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第30話シャーサー目線
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「シャーリー!!」
え!?
唐突に腕を離され、ルーンが大声を張り上げた。
劇場の外、夕暮れのオレンジ色の光が差し込む中、人々がざわざわと行き交っている。
華やかなドレスを着た女性たち、正装の男性たち。
その中で、ルーンの声が響いた。
それも、機嫌を悪くする根源の名前を、2人で初めて出かけたここで呼ぶなんて、やめてよ!!
「ルーン?シャーリーがいる訳ないでしょ」
苛立ちを顔に出さず、私はルーンに小さく呟いた。
このチケットは即完売の、人気の演劇なのよ。それをお父様にねだって、ようやく手に入れた貴重な演劇に、あの子がいるはずが無い。
「それに、あそこは貴賓席の方の通路よ。そこに・・・あっ!・・・そういうことかもしれないわね・・・」
少し意味深の言い方で、戸惑いを含めて、ルーンの腕に絡んだ。
貴賓席に座れるということは、つまり、そういうことよ。
あの子が自分の力で手に入れられる席じゃない。
誰かの力を借りている。
いえ、借りているというよりは、高位貴族の、愛人として席にいる。
そう考えるのが自然だわ。
だって、貴賓席は限られた上級貴族しか使えない特別な席。
あの子がそんな席に座れるなんて、理由は一つしかない。
「シャーサー・・・?」
ルーンの声が震え、顔を見ると、青ざめている。
目は、もう一度貴賓席の通路の方を向いた。
手が、小刻みに震えている。
良かったわ、私の言葉の意味を理解してくれたのね。
ふふっ。
いつもルーンは、シャーリーがそんな事はないと何度も言っていたけど、それを証明するもの何一つない。
だって、私もお父様も見に行った事もないし、行きたくも無い。
「・・・そうよね、ルーンがシャーリーを見間違うはずが無いものね。でも・・・貴賓席に座れるということは・・・」
言葉を濁す。
ほら、意味わかるでしょ?
ルーンの顔が、さらに青ざめ、唇が、わずかに震えている。
「・・・やはり・・・」
拳を、強く握りしめる。
「そんな・・・まさか・・・」
小さく呟く。
そうよ。
あの子は、もう汚れてしまったのよ。
ルーンは、俯き、肩が、小さく震えていた。
きっと、信じたくないのね。
でも、現実は現実よ。
そろそろ諦めて欲しい。
会う度にシャーリーは?シャーリーは?と心配そうに聞く。
もううんざりだ。
私達の婚約が、そろそろ決まるのに、たとえ妹だとしても他の女の名前なんて出して欲しくない。
それも、あんなグズで役立たずの女を気にするなんておかしいわ。
いえ、今は違うわね。
高位貴族の愛人として、身を売った女。
ルーンには相応しくない。
同じ顔をしているのにいつもオドオドしてみっともなくて、大っ嫌いだ。
「あら、シャーサー、ルーンと来てるの?」
偶然会った友人が、声をかけてきた。
ルーンは、まだ俯いたままだったけれど、私は、より体をルーンに付ける。
「ええ。どうしてもルーンと来たくてね」
ね、と微笑みながら顔を上げると、さっきまでの不安そうな顔が薄らぎ、嬉しそうにしてくれた。
私の声で、我に返ったみたい。
そうよ。あなたには私がいるのよ。
あんな女のことなんて、忘れなさい。
「そんな仲だったのね。じゃあお邪魔になるわね」
楽しそうに言うと、さよなら、と去っていった。
友人が去ると、また静かになる。
周りの人々の話し声だけが聞こえる。
ルーンはまた、考え込んいる様子で、目は、どこか遠くを見ている。
きっと、シャーリーのことを考えているのね。
「・・・ねえ、ルーン。一緒に、シャーリーに会いに行きましょうか。私やお父様が何度言っても、帰らないとしか言わないの。ルーンが一緒に行ってくれたら帰ってくれるかもしれないわ」
ルーンが、顔を上げる。
目に、決意の色が浮かんでいる。
でも、その奥に、不安も見える。
「・・・そうだね。このままじゃダメだ!」
吐き捨てるように言う。
拳を、さらに強く握りしめている。
きっと、確かめたいのね。
本当にシャーリーが、そんなことになっているのか。
「・・・そうね。早く助けてあげないとね」
早くルーンに諦めてもらわないと。
だって、借金のカタに捨てられたのよ。どう考えてもまともに生活出来ているわけがないわ。
まあ、どうしても帰りたいというなら、帰ってきたで、こき使えるわ。
私達のメイドとして。
あら、それもいい考えだわ。
でも、本当に貴族の愛人になっていたら、ルーンも諦めるしかないわよね。
そうなれば、私だけを見てくれる。
ふふっ。
夕暮れの光が、私達を照らしている。
劇場の前は、まだ人々で賑わっている。
でも、ルーンの心は、もうここにはない。
シャーリーのことで、いっぱいなのね。
まあ、いいわ。
会いに行けば、現実が分かるでしょう。
そうすれば、もう二度と、あの子の名前を口にしなくなるわ。
え!?
