ラストダンジョンで勇者パーティーに捨てられたから、あたしお家に帰りたいです。

黒巻雷鳴

文字の大きさ
33 / 55
新章突入! ラストダンジョンで勇者パーティーに捨てられたから、あたしお家に帰りたいです。

神をも喰らう最強戦士(2)

しおりを挟む
 突如として現れた謎の破壊者・世界皇帝を倒すため、光の女神フリーディアから祝福を授かって辺境の集落からひとり旅立った少年剣士マルスは、その冒険の途中、魔物の襲撃から森の動物たちを健気に守っていたハイエルフの少女プリシラを助ける。
 最初は人間のマルスに反発していたプリシラも、世界皇帝を倒さなければ本当の平和は訪れないと悟り、冒険の最後までともに戦う決意をした。
 そんなふたりは、王都で安穏無事な生活に嫌気がさしていた名家のお嬢様・美少女天才魔術士ロアちゃんと出会う。
 ロアちゃんの美しく可憐な容姿と華やかで芸術的な魔法の腕前にすっかりと魅了されたマルスは、キミも仲間になってくれないかと、子犬のようなをして懇願してきた。
 ロアちゃんは、ちょっとだけどうするか迷ったけど、聖母のように慈悲深い心で快くこれを承諾。ふたりと一緒に冒険の旅に出た────

 ──までは、よかったんだけどねぇ……。

 どっかの熱血バカが女大盗賊に騙されたおかげで無一文になったり、そのせいでビキニの水着で働かされたり、穴に落っこちて六魔将軍のおサルにスケベされそうになったり、怪しい宗教団体の儀式の生贄いけにえ(※処女限定)にされそうになったりと、数えだしたらキリがないほど受難続きの大冒険だったなぁ………………おっと、いけない! 続き続き!

 やがてマルスたちは、囚われの身となっている最後の光の戦士・人狼族ワーウルフの英雄ガルラス救出のため、魔界にある永久牢獄をめざす。百年戦争をひとり生き抜いた彼は、理不尽な戦争裁判で凶悪な戦犯として幽閉されていたからだ。
 永久牢獄を守護する大魔獣に辛くも勝利した一行は、その後も数々の試練や強敵に打ち勝ち、ついに浮遊要塞で待ち構える諸悪の権化・世界皇帝を倒した。

 だけど、世界皇帝は傀儡でしかなかった。
 三層界──天上界を始まりとした、地上界、魔界と連なる三つの世界──の滅亡・大崩壊を画策して裏で糸を引いていたのは、暗黒大邪神ダ=ズールだった。
 新たな強敵と戦うには、異次元空間へ続く禁忌の扉を出現させなければならない。超古代文明の遺産と神々の力を借りてようやく扉を抜けた光の四戦士は、最終決戦の地エレロイダへと降り立つ。

 そして、長く語られたこの物語は、ラストダンジョンで仲間に捨てられてしまう、ひとりの少女の悲しい結末で終わる。



 マピガノスは、一言も発さずに聞いていた。
 一方的にしゃべり続けるあたしを、ただじっと見ていた。もちろん、あたしもを逸らさない。

 仲間たちとのかけがえのない記憶。
 お互いを助け、苦しみに耐え抜いて勝利し、ともに成長して笑いあった大切な仲間。

 それなのに……ねえ、どうしてよ!?

 移動魔法陣に乗ったマルスが、ひとりぼっちのあたしに別れを告げて消えてゆく──。

 そんな最後の思い出を語り終えたところで、あたしは堪えきれずに涙をこぼした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

処理中です...