可愛くない僕は愛されない…はず

おがとま

文字の大きさ
8 / 14

8.名前で呼んで

「しばらく僕の家で休んでください!お願いです!!!」

「だから!もう十分休めましたって!!!」

「まだ腕治ってないじゃないですか!!!無茶です考え直してください!それに僕が一緒に居たいんです!どうかこのとおり!!!」

「意味がわかりません!!!」


いきなり言い争いで始まって申し訳ない。俺は倒れてから2日ほどお世話になり、今帰ろうと支度していたところなのだが...なぜか引き止められている。腕と摂食障害?は治ってないがこのくらいなんともない。何故そこまで俺をとどまらせたいんだろう。なにか裏があるのだろうか。足にへばりつく渡辺さんを無視しながら考えていると、勢いよくドアが空いた。


「まさとさん待ってください!!!まさとさんの帰るところはありませんわ!!!」


「...え?」


ひとたびの静寂が部屋を流れる。俺の混乱は頭を極めた。いや違う間違えた。俺の頭は混乱を極めていた。


「ど、どういうことですかともみさん?!」

「と、ともみ...まて...」

「まさとさんが住んでるアパートを取り壊して大家さんのご子孫のお家を建てたいそうなので私が話しをつけておきました!!!」


一息でよく言えたな~と関心...ではなく?!
確かにそんな話あったが1,2年先のはずだ。
ほんとにどういうことだ。


「あ!安心してまさとさん!荷物は全部お兄ちゃんの隣の部屋に運びましたわ!!!いいですか?と・な・り!です!」


いやそういうことではなく...。チラリと渡辺さんを見るとそっぽを向かれた。冷や汗をかいて明らかに動揺してるのが見て取れる。こうなると知ってたな渡辺さん。はぁとため息を着いて落ち着きを取り戻す。


「これ以上お世話にはなれませんて。ちゃんと治療費も出したいし...」


「まさとさんったら!!そんなの気にしなくていいのよ!!それよりも、まだ怪我治ってないのでしょう?ねえ是非うちに住んでください!私まさとさんとお話したいの!」


もう一度隣を見るとうんうんと頷く渡辺さんがいた。もう好きにしてくれ...俺をどうしたいんだこのふたりは。そんなこんなで渡辺兄妹の圧に負け、この家に住むことになったのだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「...ツ...ツカレタ...」

ふっかふかのベットに倒れ込む。渡辺家専属の医者であるジョニーにより絶対安静を言い渡されてしまい、仕事は探せていない。監視の目が強すぎるんだ。

ではなぜこんな消え入りそうなのかって?連日の兄妹訪問だ。子供の頃の話とか最近はこうであーでと他愛もない世間話だ。満足すると帰っていくのだが、今日はずぅっと居たのだ。時計の針は9時を示していた。まだ早いがもう今日はねたい。そう思っていたのに、部屋のドアがノックされる。

「「まさとさん!入っていいですか?」」


渡辺さんの声だ。


「絶対やだ入ってこないでください。」

「「もう!冷たいですねぇ。でもそんなところも可愛いですね☆」」


何言ってんだ本気で疲れてんだ寝かせてくれ。
しかも俺は可愛くは無い。イカつい部類だ。誰と間違えてんだ。暫くほうっておいてみる。


「あ!待って寝ないで!お願いがあってきたんです!」


なんのお願いだろうか。ろくなことでは無いと思うがお世話になってるので断るわけにはいかない。ドアを半分開け顔を覗かせる。

「なんですか。早急にお願いします。」


「うわ可愛いっ、下から目線やば」


「もう寝ますねおやすみなさい」


「待ってください!ごめんなさい」


イラッとしながら待っていると急にモジモジし始めた。今度はなんだ。恋の相談なら俺は乗ってあげられないぞ。乗って欲しいくらいだ。

「あ、あの。呼び方なんですけど…渡辺さんじゃなくて、慶次(けいじ)って呼んでくれませんか」

「え?それは...構いませんけど。」

「やった!いいですか?け・い・じ!ですからね!約束ですよ?!」

「...分かりましたから。もう寝てください。」

夜分にすみません!おやすみなさい!と夜分とは思えないほど元気に戻って行った。もう、なんなんだよ。...ちょっと顔が熱く感じるのは疲れてるからだ。早く寝よう。
感想 0

あなたにおすすめの小説

オメガはオメガらしく生きろなんて耐えられない

子犬一 はぁて
BL
「オメガはオメガらしく生きろ」 家を追われオメガ寮で育ったΩは、見合いの席で名家の年上αに身請けされる。 無骨だが優しく、Ωとしてではなく一人の人間として扱ってくれる彼に初めて恋をした。 しかし幸せな日々は突然終わり、二人は別れることになる。 5年後、雪の夜。彼と再会する。 「もう離さない」 再び抱きしめられたら、僕はもうこの人の傍にいることが自分の幸せなんだと気づいた。 彼は温かい手のひらを持つ人だった。 身分差×年上アルファ×溺愛再会BL短編。

恋が始まる日

一ノ瀬麻紀
BL
幼い頃から決められていた結婚だから仕方がないけど、夫は僕のことを好きなのだろうか……。 だから僕は夫に「僕のどんな所が好き?」って聞いてみたくなったんだ。 オメガバースです。 アルファ×オメガの歳の差夫夫のお話。 ツイノベで書いたお話を少し直して載せました。

契約結婚だけど大好きです!

泉あけの
BL
子爵令息のイヴ・ランヌは伯爵ベルナール・オルレイアンに恋をしている。 そんな中、子爵である父からオルレイアン伯爵から求婚書が届いていると言われた。 片思いをしていたイヴは憧れのベルナール様が求婚をしてくれたと大喜び。 しかしこの結婚は両家の利害が一致した契約結婚だった。 イヴは恋心が暴走してベルナール様に迷惑がかからないようにと距離を取ることに決めた。 ...... 「俺と一緒に散歩に行かないか、綺麗な花が庭園に咲いているんだ」  彼はそう言って僕に手を差し伸べてくれた。 「すみません。僕はこれから用事があるので」  本当はベルナール様の手を取ってしまいたい。でも我慢しなくちゃ。この想いに蓋をしなくては。  この結婚は契約だ。僕がどんなに彼を好きでも僕達が通じ合うことはないのだから。 ※小説家になろうにも掲載しております ※直接的な表現ではありませんが、「初夜」という単語がたびたび登場します

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

【完結】この契約に愛なんてないはずだった

なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。 そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。 数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。 身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。 生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。 これはただの契約のはずだった。 愛なんて、最初からあるわけがなかった。 けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。 ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。 これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。

【本編完結】αに不倫されて離婚を突き付けられているけど別れたくない男Ωの話

雷尾
BL
本人が別れたくないって言うんなら仕方ないですよね。 一旦本編完結、気力があればその後か番外編を少しだけ書こうかと思ってます。

『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―

なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。 ――はずだった。 目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。 時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。 愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。 これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。 「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、 年上αの騎士と本物の愛を掴みます。 全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。