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第三章 翼を持つ者
3-3 マイペースにも、程がある
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通行許可書を発行されるまで、カチュアさんとエドナさんは、ギルドの依頼をこなして、何とか宿屋に泊まる分の宿代を稼いでいました。
一応、ルナもお二方に付き添っています。
そして、ようやく、部下さんから、通行許可書を受取って、早速翌日にはセシル王国へ出発することになったルナ達。
カチュアさんの被服と武器が、その日に出来上がる予定でしたから、丁度良かったです。
しかし、被服店のルルティさんにカチュアさんの体のサイズを書いた紙を渡したら、驚かれましたよ。
「これが、カチュアさんっていう方の体のサイズを纏めたメモです。本人は都合で来れないので、ルナが測ったんです」
「どれどれ……身長は百五十八センチ。大剣を振り回すにしては、小柄な方ね。バストは……ん!? んん!!? んんんん!!!? ……ねぇ、ルナちゃん」
「どうしたんですか?」
「このサイズ本当かしら? 測り間違っていないかしら? 幾ら何でも、バストのサイズが……」
「疑いたくなりますよね? でも、この目で、実物を見てます。本物です。メロンと呼ばれる果実よりもデカいです」
「世の中、広いのね~。お店に置いている被服のサイズは、私のよりも大きいサイズでも、一、ニ個上のしかないわ」
ルルティさんも大きい方ではあります。
「さすがに、この特大サイズは置いていないわね……」
誰だって、あのサイズを見たら驚きますよね?
「特注になるから、できるまで、時間が掛るから待っていてね」
「やっぱり、特注ですか?」
「そうなるね。できたとしても、動きやすいか分からないわ。というよりかは、剣を持って戦えるのですか? 邪魔になりそうな気がします」
「信じられないかもしれませんが、重力を無視して華麗に動けるんですよ」
「いつかは、会ってみたいですね」
後は、被服店で、史上最大のバストが着れる被服ができるのを待つだけになりました。
ついでに、兄様から貰ったシェルターと呼ばれる鉱石をカチュアさんの武器にするために、アヴァルの武器屋に持って行きました。
あの武器屋さんは、エドナさんの知り合いみたいだけど、やはりルナはあの武器屋を経営しているハルトさんと呼ばれる方を、どこかで見たことがある気がするんです。
あの言ってはいけない二文字の言葉をしている人は、見れば覚えられるはずなのに。どこで見たのでしょうか?
そして、通行許可書を受取った、翌朝。
無事、朝一で、カチュアさんの被服と新たな武器を受取って、ルナはカチュアさん達の準備が終わるまで、宿屋のロビーで本を読んで待つことにしました。
しかし、本に夢中になり過ぎて……。
【アヴァルの街。宿屋ロビー】
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!! もう、こんな時間になっていたんですね!!!」
ルナは、待ち合わせの十時まで、宿屋のロビーで本を読んでいた。
ふっと、宿屋に置いてあった置き時計を見たら、十二時過ぎていた。
「待ってください! カチュアさんとエドナさんが、十二時になっても、ロビーに来ないってことは、あのお二方は完全に忘れていますよ! は~~ルナが、時間を気にしないで、ここで本を読んでいたのが、悪かったですね」
ルナは大きなため息を付いた。
「おや! 君はアルヴス殿の!」
(聞き覚えのある声が聞こえました。この声は確か……)
ルナが声が聞こえた方向へ振り向くと、そこにはポーズを決めたベレクトの姿があった。
「ベレクトさん? どうしてここに?」
「はっ! はははは! どうしたんだい? 浮かない顔をして?」
「質問に答えてくださいよ」
「おっと、すまんすまん。ちょっと、休憩していたところだ。で? ルナくんは、どうしたんだい? ため息を吐いていたら、幸せが逃げていきますぞ」
「幸せが逃げていくって分かっていても、ため息を吐きたくなりますよ。待ち合わせをしている方々がいるんですけど、待ち合わせしていることを忘れている見たいなんです。その人達は」
「ありゃま。それはいかないな。遅刻するなんて」
(この人、忙しそうですね。ポーズを決めるのに。口を開くたびに、ポーズを変えていますし。面倒臭くないのでしょうか?)