唐突に腕を離され、ルーンが大声を張り上げた。
劇場の外、夕暮れのオレンジ色の光が差し込む中、人々がざわざわと行き交っている。
華やかなドレスを着た女性たち、正装の男性たち。
その中で、ルーンの声が響いた。
それも、機嫌を悪くする根源の名前を、2人で初めて出かけたここで呼ぶなんて、やめてよ!!
「ルーン?シャーリーがいる訳ないでしょ」
苛立ちを顔に出さず、私はルーンに小さく呟いた。
このチケットは即完売の、人気の演劇なのよ。それをお父様にねだって、ようやく手に入れた貴重な演劇に、あの子がいるはずが無い。
「それに、あそこは貴賓席の方の通路よ。そこに・・・あっ!・・・そういうことかもしれないわね・・・」
少し意味深の言い方で、戸惑いを含めて、ルーンの腕に絡んだ。
貴賓席に座れるということは、つまり、そういうことよ。
あの子が自分の力で手に入れられる席じゃない。
誰かの力を借りている。
いえ、借りているというよりは、高位貴族の、愛人として席にいる。
そう考えるのが自然だわ。
だって、貴賓席は限られた上級貴族しか使えない特別な席。
あの子がそんな席に座れるなんて、理由は一つしかない。
「シャーサー・・・?」
ルーンの声が震え、顔を見ると、青ざめている。
目は、もう一度貴賓席の通路の方を向いた。
手が、小刻みに震えている。
良かったわ、私の言葉の意味を理解してくれたのね。
ふふっ。
いつもルーンは、シャーリーがそんな事はないと何度も言っていたけど、それを証明するもの何一つない。
だって、私もお父様も見に行った事もないし、行きたくも無い。
「・・・そうよね、ルーンがシャーリーを見間違うはずが無いものね。でも・・・貴賓席に座れるということは・・・」
言葉を濁す。
ほら、意味わかるでしょ?
ルーンの顔が、さらに青ざめ、唇が、わずかに震えている。
「・・・やはり・・・」
拳を、強く握りしめる。
「そんな・・・まさか・・・」
小さく呟く。
そうよ。
あの子は、もう汚れてしまったのよ。
ルーンは、俯き、肩が、小さく震えていた。
きっと、信じたくないのね。
でも、現実は現実よ。
そろそろ諦めて欲しい。
会う度にシャーリーは?シャーリーは?と心配そうに聞く。
もううんざりだ。
私達の婚約が、そろそろ決まるのに、たとえ妹だとしても他の女の名前なんて出して欲しくない。
それも、あんなグズで役立たずの女を気にするなんておかしいわ。
いえ、今は違うわね。
高位貴族の愛人として、身を売った女。
ルーンには相応しくない。
同じ顔をしているのにいつもオドオドしてみっともなくて、大っ嫌いだ。
「あら、シャーサー、ルーンと来てるの?」
偶然会った友人が、声をかけてきた。
ルーンは、まだ俯いたままだったけれど、私は、より体をルーンに付ける。
「ええ。どうしてもルーンと来たくてね」
ね、と微笑みながら顔を上げると、さっきまでの不安そうな顔が薄らぎ、嬉しそうにしてくれた。
私の声で、我に返ったみたい。
そうよ。あなたには私がいるのよ。
あんな女のことなんて、忘れなさい。
「そんな仲だったのね。じゃあお邪魔になるわね」
楽しそうに言うと、さよなら、と去っていった。
友人が去ると、また静かになる。
周りの人々の話し声だけが聞こえる。
ルーンはまた、考え込んいる様子で、目は、どこか遠くを見ている。
きっと、シャーリーのことを考えているのね。
「・・・ねえ、ルーン。一緒に、シャーリーに会いに行きましょうか。私やお父様が何度言っても、帰らないとしか言わないの。ルーンが一緒に行ってくれたら帰ってくれるかもしれないわ」
ルーンが、顔を上げる。
目に、決意の色が浮かんでいる。
でも、その奥に、不安も見える。
「・・・そうだね。このままじゃダメだ!」
吐き捨てるように言う。
拳を、さらに強く握りしめている。
きっと、確かめたいのね。
本当にシャーリーが、そんなことになっているのか。
「・・・そうね。早く助けてあげないとね」
早くルーンに諦めてもらわないと。
だって、借金のカタに捨てられたのよ。どう考えてもまともに生活出来ているわけがないわ。
まあ、どうしても帰りたいというなら、帰ってきたで、こき使えるわ。
私達のメイドとして。
あら、それもいい考えだわ。
でも、本当に貴族の愛人になっていたら、ルーンも諦めるしかないわよね。
そうなれば、私だけを見てくれる。
ふふっ。
夕暮れの光が、私達を照らしている。
劇場の前は、まだ人々で賑わっている。
でも、ルーンの心は、もうここにはない。
シャーリーのことで、いっぱいなのね。
まあ、いいわ。
会いに行けば、現実が分かるでしょう。
そうすれば、もう二度と、あの子の名前を口にしなくなるわ。
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