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1章 リアナと俺と
レアドロップと――の――
しおりを挟む命の危険を感じたのか、それとも憎悪値が高くなり過ぎたのか・・・・・・
ブラッディ・ベアーは、炎に攻撃されながらも俺へと突撃を開始した。
「へえ!面白いじゃないか・・・・・・けどな、そんな単調な攻撃じゃ駄目だよ?」
怒りか焦りに身を任された攻撃は、俺の”眼”にはハッキリと映し出される。
その攻撃の軌道も、タイミングも、そして――
「ハッ!!」
「ギャアアァァ!?」
ブラッディ・ベアーの頭の軌道に合わすようにデュランダルを滑らせ、そして持ち上げる。
ブラッディ・ベアー自身の威力も上乗せされた動きは、俺が小さく力を入れただけでブラッディ・ベアーの巨体を持ち上げて、吹き飛ばす。
(【パリィ】!!)
攻撃を弾かれた反動か、ブラッディ・ベアーに致命的な隙が生まれる。
頭が上空を向き、腹が此方へと堂々と見せ付けられていて・・・・・・・・・・・
(その隙を、俺が見逃す訳無いだろ?)
「【起動】」
ブラッディ・ベアーの腹に俺の両手を押し付けて、そう呟く。
その直後、業火がブラッディ・ベアーを包み込んだ。
俺にも分かるレベルでブラッディ・ベアーの生命力が低下していき、そして消え去る。
ブラッディ・ベアーの身体が光に包まれ、やがてその輝きが最高潮に達して。
軽快な四散音と共に、ブラッディ・ベアーは光の粒子となって空中に霧散した。
〔Congratulations〕
壮大なファンファーレと、輝きに飲まれながらその文字が浮かび上がった。
それと同時に、俺の手元にパネルが現れる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【階級】 レイドボス
【個体名】 ブラッディ・ベアー
ラストアタック レイ
ダメージMVP レイ
功績MVP レイ
累計MVP レイ
取得金 金貨3枚 銀貨4枚
取得経験値 *****
取得アイテム 血熊の毛皮 血熊の鋭爪 血熊の牙
【ラストアタックボーナス】 止水眼(R)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
見る限り、結果報告が記されているようだ。
それにしても、目の前にある死体から剥ぎ取りが出来ないのか、と思うくらいにアイテムが少ない。
もしかして、これも運なのだろうか?
「ん?金貨3枚って・・・・・・30万円か!?凄い大金だな・・・・・・」
一般男性の平均収入ってどのくらいだろう。
俺なんて、1日で30万稼いでしまった・・・・・・・・
「まあ、そりゃあゲームだもんな」
納得したように頷きながら視線を下げていき、不意に止まる。
その先には、1つのアイテムが記されている。
「止水眼?・・・・・・・・・・・説明が開けるのか」
不思議に思ってタッチすると、詳細画面が現れた。
ーーーーーーーーーーーーーー
<止水眼(R)>
使用すると、特殊スキル<囚われし幻想>が取得出来る。
対象の思考伝達に直接干渉し、対象の最も忌避する記憶を”視る”ことが出来る。
視た状態で、その対象の恐怖を取り除くことに成功した場合―――
ーーーーーーーーーーーーーー
説明文が、そこから先が途切れていた。
「バグか?」
そう思ったが、バグでは無さそう。
綺麗に文字事消えてなくなるなんて、バグだとしたら一大事だ。
そんな事を、この運営がするとは思えない。
なんたって、このゲームに10年も時間を使っているのだから。
「それじゃあ、使ってみるか」
止水眼をアイテムポーチから取り出すと、それは蒼い色をした水晶だった。
中央に星の形が刻み込まれ、ひし形をしている。
それを軽くタップすると、新しいパネルが現れた。
ーーーーーーーーーーーー
使用しますか?Yes/No
ーーーーーーーーーーーー
「Yesっと・・・・・・・・・おわっ!?」
左のYesをタッチした途端、光に包まれた。
それと同時に、頭の中に声が響いてくる。
『未設定スキル<囚われし幻想を取得しました>』
不吉な言葉が耳に入った。
「おい・・・・・・・ちょっと待てよ?未設定?もしかして、このスキルって運営が用意したんじゃないのか?」
そんな言葉を呟いた、その瞬間だった。
BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!!!!
