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1話 2メートル7センチの彼女と、青年
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彼女の身長は2メートルと7センチ。
仕事は人を笑顔にすること。
しかし、最近どうも上手くいっていない。
それは自分のせいだけではない。
パートナーを組んで4か月の相棒である佐倉悠太に原因があるはずだ、と彼女は思う。
彼女の仕事は2人1組でないと成り立たない。
3月まではこの道15年のベテラン、小石和成とパートナーを組んでいたが、腰を壊してしまって、小石は指導係に回った。
その代わりとして抜擢されたのが、新人の佐倉悠太である。
学生時代は陸上部でスプリンターだったらしい。
悠太は決して、仕事に不真面目というわけではない。
その逆だ。
真面目すぎるのである。
デスクの上はいつもきちんと片付いているし、仕事の覚えも早い。
だが彼女たちの仕事は、人を笑顔にすること。人を喜ばせることなのである。
真面目さよりも、元気におどけたり、盛り上げたりする能力が必要だと彼女は考えていた。
「悠太、おれたちの仕事は人を喜ばせることだ。それにはまず、人が好きでなきゃならんよなあ」
指導係の小石からは、悠太に何度も指導が入った。
悠太の成績はいつも最下位争いをしていた。
つまり彼女の成績も、それに準ずるということだ。
人が好きであること。
小石はそう言ったが、それに関しては彼女も微妙な心持ちであった。
彼女が喜ばせようとして目の前に立つと、むしろ怖がられることがよくあった。
特に子供は、彼女を見て泣き出す子もいた。
身長2メートル7センチの身体は、子供から見れば怪物にでも見えるのかもしれない。
もちろん彼女のことを好きだと言ってくれる人たちもたくさんいる。
だからこの仕事を続けていける。
それでも、自信をもって人が好きだと言えるほど、彼女はこの仕事に誇りを持ててはいなかった。
その日は、真夏の太陽がじりじりと照らす1日だった。
彼女と悠太はいつもの通り仕事をしていた。
週末だということもあり、人が多い。
見渡せばキッチンカーや屋台の前には行列が出来ているが、立っているだけで汗が噴き出し、誰もがイライラしているように見えた。
それでも、ほかの仲間の前では子供たちが大きな声をだして笑っている。
風船をもらうと、嬉しそうに笑顔を見せる。
プロの仕事だ。
仲間であると共に、彼女にとって彼らはライバルでもあった。
彼女と悠太の前にも何人かの子供たちがやってくるが、みんな彼女の巨大な身体を見て怖気づく。
小石がいれば、風船でキリンやライオンを作って子供たちを喜ばせることができる。
それにおどけた動きが上手く、私に怖いところなんてないのだと伝えてくれる。
悔しい。
なんで堅物で面白味のない悠太と相棒になってしまったんだろう。
彼女の中には、行き場のない悔しさがどんどんと膨れ上がっていた。
仕事は人を笑顔にすること。
しかし、最近どうも上手くいっていない。
それは自分のせいだけではない。
パートナーを組んで4か月の相棒である佐倉悠太に原因があるはずだ、と彼女は思う。
彼女の仕事は2人1組でないと成り立たない。
3月まではこの道15年のベテラン、小石和成とパートナーを組んでいたが、腰を壊してしまって、小石は指導係に回った。
その代わりとして抜擢されたのが、新人の佐倉悠太である。
学生時代は陸上部でスプリンターだったらしい。
悠太は決して、仕事に不真面目というわけではない。
その逆だ。
真面目すぎるのである。
デスクの上はいつもきちんと片付いているし、仕事の覚えも早い。
だが彼女たちの仕事は、人を笑顔にすること。人を喜ばせることなのである。
真面目さよりも、元気におどけたり、盛り上げたりする能力が必要だと彼女は考えていた。
「悠太、おれたちの仕事は人を喜ばせることだ。それにはまず、人が好きでなきゃならんよなあ」
指導係の小石からは、悠太に何度も指導が入った。
悠太の成績はいつも最下位争いをしていた。
つまり彼女の成績も、それに準ずるということだ。
人が好きであること。
小石はそう言ったが、それに関しては彼女も微妙な心持ちであった。
彼女が喜ばせようとして目の前に立つと、むしろ怖がられることがよくあった。
特に子供は、彼女を見て泣き出す子もいた。
身長2メートル7センチの身体は、子供から見れば怪物にでも見えるのかもしれない。
もちろん彼女のことを好きだと言ってくれる人たちもたくさんいる。
だからこの仕事を続けていける。
それでも、自信をもって人が好きだと言えるほど、彼女はこの仕事に誇りを持ててはいなかった。
その日は、真夏の太陽がじりじりと照らす1日だった。
彼女と悠太はいつもの通り仕事をしていた。
週末だということもあり、人が多い。
見渡せばキッチンカーや屋台の前には行列が出来ているが、立っているだけで汗が噴き出し、誰もがイライラしているように見えた。
それでも、ほかの仲間の前では子供たちが大きな声をだして笑っている。
風船をもらうと、嬉しそうに笑顔を見せる。
プロの仕事だ。
仲間であると共に、彼女にとって彼らはライバルでもあった。
彼女と悠太の前にも何人かの子供たちがやってくるが、みんな彼女の巨大な身体を見て怖気づく。
小石がいれば、風船でキリンやライオンを作って子供たちを喜ばせることができる。
それにおどけた動きが上手く、私に怖いところなんてないのだと伝えてくれる。
悔しい。
なんで堅物で面白味のない悠太と相棒になってしまったんだろう。
彼女の中には、行き場のない悔しさがどんどんと膨れ上がっていた。
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