「ところで、何でベレクトさんは、またこの街にいるんですか? サボりですか?」
「いや~。思っていた以上に、ヴァルダンの侵略による危害が尋常で、帝国中に広がるガロン様の部隊が、機能していないんだ。中には隊長が殺されたため、部隊内の纏まりが悪いんだ。だから、私が帝国中掛け巡って、バラバラになった部隊の元へ行き、直接指揮しているんだ」
「随分、時間掛かっているようだけど、ガロン……様は待ってくれているんですか? ヴァルダンを攻める気みたいですけど……」
「案の定、ご立腹で、怒りのあまり部下を殺すことがあったんです」
「酷いですね……そんなの八つ当たりじゃないですか!」
「だから、部下の命のために、急いで部隊を集めているんですよ」
「でも、べレクトさん。いくら何でも速く移動をし過ぎでは? ガロン……様の部隊って、ヴァルダンの侵略時に、分断されたヴァルダン軍をそれぞれ迎え討ちに行ったから、広範囲で散らばってしまったのに。それを集めるって大変では?」
また別のポーズを取った。
「それは、私の雷の魔術で、筋肉を刺激して限界までスピードを引き出しているんです。ただ、これは普通の体では、肉離れを起こしてしまう、危険な行為だ。そこで、私は、身体能力で高めたうえで、雷の魔術で筋肉を刺激しているだよ。つまり、これは、勇能力を所持している私だからこそ、できるドーピングなんですよ」
「魔術に、そんな使い方があるんですね」
(大抵の勇能力を持つ者の魔術の使い方は力任せが多いいです。此間のガイザックのように)
「でも、さすがに体力が消耗します。だから、この宿のロビーで一休みしていたんです」
「そうだったんですね」
「おっと! 部下の命が危ないから、休憩はおしまい! それでは、私はここで失礼する。さらば」
またまた、別のポーズに変えたベレクト。
ルナの目の前にいたベレクトは、ポーズを決めたまま一瞬の内にいなくなってしまった。
「一瞬ですが、扉から出ていく姿が見えました。雷の魔術のドーピングは本当の様ですね。……あ! そうだった! ルナからカチュアさんとエドナさんを呼びに行かないとです! 全く、あの二人は……マイペースにも程がありますよ!」
一応、ルナもお二方に付き添っています。
そして、ようやく、部下さんから、通行許可書を受取って、早速翌日にはセシル王国へ出発することになったルナ達。
カチュアさんの被服と武器が、その日に出来上がる予定でしたから、丁度良かったです。
しかし、被服店のルルティさんにカチュアさんの体のサイズを書いた紙を渡したら、驚かれましたよ。
「これが、カチュアさんっていう方の体のサイズを纏めたメモです。本人は都合で来れないので、ルナが測ったんです」
「どれどれ……身長は百五十八センチ。大剣を振り回すにしては、小柄な方ね。バストは……ん!? んん!!? んんんん!!!? ……ねぇ、ルナちゃん」
「どうしたんですか?」
「このサイズ本当かしら? 測り間違っていないかしら? 幾ら何でも、バストのサイズが……」
「疑いたくなりますよね? でも、この目で、実物を見てます。本物です。メロンと呼ばれる果実よりもデカいです」
「世の中、広いのね~。お店に置いている被服のサイズは、私のよりも大きいサイズでも、一、ニ個上のしかないわ」
ルルティさんも大きい方ではあります。
「さすがに、この特大サイズは置いていないわね……」
誰だって、あのサイズを見たら驚きますよね?
「特注になるから、できるまで、時間が掛るから待っていてね」
「やっぱり、特注ですか?」
「そうなるね。できたとしても、動きやすいか分からないわ。というよりかは、剣を持って戦えるのですか? 邪魔になりそうな気がします」
「信じられないかもしれませんが、重力を無視して華麗に動けるんですよ」
「いつかは、会ってみたいですね」
後は、被服店で、史上最大のバストが着れる被服ができるのを待つだけになりました。
ついでに、兄様から貰ったシェルターと呼ばれる鉱石をカチュアさんの武器にするために、アヴァルの武器屋に持って行きました。
あの武器屋さんは、エドナさんの知り合いみたいだけど、やはりルナはあの武器屋を経営しているハルトさんと呼ばれる方を、どこかで見たことがある気がするんです。
あの言ってはいけない二文字の言葉をしている人は、見れば覚えられるはずなのに。どこで見たのでしょうか?
