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第三話 第二章
第一節
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「ふむ、では1週間後。またこの部屋でお会いしましょう」
2日間、肉体の回復に努めた大和達。ミコを含め全員肉体的には完全に復調した。
そして各々…修行を行う為当てがある場所にそれぞれ分かれる事になる。
エイプリルとミコは大和と門司がそれぞれ預かり鍛錬を付ける事になった。
「大和と門司、晴菜は【演目】の強化・進化。私睦美とエイプリルは【演目】の体得。チェルシーは全員の支援。そしてミコは…」
「はいッ!【星】へ覚醒ですッ!」
各々でそう目標づけた大和達。
そうして各々の修行の場に向かったのであった。
「師匠。皆さん大丈夫でしょうか……それとチェルシーさんも……」チェルシーさんだけ…全員の支援とは大丈夫なのでしょうか?」
『無間回廊』内を歩きながら大和に問いかけるエイプリル。
大和達全員がレベルアップをしなければならない程、今回の敵はかなりの強さである。チェルシーもおそらくレベルアップが必要な筈なのに、全員の支援に回ってくれているという事に心配する。
そんなエイプリルの心配に問題ないように大和は返した。
「大丈夫だよ、アイツはアイツで俺達の知らない内に自分を鍛えているさ…アイツもそう言っていただろ?」
長年仕えてくれている大和だからこそ、そう確信できる。
「それよりも自分の事だけを考えていた方が良いぜエイプリル。猶予期間は約一週間しかないんだ……ここでレベルアップしないと今度こそ俺等は終わるぜ…」
「うぃ、頑張ります!」
おこがましかったと自己を反省し心配を頭の隅に置くエイプリル。気を引き締める。
とそこで気になることを大和に問いかけた。
「ところで師匠。我々は一体どちらに向かっているのでしょうか?」
「ああそうだった。門司とかはわかっていたけれど、エイプリルは知らなかったな……スマンスマン」
軽く詫びた大和。改めてエイプリルに向かって説明する。
「俺達が向かうのはとある隠居した【星】の【領域】。そこに居る【星】つまるところ俺のお師匠様に会いに行くんだよ」
「………………」
「ホイホイあんがとさん」
ファストとの手続きを終え、扉をくぐった大和とエイプリル。
くぐった先に現れた【領域】。それは日本の原風景のような景観であった。
波の音を響かせる果てしなく続く海岸線。隣接する程に近い山々。その中腹には幾つかの家屋や鳥居が建ち並びそれらを蛇行する道が繋いでいる。
現実離れしたものが多いのが【領域】であるが、ここはまるで現実の一風景を切り取ったようなそんな【領域】であった。
「何だかとても穏やかな【領域】ですね」
「だろ?本人曰く故郷の風景を出来る限り近づけたって言っていたからな…ほれ走ってもいないのに列車の線路が敷かれ踏切が鳴っているだろ」
そんなやり取りをしながら先へと進んで行く大和とエイプリル。
緩やかな砂利道の坂を上るとそこには一際大きな家屋が見えて来た。
「んじゃ、チョイといるかどうか見てくるわ」
「え?アポイントとかお取りにならなかったのですか?」
「そういうのあの師匠嫌いなんだよな…というか出来ないんだよ」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ。んじゃ行ってくるわ」
そう言ってエイプリルを残しスタスタと家屋の中に入っていった大和。
ポツンとエイプリルは家屋前に残された。
(それにしても師匠の師匠ですか……一体どのような方なんでしょう?)
強い大和の事を考えるとすごい方なんだという事は確信出来るエイプリル。
大和に以前に読ませてもらった某世紀末救世主伝説の偉丈夫のような外見を想像した。
「あらあら?」
「ぴッ!?」
そんな彼女に背後からかけられた声。驚いたエイプリルは急いで振り返る。
そこに居たのは一人の老婆であった。
少し着古した作務衣と草履を身に纏い。頭には手拭いを被っている。手にはたくさんの野菜が入った籠を抱えていた。
年輪の様にシワが刻まれた顔。少し曲がった腰がまるで枯れ木のような姿を思わせる。
だが大樹の様に根は深く広さを感じさせる。多くの時を渡り歩いてきたであろうことを察せられるそんな老婆であった。
「ここの人のお客様かしら?こんな可愛らしい娘が来る用事なんてあったかしら?」
「えっ!?あ…うぃ!!」
(この【領域】に住まう方でしょうか?『郷』のように大勢の方が暮らしている【領域】もあるでしょうから)
「実はここに住まう方に稽古をつけて頂きたく…し、呉成・大和さんと一緒に……」
「大和?」
「うぃ」
「…そうだったのぉ、わざわざこんな辺鄙な地にご苦労さま」
「いえいえそんな…」
「もし良かったら、まずはご飯を食べて行きなさい……婆ちゃんご馳走してやるから」
「えっ、でも私ここで人を待っておりまして…」
「良いから良いから」
朗らかに笑いながらエイプリルの手を引く老婆。力が強いとはとても言えないがまるで吸盤にくっついたように離れることが出来なかった。
「おーいエイプリル」
とそこで家屋の中から大和は出て来た。
「し、師匠…」
「今、留守みたいだけれど中で待っていようぜ~………あ……」
「それがですね師匠。今この方がご飯をご馳走すると仰っておりまして…」
「何だよもうエイプリルと会っていたのかよ師匠…」
「師匠?……師匠ッ!?」
「お久しぶりね大和ちゃん。そして初めましてお嬢ちゃん。私は舞園・三笠そこに居る彼、呉成・大和の師匠をやらせてもらった女だよ」
