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「嘘と思い出」
しおりを挟む「嘘」ということについて考えることがございます。
皆様は小さい頃から、嘘をついてはいけないというふうに教わってきたでしょうか。
嘘には幸せな嘘と醜い嘘がありますね。
幸せな嘘というのは「相手のことを想ってつくもの」でございます。
嘘は嘘ですが、相手に過酷な真実を悟らせないためにつく嘘は非常に美しいと感じます。
醜い嘘というのは反対に、「自分の保身の為につくもの」でございます。
自己中心的な考えで、人の気持ちを蔑ろにした上で、さらに傷つけるものは非常に醜いでしょう。
では、過去とそして今に対する嘘はどうでしょうか。
言い方を改め、思い出の中の嘘でございます。
皆様、それぞれ何かしらの思い出をお持ちだと思います。今は、その中で辛いものを取り出すとしましょう。
例えば、貴方が誰かとお付き合いをしていたとします。
「貴方が好きです。」
「貴方のことを一番に考えています。」
「貴方と話すのが楽しいです。」
「貴方と過ごす時間が、一番大切です。」
このような言葉をかけられるとします。
貴方は彼と数々の思い出を作りました。
ある日は映画を見て、ある日はオシャレなカフェで食事をしました。
彼は毎日貴方のことが好きだと言いました。
しかし、そんな順風満帆な日々も終わりを迎えました。
いつも不満など一言も言わなかった彼が、突然に不満を並べ立てました。
彼は臆病で穏やかな性格で、自分よりも相手のことを想うが故に、偽り、不満をも抑えていました。
これを受けた貴方はショックを受けます。
いつも自分に合わせてくれていたのかと。そして貴方は深く反省をします。
反省をして、謝罪の後、2人は別れてしまいました。
彼の話によると、その時にはもう既に、貴方のことは好きではなかったそうです。
彼が貴方を想う気持ちは、偽り。
嘘になってしまいました。
彼は貴方のことが好きではありません。
彼はたしかにあの頃、「好き」だと言いました。
しかし、これも私の見解ですが、嘘になってしまいました。
過去の出来事に対して、あれは嘘だったと思うことはありませんか。
どれだけ愛していると言われても、褒められても、好きだと言われても、最終的にそれが過去になれば嘘になってしまいます。
過去は理想、今が現実。
今こそが真実なのです。
もう知っている彼はいなくなってしまいました。彼は、貴方の知らないところで、知らない人と幸せになることでしょう。
........
私は、彼を刺し殺しました。
だって、嘘つきなんですもの。嘘つきは泥棒の始まりと言いますでしょう。
泥棒をしないために、殺しました。
いえ、他の方が彼を泥棒しないように刺し殺しました。
実に凄惨でした。
そして、実に愉快でした。
好きだなんて、嘘をつかなければ良かったのです。
早く身を引いていれば............
私はあの時から、何も信じることが出来なくなりました。彼が不満を並び立てたあの時から。
彼が普段から並べていた言葉の数々は偽りでした。嘘になりました。
愛は憎しみ、過去は理想。
それだけのことでした。
彼は、別れた後極端に連絡が遅くなりました。
どうやら他の方とそれはそれは楽しまれていたようでございます。
本当に醜いものでした。
どうか幸せにならないでください。
「死んだ後で、私と幸せになって。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
終
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
貴方は生死をさ迷いながら、死後の世界の1つ手前で、話を聞きました。
もう、手遅れでした。
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みんなの感想(6件)
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