ブラッドゲート〜月は鎖と荊に絡め取られる〜 《軍最強の女軍人は皇帝の偏愛と部下の愛に絡め縛られる》

和刀 蓮葵

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閑話 イタリア共同演習 11

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教育係として庵を指導するかたわら、サボり癖のある七海に喝を入れながら何とかまとめた書類等を、長谷部室長に出せたのは期限ギリギリで、冷や汗ものだった共同演習を迎えることとなった。

前期は、共同国であるイタリアで、お互いの力を存分に発揮していった。

そして後期は自分たちの国━━━━日本での演習になる。

日本軍の本部で、演習に参加するイタリア軍を歓迎していく。そして、今回の演習指揮者の七海 虎次郎ななみ とらじろうが挨拶をする。

『ようこそ、イタリア軍の精鋭の皆さん。皆さんと演習出来ることを楽しみにしてました。互いに持てる力を発揮していければと思います。短い期間ですが宜しくお願いします!!』

敬礼して挨拶を締めくくる。それに習い日本軍も敬礼する。するとイタリア軍の全員も敬礼して互いに挨拶をする。

挨拶も終わり、午後からの演習を迎える為に一旦イタリア軍の全員は、自分たちのあてがわれた宿舎に帰っていく。
その中をイタリア軍の演習指揮者の、カルロ・ベルナルディ中佐は日本軍の指揮者、七海少佐の所までやって来る。勿論、七海少佐の隣には補佐である夜神 凪やがみ なぎ大佐もいる。

『虎!元気だったか!短い期間だが、宜しく頼むよ!』
ニッコリしながら、七海に握手を求めるベルナルディ中佐に、七海もニッコリして握手をする。
『こちらこそ宜しく!互いに頑張ろぜ~カルロ!』
握手をしながら互いの肩を叩き合う。そして隣にいた夜神にも握手を求める。
『夜神大佐も演習期間宜しくお願いします』
『こちらこそ宜しくお願いします』

差し出された手を軽く握り握手する。が、何故かベルナルディ中佐は強めに握り、一向に離そうとしない。
『ベルナルディ中佐?そろそろ離してもらえませんか?』
『・・・・・貴方が、帝國に連れて行かれたと聞いた時は、正直驚きました。あれ程、強い人でも吸血鬼には勝てないのかと・・・・』
顔を伏せて静かに話すベルナルディ中佐に、夜神は何も言えなくなった。
ベルナルディ中佐の手が微かに震えているのに気が付いて、沈痛な表情になる。

『けど、こうして演習で元気な姿を見られて良かった。安心しましたよ。日本軍には夜神大佐がいないとね?』
顔を上げて夜神を見る表情は、清々しいほど笑顔で、いつものベルナルディ中佐とは違うものだった。きっと本来の姿はこちらなのかもしれない。

『・・・・ご心配お掛けしました。中佐』
色々な人に心配をかけてしまったことに、改めて気付かされ夜神は、ベルナルディ中佐を通して考えさせられた。

『夜神大佐おかえりなさい。こうして会えて、握手出来ることが出来て私はとても嬉しいですよ。ですが・・・・』
『ベルナルディ中佐?うわぁ!』

突然、ベルナルディ中佐が握手をしていた手を引っ張って、自分の胸に夜神を押し込めて、強く抱きしめる。
『ちょ、カルロ!何やってんだお前!』
七海も突然のベルナルディ中佐の行動に、驚いて声を荒げる。
ベルナルディ中佐は周りを気にすることなく、夜神を抱きしめたまま、宣戦布告する。

『帰ってきてくれたことは勿論嬉しいですが、手を抜くことはしませんよ!!サバイバルゲームに勝つのは、イタリア軍です!夜神大佐!絶対私が勝者になって夜神大佐に案内してもらいますからね!待っていて下さい!!』

