装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

本編

４９０ ポチと一緒に学校へ

「では、暇でしたらすぐにお越しいただきたいとのことで、さっそくお願いしますね」

「あっはい」

　日程を決めたりするのでは、と思いきや。
　依頼を受けた即日にはきて欲しいとのことだった。

　俺が予定入ってたらどうするんだって話。
　まあ、暇だから依頼探しにギルドにいるんだけど。

「なんだか学校行くのも久々だな、ポチ」

「アォン」

　さらに、こうしてポチと二人っきりで行動するのも久々である。
　デプリからトガルに逃げてくるまでは、ずっとポチがいた。
　命の危険を感じた時、召喚された時からポチはずっと俺の隣だ。

　これはもう確定事項。
　世界がどれだけ変わろうと、唯一変わらないことの一つ。

「ポチほら、抱っこしてやる」

「アォン……」

　いきなりなんだと眼を細めるポチだが、満更でもなさそうだ。
　抱っこする俺の胸に体重を預けてくれる、もふもふ。

「そういや、今回の依頼って俺個人だからイグニール達はお預けだ」

「アォン？」

「みんな一緒じゃなくて良いのかって？」

　確かにそうだが、薬草とか鉱石の納品依頼などをやってもらえれば良い。
　最近いろんなところを飛び回り過ぎた。
　行っても面倒ごと、帰ってきても面倒ごと、そんなことが多い。
　みんなゆっくりするのは大事なことだと思うのである。

「休憩は必要だよな？　まあ、今は飛空船の製作に奔走だよ」

「ォン」

「寄り道しながらだけど、そろそろ本腰入れなきゃだしな！」

「アォン！」

　遠出は、飛空船が完成してから！
　それまでは、ギリス国内からできるだけでないようにする。

　ヒヒイロカネの追加注文が来ることだってあるかもしれないし。
　Ｃ．Ｂファクトリーはなんだかきな臭い動きをしているし。

　できるだけすぐに動ける状態を作っておかなければならないのだ。
　学校行って適当に過ごして２０００万ケテル。

　でかい、デカすぎるぞ！

　お金の出どころがＣ．Ｂファクトリーってところがポイントだ。
　大金をそんなところに使って、信仰装備の対象を学生にもする気か？
　色々と裏で仕組まれた何かがありそうだが、まとめて潰しましょうね。

　平和を守るとか、そんなつもりはさらさら無いけど。
　ライデンとか、オスローとか、マイヤーとか。
　俺の知り合いが事件に巻き込まれかねないならば、阻止するぞ。
　邪魔するぞ。

「さて、ついたな」

「ォン」

　ポチを抱っこしたままソレイル王立総合学院の門を通る。

「久しぶりですねトウジさん、今日はどうしました？」

　何度か見たことある警備の人に呼び止められた。
　ライデンいじめ事件の時に、俺が遅刻理由の説明をした人でもある。

「依頼ですよ」

　挨拶しつつ、ギルドから発行された許可証を出した。

「ああ、なんだか聞いてますよ。課外授業に冒険者の方を呼ぶとか」

「これから１ヶ月ほどよろしくお願いします」

「１ヶ月も！　長いですね？」

「色々と見たり感じたりするには、それくらいの時間が必要なんだそうですよ」

　詳しい話は学校で、とのことだ。
　やれと言われたことを頑張ろうと思う。
　金もらってるし。

「そうだ、これ差し入れです」

　俺は適当な世間話をしつつ、警備の人に串焼きを差し出した。
　ここに来るまでにポチと一緒に買って食べ歩いて来た残り。
　これから１ヶ月も顔をあわせることになるんだから、差し入れくらいはしておいた方がいいだろう。
　教職員の人間関係の中で耐えるためには、一人でも味方を作っておいた方が良いと思うのだ。
　色々と懸念すべきこともあるのだから……。

「いいのかい？」

「ええ、これからよろしくお願いします」

「おおっ！　なら警備のみんなで食べるよ！　ありがとう！」

「どういたしまして」

「何か困ったことがあったら、俺たちにできることは相談してくれ」

「はいー」

　そんな感じでにこやかに手を振りつつ俺は門を抜けて、学院の敷地内へと入った。
　ソレイル王立総合学院は、ギリス屈指の学校。
　敷地内ももちろんでかく、門を通って学校まで噴水付きの芝生公園を抜けねばならない。
　道に敷かれる煉瓦の一つ一つも、なんだかわからないけど高級感が漂っている。

　貧乏性だから、こういう高級感あふれるものにはビビリがちな俺だけど。
　もう何度か足を運んでいるので、今の俺は特にキョドることもなく普通だ。
　最初の頃はキョロキョロしまくって笑われたよ……。

「確か、着いたらアシュレイ先生だっけ？」

「ォン」

　依頼を確認する俺の問いかけに、ポチが頷く。
　アシュレイ先生は、オーガを倒した時に近場にいた先生。
　メガネをかけた妙齢の女性だった気がする。

　ちなみにおばちゃんじゃなくて。
　普通に俺より若そうな先生である。
　その先生が、今回俺が何をすればいいか教えてくれるそうなんだが……。

「あれ、職員室どこだっけ……」

　すぐにマップ機能を呼び出して場所を確認する。
　学校ってなんかこう覚え辛い地形してるんだよな……。

「どうしましたー？」

「ん？」









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