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「……ぅ、ん」
寝返りを打とうとして、身体をよじらせるとふいに違和感があることに気付いて目が覚めた。
(なに……?)
寝起き特有の怠さを感じながらも重い瞼を開ければ、そこには紅い間縄で全身を戒められてたのだ。縄は複雑な結び目になっていて自分ではほどくことは出来ないだろう。しかしこれはわたしを捕縛するためのものではない。それが証拠に手足にはなんの拘束もない。だがその代わりに少し動こうとすれば、秘部に這わされた硬い感触のした結び目が蕩けた場所を苛み、それと同時に昨日の淫らな行為を思い出させるのだ。それに上の方に視線をやると幾重にもひし形に作られている縄模様は呼吸をするだけでいやらしく緩んだり食い込んだりしてきて、わたしの羞恥を一気に高める。
「ひっ」
あまりの異常な光景に叫びそうになって慌てて口を押える。今わたしの隣で御堂が寝ているのだ。ここで彼を起こせばさらに大変なことになるのは明確だ。
(とりあえず床に散らばった服を着なおして自分の部屋に戻ろう)
幸いなことに身体は自由であるのだ。とりあえずこんな場所に少しも居たくなかった。早く御堂から離れたいという一心で刺激を与えないようにゆっくりと起き上がろうとすれば、それだけで甘い吐息が口から零れる。自分の身体はこんなに淫らだったか。それとも御堂の手によって作り変えられてしまったのか。そんなことを考える自分が嫌いになりそうだ。けれど、今は自己嫌悪に陥っている場合じゃない。
(御堂が起きないウチに早くここから離れないと……)
手を口に当てて声を出さないようにして立ち上がれば、より一層縄がきつくなり息を荒げた。
(どうしよう! これじゃあ歩けない)
立っただけでも甘い痺れが身体を襲うのだ。これで歩いたら間違いなく秘豆にも貼りめぐされた結び目が擦れてわたしを苛むだろう。
(だけどいつまでもここに居たら御堂が起きてしまう)
いつ暴発するか分からない時限爆弾ほど恐ろしいものはない。勇気を出して足を一歩進めた時に背後から声が掛かった。
「私から逃げ出そうとするなんて悪い子ですね」
グイッと後ろから手首を掴まれあっという間に御堂の腕の檻に捕まってしまう。身震いするわたしとは反対に彼は機嫌良さそうにつむじや頬にキスの雨を降らす。それだけでわたしの神経を逆なでされた気分になった。
「……離してください」
「私が貴方を離すと思いますか? それにお嬢さんには勝手に私から離れようとした罰を受けて頂かないと」
「な、に……?」
喉奥で嗤う御堂に昏いものが感じられる。思わず身を固くして警戒するけれど、それよりも早く御堂はわたしの秘部に手をやり『なにか』を挿れた。
「ふふ。一応ローションも用意していたのですが、お嬢さんのナカが濡れているせいであっさりと入りましたね」
「御堂」
なにをしたんです、と問いかけには応じないままに彼は無理やりわたしを立たせ、間縄の上から手際よく和服を着せていく。
「今からお嬢さんには会長に会ってもらいます」
会長――それはわたしの祖父のことだ。
「どうして。そんな予定ないでしょう?」
「いいえ。お嬢さんの口から結婚の報告をして頂かなければいけませんからね」
淡々と話す御堂にゾッとした。
「そんなのわたしが認めるわけないでしょうっ!」
なぜ自分を犯した相手と結婚しなければいけないのか。そんなことわたし自身が許すわけない。それなのに御堂は余裕そうな笑みを浮かべている。
「貴方は認めますよ」
短く呟いた彼の言葉は断定だった。そんなわけない、という思いは胸にあるのにあまりに強い御堂の視線にわたしは押し黙ってしまう。
「ねぇ、お嬢さん。私がなんの策略もなく貴方を抱くと思いますか?」
「どう、いうこと……?」
駄目だ。悪魔の言うことなんか聞いてはいけない。頭の中ではガンガンと警報が鳴っているというのに、聞かないと余計に危ないと本能的に悟り、カラカラに乾いた声で御堂に続きを促してしまう。
「私たちの行為はビデオに撮ってあるのですよ」
驚きで喉がヒュッと鳴る。けれど御堂はわたしに構うことなくパソコンを作動させ、証拠を見せつけようとする。
「いやっ! そんなの見たくありませんっ」
かぶりを振って必至に御堂を止めると彼は溜息をつく。
「せっかく綺麗に撮れていますのに」
「なんでっ……なんでこんなことを!」
「言ったでしょう? お嬢さんが私から逃がさないためですよ」
「こんなの犯罪です……」
幼い子供のようにボロボロと涙を流して彼を責める。けれど、そんなことで御堂はへこたれることはない。むしろ嫌がるわたしが悪いのだと思っているのだろう。
「お嬢さん、ここがどこだか忘れたのですか? 極道の本家ですよ。犯罪なんて今更なことです。嗚呼、泣かないでください。せっかく綺麗に着付けたというのに、剥ぎ取ってまた心ゆくまで貴方を貪りたくなるではありませんか」
獰猛な目つきでわたしを見つめる視線とは裏腹に涙を拭い取る御堂の指がどこまでも優しくて、それが皮肉だと感じた。
「ほらお嬢さん、早く歩かないと会長との約束の時間に遅れますよ?」
着物はただでさえ馴染みがなくて歩きにくい。小股でちょこちょこと歩かねばならないのに、そうすると股縄がわたしを苛んでくるのだ。
「御堂、許して……」
和服ということもあって下着も着けていない。そのせいでもしかしたらわたしの蜜がはしたなく着物を汚してしまうのではないかという不安に駆られてしまう。
「なにを許せというのです? 嗚呼……それとも悪いお嬢さんはわざと会長との話し合いを遅らせようとしているのですか」
「ちがっ、」
眼を細める御堂に慌てて否定しても無駄なこと。彼はスラックスのポケットに入っていたスイッチを取り出した。
「お嬢さん、これがなにか分かりますか?」
そんなの知るわけない。首を横に振ると彼は満足そうに笑みを浮かべる。
「これは貴方のナカに入っているローターのスイッチです。今から貴方が私を困らせるたびに電源を入れてあげますから覚悟してくださいね」
ローター。そんなものがわたしの身体の奥に仕込まれているのか。ざっと顔を青ざめさせても御堂が腕を引っ張って先を促す。わたしは身体を燻る快感を押し殺して彼に従うしかなかった。
「して、御堂。話とはなんだ?」
久しぶりに顔を合わせたというのに、祖父はわたしに見向きすることなく開口一番に御堂に要件を訪ねる。
「会長にお嬢さんとの結婚を認めて頂きたいのです」
祖父は無駄な言い回しを嫌う。だからこそ御堂も短く纏めたのだ。考えるように半分ほど白くなった髭に手をやりながらお前はどうなんだ、とわたしに意思の確認をする。久しぶりに視線を合わす祖父は切れ長の瞳のせいかどこかわたしを責めているように感じる。
「わたしは……」
(本当は嫌だと言ってしまおうか)
御堂だって会長の孫に手を出したとなれば危ういはずだ。しかし、わたしの浅はかな考えはすぐに霧散する。
「……ぁっ!」
小さく零れたのは間違いなくわたしの喘ぎ声だった。ほんの一瞬だったけれど、間違いなく御堂はスイッチを入れたのだ。もしも、わたしが嫌だ、と言えば今度こそ本気で御堂はわたしを追いつめるだろう。無言の脅しにとうとうわたしは降参した。身内の前で快楽に溺れるだなんて正気の沙汰ではない。悔しさで涙を流しながら、わたしも御堂と同じ気持ちですとだけ呟いた。か細い声は祖父に届き、祖父は了承を示し、わたしは絶望によってさらに涙を溢れさせる。
「お嬢さん、嬉しいからって泣かないでください」
頬への柔らかい感触は彼の唇だろう。嬉々として涙を舐めとる御堂に祖父はやれやれと溜息をついた。
「お前がそんなに夢中になるとはな」
「会長だって奥様に夢中ではないですか。血の咎でしょうか……御堂の血を受け継いでいれば、一人の女に心奪われた時、一生その女性を愛するという。わたしも一生お嬢さんを――いいえ桜を離すつもりはありません」
うっとりと語る御堂に頭の隅で、わたしは一生逃げられないのだと悟った。
だってわたしは御堂という狂気に魅入られたのだから。
寝返りを打とうとして、身体をよじらせるとふいに違和感があることに気付いて目が覚めた。
(なに……?)
寝起き特有の怠さを感じながらも重い瞼を開ければ、そこには紅い間縄で全身を戒められてたのだ。縄は複雑な結び目になっていて自分ではほどくことは出来ないだろう。しかしこれはわたしを捕縛するためのものではない。それが証拠に手足にはなんの拘束もない。だがその代わりに少し動こうとすれば、秘部に這わされた硬い感触のした結び目が蕩けた場所を苛み、それと同時に昨日の淫らな行為を思い出させるのだ。それに上の方に視線をやると幾重にもひし形に作られている縄模様は呼吸をするだけでいやらしく緩んだり食い込んだりしてきて、わたしの羞恥を一気に高める。
「ひっ」
あまりの異常な光景に叫びそうになって慌てて口を押える。今わたしの隣で御堂が寝ているのだ。ここで彼を起こせばさらに大変なことになるのは明確だ。
(とりあえず床に散らばった服を着なおして自分の部屋に戻ろう)
幸いなことに身体は自由であるのだ。とりあえずこんな場所に少しも居たくなかった。早く御堂から離れたいという一心で刺激を与えないようにゆっくりと起き上がろうとすれば、それだけで甘い吐息が口から零れる。自分の身体はこんなに淫らだったか。それとも御堂の手によって作り変えられてしまったのか。そんなことを考える自分が嫌いになりそうだ。けれど、今は自己嫌悪に陥っている場合じゃない。
(御堂が起きないウチに早くここから離れないと……)
手を口に当てて声を出さないようにして立ち上がれば、より一層縄がきつくなり息を荒げた。
(どうしよう! これじゃあ歩けない)
立っただけでも甘い痺れが身体を襲うのだ。これで歩いたら間違いなく秘豆にも貼りめぐされた結び目が擦れてわたしを苛むだろう。
(だけどいつまでもここに居たら御堂が起きてしまう)
いつ暴発するか分からない時限爆弾ほど恐ろしいものはない。勇気を出して足を一歩進めた時に背後から声が掛かった。
「私から逃げ出そうとするなんて悪い子ですね」
グイッと後ろから手首を掴まれあっという間に御堂の腕の檻に捕まってしまう。身震いするわたしとは反対に彼は機嫌良さそうにつむじや頬にキスの雨を降らす。それだけでわたしの神経を逆なでされた気分になった。
「……離してください」
「私が貴方を離すと思いますか? それにお嬢さんには勝手に私から離れようとした罰を受けて頂かないと」
「な、に……?」
喉奥で嗤う御堂に昏いものが感じられる。思わず身を固くして警戒するけれど、それよりも早く御堂はわたしの秘部に手をやり『なにか』を挿れた。
「ふふ。一応ローションも用意していたのですが、お嬢さんのナカが濡れているせいであっさりと入りましたね」
「御堂」
なにをしたんです、と問いかけには応じないままに彼は無理やりわたしを立たせ、間縄の上から手際よく和服を着せていく。
「今からお嬢さんには会長に会ってもらいます」
会長――それはわたしの祖父のことだ。
「どうして。そんな予定ないでしょう?」
「いいえ。お嬢さんの口から結婚の報告をして頂かなければいけませんからね」
淡々と話す御堂にゾッとした。
「そんなのわたしが認めるわけないでしょうっ!」
なぜ自分を犯した相手と結婚しなければいけないのか。そんなことわたし自身が許すわけない。それなのに御堂は余裕そうな笑みを浮かべている。
「貴方は認めますよ」
短く呟いた彼の言葉は断定だった。そんなわけない、という思いは胸にあるのにあまりに強い御堂の視線にわたしは押し黙ってしまう。
「ねぇ、お嬢さん。私がなんの策略もなく貴方を抱くと思いますか?」
「どう、いうこと……?」
駄目だ。悪魔の言うことなんか聞いてはいけない。頭の中ではガンガンと警報が鳴っているというのに、聞かないと余計に危ないと本能的に悟り、カラカラに乾いた声で御堂に続きを促してしまう。
「私たちの行為はビデオに撮ってあるのですよ」
驚きで喉がヒュッと鳴る。けれど御堂はわたしに構うことなくパソコンを作動させ、証拠を見せつけようとする。
「いやっ! そんなの見たくありませんっ」
かぶりを振って必至に御堂を止めると彼は溜息をつく。
「せっかく綺麗に撮れていますのに」
「なんでっ……なんでこんなことを!」
「言ったでしょう? お嬢さんが私から逃がさないためですよ」
「こんなの犯罪です……」
幼い子供のようにボロボロと涙を流して彼を責める。けれど、そんなことで御堂はへこたれることはない。むしろ嫌がるわたしが悪いのだと思っているのだろう。
「お嬢さん、ここがどこだか忘れたのですか? 極道の本家ですよ。犯罪なんて今更なことです。嗚呼、泣かないでください。せっかく綺麗に着付けたというのに、剥ぎ取ってまた心ゆくまで貴方を貪りたくなるではありませんか」
獰猛な目つきでわたしを見つめる視線とは裏腹に涙を拭い取る御堂の指がどこまでも優しくて、それが皮肉だと感じた。
「ほらお嬢さん、早く歩かないと会長との約束の時間に遅れますよ?」
着物はただでさえ馴染みがなくて歩きにくい。小股でちょこちょこと歩かねばならないのに、そうすると股縄がわたしを苛んでくるのだ。
「御堂、許して……」
和服ということもあって下着も着けていない。そのせいでもしかしたらわたしの蜜がはしたなく着物を汚してしまうのではないかという不安に駆られてしまう。
「なにを許せというのです? 嗚呼……それとも悪いお嬢さんはわざと会長との話し合いを遅らせようとしているのですか」
「ちがっ、」
眼を細める御堂に慌てて否定しても無駄なこと。彼はスラックスのポケットに入っていたスイッチを取り出した。
「お嬢さん、これがなにか分かりますか?」
そんなの知るわけない。首を横に振ると彼は満足そうに笑みを浮かべる。
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ローター。そんなものがわたしの身体の奥に仕込まれているのか。ざっと顔を青ざめさせても御堂が腕を引っ張って先を促す。わたしは身体を燻る快感を押し殺して彼に従うしかなかった。
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久しぶりに顔を合わせたというのに、祖父はわたしに見向きすることなく開口一番に御堂に要件を訪ねる。
「会長にお嬢さんとの結婚を認めて頂きたいのです」
祖父は無駄な言い回しを嫌う。だからこそ御堂も短く纏めたのだ。考えるように半分ほど白くなった髭に手をやりながらお前はどうなんだ、とわたしに意思の確認をする。久しぶりに視線を合わす祖父は切れ長の瞳のせいかどこかわたしを責めているように感じる。
「わたしは……」
(本当は嫌だと言ってしまおうか)
御堂だって会長の孫に手を出したとなれば危ういはずだ。しかし、わたしの浅はかな考えはすぐに霧散する。
「……ぁっ!」
小さく零れたのは間違いなくわたしの喘ぎ声だった。ほんの一瞬だったけれど、間違いなく御堂はスイッチを入れたのだ。もしも、わたしが嫌だ、と言えば今度こそ本気で御堂はわたしを追いつめるだろう。無言の脅しにとうとうわたしは降参した。身内の前で快楽に溺れるだなんて正気の沙汰ではない。悔しさで涙を流しながら、わたしも御堂と同じ気持ちですとだけ呟いた。か細い声は祖父に届き、祖父は了承を示し、わたしは絶望によってさらに涙を溢れさせる。
「お嬢さん、嬉しいからって泣かないでください」
頬への柔らかい感触は彼の唇だろう。嬉々として涙を舐めとる御堂に祖父はやれやれと溜息をついた。
「お前がそんなに夢中になるとはな」
「会長だって奥様に夢中ではないですか。血の咎でしょうか……御堂の血を受け継いでいれば、一人の女に心奪われた時、一生その女性を愛するという。わたしも一生お嬢さんを――いいえ桜を離すつもりはありません」
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