プライベート・スペクタル

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第三話 終章

第二節

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そうして決戦の日。
「うっし、まあこんなもんか…」
全ての準備を終えた大和。作戦室へと向かう。
作戦室には全員がすでに集合していた。
「おはようございます師匠!」
「遅いわよ馬鹿。寝坊でもしたの?」
「うんにゃ、ちょいと恰好がピンと来なくてな…」
「格好って…悩まなくてもいつも通りで良いじゃあない。現にそうだし…」
「いやいや、いつも通りでもしっくりこないというか、たまに違和感を感じる時ってあるだろ?アレだよアレ…」
「まあ経験が無いって訳じゃあないけれど……」
「わかります師匠!」
「同意しなくて良いわよエイプリル。調子に乗るから…」
頷いたエイプリルに晴菜はそう釘を刺す。
その様子を見つつもいつもの流れで脱線しかかっているので睦美は軌道修正を図る。
「イチャイチャはそこまでです晴菜、始めますよ…」
「なッ!?イチャイチャしてないしィいつも通りですしィ!!」
「ムキになっちゃてぇ~え…まあそういう所が可愛いんだけれどネ」
余計な事を言い流れる様に爆破された奴がいるが平常運転なので特に気にせず続けた。
「先の情報提供で存じ上げた通り、トワは欧州のとある活火山にいると言ってきました。おそらくそこが最終決戦の場となるでしょう」
「…いよいよですね……」
「全員一丸で臨むつもりですが、直接相対する前衛と直接戦闘には参加せず後方より支援する後衛の二つに分けるつもりです」
前日に決めた線決めである。トワ相手にある程度渡り合えるかで分けた。
直接戦闘する前衛はそのままの通りだが、後衛も多種多様な方法を以て前衛を支援する試みである。
「まず前衛ですが晴菜にエルマ、そしてモチロン馬鹿二号とさせていただきます」
「わかったわ」
「おっけ~♡」
「モチロン馬鹿って……」
まあ現状最高戦力だから仕方がない。呼ばれ方はあれだが頷く大和。
「…それ以外のメンバーは後衛と致します。ある程度コチラで考案した援護方法で支援致します。エイプリルにミコ、チェルシーも良いですね?」
「うぃ!」
「はい、了解です!」
「かしこまりましたぁ」
エイプリル達も同じように頷く。
「GOOD。では取りかかると致しましょう」
話を取りまとめた睦美。こうしてこの戦い最後の大一番が始まったのであった。

『無間回廊』を用いて目的地まで向かった大和達。火山山麓のロープウェイ駅の扉から現れる。駅には人は誰も居らず静かであった。
『現地政府との協力でこの場一帯の人を退避させたようです。さらに登山道全ても封鎖済み。これでトワとの戦いへの巻き沿いは無いでしょう』
「いや、どうやら政府の協力だけじゃあなさそうだぜ…」
窓より火山の方角を覗く大和。山頂火口付近から黒煙が延々と立ち昇り、雲と混ざり不気味な空を醸し出す。
さらに微小な地震が断続的に続いていた。
「こんなこの世の終わりみたいな景色。どう見てもヤバい状況だって理解るからな、自主避難をいた連中も多いんじゃあねぇか?」
「確かにそうかもしれないわね」
火山活動の明らかな活性化。偶然なんて言葉は寝言戯言にしか受け止められない。
どう考えてもトワの『恒威の儀』であることは間違いなかった。
『ふむ、火山なんてまんまな舞台ですからね……場所の時点である程度想定も出来ていたのは僥倖か否か…』
「あぁ、兎にも角にもさっさと行こうぜ」
ここに長居してもあまり意味はないと山頂に向かい始める大和達。
動いてはいないがロープウェイの架線を利用し一気の昇る。
そのおかげか山頂へはあっという間に到着した。
「あれは…」
到着と同時に目を引く光景が飛び込んでくる。
なんと火山上空、火口のちょうど真上に舞台があったのだ。
平面で八角形の形をしたキレイな舞台。まるで蓋をできる巨大な瓶の王冠のようである。
仕掛けも何もない平面状の舞台の上。そこに…。
「フフフっ、ようやく来ましたね……」
トワは待っていた。
自らが作り上げた玉座なのか、そこに深く腰掛け不敵な笑みを浮かべている。
「ああ、待たせたな」
「時間を操る力があるとはいえど、待つのがこれほどまでに長く感じたのは初めてです。まるで悠久のように感じましたよ…」
「そいつは悪かったなァ…だがおかげで更に楽しめる筈だぜ」
「ええそうでしょう…まるで熟成された洋酒ブランデーを開ける様に今ワクワクしておりますよ」
楽しそうにそう言ったトワ。瞬間、彼女から発する威圧感が増す。
大和達は即座に臨戦態勢を取った。
「そう慌てなくても大丈夫ですよ。街に遊びに向かう少女のようにワクワクしてはおりますが、実は私、まだあの時に感じた不調が続いているのです」
「なんだよ手加減の申し出か?悪ぃがその申し出は一切受け入れねぇぜ、降伏宣言なら話は別だけどな…」
「フフフっ、そんな戯言死んでも吐きませんよ。私が言いたいのはそのため少々前座を出すとのことです」
指を鳴らしたトワ。すると何やら結晶のようなものが現れる。
今立っている舞台と同じモノだ。砂粒のような結晶は集まり始め何かを形作り始める。
「私は時を手にかけることが出来ました。自分のみならず万物ありとあらゆるものまで…その過程でとあるモノも見ることが出来ました」
周囲から吸収しドンドンと大きくなっていく結晶。まるで雪原で雪玉を転がすかのように際限なく巨大化していく。
すでにその大きさは大和たちを優に越していた。
「その見れたものは。その土地の過去……その場で起こったありとあらゆる出来事を私は復元できる。気候や災害、そして過去に隆盛した生物すらも……」

【演目】『時獄 衆合転生リィンカネーション

そうして集まり現れたのは巨大な恐竜。結晶の肉体を持った太古の支配者の姿であった。
『GUGYAAAAAAAOOOOOOOOOHHHHHHHHHH!!』
「ちょ、ちょっと…そんなんあり!?」
『過去の出来事すらも手にかけますか!本当に【星】とは違うモノへとなりかけているのですね』
能力のあまりの無法さに晴菜と睦美は思わずそう漏らす。
「性能も【星】を圧倒できる程に盛っておりますよ。復元したそのままの身体能力は芸がありませんので…」
トワが指し示すと恐竜は大和へと殺到する。当然創作物フィクションを除いて実際に見たことはないが、その速度は常軌を逸してる程に速い。
まさに【星】へと覚醒した恐竜である。
頭から豪快に噛みつこうと顎を開けた恐竜。だが……。
「オラァ!」
掛け声とともに振るわれた大和の一撃にあっけなく結晶片へと戻った。
「こんなちんけな前座に時間をかけたくないんだ。おら来いよトワ……もったいぶらずに遊ぼうぜ」
「フフフっ…そうですね」
招くようなジェスチャーを見せた大和。
その様子にトワは笑みを浮かべると玉座より立ち上がった。
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