プライベート・スペクタル

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第三話 第二章

第二節

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「はいはいお菓子が用意出来たよぉ」
「おっ、あんがとさん」
そのまま客間に通された大和とエイプリル。
老婆、三笠が持ってきたお茶とお菓子を見て、畳に寝っ転がっていた大和は起き上がった。
「それにしても大和ちゃんがお弟子さんを取るなんてねぇ…時代の流れを感じるわあ」
「まあ成り行きで…だけれどな……婆ちゃんも壮健で良かったぜ」
「まあボチボチって言ったところだけれどねぇ……日々に衰えを感じつつ何とかやらせてもらっていますよ」
「どうだかな…」
「うぃ。しかし驚きました…まさか師匠の師匠がこのような方だったとは」
「あらやだ期待させちゃった?それならごめんねぇ……こんなひ弱そうな婆ちゃんでねぇ」
「いえいえ謝られる程の事じゃあ…」
ぺこぺこと頭を下げた三笠に必死で取り繕ったエイプリル。こちらが勝手に想像していただけなので非常に申し訳なく感じる。
(しかし…)
見れば見る程に三笠の強さを感じるエイプリル。所作の一つ一つ。それが穏やかに照らす日光や優しく身体を撫でる風のような雰囲気を常に身に纏い。周囲を常に和やかに変える。
過激さや威圧感ではない見えるものではない強さ…。
数多の取捨選択を繰り返したであろう至るある次元。
(身につけるには私にはまだ若過ぎます)
そうヒシヒシと感じるエイプリル。
「しかしそんな師匠の師匠にすぐに出会えたという事は僥倖ですね師匠。早速『龍桜』の強化ですか!?……もしよろしければ私にも色々と手解きをして頂きたいです!」
「あらそれは無理よ、出来ないわ」
「だな」
「うぃ!?」
あっさりとそれでいて同時に断った大和と三笠。予想外の返答にエイプリルは素っ頓狂な声を上げる。
その反応ですぐに気づいた三笠。すかさずフォローを入れる。
「いや違うのよエイプリルちゃん。エイプリルちゃんへの手解きはいくらでも喜んで見てあげるわ……出来ないのは大和ちゃんの方よ」
「師匠の……どうしてです?師匠の筈では?」
「確かにそうね……でもダメ」
「何故!?」
「大和ちゃんはもう皆伝の身だから…」
「つまるところもう技術面で教える事がもう無いってことだ」
「あ~…」
納得するエイプリル。
「基礎の部分の矯正をすることは多少は出来るわ。でも奥義とか新技は無理。そういう部分も含めて私は全て教えてしまったから」
「うぃ成程、物語とかでよくある「お前に教える事はもう何もない」を既になっていたという事ですね」
「そうそうそれ…大和ちゃん本当に真面目に全てを吸収していったから」
そんなやり取りをしつつ菓子を口に運ぶ三笠。湯呑から口を外した大和が捕捉する。
「それに俺の『龍桜』はそれを下地にした俺自身の改造版……師匠の教え新たに受けて形が変に崩れて弱体化する可能性もあるからな…」
「身体能力の方もよ、数々の修羅場を潜って来たのは身体つきを見ればわかるわ…多少の調整は出来るけれど。大きくは無理ね……」
「では何の為にこの場所まで来られたのです?」
「それはアレでしょ大和ちゃん。心技体三種その最後の一つ」
「ああ精神をちょいと鍛えようと思ってな…しばらく世話になるぜ婆ちゃん」
そう言って大和はお茶を飲み干した。


「それじゃエイプリルちゃん。エイプリルちゃんはエイプリルちゃんで始めましょうか?」
「うぃ」
修行が始まり主屋前の広場に連れてこられたエイプリル。
「あの師匠の師匠…師匠は?」
「婆ちゃんで良いよぉエイプリルちゃん。師匠の師匠って言いづらいし…私もそこまでの器じゃあないしね」
「うぃ。ではお婆…様?師匠は一体どちらへ?」
「大和ちゃんは離れの修練場にて精神修養よ。今は浮世全ての雑念全てを忘れる為に五体投地でぼぉっとしてもらっているわ」
「それで修行になるのですか?」
「あら意外と難しくて貴重なモノよ、まあ大和ちゃんなら問題は無いわ……それよりもエイプリルちゃんはエイプリルちゃんに集中!」
「うっ、うぃ!」
またおこがましいことをしてしまった恥じるエイプリル。自分の事のみに意識を向ける。
「それじゃ、まずはどれだけ動けるか見たいからちょっとした組み手をしてもらおうかしら…コレを使ってね」
そう言って三笠が持ってきたのは木製の人形であった。
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