困惑し思わず素っ頓狂な声を上げたエイプリルに老婆はそう名乗った。
2日間、肉体の回復に努めた大和達。ミコを含め全員肉体的には完全に復調した。
そして各々…修行を行う為当てがある場所にそれぞれ分かれる事になる。
エイプリルとミコは大和と門司がそれぞれ預かり鍛錬を付ける事になった。
「大和と門司、晴菜は【演目】の強化・進化。私睦美とエイプリルは【演目】の体得。チェルシーは全員の支援。そしてミコは…」
「はいッ!【星】へ覚醒ですッ!」
各々でそう目標づけた大和達。
そうして各々の修行の場に向かったのであった。
「師匠。皆さん大丈夫でしょうか……それとチェルシーさんも……」チェルシーさんだけ…全員の支援とは大丈夫なのでしょうか?」
『無間回廊』内を歩きながら大和に問いかけるエイプリル。
大和達全員がレベルアップをしなければならない程、今回の敵はかなりの強さである。チェルシーもおそらくレベルアップが必要な筈なのに、全員の支援に回ってくれているという事に心配する。
そんなエイプリルの心配に問題ないように大和は返した。
「大丈夫だよ、アイツはアイツで俺達の知らない内に自分を鍛えているさ…アイツもそう言っていただろ?」
長年仕えてくれている大和だからこそ、そう確信できる。
「それよりも自分の事だけを考えていた方が良いぜエイプリル。猶予期間は約一週間しかないんだ……ここでレベルアップしないと今度こそ俺等は終わるぜ…」
「うぃ、頑張ります!」
おこがましかったと自己を反省し心配を頭の隅に置くエイプリル。気を引き締める。
とそこで気になることを大和に問いかけた。
「ところで師匠。我々は一体どちらに向かっているのでしょうか?」
「ああそうだった。門司とかはわかっていたけれど、エイプリルは知らなかったな……スマンスマン」
軽く詫びた大和。改めてエイプリルに向かって説明する。
「俺達が向かうのはとある隠居した【星】の【領域】。そこに居る【星】つまるところ俺のお師匠様に会いに行くんだよ」
「………………」
「ホイホイあんがとさん」
ファストとの手続きを終え、扉をくぐった大和とエイプリル。
くぐった先に現れた【領域】。それは日本の原風景のような景観であった。
波の音を響かせる果てしなく続く海岸線。隣接する程に近い山々。その中腹には幾つかの家屋や鳥居が建ち並びそれらを蛇行する道が繋いでいる。
現実離れしたものが多いのが【領域】であるが、ここはまるで現実の一風景を切り取ったようなそんな【領域】であった。
「何だかとても穏やかな【領域】ですね」
「だろ?本人曰く故郷の風景を出来る限り近づけたって言っていたからな…ほれ走ってもいないのに列車の線路が敷かれ踏切が鳴っているだろ」
そんなやり取りをしながら先へと進んで行く大和とエイプリル。
緩やかな砂利道の坂を上るとそこには一際大きな家屋が見えて来た。
「んじゃ、チョイといるかどうか見てくるわ」
「え?アポイントとかお取りにならなかったのですか?」
「そういうのあの師匠嫌いなんだよな…というか出来ないんだよ」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ。んじゃ行ってくるわ」
そう言ってエイプリルを残しスタスタと家屋の中に入っていった大和。
ポツンとエイプリルは家屋前に残された。
(それにしても師匠の師匠ですか……一体どのような方なんでしょう?)
強い大和の事を考えるとすごい方なんだという事は確信出来るエイプリル。
大和に以前に読ませてもらった某世紀末救世主伝説の偉丈夫のような外見を想像した。
「あらあら?」
「ぴッ!?」
そんな彼女に背後からかけられた声。驚いたエイプリルは急いで振り返る。
そこに居たのは一人の老婆であった。
少し着古した作務衣と草履を身に纏い。頭には手拭いを被っている。手にはたくさんの野菜が入った籠を抱えていた。
年輪の様にシワが刻まれた顔。少し曲がった腰がまるで枯れ木のような姿を思わせる。
だが大樹の様に根は深く広さを感じさせる。多くの時を渡り歩いてきたであろうことを察せられるそんな老婆であった。
「ここの人のお客様かしら?こんな可愛らしい娘が来る用事なんてあったかしら?」
「えっ!?あ…うぃ!!」
(この【領域】に住まう方でしょうか?『郷』のように大勢の方が暮らしている【領域】もあるでしょうから)
「実はここに住まう方に稽古をつけて頂きたく…し、呉成・大和さんと一緒に……」
「大和?」
「うぃ」
「…そうだったのぉ、わざわざこんな辺鄙な地にご苦労さま」
「いえいえそんな…」
「もし良かったら、まずはご飯を食べて行きなさい……婆ちゃんご馳走してやるから」
「えっ、でも私ここで人を待っておりまして…」
「良いから良いから」
朗らかに笑いながらエイプリルの手を引く老婆。力が強いとはとても言えないがまるで吸盤にくっついたように離れることが出来なかった。
「おーいエイプリル」
とそこで家屋の中から大和は出て来た。
「し、師匠…」
「今、留守みたいだけれど中で待っていようぜ~………あ……」
「それがですね師匠。今この方がご飯をご馳走すると仰っておりまして…」
「何だよもうエイプリルと会っていたのかよ師匠…」
「師匠?……師匠ッ!?」
「お久しぶりね大和ちゃん。そして初めましてお嬢ちゃん。私は舞園・三笠そこに居る彼、呉成・大和の師匠をやらせてもらった女だよ」
困惑し思わず素っ頓狂な声を上げたエイプリルに老婆はそう名乗った。
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