剣術世界最強、魔術世界最強、錬金術世界最強、精霊術世界最弱の俺が精霊族から教わる精霊術!

bakauke16mai

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1章~人外圏で、精霊術を~

精霊術

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「それで、頼みがあるのだが?」

「はい♪何でしょうか?」

何故だか、先程から少女の機嫌がかなり良い。
まあ、そちらの方が話し易いので助かるのだが、何だか裏があるように思えてしまうのだ。

(とりあえずは、あれだな)

つい前に対峙した『霊体・暴食邪種エネミー』の事を思い浮かべながら話す。
とりあえず、どんな事があったのかを話した。

「ああ・・・・・・・キュンちゃん達ですね。あの子達なら、確かに『精霊術』しか効かないですよ」

「やっぱり、か・・・・・・・」

何と無くそう思っていたが、まさか本当にそうだとは。
けれどこれで、あの腹立つ奴を殺す手段が見つかったという訳だ。

「それで、頼みはやっぱり?」

「ああ。俺に『精霊術』を教えてくれ」

そう言うと、今までの機嫌は何処に行ったのか。
一転して、申し訳無さそうに俯いた。
そして、小さな声で呟く。

「でも私、そこまで『精霊術』に詳しくないですよ?」

「まあ、試せば分かる」

自信無さげな少女にそう告げて、俺は立ち上がった。
どうやらこの場所は、少女の家の中らしく、綺麗に整っていた。

そこで俺は、集中する。

(空気を瞳で捉えろ 臭いを耳で聞け 光を鼻で拾え 風を雰囲気で知れ 魔力の味を思い出せ そうだ)

だんだんと、意識がクリアになっていく。
それと同時に、世界が済んだ紫の色で満たされていく。
これこそが、魔法の源であり、生物全てに存在する”魔力”。

波となって空気中に膨大に存在し、否が応でも此処が『人外圏』だと知らしめてくる。

そして、つむぐ。

「【光の精霊よ そなたの輝きを我が目前へ ”光明”】」

これこそ、精霊術の初歩であり、『人類圏』の”人類”ですらその全ての者が使える『精霊術』。
此処、『人外圏』であればこの『精霊術』を使えない者は生きていけないだろう。
それくらいに、常識として存在する。

「え?あ、あれっ?」

――けれど。

「な?理解出来たか?」

――唯一俺は除外される。



「俺は、この『精霊術』ですら発動出来ない」

何の変化も起こらない俺の前方を横目で見ながら、俺は少女に告げた。
呆然とし、そして信じられないような瞳が俺を貫いた。
この先は――俺は知っている。

(大体、捨てられるな)

どんな人でも思う。
これすら発動出来ない奴は教えても無理だわ。と。
確かにそうだ。

【世界の辞書】ですらそんな事例は記録されておらず、そして俺も40年を掛けたが習得出来なかった。
勿論、精霊族エルフにも師事してもらった。
しかし、結果は目前。

俺は何の『精霊術』も行使出来なかった。

やがて、少女の頭が冷えてくる。

「あ、貴方実は・・・・・・・・・」

そこで途切れ、体が小刻みに震えてきた。
馬鹿にするのだろうか。それとも侮辱されたと思うのだろうか。

けれど、結果は違かった。

「随分とポンコツなのね・・・・・・・!」

お腹を抱えたまま、心底面白そうに笑う。
それは、俺を馬鹿にする感情でもなく、怒りでもない。

(珍しい、か)

新種の生物を発見したような瞳を持って、少女は俺を見た。

「面白いね!良いですよ。私が、貴方を『精霊術』が使える人にしたいと思います」

そう、確かな声で俺に告げる。
その瞳に映し出された俺は今、どんな表情をしているのか。まあ、碌な顔ではないだろうか。

(けれど、まぁ・・・・・・・・・・・・)

こうして、俺は『精霊術』を教えてくれる人にであった。
実に数百年ぶりに触れるこの術に、若干の恐怖はある。
けれど今は、ただ頑張ってみようと思う。


この少女には、少しだけ興味が沸いた。
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