12 / 52
破の部
第12話 三人でのショッピング 前編
しおりを挟む
土曜日の午前十時、僕たちは最寄り駅の改札前で桜井さんを待っていた。
「おはよう、翼ちゃん」
桜井さんが手を振りながらやってきた。今日はベージュのニットにデニムスカートという出立ちで、いつもの制服とは違った魅力がある。
「おはよう、桜井さん」
ちなみに、理子先輩も普段の学校でのきちんとした服装とは違って、白いブラウスにカーキのロングスカートを合わせている。眼鏡もかけており、とても大人っぽくて素敵だった。
「それじゃあ、行きましょうか」
三人で電車に乗り込む。隣町の大型ショッピングモールまでは電車で三十分ほどの距離だった。
「翼ちゃん、今日は楽しみね」
桜井さんが嬉しそうに言った。
「うん……でも、正直ちょっと緊張もしてる」
僕は苦笑いを浮かべる。
「女性の下着を買うなんて、男だった時には想像もできなかったことだから」
「大丈夫よ。私たちがついてるから」
理子先輩が安心させるように微笑んだ。
「そうだよ――女の子の買い物は楽しいものなんだから」
桜井さんが明るく言う。でも、その表情に少しだけ複雑なものが混じっているような気がした。
「ありがとう。二人がいてくれて、本当に心強いよ」
電車が隣町の駅に到着すると、僕たちは駅に隣接する大型ショッピングモールへ向かった。
* * *
このショッピングモールは男だった時にも何度か来たことがある。吹き抜けの天井が高くて、たくさんの店が並んでいる。
「まずは下着売り場に行きましょう」
理子先輩が先導してくれる。
「二階のランジェリーフロアね」
エスカレーターで二階に上がると、そこは一面女性の下着売り場だった。
「うわ……」
僕は圧倒されてしまった。
パステルカラーのブラジャーやショーツが美しくディスプレイされていて、レースやリボンの装飾が施された可愛らしいデザインから、シンプルで機能的なものまで、本当にたくさんの種類があった。
「緊張してるの?」
桜井さんが心配そうに声をかけてくれる。
「う、うん……男として、こういう場所に入るのは……」
「今の翼ちゃんは……女性なんだから、堂々としてていいと思うよ」
桜井さんの優しい言葉が背中を押してくれた。
「すみません」
理子先輩が店員さんに声をかける。
「友人のブラジャーを探しているんですが、フィッティングをお願いできますか?」
「もちろんです。こちらへどうぞ」
店員さんは三十代くらいの女性で、とても親切そうだった。
「まず、正確なサイズを測らせていただきますね」
僕は試着室に案内された。
「上着とブラジャーを脱いでいただけますか?」
「は、はい……」
恥ずかしさでいっぱいになりながら、僕はブラウスとブラジャーを脱いだ。
「あら……」
店員さんが少し驚いたような声を出した。
「かならサイズが合っていませんね。これでは胸が潰れて痛くなってしまいますよ」
メジャーで正確に測ってもらうと、やはりEカップという結果だった。
「Eの70ですね。それでは、いくつかお持ちします」
店員さんが持ってきてくれたブラジャーを見て、僕は目を丸くした。
一つ目は淡いピンクのブラジャーで、カップの上部に繊細なレースが施されていた。中央には小さなリボンが付いていて、とても上品で可愛らしい。
二つ目はクリーム色で、全体的にシンプルなデザイン。でも、サイドにちょっとした刺繍が入っていて、大人っぽい印象だった。
三つ目は白いスポーツブラタイプで、レースなどの装飾はないけれど、とても機能的そうに見えた。
「まず、この基本的なタイプから試してみましょう」
店員さんがクリーム色のブラジャーを渡してくれる。
「あの……どうやって……」
「後ろのホックを留めてから、前で調整するのが基本ですよ」
教わりながら着けてみると、今までとは全然違った。
「あ……全然痛くない」
「正しいサイズだと、こんなに楽なんですよ」
