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ジリ、ジリ・・・・・
少しずつ足が相手に向かいにじり寄る。
そして、一定の距離になったら互いに同じタイミングで駆け出す。
庵は右手で白い柄を握り水平に刀を抜き出す。
同じくルードヴィッヒは両手で握りしめ真上から振り下ろす。
ガキィィッッ!!
金属音が響くが、すぐに雨音にかき消される。
「つぅ!!」「ふん!」
二人の短い呼吸音が緊迫する状況に拍車をかける。
ギリギリッッ━━━━と、互いの武器に力を込めて、相手を負かそうと躙り寄る。
金と黒の瞳が殺意をはらむ。バチバチと火花が生まれていても不思議ではない程睨み合う。
「殺すっ!!私を苦しめる存在などこの手で殺す」
「返してもらう!!もう二度と手を離さないと誓ったんだ!何が何でも返してもらう」
互いの主張を叫ぶと、一旦それぞれの後方に飛んで間合いを取る。
「返す?おかしなことを・・・・凪ちゃんも元を辿れば我々と同族。そして今や完全に我々と同じになった。はたして貴様の世界で凪ちゃんは幸せに生きていけるのかな?」
「たとえ体が作り変えられようと、凪さんは凪さんだ。心が変わらなければ説得してでも周りに認めてもらう」
「理想論だな。ごく一部は受け入れてくれても、その他大勢は嫌う。なら、初めから傷付かず大事に囲う方が良い判断だと思うが?」
「たとえそうかもしれないが、それでも俺は連れ帰る。味方がいなくても最後まで俺は味方であり続ける」
「ほざくなっっ!!!」
二人の口論は、ルードヴィッヒの怒気をはらんだ一言で終わりを告げる。
「結局は自己満足か?なら、やめておけ。凪ちゃんは餌の世界で生きるより、こちらの世界のほうが居心地がいいんだよ。餌の人生を狂わした元凶の末裔だからね?罵詈雑言を浴びせられ、石を投げられるよりずっと幸せだよ?それを壊すのかい?・・・・・あぁ、これは本当にいけないことだ・・・・・・凪ちゃん?待っていてね?凪ちゃんを怖がらせるものは私が排除してあげようね?」
ルードヴィッヒはバルコニーの欄干に背中を預け、必死に息と体を整えている夜神を見て、蕩けそうな笑顔で言葉をつむぐ。
さっきまで鬼の形相のように恐ろしい顔をしていたのに・・・・
その代わりように庵は刀を構えたまま、背筋が寒くなった。
背中が痛い・・・・息が・・・苦しい・・・・
けど、早く回復しないと・・・・
早く、早く・・・・
夜神は必死になって息を整えていく。
目の前では皇帝と庵の激しい剣撃が繰り広げられる。
半年の間にどれ程体を動かさなかったのか、今になって自分の身に降り注ぐ。
受け身を取ることも出来ず、素人のように体に直接痛みを受け入れた。
悔しい・・・・不甲斐ない・・・・・
そんな後悔が次々に溢れる。だから、必死になって体勢を整えて次の一手に向けて動けるようにする。
そんな中を皇帝と庵君は互いに一歩も引かず、口論をしている。
確かに、この世界なら傷付かずにすむかもしれない。
元の世界なら私は犯罪者で吸血鬼・・・・・死を持って償っても償いきれない程の重罪を犯した。
それでも庵君は、私に寄り添い、助けようとしてくれる。
なら、私は大丈夫・・・・
もう、一人ではない。
だから、これ以上大切な人を無くさない為には私は私の出来ることをしなくては・・・・
雨に濡れたバルコニーの欄干に、背中を預ける為に体を起こす。
欄干に背中を預け息を整えている時に、ルードヴィッヒに言われた言葉が、表情が怖くて背中が粟立つ。
蕩けそうな、恍惚した表情は私を抱き潰して悦んでいる時の表情そのものだった。
今、目の前の行為そのものは、剣と刀の命の殺り合いなのに、それさえも皇帝にとっては恍惚する程の意味合いで受け取っているのだろうか?
