関の扉が開く。
1階はロビーになっていて、テーブルとソファーが10組ほど置かれている。
ロビーの真ん中には大きな器があって、花が豪華に生けられていた。
管理室には管理人さんが24時間体制でいるそうだ。
カードキーががないと、エレベーターが動かない仕組み。
まるでセキュリティ完備のホテルのようだ。

「この階が総合エンタメ科の寮です。ここが中学生用の部屋の一つ。どうぞ、入ってください」
「わーーーっ!!思ってたよりひろーーーい!!きれーーーーい!!」
「すごいねー!空が近い!」
「わーー、ホテルみたい……。築20年の私の部屋よりよっぽどいいわ」
「ははっ、一等地にこの部屋は学生にはもったいねえよな」
撮影を想定しているのか、室内は広めの作り。
机と椅子は学校のものよりも大きくて、長時間座っていても疲れなさそう。
勉強机の他に、作業机みたいなものとゲーミングチェアがある。
トイレとお風呂、それに、もう一つの部屋にはベッドが置いてある。
寮には、食堂があるはずなのに、この部屋には家よりも小さいんだけど、キッチンがついている。
電子レンジや冷蔵庫や電気ケトルまで置いてあって、今すぐからでもここに住めそうだ。
寮っていうと、2段ベッドに小さな机、トイレとお風呂は共同みたいなものが多いから、パンフレットで見ていたとはいえ、思った以上の広さに驚く。
「地下には大浴場とプール、2階にはトレーニング室と談話室、3階には食堂と売店がありますよ」
どこも豪華で、学校の設備とはとても思えない。
「それでは、ロビーでお茶でもいかがです?前日までに頼んでおくとケーキやお菓子も用意してもらえるんですよ」
「まじでホテルみてーだよな」
こくこく頷きながら、私たちは1階へ向かうエレベーターに乗り込んだ。




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