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2話 2メートル7センチの彼女と、青年(2)
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「かおり?かおり!やめてぇぇ!」
突然、周囲に悲痛な叫び声が響いた。
同時に、心の底まで沈んでいた彼女の身体が、ものすごい勢いでぐいっと引っ張られた。
彼女の身体はどんどんと加速していった。
その動きの速さに、彼女自身が驚いていた。
加速した身体は音速を超え、まるで真夏の光を浴びて光速の物体に生まれ変わったようだった。
太陽が彼女の身体を照らし、美しく光り輝く。
「いてて・・・お嬢ちゃん、大丈夫?」
悠太の声が聞こえる。
気づけば彼女の身体は、車と小さな女の子の間に挟みこまれていた。
荷物の搬入にきた車がバックする際に、女の子の存在に気づくことが出来なかったのだ。
気づいた運転手があわてて車を前に出し、彼女の身体は解放された。
女の子の母親が、目を真っ赤にして彼女と悠太の目の前にやってくる。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
母親は女の子を抱きしめ、なんどもなんどもお礼を言った。
女の子のほうは、彼女と悠太を見てケタケタと笑っている。
なにがおかしいのかと思ったら、彼女の頭が取れてしまっていたのだ。
「しまった」
悠太は彼女の頭を拾うと、スッポリと被って立ち上がった。
そして風船をひとつ、女の子に手渡した。
「マリーちゃん、ありがとう!」
それは、彼女の名前だった。
女の子が、とびきりの笑顔を見せる。
女の子は危険なことが起きたということを、理解していないようだった。
それでいい、と彼女は思った。
この素敵な笑顔が見たくて、いつも一生懸命仕事をしていたのだ、と彼女は思う。
女の子は、じゃあねー、と手を振ると、母親にしっかりと手を握られ、とおくに去っていった。
悠太は事務所へと戻ると、彼女を床に寝かせた。
悠太はスプリンターだったのだと、彼女は思い出した。
だから彼女は、悠太と一緒に光となることが出来た。
彼女のいたるところが壊れているものの、彼女はなんども治療され、なんども人々を笑顔にしてきた。
だから、また復活できることは彼女自身が分かっていた。
だが、悠太の言葉は今までに聞いたことのないものだった。
「怪我させて、ごめんな」
悠太は優しく彼女の頭を撫でた。
そんな言葉は、小石からも聞いたことはない。
まるで人にかける言葉のようだった。
自分が人のように扱ってもらえたことなど、1度もなかった。
不思議な男だ、と彼女は思う。
仕事はまだまだだが、もしかしたら今までで1番のパートナーになるかもしれない。
着ぐるみの彼女は、小さく微笑んだ。
突然、周囲に悲痛な叫び声が響いた。
同時に、心の底まで沈んでいた彼女の身体が、ものすごい勢いでぐいっと引っ張られた。
彼女の身体はどんどんと加速していった。
その動きの速さに、彼女自身が驚いていた。
加速した身体は音速を超え、まるで真夏の光を浴びて光速の物体に生まれ変わったようだった。
太陽が彼女の身体を照らし、美しく光り輝く。
「いてて・・・お嬢ちゃん、大丈夫?」
悠太の声が聞こえる。
気づけば彼女の身体は、車と小さな女の子の間に挟みこまれていた。
荷物の搬入にきた車がバックする際に、女の子の存在に気づくことが出来なかったのだ。
気づいた運転手があわてて車を前に出し、彼女の身体は解放された。
女の子の母親が、目を真っ赤にして彼女と悠太の目の前にやってくる。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
母親は女の子を抱きしめ、なんどもなんどもお礼を言った。
女の子のほうは、彼女と悠太を見てケタケタと笑っている。
なにがおかしいのかと思ったら、彼女の頭が取れてしまっていたのだ。
「しまった」
悠太は彼女の頭を拾うと、スッポリと被って立ち上がった。
そして風船をひとつ、女の子に手渡した。
「マリーちゃん、ありがとう!」
それは、彼女の名前だった。
女の子が、とびきりの笑顔を見せる。
女の子は危険なことが起きたということを、理解していないようだった。
それでいい、と彼女は思った。
この素敵な笑顔が見たくて、いつも一生懸命仕事をしていたのだ、と彼女は思う。
女の子は、じゃあねー、と手を振ると、母親にしっかりと手を握られ、とおくに去っていった。
悠太は事務所へと戻ると、彼女を床に寝かせた。
悠太はスプリンターだったのだと、彼女は思い出した。
だから彼女は、悠太と一緒に光となることが出来た。
彼女のいたるところが壊れているものの、彼女はなんども治療され、なんども人々を笑顔にしてきた。
だから、また復活できることは彼女自身が分かっていた。
だが、悠太の言葉は今までに聞いたことのないものだった。
「怪我させて、ごめんな」
悠太は優しく彼女の頭を撫でた。
そんな言葉は、小石からも聞いたことはない。
まるで人にかける言葉のようだった。
自分が人のように扱ってもらえたことなど、1度もなかった。
不思議な男だ、と彼女は思う。
仕事はまだまだだが、もしかしたら今までで1番のパートナーになるかもしれない。
着ぐるみの彼女は、小さく微笑んだ。
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