魔王討伐からの無双人生 ―日本も案外ファンタジー―

bakauke16mai

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日本をイチャイチャとチートで無双する――!

ネミと俺と、それからそれから。

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「ぎるてぃ」
「えー……まじっすか」
「ん、マジ」

 容赦の欠片も無い言葉を前に、やむなく項垂れる。

(でも、いや、そうか……だめ、かぁ~……)

「ん? なに」
「い、いや、何でもないけど。して、じゃあどうするかなぁ」
「あ、え、えっと……その、ご、ごめんなさい……?」

 事の発端たる少女は、戸惑いつつも頭を下げた。
 その拍子に、どこかに付けている鈴がチャランチャランと鳴る。

 家の玄関で仁王立ちするネミを前に、頭を下げる少女を後ろに挟まれた俺は、苦笑しつつ頭を掻いた。



――あの後、少女を助けた後、泣きじゃくる彼女を何とか慰めてから、速攻で魔物を片付けた。

 もともと、強い敵も居らず(俺にとっては)、基本的に射程の問題しか無かったから、討伐自体はすぐに終わった。
 問題はその後だ。

『でー、えっと……』
『あ、え、えっと弥桐やすぎり美奈みなです』
『ふむふむ……さてじゃあ美奈さん、家はどこ?』
『わ、私……家を追い出されてて』
『えー……』

 という会話があったのだ。
 実際はもう少し長く、正確には彼女の感謝の言葉とか質問の嵐とかがあったのだけれど、省略する。

 なにはともあれ、そういう理由でアパートまで連れて帰ってきたのだが――。

「無理」
「はぁ……」

 ウチのお嬢様がこの調子のようで。
 いや確かに婚約関係であると周囲には認識されてるし、少なからず好意が俺にもネミにもあるのは知ってる。

 だからもう事実上の婚約関係(?)なのだけれど、俺の金で借りてるアパートに許可が必要になるとは……。

(ホントにどうしよ……)

 そう思いつつ、美奈さんの方を見やる。
 多少期待していたのか、落胆の表情を隠せず、その上で申し訳無さそうな顔をしていた。
 
 まぁ申し訳ない気持ちだけなら俺も結構ある訳だけど。

 だって連れてきて無理でした! って言う訳だし?

「ぅ……そんな顔しても嫌だよ大翔」

(おー、すんなり俺の名前言えてるじゃん)

 とか思いつつも、口には出さない。面倒事をわざわざ持ち込むような性癖は無い。

――今回の美奈さんの事は含まず。

 仕方なく、本人から理由を聞くことにした。

「えー、えっと……何でネミは嫌なんだ?」
「だって大翔が……る……で……だもん」
「え?」

 思わず聞き返すと、ネミは顔を赤くしながらも口を近づけてきた。
 すわキスか! と思春期みたいな脳は鼓動を速める。

 が、まぁ予想通りと言っちゃあ予想通りだが、そんなことは無かった。
 
 けれど、まぁ。それに匹敵するくらいの事はあったりした訳で。

 耳元に近づいたネミの口から、小さな囁きが脳を打つ。





「(だって……大翔が取られるみたいで……嫌なんだもん)」

―――ッ!?!?!??!?!


 オ持チ帰リシタイ。

 とかオークみたいな思考になりつつも、冷静ではいられない俺の心臓。
 マジ破裂しそうな程ドクンドクン鳴ってるんだけど!?

 真っ赤だと自覚できる顔でネミの方を見れば、俺に負けず劣らず顔を真っ赤にしていた。

(おいおいおいおい……? 自滅技ですかメガ〇テですかッ?)

 ぐるぐる回る頭を感じながら、俺は必死に深呼吸を繰り返した。
 なんということだ。元勇者の俺に対する最大ダメージな気がする。

 っていうか。

(これ、こんなにドキドキするって……)

――そういう、ことだよな……?

 思わず発見にさらなる自滅。ネミに自滅するなよとか言えなくなるじゃん。
 でも、やっぱりその気持ちが少し嬉しい自分がいて。

(あー! どうしたら良いんだよこれ!?)

 思わずドブにハマった気分。
 最悪な展開なのに最高な気分が恨めしい。

「あー、えーっとだな……」
「っ!」

 俺の声に、ネミが目に見えてビクリとした。
 顔を真っ赤にしたたま、潤んだ瞳で俺を見上げる。瞳の奥に、不安が入り混じっていた。

――可愛過ぎかよこんちくしょうがッ!

 頭真っ白になっタ。
 言おうとしてたこと忘れてしまっタ。

(えー……? ……えー……)

 もうどこのロボットだよとか思うくらいに呟きが繰り返される。
 しょうがないじゃんこんなの初めてなんだから。誰にともなくそう言い訳しながら、俺は言葉を探した。




「あの……あぅ……す、すいません……お手洗い、貸してくれませんか?」
「あ……」

 かんっぜんに忘れてた。同じような事があった気がしないでもないが、今回のは不可抗力だと思う。

 茫然としている間に、未だ頬は赤いもののある程度復帰したネミが頷き、美奈さんを案内した。
 そうして、扉の奥に2人で消えていく。

 その姿が、完全に視界から居なくなり――

「ッ……はぁ……」

 思わず溜息を吐いた。

 人助けに始まりこんなにも一度に多くの事が起きたのは、こちらの世界で初めてかもしれない。
 いや、きっとそうだ。

 顔が熱を持っている。夜風が頬を靡かせ、体を包み込む。
 
 やがて次第に熱も引き始め、それと同時に頭の中が妙にクリアになってきた。

(……じゃ、こんな事考えてる余裕無かったしな)

 毎日を戦うことで生きていた日々を思い出し、俺は小さく苦笑した。
 
「しょうがない……とりあえずは、美奈さんから色々聞かなきゃな」

 今日泊まる場所は後回しだ。
 正体不明の不思議エネルギーと、なぜ追い出されたのか。

 なによりも、彼女が白い紙についてからにしようと思う。

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