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chapter.01
元同僚の女
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不意にインターフォンが鳴る。
目覚まし時計を見れば、時刻は朝の八時。
来客の予定はない。
(誰だよ、こんな時間に……)
航は思考を巡らせつつ、玄関のドアへ向かう。
覗き穴を見れば、今となってはかつての同僚の新堂茉莉花が、 うつむいてひとりで立っていた。
彼女とはそんなに親しくもなければ住所を教えた記憶もない。航は不審に思ったが、退職する現状もあり渋々ドアを開ける。
「あっ……」
茉莉花は、とくになにか言葉を発するでもなく、ただ驚いていた。
そんな彼女に、航は苛立つ。
自分を訪ねて来たのなら、要件を早く言え──と。
「あの……洲崎君、辞めちゃうんだよね? その、アイツをボコボコにしたから……」
正確にはクビになったので、そんな言い方をされると訂正したくもなるのだが、話を長引かせたくない航は、なにも言わずに茉莉花をただ見下ろしていた。
茉莉花はそんな無言の圧力に我慢ができなかったようで、どういうつもりなのか、急に抱きついてきた。
「…………えっと、新堂さん?」
「ごめんなさい。でも、洲崎君のことが好きなの。嫌われてもいいから、お願い……今だけはこうさせて……」
突然の告白に感動することもなく、航はただ、この女は頭がイカれていると感じていたが、すぐさまひらめいた。
茉莉花の気持ちに応えるように、彼女の背中を優しく包み込む。
「ん……」
小さく洩れる声が間近で聞こえた。
そのあとはお互いなにも喋らず、時間だけが過ぎていく。
やがて茉莉花は、「中に入っていい?」と訊いてきた。
航は人知れずほくそ笑み、彼女を部屋へ招き入れる。
そして、茉莉花の身体をあらためて抱いた。
行為の最中、爪を背中に立てられて声を上げたくなるほどの痛みが走ったが、そこは我慢して押し殺した。
絶頂が近づき、腰を速める。
すると茉莉花が、航の頬に両手を添えながら「お腹に出して」と、しあわせそうに目を細めて言った。
こうして航は、ひとり暮しの彼女の部屋へと転がり込んだ。
目覚まし時計を見れば、時刻は朝の八時。
来客の予定はない。
(誰だよ、こんな時間に……)
航は思考を巡らせつつ、玄関のドアへ向かう。
覗き穴を見れば、今となってはかつての同僚の新堂茉莉花が、 うつむいてひとりで立っていた。
彼女とはそんなに親しくもなければ住所を教えた記憶もない。航は不審に思ったが、退職する現状もあり渋々ドアを開ける。
「あっ……」
茉莉花は、とくになにか言葉を発するでもなく、ただ驚いていた。
そんな彼女に、航は苛立つ。
自分を訪ねて来たのなら、要件を早く言え──と。
「あの……洲崎君、辞めちゃうんだよね? その、アイツをボコボコにしたから……」
正確にはクビになったので、そんな言い方をされると訂正したくもなるのだが、話を長引かせたくない航は、なにも言わずに茉莉花をただ見下ろしていた。
茉莉花はそんな無言の圧力に我慢ができなかったようで、どういうつもりなのか、急に抱きついてきた。
「…………えっと、新堂さん?」
「ごめんなさい。でも、洲崎君のことが好きなの。嫌われてもいいから、お願い……今だけはこうさせて……」
突然の告白に感動することもなく、航はただ、この女は頭がイカれていると感じていたが、すぐさまひらめいた。
茉莉花の気持ちに応えるように、彼女の背中を優しく包み込む。
「ん……」
小さく洩れる声が間近で聞こえた。
そのあとはお互いなにも喋らず、時間だけが過ぎていく。
やがて茉莉花は、「中に入っていい?」と訊いてきた。
航は人知れずほくそ笑み、彼女を部屋へ招き入れる。
そして、茉莉花の身体をあらためて抱いた。
行為の最中、爪を背中に立てられて声を上げたくなるほどの痛みが走ったが、そこは我慢して押し殺した。
絶頂が近づき、腰を速める。
すると茉莉花が、航の頬に両手を添えながら「お腹に出して」と、しあわせそうに目を細めて言った。
こうして航は、ひとり暮しの彼女の部屋へと転がり込んだ。
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