有り得ないくらいに大音量の警音が鳴り響いた。
思わず、片膝をついて耳を塞ぐ。
しかし、それでも音は小さくならないどころか、塞いだ手に反射して大きくなっていく。
「クッ!?・・・・・・・・・・・ゥ!!!」
さらに、上から重圧がのしかかる。
現状を把握する余裕も無いくらいに、重たい感覚が俺の身体を潰していく。
気力を振り絞って目を開いた俺の視界に、黄色のゲージが見えた。
(俺のHPバー・・・・・・・・・・・・・・・)
HPを示したそのゲージは、徐々に削られていき、赤い色へと変わる。
そのまま、俺が見つめる前でゲージはその色を失っていき――
〔YOU END〕
真っ赤な色をしたパネルが目前に現れた時、視界は光に包まれていた。
何があったのか分からない。
分からないが、1つだけ理解出来たことがある。
(あれは、確実にシステムによる効果だ)
このゲーム運営が、100%覆せない力量を許すとは思えない。
これは現実のコネで開発者を知っている俺だから言えることだが、まず有り得ない。
確かに、俺のステータスやスキル、職業はハッキリとチートだと言える。
だが、それだけだ。
才能が存在するなら、”努力程度で表せない”くらいに戦えば良い。
ステータスで負けるなら、プレイヤースキル、技術で勝れば良い。
それでも劣るなら、たった一振りを極めれば良い。
刀なら居合いを、剣なら一閃を、その1つだけを永遠と極めれば覆せるはずだ。
(でも、今のは違う)
まったく動けなくなる重力が創れる訳が無いし、何の状態異常でもないのにHPが減るのは異常だ。
絶対、とまでは言い切れないが、ほぼ確実にシステム的な意図があったはず。
(つまり、さっき手に入れたスキルはそれだけ異常なのか・・・・・・・・・・・・・?)
このゲームは、そのランダム性からミッションやイベントの発生、mobの調整はシステムが自動で調整している。
正式名称は覚えていないが、Aシステムと呼んでいた。
それが、プレイヤーを無断でキルする手段をとるしかエラーに対応出来ない事態だったのなら、それは相当のことだろう。
思わぬ出来事に嫌な予感が背筋を流れ、それと同時に視界が開けてきた。
つい数時間前に見た、見慣れた光景・・・・・・・・・・・
「此処は・・・・・・・・・・・初期地点か」
遠くに見える壮大な城と、聞き覚えのある喧騒が耳を通り過ぎていく。
そんな中でも、俺の前にある<YOU END>の文字は消えていなかった。
「どういう・・・・・・・・・?」
「それは、俺が聞きてぇよ」
「!?」
状況の理解出来ない俺の耳に、忘れるはずのない声が届いた。
即座に後ろを振り向いた俺の視界に、癖の悪いボサボサの髪をした少年が佇んでいる。
その表情は、お世辞にも機嫌が良いとは決して言えない。
「じゅ・・・・・ネオか。お前も、このゲームしてたのか」
思わず、”本名”を言いそうになったところを、寸前で抑える。
代わりに、少年の上に表示されるカーソルに書かれた名前から、そう告げた。
「お前馬鹿じゃねぇの?俺がこんな面白そうなゲーム見逃す訳がねぇだろうが」
心からそう思っているように告げるネオを見て、納得する。
「そういえば、ネオはこんな奴だったな」
「悪かったな!こんな奴で」
自覚してるならどうにかしろよ、何てことは心の中にしまっておく。
「ま、だからこそ絡み易くて助かるよ」
本心だ。
気軽に話せるのは、ネオの人格か雰囲気か。
どちらにしろ、悪くは無いと思っている。
「けっ。お前は相変わらず狂ったことしてんだろ?」
「相変わらずじゃねぇよ」
「知るか。俺が知ってる中でお前が有り得ないことをしなかったことは無い」
堂々とそう言われると、確かに反論出来ない。
色々とやらかしているのは認めているから、尚更タチが悪い奴だ。
「見た目だけなら、ネオの方が絶対危ない奴なんだけどな」
「まったくだぜ。誰がラスボスに素手で挑むんだよ」
「言うな。あれは俺も若干後悔してる」
「どうだかな。とりあえず、この状況を確認すっか?」
「そうだな」
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