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1章~人外圏で、精霊術を~
交流ブランク
しおりを挟む「すまなかったな・・・・・・・」
「もうお嫁さんですけど釈然としません・・・・・・・・・」
先程の出来事から数刻を有して、少女はやっと冷静さを取り戻した。
かと思ったらこれだ。
この少女を俺が貰っても、好きでも無い者に見られる自身の裸程恥ずかしいものは無いのだろう。
世の中の女性は、その多くがそう思うらしい。(さっき真顔で言われた)
「あー・・・・・・・・次からは気をつけるのだから、許してくれないか?」
どうにも、こう俺が悪いのを自覚していると申し訳無い気分になる。
こういった感情はしっかりある辺り、俺はまだ人間として生きていられるだろう。
っと、そんな無駄な話に行方が逸れると駄目だ。
きっと――
「ふえぇぇん。そんな感情の無い声で言われても許せませんよぉ」
ほら、こうなる。
一体どうしろというのだ。
(ったく。此処100年近く交流を断ったらすぐこれだ)
人との交流能力は、一度覚えれば続くというが、それも100年は流石に厳しいようだ。
前は、”人類”からの人気が高かったのだがな。
本当に泣いている訳ではないのだろうが、しくしくと泣く真似をされるとどうしたら良いのか戸惑う。
こんな少女に対して、どうやったら慰められるのだろうか。
俺が完全に悪いのだから、謝るしかないわけだけれども。
「な、なあ・・・・・悪かったって。次からは気をつければ良いのだろう?」
「うぅ~・・・・グスン。違いますよぉ・・・・・・・」
(じゃあ何が違うのか教えてほしいのだが!)
そんな事を大声で言えば、この泣き虫+弱虫の少女はさらに泣くだろう。
ただでさえ、この少女が落ち着くまでに太陽が昇って沈むまでくらい掛かったのだから。
本当に困った。
此処200年近くで最も難しい難題ではないだろうか。
これなら、『理不尽級暴食邪種』を相手にした方が数倍マシだろう。
そっちの方が、解決方法が楽だ。
ようは、死ぬか生きるかの二択なのだから。
けれど、今は違う。
交流の空白期間の長さからか、対応が分からない。
いや、きっとこれはそれだけじゃない。
こんな場面に遭遇したことが無いからなのだ。
(どうしたら良いんだ?)
生憎と、イケメン主人公のような一瞬で惚れさせる言葉を知ってる訳でも無いし、さらに言えばイケメンですらない。
かつては、醜い顔過ぎて布を被せられたほどだ。
俺はそれ以来、自分の顔を確認したことが無い。
っと、いらない情報はどうでも良いのだ。
(【世界の辞書】)
仕方が無い。とばかりに、俺はその魔法を使った。
この世の全ての情報が載った、知識の書物。
〔恋人 慰め 非交流者〕
こんな辞書の引き方でも、内容が存在する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
貴方が男性の場合、女性を軽く抱きしめ囁くと良いでしょう。
その際には、「好き」や「愛してる」などの強い愛情が重要となってきます。
女性の魅力的な部分を頭に浮かべて、自信を持たせるように言うと効果的です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふむ。試してみる価値はあるだろう。
愛情に関しての自信はこれっぽっちも無いが、そこは何とかならないだろうか。
少女の良い所・・・・・・・・・
(優しい 可愛い 健気 素直 活発 綺麗 愛らしい 可憐 ・・・・・・・・・etc)
軽く抱きしめる。
「っ!ふぇ!?」
「生憎と愛は良く分からないのだが、お前だけは放っておけない。2度と離さないから、お前は自信も持て」
(こんなんで良いのだろうか?)
効果は、まあ良く分からない。
けれどまあ、機嫌は治ったのでよしだろう。
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