ブラッドゲート〜月は鎖と荊に絡め取られる〜 《軍最強の女軍人は皇帝の偏愛と部下の愛に絡め縛られる》

和刀 蓮葵

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卒業式の朝、夜神は姿見の前で、おかしなところがないかチェックしていた。

卒業の参列には室長や団長、副団長そして各部屋の隊長と教育係達が主席する。夜神もそれに当てはまるため、今日は普段の軍服ではなく、礼装用の軍服を着用している。
形は普段のものと変わらないが、女性はスカート着用になるので、夜神もそれに習いタイトスカートを着用する。

上着も普段は同色の釦のシングル仕立てたが、礼装用はダブル仕立てで、釦は金色になっている。佐官からは金の房飾りの飾緒が付き、もちろん大佐である夜神の肩にも飾緒が付いている。
腕章も「教育係」と書いたものでなく、金と赤のラインが入ったものだ。上着の上からしているベルトは、バックルがありそのバックルには、軍のマークが浮あがる。
胸にはこれまでの、武功を讃えた勲章が並び、曲がってないか指で確認していく。

髪型もいつものポニーテールではなく、今日は軍帽をかぶるので、ローシニヨンでまとめピークド・キャップの形をした軍帽をかぶり、最後に白手袋をして完成させる。

「よし!」
今日の主役は学生だが、礼装用の軍服を着ると、背筋が普段よりも伸びているような感覚がする。
もう一度姿見で、上から下まで確認して自室を出ていく。

「よう、夜神」
「虎次郎。うわーさっぱりしたね。普段からそうしていればいいんじゃない?」
七海を見て、夜神はため息と共に感想を述べる。普段の無精ひげを綺麗に剃ってさっぱりしている。 
「そんな事したら、俺のワイルドさが無くなるだろう?」
「興味なし」
「そうか、お子様には俺の魅力は分からないと言う事か、それは仕方がない。じゃ、相澤はどうなんだよ?」

夜神からのどうでもいい発言を、苦笑いしながら聞いて七海は相澤を見る
相澤中佐も同じ格好だが、前髪を後ろに撫でつけている。軍帽をかぶるので邪魔な前髪をなくすために、ほとんどの男性は前髪を後ろに撫でつける。七海は全体的に短髪なので髪を撫でつけていない。

「・・・・・普段からきっちりとしているから違和感はないよ?虎次郎は普段は着崩しているから、今日みたいにちゃんとしていると格好いいんじゃない?」
「疑問系なんだな・・・・まぁいいや。そろそろ会場に入ろうか。庵青年の晴れ舞台だからな!」

七海はニッコリして、夜神の背中を押して会場に促す。それに続いて式部や、相澤が続く。
「押さないでよね・・・・ちゃんと行けるから・・・・」
夜神の批判は七海には届かなかった。


「全体起立!敬礼!これより卒業生を迎える。全体敬礼したまま待機!」
卒業生の後ろの席にいた、隊長や教育係達は、アナウンスに従い立ち上がり、敬礼をして迎え入れる。

同じように礼装用の軍服を着た、卒業生達が入ってくるのを敬礼で見守る。
夜神も周りと同じく、立ち上がり敬礼をして卒業生が席に着くまで見守る。

「全体着席!」
その合図で卒業生も夜神達も一斉に椅子に座る。
いつもと変わらない卒業式を、粛々と進めていく。
夜神はいつもなら感じない高揚感を感じた。初めて教育係をして、その人物が卒業するのだ。言葉で表すなら感無量と言えるかもしれない。
そんなに事を思いながら、式は続いていった。

