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藤堂元帥の号令を聞いた、七海 秀太郎中将は両隣にいた息子達に声をかける。
「後に続け!!」
「「おうっ!!」」
第七室所属で全国を槍の稽古で駆け巡る七海 龍太郎大佐は、七海中将の息子で、第一室所属の七海 虎次郎中佐の兄だ。
もちろん、幼い頃から夜神の事も知っている。妹のように接していた。その大事な妹の人生を左右される事に居ても立っても居られなくて駆けつけた。
そうして、皇帝の恐ろしさを目の当たりにした。
こんな相手と戦うのか?数年前、弟の虎次郎と夜神、そして嵐山大佐は戦ったのか?
結果は知っている。二人共負けてしまい、嵐山大佐は命を落とした。剣豪としても名高い嵐山大佐をだ。
この戦いで私は生きているのか?
薄っすらと汗ばんでしまった手で、槍を握り込むでしまう。
いけないことだと分かっているが、目の前の恐怖を打ち消そうと無意識に力が入ってしまう。
これでは父親だが、槍の先生でもある七海師範に怒りの鉄拳制裁を喰らわされる。
チラッと弟の虎次郎を盗み見る。
虎次郎も同じなのか無意識に力が入っている。
「力が入っているぞ?」
「兄貴こそ・・・・絶対、生きて勝とう。もちろん夜神も無事に助け出そう!」
その願いはみんな同じだ。生きて勝って、大事な妹も無事に助け出して、願うなら吸血鬼も一掃したい。
「当たり前だ」
その言葉を聞いていた七海中将は持っていた槍をグイッと前に突き刺す。狙いは皇帝・ルードヴィッヒの首だ。
「構えっ!!!」
「「構え!!」」
「天の逆鉾」
七海中将の「高位クラス武器」の名前を叫ぶと、それに続き二人の息子も自分達の武器の名前を叫ぶ。
「風神っ!」「雷神っ!」
それぞれの槍が、青白い雷を鉾に纏わせてながら、三角形の形を陣取りルードヴィッヒ目掛けて駆けていく。
「巻き込まれると可愛そうだからね・・・・・怪我しないように守ってあげないとね?」
こちらに向かって走って来る七海親子を見たルードヴィッヒは、夜神に向かって手のひらを向けると、手のひらから鎖を生み出して夜神に巻きつけていく。
「なっ!」
数本の鎖が体に巻き付き、その先端は千切れて巻き付いた夜神の周りに散っていく。
「私の代わりにその鎖が守ってくれるからね?だから、安心してね?さてと・・・・」
ニャァと、何かを含んだ笑いを向けながら、夜神の直ぐ側に突き立てた剣を引き抜くと、ルードヴィッヒも七海親子に向かって走り出す。
それが合図だったかのように、他の中距離攻撃を主とする軍人達が一斉に攻撃を仕掛けていく。
「抜刀!!環!」
「構え!!天翔ける!」
二人の女性軍人も攻撃範囲内からそれぞれの武器を構えていく。
第一室の式部 京子大尉は特殊なグローブを装着した両手で、投擲武器の円月輪・「環」をトランプのように広げるとルードヴィッヒに目掛けて投げていく。
その傍らでは第四室の野村 あずさ大尉がウェブリー・リボルバーの「天翔ける」を両手で構えて引き金を引く。
銃口からは青白い光の弾が、同じくルードヴィッヒの眉間、目掛けて発砲される。
そんな二人からの攻撃を冷笑して剣で叩き落としたり、軌道を変える。その軌道が変わった武器は何故か夜神に目掛けていく。
「?!」
何も出来ず驚いてしまった夜神の代わりに、体に巻き付いた鎖が夜神を守る。体に巻き付いたまま地面に落ちていた先端の鎖がジャラジャラと動いて、向かって来る攻撃をはたき落とす。
「っぅ・・・・軌道が変わっただけだ・・・・・違う」
ルードヴィッヒが笑いながら言った言葉が頭から離れない。
「軍に見捨てられた」
こんな近くにいるのに、まるで気にすることもなく、次々に攻撃を向けられる。
まるで夜神の事などはじめから居なかったかのように・・・・・
夜神はそんな不安と恐怖が入り混じった眼差しを七海達に向ける。
七海達は三角形の陣形の中に、ルードヴィッヒを入れると一斉に槍を突き刺していく。
けど、槍の交わった上に軽々と体を立たせると、三人を侮蔑した目で見下ろす。
三人は驚いたが、一旦距離を置くためそれぞれの後ろに、数歩飛んで体勢を整える。
「近距離攻撃っ!!突撃ぃぃ!!」
藤堂元帥の次の攻撃指示の号令が告げられる。
最後に残っていた軍人達が、一斉にこちらに向かって走ってくる。
怖い・・・・
