装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
209 / 650
本編

510 教団の手の者

しおりを挟む

「──はい、お疲れさん」

「ギュアッ」

 超速飛行を終えて「ふう」っと翼で汗を拭うそぶりを見せるワシタカくんを戻す。
 その「ふう」ってそぶりだけでも、かなりの風圧が裏庭を駆け抜けるからやばい。
 これは突然傾く裏庭の木々って感じで、新たな七不思議になりそうな予感。

 水島のヌルヌルは、後で掃除すれば証拠隠滅になるけど。
 さすがに木はなあ……?
 まあ、害はないので気にしないことにした。

 それにしても、しばらく上空を見ていたが……。
 超高度から時折ポロっとこぼして、地面ギリギリのところで拾ってまた上空。
 それを繰り返すワシタカくんの姿は、なんとも言えない何かを感じた。

 わざとだよな?
 飛ばし過ぎて普通に落としたとかだったら、乗れなくなっちゃう。
 たまには陸路も、趣があって良いかもしれないと思った。

「さてと……ほら起きろ」

 すっかり白目を剥いて悲惨な状況になっているフード男を叩き起こす。

「ぐ、う……あああああああああ!? 空がああああああああ!!」

 目覚めたフードの男は地面で折れた手足をバタバタさせながら暴れていた。
 ワシタカくんによって相当なトラウマが刻まれてしまったようである。
 くわばらくわばら。

「ほ、星が近い! 地面が迫って、あああああ! 股間がああ!!」

「……股間が? いったいどうしたし?」

「男は浮遊感に弱い生き物なんだよ」

「そっかー」

 ジュノーはボケーっとした表情で何気なく言う。

「トウジも空弱かったもんね? 股間大丈夫?」

「……」

 股間大丈夫、と聞かれてなんと答えようか一瞬迷った。
 これは天然か、それともギャグで言ってるのか。

「大丈夫大丈夫、問題ない」

「ほんと? 年取るとダメだってイグニールが」

「もうその話題はいいよ」

 いったいジュノーに何を教えたというのだ、イグニール。
 ガールズトークで夜な夜な盛り上がりを見せるというが……少し心配になった。

 まあ、カニに挟まれたり怨嗟の鎖に執拗に狙われたり色々あったけど、元気です。
 やはり、しっかり強化し潜在能力を兼ね備えたユニークパンツがあったからこそってもんだ。
 インナー系装備は、普通の装備よりもしっかり強化しておくに限る。

「あああああああ! あうっ、ああああああ!」

「うるさいなあ」

 その間も、ずっと悲鳴とともに手足をばたつかせるフード男。
 気絶から復帰して、すぐ錯乱とともに過呼吸だ。
 俺が想定していたよりも、紐なしバンジーは精神を破壊してしまったらしい。

「落ち着いて落ち着いて、もう地面だから、地面だから」

 再び気絶されたら面倒なので、落ち着かせるべく声をかけて上げる。
 まったく。
 ピーちゃんをいじめていた悪ガキを見つけ次第。
 このフードと同じような目に合わせるつもりだったのだけど。
 これはさすがにやり過ぎてしまうので、別の方法を考えるか。

「……へ? じ、地面? よがっだあああああ!」

 へし折れた腕を動かして裏庭の土を握りしめるフードの男。
 激痛にも勝る恐怖。
 それが本気のワシタカくんの実力である。

「ってことで、本題に入るけど誰の差し金? 何が目的? 全部はけ」

「……く、それは……」

「また空行く?」

「わ、わかった! わかった俺が知っていることは全て話す! 全て話す!」

「よし、話せ」

 特殊な訓練を受けたという割には、なんともあっさりとしたものだった。
 それでもプロか?
 ちなみに、情報を履けば死ぬような毒が仕込まれていたとしても無意味。
 怪しげな動きをすれば、すぐに霧散の秘薬と回復の秘薬を使ってやる。

「だが、俺が知ってる情報なんて、役に立つものばかりじゃないぞ! 下っ端中の下っ端だからな!」

「嘘つけ」

 レベル79の野郎が下っ端な訳がない。
 さらに巡回中、何度も水島がエコーロケーションを行っていた。
 その中で、一切気づかれずに不意打ちができるのは強者の証。

「もう一回、空飛ぶ?」

「わ、わかった! 話す! 話すから!」

 そんな訳で、フードの男は自分の持つ情報を洗いざらいぶちまけた。
 上にいる立場の個人名とか、プライベートな情報はさすがにない。
 だが、デプリにいる勇者と教団の繋がりと今回の命令。
 そしてデプリ国内での俺の立場というものを、詳しく知ることになる。

「トウジが……犯罪者……? 意味わかんないし!」

「うむ、盟主を罪人扱いとは……至極胸糞悪い話だ」

 述べられた話を聞いたジュノーとロイ様が険しい顔つきを見せていた。

「まあ、とりあえず落ち着いて二人とも」

 情報についての精査は、落ち着いた頃にやるとして……。
 まずはこの男の処分からである。

「ワシタカくん」

「ギュアッ」

 再び召喚したワシタカくんを前に、フードの男が「ひっ」と悲鳴をあげた。
 超高度からの紐なしバンジー連発がフラッシュバックしたか。

「じょ、情報は全て話した! ほ、ほほほ本当だ! だから空はやめてくれ!」

「空はやめるとして、どうすんの? 普通に死ぬ感じでいいですか?」

「なっ!? かっ、解放してくれるんじゃないのか!?」

「アホか。お前、人の命狙って来といて、何言ってんだ」

 この男は、俺の予想通り暗殺者の一人だった。
 もっとも、敵情調査が優先だが、隙があれば殺してもいいとの命令を受けている。
 そんな奴を前にして、のこのこと逃すはずがない。
 逃したら、情報が割れてさらに厄介な敵が来てしまうことが確定なんだから。

「ま、待て! 捕まった時から覚悟はしている! だ、だが、そ、空はやめてくれ!」

「オッケー」

 空が嫌いだってことで、そのご要望にお応えしてあげることにした。

「ワシタカくん」

「ギュア?」

「こいつ、ギリス北部の沖合に捨ててきてくれ。ダンジョンの近場で」

「──なっ!? な、なにを!!」

 焦った表情をするフードの男。

「海に落としてあとは放置するんだから、空じゃないぞ?」

 さらに言えば、これはわざわざ見逃してやっている範疇に入る。
 生き残れるかは、こいつ次第って奴だ。

「空じゃないか! 貴様騙したな! 教義に背き、碌な人生を送れんぞ!」

「ワシタカくん、高度さっきより高くで」

「ギュア」

 余計な一言で、ただでさえ低い生存確率が極めてゼロになった。
 見苦しくて不愉快なのでさっさとこの場から消え去ってもらう。

「すまんなワシタカくん、面倒な役目を押し付けて」

「ギュア」

 俺の言葉に首を横に振ったワシタカくんは、男を掴んで空へと飛んだ。

「き、貴様ああああ! くそおおおおお!」

 ちなみに、HPが見えるようにグループ機能には突っ込んでおく。
 これにより落下ダメージ半減だが、それは俺の優しさってことで。

しおりを挟む
感想 9,839

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。