そして、通行許可書を受取った、翌朝。
無事、朝一で、カチュアさんの被服と新たな武器を受取って、ルナはカチュアさん達の準備が終わるまで、宿屋のロビーで本を読んで待つことにしました。
しかし、本に夢中になり過ぎて……。
【アヴァルの街。宿屋ロビー】
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!! もう、こんな時間になっていたんですね!!!」
ルナは、待ち合わせの十時まで、宿屋のロビーで本を読んでいた。
ふっと、宿屋に置いてあった置き時計を見たら、十二時過ぎていた。
「待ってください! カチュアさんとエドナさんが、十二時になっても、ロビーに来ないってことは、あのお二方は完全に忘れていますよ! は~~ルナが、時間を気にしないで、ここで本を読んでいたのが、悪かったですね」
ルナは大きなため息を付いた。
「おや! 君はアルヴス殿の!」
(聞き覚えのある声が聞こえました。この声は確か……)
ルナが声が聞こえた方向へ振り向くと、そこにはポーズを決めたベレクトの姿があった。
「ベレクトさん? どうしてここに?」
「はっ! はははは! どうしたんだい? 浮かない顔をして?」
「質問に答えてくださいよ」
「おっと、すまんすまん。ちょっと、休憩していたところだ。で? ルナくんは、どうしたんだい? ため息を吐いていたら、幸せが逃げていきますぞ」
「幸せが逃げていくって分かっていても、ため息を吐きたくなりますよ。待ち合わせをしている方々がいるんですけど、待ち合わせしていることを忘れている見たいなんです。その人達は」
「ありゃま。それはいかないな。遅刻するなんて」
(この人、忙しそうですね。ポーズを決めるのに。口を開くたびに、ポーズを変えていますし。面倒臭くないのでしょうか?)
「ところで、何でベレクトさんは、またこの街にいるんですか? サボりですか?」
「いや~。思っていた以上に、ヴァルダンの侵略による危害が尋常で、帝国中に広がるガロン様の部隊が、機能していないんだ。中には隊長が殺されたため、部隊内の纏まりが悪いんだ。だから、私が帝国中掛け巡って、バラバラになった部隊の元へ行き、直接指揮しているんだ」
「随分、時間掛かっているようだけど、ガロン……様は待ってくれているんですか? ヴァルダンを攻める気みたいですけど……」
「案の定、ご立腹で、怒りのあまり部下を殺すことがあったんです」
「酷いですね……そんなの八つ当たりじゃないですか!」
「だから、部下の命のために、急いで部隊を集めているんですよ」
「でも、べレクトさん。いくら何でも速く移動をし過ぎでは? ガロン……様の部隊って、ヴァルダンの侵略時に、分断されたヴァルダン軍をそれぞれ迎え討ちに行ったから、広範囲で散らばってしまったのに。それを集めるって大変では?」
また別のポーズを取った。
「それは、私の雷の魔術で、筋肉を刺激して限界までスピードを引き出しているんです。ただ、これは普通の体では、肉離れを起こしてしまう、危険な行為だ。そこで、私は、身体能力で高めたうえで、雷の魔術で筋肉を刺激しているだよ。つまり、これは、勇能力を所持している私だからこそ、できるドーピングなんですよ」
「魔術に、そんな使い方があるんですね」
(大抵の勇能力を持つ者の魔術の使い方は力任せが多いいです。此間のガイザックのように)
「でも、さすがに体力が消耗します。だから、この宿のロビーで一休みしていたんです」
「そうだったんですね」
「おっと! 部下の命が危ないから、休憩はおしまい! それでは、私はここで失礼する。さらば」
またまた、別のポーズに変えたベレクト。
ルナの目の前にいたベレクトは、ポーズを決めたまま一瞬の内にいなくなってしまった。
「一瞬ですが、扉から出ていく姿が見えました。雷の魔術のドーピングは本当の様ですね。……あ! そうだった! ルナからカチュアさんとエドナさんを呼びに行かないとです! 全く、あの二人は……マイペースにも程がありますよ!」
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