可愛くない僕は愛されない…はず

おがとま

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2.昔の記憶…?

「ママぁ。またみんなに怖いって言われたぁああ!うぇぇん…」

「あらあら。泣かないでまさと、いい?可愛さは内面から来るのよ!まさとは優しいからすぐ可愛くなるわ!」

「グスッ、ヒック…ほんとに?グス、僕、ママとパパみたいなふうふになりたいの。僕のこと好きになってくれる人って本当にいるのかなぁ…。」

「ええもちろん!私達のかわいい子だもの!必ずいい人に出会えるわ!」

病室のベットに座る親子が見える。遠い記憶の中の母と俺だ。父は俺が産まれる前に亡くなっている。
「可愛さは内面から」
母に何度も教えられた言葉だ。子供の頃はよく見た目でいじられて、その度に言ってくれた。でもお母さんガッカリするだろうな。実際は性格も見た目も可愛くないこんなのに育ちましたなんて、親泣かせにも程がある。


「あー!信じてないんでしょ!もう。ほんとそういうとこお父さんにそっくり!」

「…え?」

俺に言ってる?嘘だ。大人の俺を見れるはずがない。それに記憶ではこんなこと言われた覚えは無い。グルグルと思考を巡らせていると急に視界が歪んでいった。


「あ!ほらやっぱり!いるじゃない!まさとを1番愛してくれる人!!」

「なんの事…?」

「だからほら…となりに……。。。」



言葉が曖昧で聞こえない。待って、まだ行っちゃやだよ…!


ひとりにしないで…






重い瞼を開く。なんだか眩しくて目がチカチカした。

まだだるい体を無理やり起こして辺りを見渡すと、白いカーテンに囲まれていた。腕には点滴が刺してある。病院だと気づくのに、そう時間はかからなかった。

ぼーっとしながら記憶を辿っていく。確か女子高生を痴漢から助けて、家まで送ってる途中に保護者が来て…。やばい、そこから記憶が無い。

「なんか重要なこと忘れてるような…」

うーんと唸っていると急にシャっ!とカーテンが開いた。

「まさとさん!!!気がついたんですね!もう3日も眠っていたんですよ?!心配しましたほんとに。ああ、まだ体辛いですよね?なにか欲しいものありますか?!買ってきますよ!あ、僕のこと覚えてます?!自己紹介しましたっけ?」

「ちょっとお兄ちゃん!まだ目が覚めたばかりなのだからあまり勢いよく話してはなりません!もう!好きな人のことになると周りが見えなくなるのね!私は看護師さんを呼んでくるから!まさとさんと一緒にいて!」

「ああ!わかった!気が回らなくてすみませんでした…。まさとさん!体調はどうですか?水飲めます?」

「ちょ、ちょっと待って…」

何が起こってるんだ?!混乱する頭をどうにか動かして記憶を辿る。この人たちは確か、片方は助けた女子高生、ともみさん…だった気がする。でもこっちの男性は?ともみさんのお兄さんだとは思うが、なぜ俺の名前を知ってるんだ。それに俺が3日も寝てたと言ってなかったか?嘘だろ?!

…ん?まてよ?3日も付き添ってくれたのか。

俺には親戚や親がおらず、天涯孤独だ。緊急連絡先に誰も登録していなかったから気を使ってくれたのだろうか。

「お兄ちゃん!まさとさん!お医者様をお呼びしたわ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

医者から聞いた話はこうだ。どうやら俺とともみさんの兄、渡辺慶次(けいじ)さんとは運命の番らしい。相性のいいαとΩは出会った瞬間から発情期に似た症状が起きてしまうため、今回いきなりヒートが来たのはそのせいだったようだ。

「この度はご迷惑をおかけしました。俺の境遇にも気を使って頂いたようで、どうもありがとう御座います。また改めてお礼させてください。」

「いやいやこちらこそ!妹を助けていただいて感謝してもし切れません!お礼をするのは僕達の方です!」

「そうよ、まさとさん!是非お礼をさせて!」

「今度一緒にお食事に行きませんか?!もちろんお礼のためです!なので連絡先を教えていただきたい!」

「私のお家にも招待したいわ!お願いまさとさん!」

「は、はあ…」

なんというか…。すごく押しが強いなと思ったが、お礼はしたかったので連絡先を交換した。何故かすごく喜んでいたがスルーしておくことにする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「運命の番か…」

幸いなことにその日のうちに退院でき、今帰路についている最中だ。渡辺さんとは後日会う約束になっている。
運命の番が見つかったのは嬉しいが、寂しい気持ちの方が大きい。
いくら運命の番でも俺のようなΩに惚れるまではいかないだろう。たかが体の相性がいいだけだ。ちょっと顔は好みだが、今回もダメなんだろうな。

電車に揺られながら、少しズキっとした心を無視して眠りに落ちた。





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