二人の視線にルードヴィッヒは笑い、剣を構え直す。
両手でしっかりと握りしめる。この剣で相手の命を、自分を苦しめる存在を断ち切るために。
足裏を地面にしっかりと押し当てて、踏み込めるように準備する。
ルードヴィッヒが次の攻撃準備をしているのが分かり、庵も同じように攻撃の準備する。正眼の構えになり、剣先を相手に向ける。
雨が二人の鈍色の刃物に落ちて、ぶつかり、弾ける。
再び、どちらともなく動き、鈍い金属音が鳴る。
庵が水溜りを散らして踏み込んでいく。突きの攻めをしてくるが、剣の峰で受け止め、上に振り上げて庵の姿勢を崩す。
そのまま、両手で持って庵を二つに切り裂こうと振り下ろすが、寸での所で庵は後ろに飛び、僅かばかりにルードヴィッヒの剣先が軍服に掠めるぐらいで致命傷にはならなかった。
「チッッ!」
ルードヴィッヒの舌打ちが聞こえる。庵は気が気ではない心境だった。
自分よりも遥かに強い人物に戦いを挑んでいる。
そして、ほんの少しの気の緩みで命を落とす恐怖。
けど、ここで怖気付いて尻尾を巻いて逃げるなど言語道断・・・
絶対に連れ帰ると約束をした。藤堂元帥をはじめとした第一室のみんな。
そして、愛しい人に。その人は一瞬で目の前から消えた、気がついた時はバルコニーの欄干に体を叩きつけられていた。
今も痛みに耐えて、この攻防戦を見ているのかもしれない。
早く安心させないと。早く痛みを取り除かないと・・・
庵は夜神を見る余裕などはなく、頭の片隅で夜神を案じつつも、目の前の恐怖から目をそらさずでいた。
一瞬の事で全てが決まる。それもそこに待っているのは「死」だけだ。
ゴクッ・・・・視線はそらさず唾を飲み込む。意味もなく喉がカラカラになる。
目の前の男は余裕で楽しんでいる。悔しいが今の自分では到底及ばない。
ならば・・・・
庵は、少しずつコツを掴んできた別の力を解放する。
背中から荊を生み出し、ルードヴィッヒにめがけて数本伸ばされる。
鞭のように手足に巻き付いていく。
「?!・・・・ほぅ?使い方を少しは学んだのか?けど、これで私が止められるとでも?なら、目出度い事だっ!!」
最初は少し驚いたが所詮は植物。私の鎖とは性質も違うし、強度も違う。
まして、長年使い続けた自分と、最近使い始めた者では練度が違う。
ルードヴィッヒも鎖を体内から生み出し、庵の荊を次々に撃ち抜き、手足に巻き付いた荊の枷から抜け出す。
「本当の使い方を教えてやろうか?負け犬が!」
ルードヴィッヒの怒気のはらんだ声と共に、鎖が庵に向かって突き刺さるように伸ばされる。
鋭い攻撃を避ける為に庵は、避けるようにその場から走り出す。
庵がいた地面が鎖で穿かれる。それから逃げるように庵は走って逃げる。
「どうした?逃げるしか出来ないのか?」
ルードヴィッヒの嘲笑う声がする。けど、庵も逃げているだけではなかった。
「っう・・・・・」
少しずつ皇帝に近づき刀を握り込む
「香気を纏え・澌尽灰滅」
薔薇色の刀身から匂いがする。武器が庵に応えるため力を貸す。
「煩わしい・・・・月よ血よ!」
ルードヴィッヒも己の力を解放する。
二人の武器は再び金属音を響かせる。鍔迫り合いが始まる。
二人の瞳には互いの色が映り込む。けど、そのさらに奥にある暗い淀んだ感情までは映らない。
ガキィィ、ガキィと軋んだ音をさせる。
「いつまでもつ?そろそろ終わりにしてあげよう」
「させるかぁぁ!!」
余裕のあるルードヴィッヒと、必死な庵の声がどちらが優勢なのかを物語る。
鍔迫り合いから打ち合いになる。互いの剣と刀が何度と金属音を響かせる。
一分の隙も無駄もない、研ぎ澄まされた一撃を、同じく隙もない構えで受け止める。
互いに必殺の一撃は、風を雨を切り裂く。
けど、やはり優勢なのはルードヴィッヒの方だった。
上からの一撃を受け止めた庵を力で押してバランスを崩させる。
「?!!っっ!」
バランスを崩し、濡れた地面に崩れ落ちる。
「これで終わりだっ!!」
ルードヴィッヒの勝利宣言と共に、雨に濡れた鈍色の剣が全てを断ち切るために振り下ろされる。
「っぅ・・・・・・」
終わりを悟った庵だったが、そこに鮮やかな色が目に映り込む。
「えっ?」「っう・・・・」
その鮮やかな色は二人の間に滑り込むように割り込み、庵を包みこんだ。
そして、鈍色の殺意に溢れた剣を受け止めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
R-18のシーンもですが、戦闘シーンも凄く悩んでしまうため時間がかかり、結果、読めるのかコレ?になりました。
上手くかける方々が羨ましい。自分の文章力皆無を嘆く今日この頃です。
「頑張って書けてるでぇ~~」と、思って頂ければ幸いです。
生ぬるい目で見守って下さい(笑)
少しずつ足が相手に向かいにじり寄る。
そして、一定の距離になったら互いに同じタイミングで駆け出す。
庵は右手で白い柄を握り水平に刀を抜き出す。
同じくルードヴィッヒは両手で握りしめ真上から振り下ろす。
ガキィィッッ!!
