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4話 三次試験スタート
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「見えた、砂漠だ!」
セイムは熱気球のゴーゴーとした音に負けないように、大声を出す。
早朝の暗い中から集合し、太陽が山の向こうから上がると同時に三次試験がスタートした。三次試験は会場に散らばる古代道具を探し当て、日が落ちるまでに王国まで帰ってくることが合格条件であった。
出発時にはまだ薄暗かった空にも日が昇り、すでにジリジリと肌を焦がす暑さが二人の体力を奪っていた。
「まずは着陸する所を探さないとな・・・」
と言ってセイムが火を弱める。
火が小さくなると、バルーンに送られる熱が少なくなり、下降をはじめた。
「あの遺跡と遺跡の間、どうかな。。」
とロンが指をさす。古い遺跡が密集しており、何かが襲ってきてもすぐに隠れることが出来そうな場所であった。セイムがさらに火を弱め、着地に備える。
彼らは無事に着陸を済ませると気球を畳み、古い遺跡の裏に隠す。この乗り物がなくては、帰り道に困るのだ。
「いま時間はどれくらいたっただろう。」そう言いながら、二人でコンパスを見る。
「北東に太陽が昇ってるね、九時から十時の間ってところかな。」
「ここに来るまで三時間ほどかかったのか。じゃあ、あの太陽が北西に傾くくらいには出発しなきゃ間に合わないな。」
「それなら、タイムリミットは五時間くらいだね。」ロンはコンパスをしまい、リュックの中から古代道具をだす。
「ぼくらが選んだ古代道具は、ウォータースポット・ロックグラブ・グラビティハンマーの三つ。いったんウォータースポットを広げようか。」
“古代道具”とは、歴代の探検家たちが国外探放をおこなった上で発見した古代文明の「遺産」のことを言う。しかし、すぐに使える状態のまま発見されるものはごく稀であり、古いものでは二千年以上も昔の古代道具もある。この時代にはまだ解明されていない素材で作られているものが多く、王国の研究者たちによって使用出来るよう加工されることで初めて武器や装備として使うことができる。
一般人用の古代道具にはカナヅチやノコギリ、ハサミなどが当てはまる。古代では日用品として使われていたものであったらしく、王国の人々の生活にも五十年ほど前から浸透し始めた。探検家用の古代道具は高価であり、一般の住人に使用を許されているものではない。希少価値の高いレアな古代道具は発見した探検家が王国での道具登録を済ませたあと、各自で管理・使用が許されている。「採掘権限」をもつ探検家だからこそ保有できるのであって、商人の間で探検家が使用するような価値のある古代道具が販売されることはほとんどない。
「ああ、これは快適だ。」
ウォータースポットは広げると二、三人用のテントのように膨らみ、中に入ると冷たい空気と水分を得ることができる。昼間の砂漠の気温は四十度を超す場所であるため、他の受験者たちも一つ目の古代道具には「ウォータースポット」を選んでいた。外界での試験のため、受験者たちは自分自身の命を守らなければならない。こういった自然の脅威だけではなく、毎年大勢の受験者が狂暴な動物やトルクたちに殺されていた。探検家の称号を得てからは常に外界で行動することになるため、たとえ犠牲者が出ようともこの試験を通過することは探検家になる上で必須の条件であると王国の宰相は言う。
「まずは動物やトルクに見つからないように、遺跡に隠れながら古代道具のありそうな場所を探そう。」セイムが言う。
ウォータースポットを畳むと、二人は身を屈めながら移動をはじめた。砂漠の砂はさらさらとしていて綺麗だが、少し歩きにくい。遺跡から遺跡へ、建物の影になっている場所を移動するものの、足場の悪さと気温に体力を奪われる。ウォータースポットを広げて休憩をしたい所だが、試験に合格するためには二人にそんな悠長なことをしている時間はなかった。
セイムは熱気球のゴーゴーとした音に負けないように、大声を出す。
早朝の暗い中から集合し、太陽が山の向こうから上がると同時に三次試験がスタートした。三次試験は会場に散らばる古代道具を探し当て、日が落ちるまでに王国まで帰ってくることが合格条件であった。
出発時にはまだ薄暗かった空にも日が昇り、すでにジリジリと肌を焦がす暑さが二人の体力を奪っていた。
「まずは着陸する所を探さないとな・・・」
と言ってセイムが火を弱める。
火が小さくなると、バルーンに送られる熱が少なくなり、下降をはじめた。
「あの遺跡と遺跡の間、どうかな。。」
とロンが指をさす。古い遺跡が密集しており、何かが襲ってきてもすぐに隠れることが出来そうな場所であった。セイムがさらに火を弱め、着地に備える。
彼らは無事に着陸を済ませると気球を畳み、古い遺跡の裏に隠す。この乗り物がなくては、帰り道に困るのだ。
「いま時間はどれくらいたっただろう。」そう言いながら、二人でコンパスを見る。
「北東に太陽が昇ってるね、九時から十時の間ってところかな。」
「ここに来るまで三時間ほどかかったのか。じゃあ、あの太陽が北西に傾くくらいには出発しなきゃ間に合わないな。」
「それなら、タイムリミットは五時間くらいだね。」ロンはコンパスをしまい、リュックの中から古代道具をだす。
「ぼくらが選んだ古代道具は、ウォータースポット・ロックグラブ・グラビティハンマーの三つ。いったんウォータースポットを広げようか。」
“古代道具”とは、歴代の探検家たちが国外探放をおこなった上で発見した古代文明の「遺産」のことを言う。しかし、すぐに使える状態のまま発見されるものはごく稀であり、古いものでは二千年以上も昔の古代道具もある。この時代にはまだ解明されていない素材で作られているものが多く、王国の研究者たちによって使用出来るよう加工されることで初めて武器や装備として使うことができる。
一般人用の古代道具にはカナヅチやノコギリ、ハサミなどが当てはまる。古代では日用品として使われていたものであったらしく、王国の人々の生活にも五十年ほど前から浸透し始めた。探検家用の古代道具は高価であり、一般の住人に使用を許されているものではない。希少価値の高いレアな古代道具は発見した探検家が王国での道具登録を済ませたあと、各自で管理・使用が許されている。「採掘権限」をもつ探検家だからこそ保有できるのであって、商人の間で探検家が使用するような価値のある古代道具が販売されることはほとんどない。
「ああ、これは快適だ。」
ウォータースポットは広げると二、三人用のテントのように膨らみ、中に入ると冷たい空気と水分を得ることができる。昼間の砂漠の気温は四十度を超す場所であるため、他の受験者たちも一つ目の古代道具には「ウォータースポット」を選んでいた。外界での試験のため、受験者たちは自分自身の命を守らなければならない。こういった自然の脅威だけではなく、毎年大勢の受験者が狂暴な動物やトルクたちに殺されていた。探検家の称号を得てからは常に外界で行動することになるため、たとえ犠牲者が出ようともこの試験を通過することは探検家になる上で必須の条件であると王国の宰相は言う。
「まずは動物やトルクに見つからないように、遺跡に隠れながら古代道具のありそうな場所を探そう。」セイムが言う。
ウォータースポットを畳むと、二人は身を屈めながら移動をはじめた。砂漠の砂はさらさらとしていて綺麗だが、少し歩きにくい。遺跡から遺跡へ、建物の影になっている場所を移動するものの、足場の悪さと気温に体力を奪われる。ウォータースポットを広げて休憩をしたい所だが、試験に合格するためには二人にそんな悠長なことをしている時間はなかった。
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