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第三話 第三章
第十節
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「奴にダメージを与えるにゃあ、あの図体のみがデカいハリボテをひん剥いて直接叩く必要があるだろうな……」
「成程…」
「ひん剥いて、叩く。二役するにゃあちょいと骨が折れるが……幸いにもここには俺と嬢ちゃん二人いる。頼めるかい?」
「はい喜んでッ!私があの巨体から引き摺り出し、ダイヤさんが本体を叩くというわけですね」
「いや、野郎を叩くのは嬢ちゃんの役だ」
「えッ!?」
予想に反したダイヤの返事に白雪は思わず疑問の声が漏れる。
ここまでの戦闘。白雪がタークスにダメージを与えたのは二度。それもダイヤの援護や強化があっての事である。
先程の様にダイヤに強化を貰い、それで囮をしつつあの巨体を破る方が適任の筈だと感じた。
「ヘヘッ、確かに嬢ちゃんの疑問は尤もだ…だが先程殴りつけた際に野郎の動きが見えてしまってな…あのハリボテの中を野郎は動き回ることが出来るらしい。嬢ちゃんへの強化は一打で解けちまうもんだ。当てのない部分を粉砕してはかけ直しじゃあ…じり貧も良いってところさ、俺なら【演目】での応用で打撃によって奴の位置を探りだすことが出来る。都度の打撃で炙り出した方が効率がいい」
「成程、でしたら強化を貰い温存しつつ。ダイヤさんが出して頂いたところを叩くというわけですね」
「いや嬢ちゃんへの強化は無しだ。探知しつつの粉砕じゃあ流石にエネルギーの運用がカツカツだろうからな」
「それでは決定打に欠けてしまいますッ!?」
「いいや、ならねぇさ…だって嬢ちゃんはコツを掴んだろ?」
「ッ!?…確かに掴んだと仰いましたが、少しだけですッ!未だ本質とはとてもとても…」
「だったらコイツが本質を確実に掴む良い実践って事だな」
「ええッ!?」
ダイヤの声に戸惑いの声を挙げてしまった白雪。訓練も無くいきなり実戦での全力以上の要求に「失敗」の二文字が脳裏によぎり緊張してくる。
その様子を見てダイヤも白雪の心情を察した。
「嬢ちゃん」
「…………」
「試す気で行ってみな!」
「……ッ!?」
思いがけない言葉。サムズアップをしながらダイヤは笑みを浮かべる。
「嬢ちゃんに対して結構きついこと言っているのはわかるぜ。だからこそ嬢ちゃんが一皮むける絶好の機会だと思って行ってみな!」
「で、ですが…失敗してしまったら…」
「そん時はそん時だ!無様でも命からがらでも良いから逃げて次の策を考えりゃあ良い!……無責任になれとは言わねぇぜ、やるだけの事やってそんでダメだったらお上に「ごめんちゃい」って謝って済ませちまいな、俺も一緒に頭下げて土下座でもハラキリでもやってやっから!」
「…………」
「ここに手前の意思でいるなら一通りの訓練はしたんだろ?だったらあとは楽しんでみな!」
「……ッ!?」
その言葉に心臓の鼓動が跳ね上がった白雪。
緊張やプレッシャーもまだある。だがそれよりもヒミコに同じことを言われたからだ。
訓練を見に来られた際にヒミコが言ったことを思い出した。
『アンタ等には愛しい我が国日本を守る盾であり剣になってほしい』
『アンタ等にはふさわしい逆境をあげる。けれど無理をするな』
『アンタ等が失敗したら「ごめんなさい」とだけ謝っておきなあとは私が責任をとる』
『だからアンタ等、楽しんでみな』
「楽しんでみろですか……」
あの時は言われたが故に頷くだけであった。その後もそんなヒミコの為にと一生懸命であった。それ故に見失っていたのだろう。
今だからそれがわかる。
「ああ嬢ちゃんが成長するかしないかの一か八かの丁半だ!」
「賭けというわけですね…」
「ああそうさ…だが俺は勝負強いぜ、先の一件で百何年ぶりに張ったヤマがものの見事に的中したんだからな!」
「そして次は私にベットですか……中々に勝負師ですねダイヤさん」
「ヘヘッ…そうだろう」
そう言って笑ったダイヤ。白雪もその言葉と笑顔で同じように笑みを浮かべ覚悟を決めた。
「それじゃあ行くぜ嬢ちゃん!」
「はいッ!」
言葉と同時に飛び出した二人。飛び出すと同時に白雪は一直線ダイヤは変則的へと散開する。
『このタークスの邪魔をする存在は潰れてろォ!!』
【演目】『知恵の果実 スカーター・スコッター』
【演目】を演ったタークス。まるでスカートを翻すかのように巨体を振るい身に纏う瓦礫を散弾の様にばら撒く。
