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一日目と二日目はタイ軍の教官クラスの人間が、体術の基礎を教えていき、タイ軍と日本軍の一対一で実践をしていく。
夜神達は「ムエタイ」の基本の立ち方、技の出し方を学び実践していく。

「ムエタイ」は両手・両肘・両脚・両膝の八箇所を用いて戦うタイの国技で、日本発祥の格闘技「キックボクシング」の元になっている。
主な技術はトイ(パンチ)・パンソーク(肘打ち)・ミドルキック・モエパン(首相撲)などある、立ち技「最強」と言われる現代格闘技だ。

夜神はワサン中佐と一緒にいた、アポヤポン少佐と対戦する
『お手柔らかにお願いします』
『こちらそ、夜神大佐お願いします』
拳を顎の高さぐらいに持ってきて、手の甲から腕のライン真っ直ぐにして、脇を締めて基本の立ち方を互にする。

そこからは互に引かず攻撃を繰り出す。キックやパンチを繰り出し、時には肘打ちの攻撃を受ける。それを前腕で受け止めたりしていく。
流石、立ち技「最強」だけあって、一つ一つの攻撃が重いし、気を抜くと痛い思いをしてしまう。

『流石です。基本動作は問題無いです。このまま、もうひとランク上に行ってみませんか?』
今だに余裕のあるアポヤポン少佐は、夜神に提案する。
普段から使用している体術とは違う動きに、悪戦苦闘しながらも何とか落とし込んでいる夜神には、あまりありがたい言葉ではなかった。
『ありがとうございます。もうひとランク上だと、かなりの攻撃力でしょうね』
攻撃を往なしながらアポヤポン少佐に尋ねる。すると少しだけ楽しそうに笑いながら答える

『夜神大佐なら、大丈夫です!!例えばこんな技とか・・・・』
アポヤポン少佐は「首相撲」の体勢をとってくる。
肘の内側を掴んできたので、掴まれた内側から両手を回して躱すがまた掴まれる。躱す、掴むを繰り返しながら、内腿で蹴りを入れるが躱される。
アポヤポン少佐が更に内腿で蹴りを入れてくるが、その瞬間を待っていた。
アポヤポン少佐の肘を下から掌底で打ち付け上げる。さらに後頭部の付け根を摑み、床に叩きつけるように押し付けると、バランスを崩しアポヤポン少佐は半回転しながら倒れる。

『おっと・・・・・・・流石です。防御、崩しのタイミング、初めての人でここまで使いこなすのは中々いませんよ』
『いえ、アポヤポン少佐が初めに技のレクチャーをしてくださったので、それを真似ただけです。アポヤポン少佐のおかけですね』
微笑んで座り込んでいるアポヤポン少佐に手を差し伸べる。
手を握り、体を起こしてもらうとアポヤポン少佐は頭一つ低い、夜神を見下ろす格好でまじまじと見てしまう。

日本軍所属の軍人で「最強」の称号を手にしている。
その、不思議な白い目は体を動かすと赤くなる。そして今、その瞳は赤くなっている。
かえってその色が彼女らしさを引き出している。

『完敗です。これは二日目、三日目が怖いですね』
『何を言ってるんですか。それはこちらのセリフですよ。演習は何が起こるか分からないですからね』
『はっはは、そうですね。一旦休憩しましょうか?』
『えぇ、あっ!先に休憩していてください。私の隊の新人が今からみたいなので、そちらを見てきます』

隣の組は今からで、日本軍は庵君が出ていたので観戦するためにアポヤポン少佐に断りを入れる。
『そうなんですね!私も、一緒に観戦してもいいですか?夜神大佐の隊の新人はきっとレベルが高いでしょうから』
『褒めても何も出ませんよ。えぇ、よろしければ、アドバイス等頂ければ嬉しいです』

教官クラスのアポヤポン少佐から、アドバイスをもらえたらもっと強くなれるだろう。
体術の型は違うがどれも「何かを守る為」に考え出されたものだ。考え方の根っこは同じなのだ。
だから、様々な事を学び自分なりにいいとこ取りをして、自分なりの技を作っていくのもだと考えている。
そのためには、様々な体術に特化した人からのアドバイスは必要不可欠だとも思っている。

『私で良ければアドバイスしますよ』
『ありがとうございます。そろそろ始まりそうですね。行ってみましょうか』
『えぇ、楽しみですね』
二人は移動して庵が対戦するところまで移動した。

「庵伍長━━!!負けてくださ━━い!」
「なんで、夜神大佐とっ!!」
「羨ましいんだよ━━!!」
「タイ軍の人!!勝ってくれ!!コテンパにしてくれ!!」
「俺の凪すわぁ━━ん!!」

日本軍からの野次に心が折れそうになっている庵がいた。
なぜ、自国ではなく相手国を応援してるんだよ!!
久慈学生が言っていたがラーメン屋以降の行動も知られているイコールホテルに入っていったのもバレている。
ならばこの野次は逆恨みの一種なのか・・・
流石です、大佐。軍最強は伊達じゃないんですね。
何が、最強かわからなくなってきたけど・・・・

庵に対するバッシングに夜神は驚いていた。
なんで、庵君が野次を受けてるの?俺の凪さん?俺って誰?

夜神が戸惑っていると、見知った後ろ姿が見える。
「式部!!」
「?夜神大佐じゃないの。庵伍長を見に来たの?」
「そうなんだけど、なんで庵君はこんなにバッシングされてるの?・・・・・・・・もしかして、軍法会議も」
「はい!ストップ!軍法会議案件はないから。ただのやっかみよ。でも、分らなくもないんだけどね。手の届かない存在だったのに、突然のやってきた学生に全て掻っ攫われるんだから、面白くないのもね・・・・・」
「?」
「相変わらずよね。ま~そこが大佐らしいんだけど・・・・この場を治めてあげようか?」

何か名案があるのだろうか?ならば是非ともお願いしたい。
「お願い、式部。あれじゃ可愛そうだよ」
「分かったわ。その代わり「お願い」聞いてもらってもいい?」

例えるなら悪魔の角と羽と尻尾が生えてきて、甘い言葉を囁く小悪魔のようにも見える・・・・と、アポヤポン少佐は思ってしまった。それぐらい蠱惑的だったのだ。

「いいよ。私でできる範囲なら」
「ありがとう!簡単なことだから安心してね?後で言うから。さてと・・・・・・」
コホン。と、軽く咳をすると前の団体に聞こえる範囲で話していく。
「後ろに夜神大佐いるけど?今は状況を理解してないからいいけど、今後が怖いわよ?」

一瞬、ビクッ!として、振り向く姿に苦笑いをすると、一斉に周りに話していき、野次は徐々になくなっていった。

流石、式部であると、感心してしまう。
夜神は、己が出来ない事をしてしまう式部に、改めて尊敬の眼差しを向けた。

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無謀にもムエタイに手を出してしまい、書くのに凄く悩んで書いてました。
動きが早すぎて、何度も動画を見直して、それを自分なりの表現で書いていったので、この話は凄く悩みながら書き上げました。

所々変な文章があったならすみません。
演習は続きますので、タイ軍のにみ出てきた二人のことを忘れないでくださいね。
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