金属音が響くが、すぐに雨音にかき消される。
「つぅ!!」「ふん!」
二人の短い呼吸音が緊迫する状況に拍車をかける。
ギリギリッッ━━━━と、互いの武器に力を込めて、相手を負かそうと躙り寄る。
金と黒の瞳が殺意をはらむ。バチバチと火花が生まれていても不思議ではない程睨み合う。
「殺すっ!!私を苦しめる存在などこの手で殺す」
「返してもらう!!もう二度と手を離さないと誓ったんだ!何が何でも返してもらう」
互いの主張を叫ぶと、一旦それぞれの後方に飛んで間合いを取る。
「返す?おかしなことを・・・・凪ちゃんも元を辿れば我々と同族。そして今や完全に我々と同じになった。はたして貴様の世界で凪ちゃんは幸せに生きていけるのかな?」
「たとえ体が作り変えられようと、凪さんは凪さんだ。心が変わらなければ説得してでも周りに認めてもらう」
「理想論だな。ごく一部は受け入れてくれても、その他大勢は嫌う。なら、初めから傷付かず大事に囲う方が良い判断だと思うが?」
「たとえそうかもしれないが、それでも俺は連れ帰る。味方がいなくても最後まで俺は味方であり続ける」
「ほざくなっっ!!!」
二人の口論は、ルードヴィッヒの怒気をはらんだ一言で終わりを告げる。
「結局は自己満足か?なら、やめておけ。凪ちゃんは餌の世界で生きるより、こちらの世界のほうが居心地がいいんだよ。餌の人生を狂わした元凶の末裔だからね?罵詈雑言を浴びせられ、石を投げられるよりずっと幸せだよ?それを壊すのかい?・・・・・あぁ、これは本当にいけないことだ・・・・・・凪ちゃん?待っていてね?凪ちゃんを怖がらせるものは私が排除してあげようね?」
ルードヴィッヒはバルコニーの欄干に背中を預け、必死に息と体を整えている夜神を見て、蕩けそうな笑顔で言葉をつむぐ。
さっきまで鬼の形相のように恐ろしい顔をしていたのに・・・・
その代わりように庵は刀を構えたまま、背筋が寒くなった。
背中が痛い・・・・息が・・・苦しい・・・・
けど、早く回復しないと・・・・
早く、早く・・・・
夜神は必死になって息を整えていく。
目の前では皇帝と庵の激しい剣撃が繰り広げられる。
半年の間にどれ程体を動かさなかったのか、今になって自分の身に降り注ぐ。
受け身を取ることも出来ず、素人のように体に直接痛みを受け入れた。
悔しい・・・・不甲斐ない・・・・・
そんな後悔が次々に溢れる。だから、必死になって体勢を整えて次の一手に向けて動けるようにする。
そんな中を皇帝と庵君は互いに一歩も引かず、口論をしている。
確かに、この世界なら傷付かずにすむかもしれない。
元の世界なら私は犯罪者で吸血鬼・・・・・死を持って償っても償いきれない程の重罪を犯した。
それでも庵君は、私に寄り添い、助けようとしてくれる。
なら、私は大丈夫・・・・
もう、一人ではない。
だから、これ以上大切な人を無くさない為には私は私の出来ることをしなくては・・・・
雨に濡れたバルコニーの欄干に、背中を預ける為に体を起こす。
欄干に背中を預け息を整えている時に、ルードヴィッヒに言われた言葉が、表情が怖くて背中が粟立つ。
蕩けそうな、恍惚した表情は私を抱き潰して悦んでいる時の表情そのものだった。
今、目の前の行為そのものは、剣と刀の命の殺り合いなのに、それさえも皇帝にとっては恍惚する程の意味合いで受け取っているのだろうか?