卒業式は滞りなくすみ、外に出る。桜の木には、僅かだが咲き始めた桜があり、卒業の門出を祝っているようにも見える。
「夜神大佐!!」

自分を呼ぶ声がして、そちらを振り向くと、庵が駆け足で、夜神達の所に来る。
「良かった!!何処に行ったのかと不安になりました。けど良かった!」
「おぉ━━庵青年!おめでとう!」
七海は庵の肩に手を回して、祝の言葉を述べる。それにつられて口々に「おめでとう」と第一室の人間は言っていく。
「ありがとうございます。皆さんのおかけで卒業出来ました。ありがとうございます」
「固っくるし━━ぃ挨拶はなしだ!写真撮ろうぜ。やっぱり教育係と学生のセットは外せないな。夜神、青年と撮るぞ!」

七海が何処から取り出したのか、カメラを構えている。夜神は仕方なく庵の隣に近づく。
このところずっと気まずかったが、今だけは忘れて祝いたい。
「庵君、一緒に撮ろうか?」
「はい!」
庵の明るい返事に、戸惑いはなくなり、今までと変わらない態度で接していく。
「よーし。次は全員で撮ろう!」
七海は手の空いている人を捕まえて、隊長達と庵で撮ってもらう。
そうして、一通り写真を撮り終わった後、夜神は庵にこっそりと伝える

「庵君。第二剣道場で待ってる。返事するから・・・・来てね?」
少しだけ勇気がいった。こんな事、普段は言わない。けど、卒業式の時に返事が欲しい、と庵君は言った。その返事をする為に夜神は勇気出して伝える。

たとえ、誰かが聞いていても構わない・・・・・・

「大丈夫です。遅くなるかもしれませんが、それでも大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・・・待っているね!」
庵に伝えて、夜神は本部がある建物の方向に歩いていく。

その様子を見ていた七海は、庵に小声で確認する
「庵青年、今のは・・・・・・返事の答えか?」
「そうみたいです・・・・第二剣道場に行ってきます」
行こうとする、庵の腕を掴んで七海は止める
「七海中佐?」
「時間を置いて行ってやれ。互に落ち着いてからのほうがいいだろう?」

七海中佐の言いたいことも分かるし、待たしてはいけない気持ちもある。
けど、結局は七海中佐の意見を聞くとこにした。心の何処かで「ごめんなさい」と言われる恐怖が少なからずある。
七海中佐は「大丈夫!」と言っているが正直、半分ぐらいしか信じていない。

「遅れて行くけど大丈夫ですかね?」
「大丈夫だよ。どうせ時間潰しに「円舞」でもしてるんじゃね━━か?」
七海は受付で刀一式を受け取っていた夜神を思います。
流石に式典では、帯刀するなど武器の所持が禁止されている。

「ここは落ち着いて、それから聞きに行っても問題ないと思うぞ?」
「・・・・・・・・それで大丈夫ですか?」
「問題ない!時間はあるからな」
七海はニカッと笑い、持っているカメラを向けて庵を撮る。
「急になんですか?!撮るなら撮ると言って下さい!」
「すまんなー!題して「緊張する庵青年」ってな。そんな強張った顔じゃ、せっかくのいい男が台無しだぜ?なんたって今日は礼装用の軍服だ。世間的には軍服に萌える奴もいるしな。それが礼装用だから更に倍だ!」

ニヤニヤと笑って「倍だ」と言った際に、ピースサインを庵に向けて話す
「世間的にはそうかもしれませんが、大佐も着てますし、軍人ですし、それ当てはまるんですか?」
「きっと当てはまると信じているぞ。よし、写真撮って行こう。時間を置いて夜神に突撃してこい!そして砕けろ!」

背中をバ━━ン!と叩いて気合を入れさせる七海に対して、その衝撃と痛さで顔を歪めて、七海を恨めしそうな目付きで見る庵だった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

軍服の礼装用はいつものよりきらびやかです。それに白手袋に軍帽(ピークド・キャップは警察官や自衛隊の人達がかぶっている帽子の形です)夢です。萌えます。最高です。
七海中佐が最後に言っていた、世間的には・・・・の下りですが、その中に私は間違いなく入ります(笑)皆さんはどうでしょうか?
いよいよ、庵君は答えが聞けますね。その答えはどうなんでしょうね?
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