鏡で自分を見ると、胸の形がとても綺麗に整って見えた。
「すごい……こんなに違うんですね」
「他のも試してみましょう」
ピンクのレース付きのブラジャーを着けてみると、鏡の中の自分がとても女性らしく見えた。
「可愛い……」
思わず呟いてしまう。
レースの繊細な模様と、小さなリボンが本当に可愛くて、綺麗だなと思ってしまう。
でも同時に、こんな風に思っている自分に少し戸惑いも感じた。
「こちらもとてもお似合いですよ」
店員さんが褒めてくれる。
「ありがとうございます」
スポーツブラも試してみると、動きやすそうで実用的だった。
「体育の授業などには、こちらが良いですね」
「はい。それぞれ用途が違うんですね」
結局、三種類全てを購入することにした。それぞれにお揃いのショーツもセットで。
ショーツも、ブラジャーと同じデザインで統一されていて、特にピンクのセットは本当に可愛らしかった。レースが裾に施されていて、リボンもお揃いで付いている。
「翼ちゃん、どうだった?」
試着室から出ると、桜井さんが心配そうに待っていてくれた。
「ちゃんと買えたよ。二人ともありがとう」
「よかったわ――」
理子先輩もほっとした表情を見せてくれる。
最初はとても恥ずかしかったけれど、だんだん普通に感じられるようになってきた。それに、可愛い下着を見ていると、なんだか楽しい気持ちにもなってくる――
会計を済ませながら、僕はそんな不思議な気持ちを抱くのだった。
「おはよう、翼ちゃん」
桜井さんが手を振りながらやってきた。今日はベージュのニットにデニムスカートという出立ちで、いつもの制服とは違った魅力がある。
「おはよう、桜井さん」
ちなみに、理子先輩も普段の学校でのきちんとした服装とは違って、白いブラウスにカーキのロングスカートを合わせている。眼鏡もかけており、とても大人っぽくて素敵だった。
「それじゃあ、行きましょうか」
三人で電車に乗り込む。隣町の大型ショッピングモールまでは電車で三十分ほどの距離だった。
「翼ちゃん、今日は楽しみね」
桜井さんが嬉しそうに言った。
「うん……でも、正直ちょっと緊張もしてる」
僕は苦笑いを浮かべる。
「女性の下着を買うなんて、男だった時には想像もできなかったことだから」
「大丈夫よ。私たちがついてるから」
理子先輩が安心させるように微笑んだ。
「そうだよ――女の子の買い物は楽しいものなんだから」
桜井さんが明るく言う。でも、その表情に少しだけ複雑なものが混じっているような気がした。
「ありがとう。二人がいてくれて、本当に心強いよ」
電車が隣町の駅に到着すると、僕たちは駅に隣接する大型ショッピングモールへ向かった。
* * *
このショッピングモールは男だった時にも何度か来たことがある。吹き抜けの天井が高くて、たくさんの店が並んでいる。
「まずは下着売り場に行きましょう」
理子先輩が先導してくれる。
「二階のランジェリーフロアね」
エスカレーターで二階に上がると、そこは一面女性の下着売り場だった。
「うわ……」
僕は圧倒されてしまった。
パステルカラーのブラジャーやショーツが美しくディスプレイされていて、レースやリボンの装飾が施された可愛らしいデザインから、シンプルで機能的なものまで、本当にたくさんの種類があった。
「緊張してるの?」
桜井さんが心配そうに声をかけてくれる。
「う、うん……男として、こういう場所に入るのは……」
「今の翼ちゃんは……女性なんだから、堂々としてていいと思うよ」
桜井さんの優しい言葉が背中を押してくれた。
「すみません」
理子先輩が店員さんに声をかける。
「友人のブラジャーを探しているんですが、フィッティングをお願いできますか?」
「もちろんです。こちらへどうぞ」
店員さんは三十代くらいの女性で、とても親切そうだった。
「まず、正確なサイズを測らせていただきますね」
