放課後、女の子になった僕は、恋とカラダに戸惑っている

いろは杏⛄️

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破の部

第12話 三人でのショッピング 前編

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 土曜日の午前十時、僕たちは最寄り駅の改札前で桜井さんを待っていた。

「おはよう、翼ちゃん」

 桜井さんが手を振りながらやってきた。今日はベージュのニットにデニムスカートという出立ちで、いつもの制服とは違った魅力がある。
 
「おはよう、桜井さん」

 ちなみに、理子先輩も普段の学校でのきちんとした服装とは違って、白いブラウスにカーキのロングスカートを合わせている。眼鏡もかけており、とても大人っぽくて素敵だった。

「それじゃあ、行きましょうか」

 三人で電車に乗り込む。隣町の大型ショッピングモールまでは電車で三十分ほどの距離だった。

「翼ちゃん、今日は楽しみね」

 桜井さんが嬉しそうに言った。

「うん……でも、正直ちょっと緊張もしてる」

 僕は苦笑いを浮かべる。

「女性の下着を買うなんて、男だった時には想像もできなかったことだから」

「大丈夫よ。私たちがついてるから」

 理子先輩が安心させるように微笑んだ。

「そうだよ――女の子の買い物は楽しいものなんだから」

 桜井さんが明るく言う。でも、その表情に少しだけ複雑なものが混じっているような気がした。

「ありがとう。二人がいてくれて、本当に心強いよ」

 電車が隣町の駅に到着すると、僕たちは駅に隣接する大型ショッピングモールへ向かった。


     * * *


 このショッピングモールは男だった時にも何度か来たことがある。吹き抜けの天井が高くて、たくさんの店が並んでいる。

「まずは下着売り場に行きましょう」

 理子先輩が先導してくれる。

「二階のランジェリーフロアね」

 エスカレーターで二階に上がると、そこは一面女性の下着売り場だった。

「うわ……」

 僕は圧倒されてしまった。

 パステルカラーのブラジャーやショーツが美しくディスプレイされていて、レースやリボンの装飾が施された可愛らしいデザインから、シンプルで機能的なものまで、本当にたくさんの種類があった。

「緊張してるの?」

 桜井さんが心配そうに声をかけてくれる。

「う、うん……男として、こういう場所に入るのは……」

「今の翼ちゃんは……女性なんだから、堂々としてていいと思うよ」

 桜井さんの優しい言葉が背中を押してくれた。

「すみません」

 理子先輩が店員さんに声をかける。

「友人のブラジャーを探しているんですが、フィッティングをお願いできますか?」

「もちろんです。こちらへどうぞ」

 店員さんは三十代くらいの女性で、とても親切そうだった。

「まず、正確なサイズを測らせていただきますね」

 僕は試着室に案内された。

「上着とブラジャーを脱いでいただけますか?」

「は、はい……」

 恥ずかしさでいっぱいになりながら、僕はブラウスとブラジャーを脱いだ。

「あら……」

 店員さんが少し驚いたような声を出した。

「かならサイズが合っていませんね。これでは胸が潰れて痛くなってしまいますよ」

 メジャーで正確に測ってもらうと、やはりEカップという結果だった。

「Eの70ですね。それでは、いくつかお持ちします」

 店員さんが持ってきてくれたブラジャーを見て、僕は目を丸くした。

 一つ目は淡いピンクのブラジャーで、カップの上部に繊細なレースが施されていた。中央には小さなリボンが付いていて、とても上品で可愛らしい。

 二つ目はクリーム色で、全体的にシンプルなデザイン。でも、サイドにちょっとした刺繍が入っていて、大人っぽい印象だった。

 三つ目は白いスポーツブラタイプで、レースなどの装飾はないけれど、とても機能的そうに見えた。

「まず、この基本的なタイプから試してみましょう」

 店員さんがクリーム色のブラジャーを渡してくれる。

「あの……どうやって……」

「後ろのホックを留めてから、前で調整するのが基本ですよ」

 教わりながら着けてみると、今までとは全然違った。

「あ……全然痛くない」

「正しいサイズだと、こんなに楽なんですよ」

 鏡で自分を見ると、胸の形がとても綺麗に整って見えた。

「すごい……こんなに違うんですね」

「他のも試してみましょう」

 ピンクのレース付きのブラジャーを着けてみると、鏡の中の自分がとても女性らしく見えた。

「可愛い……」

 思わず呟いてしまう。

 レースの繊細な模様と、小さなリボンが本当に可愛くて、綺麗だなと思ってしまう。

 でも同時に、こんな風に思っている自分に少し戸惑いも感じた。

「こちらもとてもお似合いですよ」

 店員さんが褒めてくれる。

「ありがとうございます」

 スポーツブラも試してみると、動きやすそうで実用的だった。

「体育の授業などには、こちらが良いですね」

「はい。それぞれ用途が違うんですね」

 結局、三種類全てを購入することにした。それぞれにお揃いのショーツもセットで。

 ショーツも、ブラジャーと同じデザインで統一されていて、特にピンクのセットは本当に可愛らしかった。レースが裾に施されていて、リボンもお揃いで付いている。

「翼ちゃん、どうだった?」

 試着室から出ると、桜井さんが心配そうに待っていてくれた。

「ちゃんと買えたよ。二人ともありがとう」

「よかったわ――」

 理子先輩もほっとした表情を見せてくれる。

 最初はとても恥ずかしかったけれど、だんだん普通に感じられるようになってきた。それに、可愛い下着を見ていると、なんだか楽しい気持ちにもなってくる――

 会計を済ませながら、僕はそんな不思議な気持ちを抱くのだった。
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