同じ仲間なのに、一緒に吸血鬼を討伐しょうと集った仲間なのに、その顔が怖く見えた。
目の前の討伐すべき敵に向けられているはずなのに、その敵の奥にいる夜神にも向けられていると錯覚してしまうほど、みんなの目が怖かった。
ルードヴィッヒに向けた武器が、時々夜神に向かって来る。
それはルードヴィッヒが軌道を変えたりもするが、時には本当に向かって来る。
それを体に巻き付いた鎖が叩き落としていく。
「違う・・・・・私は見捨てられていない」
一緒にいるのだから、攻撃が間違ってこちらに来ることもある。人なのだから手元が誤ることもある。
そう、だから違う。絶対に違う。
皇帝の戯れ言などで流されてたまるか・・・・・・
鎖によって動けない体を揺すりながら、時には腕に力を込めながら何とかして抜け出そうと必死に動く。
縄抜けの要領で体を動かしていくが、ピタッと吸い付くように鎖が引っいていて、上手く抜け出せない。
ならば立ち上がろうと思ったら、鎖が地面に縫い付けられたかのようにビクとも動かなくなり、立つことも、移動する事も出来なくなり、その場で何も出来ない状態でみんなの戦いを見るしかなかった。
「一斉にこちらに向かって来るとは・・・・・芸がないね。まぁ、餌なら仕方ないが」
笑いながら七海親子の攻撃を躱す。その隙に他の軍人の攻撃がルードヴィッヒに振り下ろさせる。
その、波状攻撃を簡単に躱していくルードヴィッヒに、七海中将は身震いした。
これが皇帝・・・・・
全てに置いて他の吸血鬼共とは違う・・・・
「喰らえっ!!」
下から上に向かって振り上げる。
それを躱したルードヴィッヒに、息子達が後ろから槍を突き付けるが、余裕があるのか広角を上に上げて笑うと膝を曲げて躱す。
けど、槍もそのまま軌道を変えて、ルードヴィッヒの沈んだ体に鋒を向ける。
ガキ、ガキ、ガキ
金属音を響かせて、ルードヴィッヒの剣で、鉾の攻撃を受け流していく。
沈んだ体に他の軍人が攻撃をするが、地面から伸びた鎖がそれを阻む。
「抜刀!!」
「構え!!」
近距離攻撃を得意とする軍人が、ルードヴィッヒの近くで叫ぶ。
その、叫びは怒号になってルードヴィッヒに降り注いだ。
叫びを聞いたルードヴィッヒは、冷笑して受け止める。
「後に続け!!」
「「おうっ!!」」
第七室所属で全国を槍の稽古で駆け巡る七海 龍太郎大佐は、七海中将の息子で、第一室所属の七海 虎次郎中佐の兄だ。
もちろん、幼い頃から夜神の事も知っている。妹のように接していた。その大事な妹の人生を左右される事に居ても立っても居られなくて駆けつけた。
そうして、皇帝の恐ろしさを目の当たりにした。
こんな相手と戦うのか?数年前、弟の虎次郎と夜神、そして嵐山大佐は戦ったのか?
結果は知っている。二人共負けてしまい、嵐山大佐は命を落とした。剣豪としても名高い嵐山大佐をだ。
この戦いで私は生きているのか?
薄っすらと汗ばんでしまった手で、槍を握り込むでしまう。
いけないことだと分かっているが、目の前の恐怖を打ち消そうと無意識に力が入ってしまう。
これでは父親だが、槍の先生でもある七海師範に怒りの鉄拳制裁を喰らわされる。
チラッと弟の虎次郎を盗み見る。
虎次郎も同じなのか無意識に力が入っている。
「力が入っているぞ?」
「兄貴こそ・・・・絶対、生きて勝とう。もちろん夜神も無事に助け出そう!」
その願いはみんな同じだ。生きて勝って、大事な妹も無事に助け出して、願うなら吸血鬼も一掃したい。
「当たり前だ」
その言葉を聞いていた七海中将は持っていた槍をグイッと前に突き刺す。狙いは皇帝・ルードヴィッヒの首だ。
「構えっ!!!」
「「構え!!」」
「天の逆鉾」
七海中将の「高位クラス武器」の名前を叫ぶと、それに続き二人の息子も自分達の武器の名前を叫ぶ。
「風神っ!」「雷神っ!」
それぞれの槍が、青白い雷を鉾に纏わせてながら、三角形の形を陣取りルードヴィッヒ目掛けて駆けていく。
「巻き込まれると可愛そうだからね・・・・・怪我しないように守ってあげないとね?」
こちらに向かって走って来る七海親子を見たルードヴィッヒは、夜神に向かって手のひらを向けると、手のひらから鎖を生み出して夜神に巻きつけていく。
「なっ!」
数本の鎖が体に巻き付き、その先端は千切れて巻き付いた夜神の周りに散っていく。
「私の代わりにその鎖が守ってくれるからね?だから、安心してね?さてと・・・・」
