プライベート・スペクタル

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第三話 終章

第三節

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立ち上がったと同時に動く大和。
『龍桜』の強化形態『龍式雷龍』を演い。文字通りの雷速でトワに接近する。
そして牽制を交えつつトワの後頭部へ蹴りを叩き込んだ。
しかし、時間停止によりあっけなく躱され反撃で振るわれた手刀。力技で解除すると即座に防ぐ。
そのままトワを足場に跳躍し大和は距離を取った。
「初めて体感したわ、一瞬で何行程も進んだような感覚。これが時間停止!」
「あぁ実際に体感すればわかると思うが、エグいだろ?」
晴菜も認識出来たようだ。少し心配したが杞憂のようで何よりである。
一方、エルマの姿がいつの間にか消えていた。
「―ッツ!!?」
停止が解除された直後、トワの足元に人型の何かが纏わりつく。
尾を引くほどに粘度の高いドロドロの物体はチーズであった。
「脳が理解を拒む得体のしれない攻撃。御堂・エルマですか!?」
「その通りエルマさんぞよ!!」

【演目】『WITCHCODE:CHAOS QUEEN DEATH』

「遥か昔のお話でチーズが頭に当たって死んだ女王様がいたんだって!」
巨岩ほどの大きさのチーズを抱えながらそう言ったエルマ。重力による自由落下で
トワに叩きつけようとする。
「チーズで死んでしまったなんてよほどお茶目な方だったのね♡」
「えぇとても茶目だったのでしょう。私は死んでもゴメンですが…」
トワが手を振るうと地面よりマグマが噴き出す。文字通りの横やりにチーズはドロドロに溶かされ地面に落ちる。
かと思えば今度はそのドロドロのチーズが弾け飛ぶと共にポップコーンへと変わた。
降り注ぐポップコーンの雨。トワに触れるとパンパンと爆ぜる。
するとトワの腕はぬいぐるみの様なフェルトと綿の塊へと変わった。
力が急激に抜けるトワ。ぬいぐるみの様な四肢のままチーズの沼に引き摺り込まれかける。
だが…。
「フフっ、全く予想のつかない攻撃…ですが…」
力を込める様に四肢のぬいぐるみ化を解除したトワ。
さらに手刀と時間の加速によりトワは拘束を脱する。
「ありー??」
「本当楽しませてくれますね」
「えらく余裕ぶった発言ね!」
加速するトワと同じ速度で続く晴菜。先の戦いで披露した『炎装』を展開しトワへと肉薄する。
「アンタにはもうすでに追いついているの。その勝ち誇りえらぶったにやけ面、直ぐに蒼白に変えてあげるわ!!」

【演目】『爆炎 炎壊 ヘルグローリー』

顕現させた焼夷弾を至近距離から叩きつける晴菜。巨大な火柱が上がりトワを飲み込んだ。
「ええ楽しみにしておりますよ。こういうのは滅多にない事ですし」
だが無傷だったトワ。おそらく周囲の時間を停止させたことで見えない壁のようなものを作り炎を防いだのだ。
「それにえらぶった発言ではありません……私は偉大なのです」

【演目】『時獄 辺極リンボ

指鉄砲の形を作り「BANG」とジェスチャーをとったトワ。瞬間、結晶で構築された矢がまるで弾雨のごとく降り注ぐ。
(戦の記録ッ!?)
中世辺りの過去を掘り起こしたのだと即座にそう推測した晴菜。炎の壁を創り出し防ごうとする。だがあまりの物量と先程の恐竜と同様強化されているのか、一気に削り取られ穴だらけになる。
何とか防ぎ切ったが、『炎装』で身に纏ったドレスが無ければどうなっていたかわからない程であった。
さらにそれに乗じ目の前までいつの間にか近づいてきたトワに掌打を打たれ晴菜は吹き飛ぶ。
「それぐらい想定済みよ!!」

【演目】『爆炎 炎壊 縛術 ATボム』

ダメージを受けつつもそう叫び炎で出来たコードを引っ張った晴菜。その先にはトワの身体に爆弾が絡みついており全てのピンが引き抜かれる。
炸裂した炎の爆弾。だがその【演目】のみで終わる事はない。立て続けに演じる。

【演目】『爆炎 炎銃 イーグル 爆縮』

弾丸へ炎を過剰に充填することで創り上げる特殊弾『爆縮弾』を用いての銃撃。
大人程の大穴を開けることが可能な威力を出血大サービスとばかりに大量に叩き込んだ。
「さあどぅかしら!?」
叫ぶ晴菜。立ち上る黒煙に地面の結晶が砕けクレーターが出来るほどの威力、相当量の破壊を叩き込んだはずである。
だが時間停止による防御がどのようなモノかわからない。次善の手をキッチリと準備し様子を見る。
黒煙が晴れた先、そこには身体の一部が穿たれ穴の開いたトワの姿があった。
「うぇ~、おぞグロぉ!?」
その光景に思わず叫んだエルマ。肉が焼けたことにより出血は無いが、千切れかかった腕や腸が重力に敗北し無惨にも垂れ下がっている。その千切れ具合は何とか食おうと口と箸の狭間で難儀している安物の固い肉言えば想像しやすいだろう。
通常なら致命傷ともいえるダメージ。
だがトワは……。
「フフっ、流石にあの至近距離は防げませんか」
と笑顔を交えつつ事も無げに呟く。瞬間、逆再生するかのように傷口が塞がり始めた。
「…ッ!?」
(本当、最早【星】だったとは決して言えないわね……)
化物のようなトワの様に冷や汗を一筋垂らした晴菜。人間どころか【星】すら辞めたのは理解していたが、その理解もあまりにも希望的観測に過ぎなかったと認めざるを得ない。
その間にも千切れかかった腕は元に戻り腹の穴は塞がる。あっという間に攻撃を受けた前の姿まで復元された。
「フフっ、良いモノを体験させていただきました。でしたら今度はこちらの番です」
言った瞬間姿が掻き消えたトワ。僅かに視界の端に衣服の軌跡を捉えることが出来たから、時間の加速による超高速であると晴菜は理解する。
消えるほどの超高速の残像よりおそらく攻撃であろう振るわれる何か。咄嗟の直感で晴菜は身を捻る。
何とか躱すことが出来たが掠った頬からは血が噴き出した。
『晴菜ッ!!?』
「運がいいですね…さあもう一度躱して見せてください」
再び晴菜に攻撃を仕掛けるであろうトワ。目の端しか追えないほどの残像はまるで死を呼ぶ漆黒の風のように晴菜へと吹き荒ぶ。
そんな中、晴菜は何と目を瞑る。
瞬間、何かが爆ぜる音。それと同時に吹き飛ぶ人影。
それは何とトワであった。
炎の拳銃。その銃床で晴菜はトワを思いっきり殴打していた。
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