プライベート・スペクタル

点一

文字の大きさ
111 / 170
第三話 第三章

第十節

しおりを挟む
「奴にダメージを与えるにゃあ、あの図体のみがデカいハリボテをひん剥いて直接叩く必要があるだろうな……」
「成程…」
「ひん剥いて、叩く。二役するにゃあちょいと骨が折れるが……幸いにもここには俺と嬢ちゃん二人いる。頼めるかい?」
「はい喜んでッ!私があの巨体から引き摺り出し、ダイヤさんが本体を叩くというわけですね」
「いや、野郎を叩くのは嬢ちゃんの役だ」
「えッ!?」
予想に反したダイヤの返事に白雪は思わず疑問の声が漏れる。
ここまでの戦闘。白雪がタークスにダメージを与えたのは二度。それもダイヤの援護や強化があっての事である。
先程の様にダイヤに強化を貰い、それで囮をしつつあの巨体を破る方が適任の筈だと感じた。
「ヘヘッ、確かに嬢ちゃんの疑問は尤もだ…だが先程殴りつけた際に野郎の動きが見えてしまってな…あのハリボテの中を野郎は動き回ることが出来るらしい。嬢ちゃんへの強化バフは一打で解けちまうもんだ。当てのない部分を粉砕してはかけ直しじゃあ…じり貧も良いってところさ、俺なら【演目】での応用で打撃によって奴の位置を探りだすことが出来る。都度の打撃で炙り出した方が効率がいい」
「成程、でしたら強化を貰い温存しつつ。ダイヤさんが出して頂いたところを叩くというわけですね」
「いや嬢ちゃんへの強化は無しだ。探知しつつの粉砕じゃあ流石にエネルギーの運用がカツカツだろうからな」
「それでは決定打に欠けてしまいますッ!?」
「いいや、ならねぇさ…だって嬢ちゃんはコツを掴んだろ?」
「ッ!?…確かに掴んだと仰いましたが、少しだけですッ!未だ本質とはとてもとても…」
「だったらコイツが本質を確実に掴む良い実践って事だな」
「ええッ!?」
ダイヤの声に戸惑いの声を挙げてしまった白雪。訓練も無くいきなり実戦での全力以上の要求に「失敗」の二文字が脳裏によぎり緊張してくる。
その様子を見てダイヤも白雪の心情を察した。
「嬢ちゃん」
「…………」
「試す気で行ってみな!」
「……ッ!?」
思いがけない言葉。サムズアップをしながらダイヤは笑みを浮かべる。
「嬢ちゃんに対して結構きついこと言っているのはわかるぜ。だからこそ嬢ちゃんが一皮むける絶好の機会だと思って行ってみな!」
「で、ですが…失敗してしまったら…」
「そん時はそん時だ!無様でも命からがらでも良いから逃げて次の策を考えりゃあ良い!……無責任になれとは言わねぇぜ、やるだけの事やってそんでダメだったらお上に「ごめんちゃい」って謝って済ませちまいな、俺も一緒に頭下げて土下座でもハラキリでもやってやっから!」
「…………」
「ここに手前の意思でいるなら一通りの訓練はしたんだろ?だったらあとは楽しんでみな!」
「……ッ!?」
その言葉に心臓の鼓動が跳ね上がった白雪。
緊張やプレッシャーもまだある。だがそれよりもヒミコに同じことを言われたからだ。
訓練を見に来られた際にヒミコが言ったことを思い出した。

『アンタ等には愛しい我が国日本を守る盾であり剣になってほしい』
『アンタ等にはふさわしい逆境をあげる。けれど無理をするな』
『アンタ等が失敗したら「ごめんなさい」とだけ謝っておきなあとは私が責任をとる』
『だからアンタ等、楽しんでみな』

「楽しんでみろですか……」
あの時は言われたが故に頷くだけであった。その後もそんなヒミコの為にと一生懸命であった。それ故に見失っていたのだろう。
今だからそれがわかる。
「ああ嬢ちゃんが成長するかしないかの一か八かの丁半だ!」
「賭けというわけですね…」
「ああそうさ…だが俺は勝負強いぜ、先の一件で百何年ぶりに張ったヤマがものの見事に的中したんだからな!」
「そして次は私にベットですか……中々に勝負師ですねダイヤさん」
「ヘヘッ…そうだろう」
そう言って笑ったダイヤ。白雪もその言葉と笑顔で同じように笑みを浮かべ覚悟を決めた。
「それじゃあ行くぜ嬢ちゃん!」
「はいッ!」
言葉と同時に飛び出した二人。飛び出すと同時に白雪は一直線ダイヤは変則的へと散開する。
『このタークスの邪魔をする存在は潰れてろォ!!』

【演目】『知恵の果実 スカーター・スコッター』

【演目】を演ったタークス。まるでスカートを翻すかのように巨体を振るい身に纏う瓦礫を散弾の様にばら撒く。
砲弾程の大きさの瓦礫が雨の如く飛来する。だがダイヤと白雪はその瓦礫の弾幕を弾き掻い潜りながらタークスの懐へと潜り込んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ
ファンタジー
 ハートとお気に入り登録、ぜひぜひお願いいたします!  ↓簡単なあらすじは''もっと見る''へ!↓  ここは、剣と魔法の異世界グリム。  ……その大陸の真ん中らへんにある、荒野広がるだけの平和なスラガン地方。  近辺の大都市に新しい冒険者ギルド本部が出来たことで、辺境の町バッファロー冒険者ギルド支部は無名のままどんどん寂れていった。  そんな所に見習い冒険者のナガレという青年が足を踏み入れる。  無名なナガレと崖っぷちのギルド。おまけに巨悪の陰謀がスラガン地方を襲う。ナガレと仲間たちを待ち受けている物とは……?  チートスキルも最強ヒロインも女神の加護も何もナシ⁉︎ ハーレムなんて夢のまた夢、無双もできない弱小冒険者たちの成長ストーリー!  努力と友情で、逆境跳ね除け成り上がれ! (この小説では数字が漢字表記になっています。縦読みで読んでいただけると幸いです!)

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

処理中です...