砲弾程の大きさの瓦礫が雨の如く飛来する。だがダイヤと白雪はその瓦礫の弾幕を弾き掻い潜りながらタークスの懐へと潜り込んだ。
「成程…」
「ひん剥いて、叩く。二役するにゃあちょいと骨が折れるが……幸いにもここには俺と嬢ちゃん二人いる。頼めるかい?」
「はい喜んでッ!私があの巨体から引き摺り出し、ダイヤさんが本体を叩くというわけですね」
「いや、野郎を叩くのは嬢ちゃんの役だ」
「えッ!?」
予想に反したダイヤの返事に白雪は思わず疑問の声が漏れる。
ここまでの戦闘。白雪がタークスにダメージを与えたのは二度。それもダイヤの援護や強化があっての事である。
先程の様にダイヤに強化を貰い、それで囮をしつつあの巨体を破る方が適任の筈だと感じた。
「ヘヘッ、確かに嬢ちゃんの疑問は尤もだ…だが先程殴りつけた際に野郎の動きが見えてしまってな…あのハリボテの中を野郎は動き回ることが出来るらしい。嬢ちゃんへの強化は一打で解けちまうもんだ。当てのない部分を粉砕してはかけ直しじゃあ…じり貧も良いってところさ、俺なら【演目】での応用で打撃によって奴の位置を探りだすことが出来る。都度の打撃で炙り出した方が効率がいい」
「成程、でしたら強化を貰い温存しつつ。ダイヤさんが出して頂いたところを叩くというわけですね」
「いや嬢ちゃんへの強化は無しだ。探知しつつの粉砕じゃあ流石にエネルギーの運用がカツカツだろうからな」
「それでは決定打に欠けてしまいますッ!?」
「いいや、ならねぇさ…だって嬢ちゃんはコツを掴んだろ?」
「ッ!?…確かに掴んだと仰いましたが、少しだけですッ!未だ本質とはとてもとても…」
「だったらコイツが本質を確実に掴む良い実践って事だな」
「ええッ!?」
ダイヤの声に戸惑いの声を挙げてしまった白雪。訓練も無くいきなり実戦での全力以上の要求に「失敗」の二文字が脳裏によぎり緊張してくる。
その様子を見てダイヤも白雪の心情を察した。
「嬢ちゃん」
「…………」
「試す気で行ってみな!」
「……ッ!?」
思いがけない言葉。サムズアップをしながらダイヤは笑みを浮かべる。
「嬢ちゃんに対して結構きついこと言っているのはわかるぜ。だからこそ嬢ちゃんが一皮むける絶好の機会だと思って行ってみな!」
「で、ですが…失敗してしまったら…」
「そん時はそん時だ!無様でも命からがらでも良いから逃げて次の策を考えりゃあ良い!……無責任になれとは言わねぇぜ、やるだけの事やってそんでダメだったらお上に「ごめんちゃい」って謝って済ませちまいな、俺も一緒に頭下げて土下座でもハラキリでもやってやっから!」
「…………」
「ここに手前の意思でいるなら一通りの訓練はしたんだろ?だったらあとは楽しんでみな!」
「……ッ!?」
その言葉に心臓の鼓動が跳ね上がった白雪。
緊張やプレッシャーもまだある。だがそれよりもヒミコに同じことを言われたからだ。
訓練を見に来られた際にヒミコが言ったことを思い出した。
『アンタ等には愛しい我が国日本を守る盾であり剣になってほしい』
『アンタ等にはふさわしい逆境をあげる。けれど無理をするな』
『アンタ等が失敗したら「ごめんなさい」とだけ謝っておきなあとは私が責任をとる』
『だからアンタ等、楽しんでみな』
「楽しんでみろですか……」
あの時は言われたが故に頷くだけであった。その後もそんなヒミコの為にと一生懸命であった。それ故に見失っていたのだろう。
今だからそれがわかる。
「ああ嬢ちゃんが成長するかしないかの一か八かの丁半だ!」
「賭けというわけですね…」
「ああそうさ…だが俺は勝負強いぜ、先の一件で百何年ぶりに張ったヤマがものの見事に的中したんだからな!」
「そして次は私にベットですか……中々に勝負師ですねダイヤさん」
「ヘヘッ…そうだろう」
そう言って笑ったダイヤ。白雪もその言葉と笑顔で同じように笑みを浮かべ覚悟を決めた。
「それじゃあ行くぜ嬢ちゃん!」
「はいッ!」
言葉と同時に飛び出した二人。飛び出すと同時に白雪は一直線ダイヤは変則的へと散開する。
『このタークスの邪魔をする存在は潰れてろォ!!』
【演目】『知恵の果実 スカーター・スコッター』
【演目】を演ったタークス。まるでスカートを翻すかのように巨体を振るい身に纏う瓦礫を散弾の様にばら撒く。
砲弾程の大きさの瓦礫が雨の如く飛来する。だがダイヤと白雪はその瓦礫の弾幕を弾き掻い潜りながらタークスの懐へと潜り込んだ。
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