上原さんはチョークスリーパーに沈む

黒巻雷鳴

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きらめく涙 -Beautiful Tears-

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「えーっと、ここがこーなって……こーなるから……こう、こう、こう!」

 ひなむー先生が強い筆圧で新品のチョークをへし折りながら、二次関数の放物線グラフを黒板に描いていく。

「ふむふむふむ、ほほう、ほう……」

 あたしも大学ノートにひなむー先生の揺れるお尻を描き写す。けれど、画力がないに等しいので、上手く描けない。しかたがないから、きょうもスマホの撮影機能で実物を保存することにした。

 ピコン!

 ムービーの作動音に反応して、ひなむー先生の動きが止まる。

「上原さん」

 えっ、どうして背中を向けたままでわかったの?
 ひょっとして先生も、ずっとあたしのことを見ていたのかな……キャハッ! このスケベ野郎☆

「ねえ上原さん、近いから。それにスカートの中にスマホを入れるのって、立派な性犯罪なのよ?」

 たしかにあたしは、先生の背後に密着して立っているし、黒いマイクロミニスカートの中に手を突っ込んで撮影もしているけれど、でも、あたしたちは同性だし──それに教師と生徒だから──法律的にもあたし的にも、全然まったくもって大丈夫なはずだ。どうやら先生とあたしは、法の解釈が違うみたい。

「ひなむー先生。どうしていつも、あたしにだけ厳しく接するんですか? そんなにあたしが嫌いなんですか?」

 なんでだろう。
 涙がにじんで声まで震えてくる。

「ひなむー言うな。あのね、上原さん……嫌いとかじゃなくて、当然の反応なのよ? わたしはただ、生徒からのセクハラ被害に立ち向かっているだけだし、これでも優しく接しているほうで……って、スマホが大切なところに当たってる! 縦にして押し当ててきてるし! それにその涙目、意味がわからないから! 泣きたいのはこっちだし、笑ってるからねクラスのみんな! しかも失笑だからね!? 〝失う笑い〟だからね!?」

 なぜかこの時、先生の目にも涙が滲んでいた──

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