二人の視線にルードヴィッヒは笑い、剣を構え直す。
両手でしっかりと握りしめる。この剣で相手の命を、自分を苦しめる存在を断ち切るために。
足裏を地面にしっかりと押し当てて、踏み込めるように準備する。
ルードヴィッヒが次の攻撃準備をしているのが分かり、庵も同じように攻撃の準備する。正眼の構えになり、剣先を相手に向ける。
雨が二人の鈍色の刃物に落ちて、ぶつかり、弾ける。
再び、どちらともなく動き、鈍い金属音が鳴る。
庵が水溜りを散らして踏み込んでいく。突きの攻めをしてくるが、剣の峰で受け止め、上に振り上げて庵の姿勢を崩す。
そのまま、両手で持って庵を二つに切り裂こうと振り下ろすが、寸での所で庵は後ろに飛び、僅かばかりにルードヴィッヒの剣先が軍服に掠めるぐらいで致命傷にはならなかった。
「チッッ!」
ルードヴィッヒの舌打ちが聞こえる。庵は気が気ではない心境だった。
自分よりも遥かに強い人物に戦いを挑んでいる。
そして、ほんの少しの気の緩みで命を落とす恐怖。
けど、ここで怖気付いて尻尾を巻いて逃げるなど言語道断・・・
絶対に連れ帰ると約束をした。藤堂元帥をはじめとした第一室のみんな。
そして、愛しい人に。その人は一瞬で目の前から消えた、気がついた時はバルコニーの欄干に体を叩きつけられていた。
今も痛みに耐えて、この攻防戦を見ているのかもしれない。
早く安心させないと。早く痛みを取り除かないと・・・
庵は夜神を見る余裕などはなく、頭の片隅で夜神を案じつつも、目の前の恐怖から目をそらさずでいた。
一瞬の事で全てが決まる。それもそこに待っているのは「死」だけだ。
ゴクッ・・・・視線はそらさず唾を飲み込む。意味もなく喉がカラカラになる。
目の前の男は余裕で楽しんでいる。悔しいが今の自分では到底及ばない。
ならば・・・・
庵は、少しずつコツを掴んできた別の力を解放する。
背中から荊を生み出し、ルードヴィッヒにめがけて数本伸ばされる。
鞭のように手足に巻き付いていく。
「?!・・・・ほぅ?使い方を少しは学んだのか?けど、これで私が止められるとでも?なら、目出度い事だっ!!」
最初は少し驚いたが所詮は植物。私の鎖とは性質も違うし、強度も違う。
まして、長年使い続けた自分と、最近使い始めた者では練度が違う。
ルードヴィッヒも鎖を体内から生み出し、庵の荊を次々に撃ち抜き、手足に巻き付いた荊の枷から抜け出す。
「本当の使い方を教えてやろうか?負け犬が!」
ルードヴィッヒの怒気のはらんだ声と共に、鎖が庵に向かって突き刺さるように伸ばされる。
鋭い攻撃を避ける為に庵は、避けるようにその場から走り出す。
庵がいた地面が鎖で穿かれる。それから逃げるように庵は走って逃げる。
「どうした?逃げるしか出来ないのか?」
ルードヴィッヒの嘲笑う声がする。けど、庵も逃げているだけではなかった。
「っう・・・・・」
少しずつ皇帝に近づき刀を握り込む
「香気を纏え・澌尽灰滅」
薔薇色の刀身から匂いがする。武器が庵に応えるため力を貸す。
「煩わしい・・・・月よ血よ!」
ルードヴィッヒも己の力を解放する。
二人の武器は再び金属音を響かせる。鍔迫り合いが始まる。
二人の瞳には互いの色が映り込む。けど、そのさらに奥にある暗い淀んだ感情までは映らない。
ガキィィ、ガキィと軋んだ音をさせる。
「いつまでもつ?そろそろ終わりにしてあげよう」
「させるかぁぁ!!」
余裕のあるルードヴィッヒと、必死な庵の声がどちらが優勢なのかを物語る。
鍔迫り合いから打ち合いになる。互いの剣と刀が何度と金属音を響かせる。
一分の隙も無駄もない、研ぎ澄まされた一撃を、同じく隙もない構えで受け止める。
互いに必殺の一撃は、風を雨を切り裂く。
けど、やはり優勢なのはルードヴィッヒの方だった。
上からの一撃を受け止めた庵を力で押してバランスを崩させる。
「?!!っっ!」
バランスを崩し、濡れた地面に崩れ落ちる。
「これで終わりだっ!!」
ルードヴィッヒの勝利宣言と共に、雨に濡れた鈍色の剣が全てを断ち切るために振り下ろされる。
「っぅ・・・・・・」
終わりを悟った庵だったが、そこに鮮やかな色が目に映り込む。
「えっ?」「っう・・・・」
その鮮やかな色は二人の間に滑り込むように割り込み、庵を包みこんだ。
そして、鈍色の殺意に溢れた剣を受け止めた。
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R-18のシーンもですが、戦闘シーンも凄く悩んでしまうため時間がかかり、結果、読めるのかコレ?になりました。
上手くかける方々が羨ましい。自分の文章力皆無を嘆く今日この頃です。
「頑張って書けてるでぇ~~」と、思って頂ければ幸いです。
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