ニャァと、何かを含んだ笑いを向けながら、夜神の直ぐ側に突き立てた剣を引き抜くと、ルードヴィッヒも七海親子に向かって走り出す。
それが合図だったかのように、他の中距離攻撃を主とする軍人達が一斉に攻撃を仕掛けていく。
「抜刀!!環!」
「構え!!天翔ける!」
二人の女性軍人も攻撃範囲内からそれぞれの武器を構えていく。
第一室の式部 京子大尉は特殊なグローブを装着した両手で、投擲武器の円月輪・「環」をトランプのように広げるとルードヴィッヒに目掛けて投げていく。
その傍らでは第四室の野村 あずさ大尉がウェブリー・リボルバーの「天翔ける」を両手で構えて引き金を引く。
銃口からは青白い光の弾が、同じくルードヴィッヒの眉間、目掛けて発砲される。
そんな二人からの攻撃を冷笑して剣で叩き落としたり、軌道を変える。その軌道が変わった武器は何故か夜神に目掛けていく。
「?!」
何も出来ず驚いてしまった夜神の代わりに、体に巻き付いた鎖が夜神を守る。体に巻き付いたまま地面に落ちていた先端の鎖がジャラジャラと動いて、向かって来る攻撃をはたき落とす。
「っぅ・・・・軌道が変わっただけだ・・・・・違う」
ルードヴィッヒが笑いながら言った言葉が頭から離れない。
「軍に見捨てられた」
こんな近くにいるのに、まるで気にすることもなく、次々に攻撃を向けられる。
まるで夜神の事などはじめから居なかったかのように・・・・・
夜神はそんな不安と恐怖が入り混じった眼差しを七海達に向ける。
七海達は三角形の陣形の中に、ルードヴィッヒを入れると一斉に槍を突き刺していく。
けど、槍の交わった上に軽々と体を立たせると、三人を侮蔑した目で見下ろす。
三人は驚いたが、一旦距離を置くためそれぞれの後ろに、数歩飛んで体勢を整える。
「近距離攻撃っ!!突撃ぃぃ!!」
藤堂元帥の次の攻撃指示の号令が告げられる。
最後に残っていた軍人達が、一斉にこちらに向かって走ってくる。
怖い・・・・
同じ仲間なのに、一緒に吸血鬼を討伐しょうと集った仲間なのに、その顔が怖く見えた。
目の前の討伐すべき敵に向けられているはずなのに、その敵の奥にいる夜神にも向けられていると錯覚してしまうほど、みんなの目が怖かった。
ルードヴィッヒに向けた武器が、時々夜神に向かって来る。
それはルードヴィッヒが軌道を変えたりもするが、時には本当に向かって来る。
それを体に巻き付いた鎖が叩き落としていく。
「違う・・・・・私は見捨てられていない」
一緒にいるのだから、攻撃が間違ってこちらに来ることもある。人なのだから手元が誤ることもある。
そう、だから違う。絶対に違う。
皇帝の戯れ言などで流されてたまるか・・・・・・
鎖によって動けない体を揺すりながら、時には腕に力を込めながら何とかして抜け出そうと必死に動く。
縄抜けの要領で体を動かしていくが、ピタッと吸い付くように鎖が引っいていて、上手く抜け出せない。
ならば立ち上がろうと思ったら、鎖が地面に縫い付けられたかのようにビクとも動かなくなり、立つことも、移動する事も出来なくなり、その場で何も出来ない状態でみんなの戦いを見るしかなかった。
「一斉にこちらに向かって来るとは・・・・・芸がないね。まぁ、餌なら仕方ないが」
笑いながら七海親子の攻撃を躱す。その隙に他の軍人の攻撃がルードヴィッヒに振り下ろさせる。
その、波状攻撃を簡単に躱していくルードヴィッヒに、七海中将は身震いした。
これが皇帝・・・・・
全てに置いて他の吸血鬼共とは違う・・・・
「喰らえっ!!」
下から上に向かって振り上げる。
それを躱したルードヴィッヒに、息子達が後ろから槍を突き付けるが、余裕があるのか広角を上に上げて笑うと膝を曲げて躱す。
けど、槍もそのまま軌道を変えて、ルードヴィッヒの沈んだ体に鋒を向ける。
ガキ、ガキ、ガキ
金属音を響かせて、ルードヴィッヒの剣で、鉾の攻撃を受け流していく。
沈んだ体に他の軍人が攻撃をするが、地面から伸びた鎖がそれを阻む。
「抜刀!!」
「構え!!」
近距離攻撃を得意とする軍人が、ルードヴィッヒの近くで叫ぶ。
その、叫びは怒号になってルードヴィッヒに降り注いだ。
叫びを聞いたルードヴィッヒは、冷笑して受け止める。
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