夜神の頬に、自分の頬を重ねてチークキスをする。イタリアでは普通かもしれないが、ここは日本だ。慣れていない夜神は驚いて、直立不動になってしまう。
ニッコリしながら、ベルナルディ中佐は離れて、固まってしまった夜神を見て、歯を見せて満面の笑みで部屋を出ていこうとする。

「・・・・・なっ!ベルナルディ中佐!何するんですか。いや、海外ではこれが普通か?でも、なんで急に抱きしめるんですか?ちょっと待って下さい!」
「夜神、日本語では相手に通じないぞ?」
『分かってる!!ベルナルディ中佐!!』
驚いて日本語に戻った夜神は、冷静なツッコミをした七海の指摘でイタリア語で呼び止めようとする。
だが、相手の方が早く行動していた為、部屋を出ようとしていた、ベルナルディ中佐は笑って部屋を出ていった。

「・・・・逃げた。なんなの突然?わけがわからない。庵君?どうしたの?怖い顔してるよ?」
夜神の近くで待機していた、庵は全てを見ていた。

七海とは反対の方に居たので、夜神を抱きしめた時に、ベルナルディ中佐は庵の顔を見ていたのだ。それは庵に対して、宣戦布告の表情をしていた。「勝った。羨ましいか?」と。

「驚いてしまっただけです。びっくりですね夜神大佐。サバイバルゲームの宣戦布告をしてきましたね?迎え撃つために頑張りましょう!」

鈍い夜神大佐には気取られないだろうが、七海少佐は違う。見ると、いつもの様に無精ひげを撫でながらニヤニヤと庵を見る。そして口がパクパクと動いている。

『が・ん・ば・れ・よ!』

最近は何故か絡まれる事の多い七海少佐に、もしかしたら夜神大佐に対する気持ちを、見破られたのかも知れない。
だから絡まれるのか・・・・と、庵は思ってしまう。けど、七海少佐の性格を考えると、言いふらす事はないだろう。庵だけを遊びの対象にして、からかうだけだと考える。

「庵君?大丈夫?気分でも悪い。顔が強張っているけど・・・無理しないでね?」
「夜神~大丈夫だよ。庵青年は演習に向けて緊張してるんだ。ある程度の緊張は大事だろう?教育係ならしっかりサポートしてやれよ!」
七海少佐のありがたい援護射撃で、庵は夜神の顔を見て苦笑いする。
「すみません。二回目なんですが、やはり緊張してしまって・・・・・夜神大佐の足を引っ張る事のないよう頑張ります」

七海少佐の提案に乗っかる形で「緊張」の言葉を使う。
それを聞いた夜神も納得したようで、いつもの微笑みを庵に向ける。
「緊張するのは良いことだからね。けど、肩に力が入り過ぎると失敗するから、ある程度のリラックスは大事だからね?」
「ありがとうございます。自分はそろそろ失礼します。学生だけで集まらないといけないので」
庵は軽く一礼して、部屋を出ていく。そこまで見ていた七海や式部がため息をする。

「どうしたの?ため息なんかして」
「いや、庵青年に頑張ってもらいたいと思ってしまって」
「庵学生なら、きっと大丈夫だと思うんだけど・・・・」
二人の心配を「共同演習」絡みだと思った夜神は、ニッコリして二人を見る。

「大丈夫だよ!二回目の演習だし。庵君のサポートはちゃんとするつもりだし。でも、庵君大丈夫かな?緊張が酷かったら、失敗してしまう恐れがあるから、少し解さないと」

「「・・・・・・頑張れ!」」
「ん?頑張るよ?」

斜めな考えと、自分がどのように見られているのか、全く分かってない夜神に対してもう一度、深いため息を二人はしてしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

後半のイタリア共同演習です。相変わらず斜め45℃の考えでした。良いのか、悪いのか・・・・

周りがヤキモキするのでしょうね。けどそれでもマイペース夜神で前進するのが、夜神大佐なのです(笑)

しばらくは共同演習です。相変わらず二日間はサクッと終わらして、三日目とご褒美の観光案内がメインだと思います。
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