僕は試着室に案内された。
「上着とブラジャーを脱いでいただけますか?」
「は、はい……」
恥ずかしさでいっぱいになりながら、僕はブラウスとブラジャーを脱いだ。
「あら……」
店員さんが少し驚いたような声を出した。
「かならサイズが合っていませんね。これでは胸が潰れて痛くなってしまいますよ」
メジャーで正確に測ってもらうと、やはりEカップという結果だった。
「Eの70ですね。それでは、いくつかお持ちします」
店員さんが持ってきてくれたブラジャーを見て、僕は目を丸くした。
一つ目は淡いピンクのブラジャーで、カップの上部に繊細なレースが施されていた。中央には小さなリボンが付いていて、とても上品で可愛らしい。
二つ目はクリーム色で、全体的にシンプルなデザイン。でも、サイドにちょっとした刺繍が入っていて、大人っぽい印象だった。
三つ目は白いスポーツブラタイプで、レースなどの装飾はないけれど、とても機能的そうに見えた。
「まず、この基本的なタイプから試してみましょう」
店員さんがクリーム色のブラジャーを渡してくれる。
「あの……どうやって……」
「後ろのホックを留めてから、前で調整するのが基本ですよ」
教わりながら着けてみると、今までとは全然違った。
「あ……全然痛くない」
「正しいサイズだと、こんなに楽なんですよ」
鏡で自分を見ると、胸の形がとても綺麗に整って見えた。
「すごい……こんなに違うんですね」
「他のも試してみましょう」
ピンクのレース付きのブラジャーを着けてみると、鏡の中の自分がとても女性らしく見えた。
「可愛い……」
思わず呟いてしまう。
レースの繊細な模様と、小さなリボンが本当に可愛くて、綺麗だなと思ってしまう。
でも同時に、こんな風に思っている自分に少し戸惑いも感じた。
「こちらもとてもお似合いですよ」
店員さんが褒めてくれる。
「ありがとうございます」
スポーツブラも試してみると、動きやすそうで実用的だった。
「体育の授業などには、こちらが良いですね」
「はい。それぞれ用途が違うんですね」
結局、三種類全てを購入することにした。それぞれにお揃いのショーツもセットで。
ショーツも、ブラジャーと同じデザインで統一されていて、特にピンクのセットは本当に可愛らしかった。レースが裾に施されていて、リボンもお揃いで付いている。
「翼ちゃん、どうだった?」
試着室から出ると、桜井さんが心配そうに待っていてくれた。
「ちゃんと買えたよ。二人ともありがとう」
「よかったわ――」
理子先輩もほっとした表情を見せてくれる。
最初はとても恥ずかしかったけれど、だんだん普通に感じられるようになってきた。それに、可愛い下着を見ていると、なんだか楽しい気持ちにもなってくる――
会計を済ませながら、僕はそんな不思議な気持ちを抱くのだった。
2
あなたにおすすめの小説
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
白雪様とふたりぐらし
南條 綾
恋愛
高校1年生の紫微綾は、生きることに疲れ、雪の山で自らの命を終えようとしたその瞬間――
美しい御小女郎姿の少女・白雪が現れ、優しく彼女を救う。
白雪は実は古の仏神・ダキニ天の化身。暇つぶしに人間界に降りた彼女は、綾に「一緒に暮らそう」と提案し……?
銀髪の少女と神様の、甘く温かなふたりぐらしが始まる。
【注意事項】
本作はフィクションです。
実在の人物・団体・宗教・儀礼・場所・出来事とは一切関係ありません。 作中で登場する神仏や信仰に関する表現は、物語の雰囲気づくりを目的とした創作によるものであり、特定の宗教や思想を推進・否定する意図は一切ございません。
純粋なエンターテイメントとしてお楽しみいただければ幸いです。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる