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第4話キャウリー目線2
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「それで、今はシャーリーは何をしているんだ?」
食事を終え、執務室で書類を見ながらコーヒーを淹れてくれるハザードに声をかけた。
昼食後、そのまま二人でこの部屋に移動し、ハザードに報告を求めていたところだ。
「お昼寝、でございます」
「昼寝?」
私のオウム返しに、ハザードは悲しそうな顔を見せた。
冗談で言っている、と思ったが、どうもそうではなさそうだ。
「はい。どうも食事も満足に食べさせてもらえないようで、着替えの時にお腹が鳴りました。別段私は全く気にしなかったのですが、とても慌てて、申し訳ありません私がグズなので食べる時間がなかっただけなのです、と酷く謝られました。・・・そういう環境なのだな、と胸が痛くなりました」
カップを握る手が強くなる。
磁器が軋む音が聞こえそうなほど、強く握りしめていた。
どこまで最低なんだ!
怒りが込み上げて、視界が赤く染まりそうになる。
「それが親がすることか!!」
思わず声を荒げた。
テーブルを叩きそうになった手を、なんとか抑える。
ハザードが僅かに目を細めたのが見えた。彼女も同じ気持ちなのだろう。
「私も、同感です。ちょうど昼食の時間でしたので、今日の昼食の残りで申し訳ありませんが、とお出ししたら、何度も、こんなに食べてもいいのですか?と目をキラキラさせながら、見ていて気持ちのいい食べっぷりでした」
ハザードの声が、いつもより柔らかかった。
彼女の目が、僅かに潤んでいるように見える。
あの鉄のような女が、こんな表情を見せるとは。
「食べられた後、お腹が満たされ、緊張がほぐれたのでしょうね。眠そうにされたので、お昼寝は貴族令嬢の嗜みですよ、とお伝えしましたら、少し考えて、では、と寝室に行かれました」
「それで、お昼寝か」
私は深く息を吐いた。
怒りが、どこか切なさに変わっていく。
残り物を喜んで食べる伯爵令嬢。その姿を想像すると、胸が詰まった。
「はい。あと、着の身着のまま連れてこられたようで、一つも荷物がなく、着替えの服もないと仰っていました。だからメイド服をもらって助かります、と喜ばれましたが、何とも腹が立ちました!子供をなんだと思っているのでしょう!?」
ハザードの声が震えている。
彼女は拳を握りしめ、唇を噛んでいた。
普段は決して乱さない感情が、今は溢れ出ている。
「そうか。では、誰かに荷物を取りに伯爵家に向かわせよう」
「用意して差し上げては?」
「まあ、いずれはそうしてもいいだろうが、サヴォワ伯爵殿に変に勘繰られても困る。娘が気に入って手籠めにしたのか、とか、下らん事を言われそうだ」
振り返ると、ハザードが眉をひそめていた。
「うっわ、言いそうですね」
その表情に、私は思わず苦笑した。
本当に、あの男なら言いかねない。
「もし私でなければ、そうする輩もいるだろう」
「ご主人様は、まず有り得ないことですね」
ハッキリ、キッパリ言われる。
その言い方に、私は少しムッとした。
信頼してくれているのは嬉しいが、何故そこまで断言できる。
「当たり前だ。私は女には興味がない。あれば養子をもらったりせんだろう」
自信満々に、つまりは、シャーリーに手を出すことは有り得ない、と安心させているのに、何故そんな冷たい顔をしてくる。
ハザードの目が、氷のように冷たくなった。
ああ、まずい。この話題は避けるべきだった。
「それも、どうかと思いますよ。女性に旺盛なのも困りものですが、まさかそこまで興味がなかったというか、淡白というか、せめて跡取りができる程度には・・・」
「もういいだろ、その話は!子がいないのは仕方あるまい。お前がそれを言うな!……それで、ノーセットは帰ったのか?」
これ以上話をすると、また愚痴愚痴と始まる。
急いでコーヒーを一口飲んだ。冷めていたが、気にしなかった。
今年五十八歳になるが、これまでに共に歩みたいと思う、たった一人の女性には、拒まれてしまったのだから、仕方あるまい。
ただそれだけだ。
だから遠縁に当たるノーセットを産まれて直ぐに養子とし、今年七歳になり、ようやく初等部に通う歳となった。
あの子の家も色々あったが、幼い時に養子にしたお陰で、素直で、明るく育ってくれた。
私の唯一の希望だ。
シャーリーのような目をすることなく、笑って育ってくれている。
それだけで、十分だった。
「そろそろお帰りかと。最近蛙捕りにハマっておいでですから、捕まえられたら早くお帰りになりますよ」
ノーセットは帰りの途中にある橋の下の川で蛙を捕まえいるらしい。
いつもなら三時頃には捕まえて、得意げに見せにくる。
「男の子だな。ノーセットの話し相手にもなるだろう。最近は、邪な考えを持つ輩が減ったおかげで静かになったな」
養子を迎えてから、財産目当てに近づいてくる者たちが色々あったが、ようやく落ち着いた。
皮肉なものだ。子供一人迎えるだけで、人間関係が整理される。
私は窓の外を見ながら、そんなことを考えていた。
「そうですね。これで諦めてくれたら宜しいですし、ノーセット様が女性に優しくなれる機会だと思います」
「そうだな。女性は卑しい存在だ、という偏見を持たれても困る、と心配していたが、姉的な存在と思い接してくれれば喜ばしいことだ」
シャーリーとノーセット。
二人が仲良くなれば、互いに良い影響があるかもしれない。
ノーセットは優しい子だ。きっと、シャーリーにも優しく接してくれるだろう。
今夜の夕食で、二人を引き合わせるのもいいかもしれない。
「そうですね。ノーセット様が夕食に間に合うよう、今日は囮の蛙を用意しておりますので大丈夫でございます」
「抜かりないな」
私は笑った。この女の用意周到さには、いつも驚かされる。
「当然でございます。自然の生き物を早々に幼き子供が捕まえられる訳がございませんでしょう?そこは大人の領分です。それでは、私はこれで失礼いたします。シャーリー様がお目覚めになりましたら、調理場に案内いたします」
「調理場?」
私は首を傾げた。
メイドとして働くなら、他にも色々な仕事があるだろうに。
「はい。仕事にどこか希望がありますか?と質問しましたら、料理がお好きだと仰ったので、調理場での手伝いをしてもらおうかと思います」
「それはいい。料理が上手い女性はモテるからな」
言ってから、しまった、と思った。
案の定、ハザードの目が鋭くなる。
「・・・モテるという言葉をご主人様から聞くと信憑性がなくなりますので、やめてください。それと、料理が上手い女性とは、私に対する嫌味ですか?」
鋭く睨まれた。
その視線が、まるで氷の刃のように突き刺さる。
私は思わず視線を逸らした。
「あ、いや、そんなつもりはない」
ハザードは仕事はできるが、料理の腕は、全くないのだ。
過去に一度だけ、彼女の料理を食べたことがある。あれは、忘れられない経験だった。
悪い意味で。
「では、失礼いたします」
ふん、と鼻であしらわれた。
背筋を伸ばし、凛とした足取りで部屋を出て行く。
その後ろ姿に、私は思わずため息をついた。
「あ、ああ」
苦笑いしか出なかったが、ハザードは信頼できるから任せても大丈夫だろう。
彼女なら、シャーリーを上手く導いてくれる。
そう信じている。
さて、私も仕事をするか。
扉が閉まり、執務室に静寂が戻った。
机に向かい、書類を手に取る。
だが、どうしても集中できなかった。
シャーリーの、あの怯えた目が、頭から離れない。
あの子は今、安心して眠れているだろうか。
悪夢に魘されていないだろうか。
窓の外では、午後の陽射しがゆっくりと傾き始めていた。
まだ夕日と呼ぶには早い時刻だが、光の角度が少しずつ変わっていく。
オレンジがかった柔らかな光が、部屋を照らしている。
ノーセットがもうすぐ帰ってくるだろう。
蛙を捕まえて、嬉しそうに笑いながら。
そして、シャーリーが目を覚ます。
新しい生活が、あの子を待っている。
それが、少しでも温かいものでありますように。
私は静かに祈った。
食事を終え、執務室で書類を見ながらコーヒーを淹れてくれるハザードに声をかけた。
昼食後、そのまま二人でこの部屋に移動し、ハザードに報告を求めていたところだ。
「お昼寝、でございます」
「昼寝?」
私のオウム返しに、ハザードは悲しそうな顔を見せた。
冗談で言っている、と思ったが、どうもそうではなさそうだ。
「はい。どうも食事も満足に食べさせてもらえないようで、着替えの時にお腹が鳴りました。別段私は全く気にしなかったのですが、とても慌てて、申し訳ありません私がグズなので食べる時間がなかっただけなのです、と酷く謝られました。・・・そういう環境なのだな、と胸が痛くなりました」
カップを握る手が強くなる。
磁器が軋む音が聞こえそうなほど、強く握りしめていた。
どこまで最低なんだ!
怒りが込み上げて、視界が赤く染まりそうになる。
「それが親がすることか!!」
思わず声を荒げた。
テーブルを叩きそうになった手を、なんとか抑える。
ハザードが僅かに目を細めたのが見えた。彼女も同じ気持ちなのだろう。
「私も、同感です。ちょうど昼食の時間でしたので、今日の昼食の残りで申し訳ありませんが、とお出ししたら、何度も、こんなに食べてもいいのですか?と目をキラキラさせながら、見ていて気持ちのいい食べっぷりでした」
ハザードの声が、いつもより柔らかかった。
彼女の目が、僅かに潤んでいるように見える。
あの鉄のような女が、こんな表情を見せるとは。
「食べられた後、お腹が満たされ、緊張がほぐれたのでしょうね。眠そうにされたので、お昼寝は貴族令嬢の嗜みですよ、とお伝えしましたら、少し考えて、では、と寝室に行かれました」
「それで、お昼寝か」
私は深く息を吐いた。
怒りが、どこか切なさに変わっていく。
残り物を喜んで食べる伯爵令嬢。その姿を想像すると、胸が詰まった。
「はい。あと、着の身着のまま連れてこられたようで、一つも荷物がなく、着替えの服もないと仰っていました。だからメイド服をもらって助かります、と喜ばれましたが、何とも腹が立ちました!子供をなんだと思っているのでしょう!?」
ハザードの声が震えている。
彼女は拳を握りしめ、唇を噛んでいた。
普段は決して乱さない感情が、今は溢れ出ている。
「そうか。では、誰かに荷物を取りに伯爵家に向かわせよう」
「用意して差し上げては?」
「まあ、いずれはそうしてもいいだろうが、サヴォワ伯爵殿に変に勘繰られても困る。娘が気に入って手籠めにしたのか、とか、下らん事を言われそうだ」
振り返ると、ハザードが眉をひそめていた。
「うっわ、言いそうですね」
その表情に、私は思わず苦笑した。
本当に、あの男なら言いかねない。
「もし私でなければ、そうする輩もいるだろう」
「ご主人様は、まず有り得ないことですね」
ハッキリ、キッパリ言われる。
その言い方に、私は少しムッとした。
信頼してくれているのは嬉しいが、何故そこまで断言できる。
「当たり前だ。私は女には興味がない。あれば養子をもらったりせんだろう」
自信満々に、つまりは、シャーリーに手を出すことは有り得ない、と安心させているのに、何故そんな冷たい顔をしてくる。
ハザードの目が、氷のように冷たくなった。
ああ、まずい。この話題は避けるべきだった。
「それも、どうかと思いますよ。女性に旺盛なのも困りものですが、まさかそこまで興味がなかったというか、淡白というか、せめて跡取りができる程度には・・・」
「もういいだろ、その話は!子がいないのは仕方あるまい。お前がそれを言うな!……それで、ノーセットは帰ったのか?」
これ以上話をすると、また愚痴愚痴と始まる。
急いでコーヒーを一口飲んだ。冷めていたが、気にしなかった。
今年五十八歳になるが、これまでに共に歩みたいと思う、たった一人の女性には、拒まれてしまったのだから、仕方あるまい。
ただそれだけだ。
だから遠縁に当たるノーセットを産まれて直ぐに養子とし、今年七歳になり、ようやく初等部に通う歳となった。
あの子の家も色々あったが、幼い時に養子にしたお陰で、素直で、明るく育ってくれた。
私の唯一の希望だ。
シャーリーのような目をすることなく、笑って育ってくれている。
それだけで、十分だった。
「そろそろお帰りかと。最近蛙捕りにハマっておいでですから、捕まえられたら早くお帰りになりますよ」
ノーセットは帰りの途中にある橋の下の川で蛙を捕まえいるらしい。
いつもなら三時頃には捕まえて、得意げに見せにくる。
「男の子だな。ノーセットの話し相手にもなるだろう。最近は、邪な考えを持つ輩が減ったおかげで静かになったな」
養子を迎えてから、財産目当てに近づいてくる者たちが色々あったが、ようやく落ち着いた。
皮肉なものだ。子供一人迎えるだけで、人間関係が整理される。
私は窓の外を見ながら、そんなことを考えていた。
「そうですね。これで諦めてくれたら宜しいですし、ノーセット様が女性に優しくなれる機会だと思います」
「そうだな。女性は卑しい存在だ、という偏見を持たれても困る、と心配していたが、姉的な存在と思い接してくれれば喜ばしいことだ」
シャーリーとノーセット。
二人が仲良くなれば、互いに良い影響があるかもしれない。
ノーセットは優しい子だ。きっと、シャーリーにも優しく接してくれるだろう。
今夜の夕食で、二人を引き合わせるのもいいかもしれない。
「そうですね。ノーセット様が夕食に間に合うよう、今日は囮の蛙を用意しておりますので大丈夫でございます」
「抜かりないな」
私は笑った。この女の用意周到さには、いつも驚かされる。
「当然でございます。自然の生き物を早々に幼き子供が捕まえられる訳がございませんでしょう?そこは大人の領分です。それでは、私はこれで失礼いたします。シャーリー様がお目覚めになりましたら、調理場に案内いたします」
「調理場?」
私は首を傾げた。
メイドとして働くなら、他にも色々な仕事があるだろうに。
「はい。仕事にどこか希望がありますか?と質問しましたら、料理がお好きだと仰ったので、調理場での手伝いをしてもらおうかと思います」
「それはいい。料理が上手い女性はモテるからな」
言ってから、しまった、と思った。
案の定、ハザードの目が鋭くなる。
「・・・モテるという言葉をご主人様から聞くと信憑性がなくなりますので、やめてください。それと、料理が上手い女性とは、私に対する嫌味ですか?」
鋭く睨まれた。
その視線が、まるで氷の刃のように突き刺さる。
私は思わず視線を逸らした。
「あ、いや、そんなつもりはない」
ハザードは仕事はできるが、料理の腕は、全くないのだ。
過去に一度だけ、彼女の料理を食べたことがある。あれは、忘れられない経験だった。
悪い意味で。
「では、失礼いたします」
ふん、と鼻であしらわれた。
背筋を伸ばし、凛とした足取りで部屋を出て行く。
その後ろ姿に、私は思わずため息をついた。
「あ、ああ」
苦笑いしか出なかったが、ハザードは信頼できるから任せても大丈夫だろう。
彼女なら、シャーリーを上手く導いてくれる。
そう信じている。
さて、私も仕事をするか。
扉が閉まり、執務室に静寂が戻った。
机に向かい、書類を手に取る。
だが、どうしても集中できなかった。
シャーリーの、あの怯えた目が、頭から離れない。
あの子は今、安心して眠れているだろうか。
悪夢に魘されていないだろうか。
窓の外では、午後の陽射しがゆっくりと傾き始めていた。
まだ夕日と呼ぶには早い時刻だが、光の角度が少しずつ変わっていく。
オレンジがかった柔らかな光が、部屋を照らしている。
ノーセットがもうすぐ帰ってくるだろう。
蛙を捕まえて、嬉しそうに笑いながら。
そして、シャーリーが目を覚ます。
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それが、少しでも温かいものでありますように。
私は静かに祈った。
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