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本編
511 マーキングされていた事実
さて、宿直業務も全て終わって家に帰ることにした。
サモンモンスターは家にいるポチ以外を戻して、ジュノーを肩に乗せて帰路を歩く。
保護したハイオークのピーちゃんは、俺の腕の中で寝息を立てていた。
「ピーちゃん、寝ちゃってるし」
「まあ魔物に襲われかけてたんだし、当然だろ?」
「その原因って、あのフード男じゃなくて学生なんだし?」
「うん、そうだって聞いたけど」
「許せないし、どうするし? 倒すし?」
「いや、倒しはしないけど……」
もしおいたが過ぎるようだったら折檻は行う。
俺は人の家の子供でも容赦しないで怒るタイプなのだ。
いやむしろ、いたずらが過ぎる子供は親が甘い。
だったら恐怖の存在として、誰かが叱らないとね。
「さて、帰ったら寝るかー」
首を鳴らしながら大きく息を吐くと、
「ああっ!」
ジュノーが何かを思い出したように声を上げていた。
「どうした?」
「マクラス死んじゃった! どうしようトウジ!」
「あー」
確か俺が宿直で仮眠できないかもって思って持って来たんだよな。
そんでもって、魔物と間違えて真っ二つにしてしまったのである。
ああ、それなりに長く愛用していた枕だったのに、マクラス。
「まあ、新しいの買えばいいよ」
愛用し、思い入れがあるかと言われれば、別にそうではない。
つーか、ジュノーが食べたクッキーのカスとか。
パンケーキのカスとか、クリームとか、よだれとか。
その他様々なジュノー産の何かによって汚染されていた。
……替え時である。
洗濯しても、落ちないシミとかあったんだよなあ。
「えー、なんとか直せないし?」
「あの枕のどこにこだわる要素ある?」
「愛用してたあたしのベッドだし!」
「俺の枕だし」
「あと、長い月日をかけてマーキングしてきたんだし」
マ、マーキング?
獣か、こいつ。
「お漏らしとか、マジで許さんからな?」
「そ、そそそ、それはしないし! 故意ではないし!」
「は? 故意?」
「レ、レレレ、レディに何を言ってるし! バカ! アホ!」
いや、レディはマーキングなんて行為はしないと思うのだが?
あ、いや……するか。
レディもジェントルマンも人間、そして人間だって動物だ。
占有したい思い、独占欲というものは常に働いている。
ポチの料理ともふもふは俺のものだ、常に俺がその存在をもふれる位置にいたいと言う独占欲。
さらに、せっかく全てを知るイグニールを他のパーティーに絶対に渡したくないと言う独占欲。
そんな感じの独占欲が、俺の枕にもあったのだろう、と察した。
しかし、いったいどこでそんな知識を仕入れてきたと言うのだろうか?
「マーキングだなんて言葉誰から教わったんだ?」
「ポチ」
「あっはい」
ポチ、何を教えてるんだ!
密かにガールズトークに参加していたっていうのか?
オスなのに?
まったく。
でもコボルトだから、犬の魔物だから……仕方ないね!
あんなに可愛くて有能なポチにも一応本能のような部分だってあるのだ。
アイドルはう●こしない、ってよく言うけど、する。
それと一緒である。
「とりあえず枕買い直すついでに、ジュノーの分も買うか?」
「それは嫌だし」
「なんで?」
「トウジの使ってる枕じゃないと嫌っ!」
「ええ……」
「でも別に汚くしてる訳じゃないから、そのくらいは許すし」
「いや、汚くしてるんだよ、実際」
「?」
首をひねって馬鹿かこいつ。
100歩譲って、俺から枕を奪うことを許そう。
だが、その上で寝る前にクッキー食べて放置したり、飴舐めて放置したり。
食い物のカスを放置して行くのだけはやめろと言ってるんだ。
お前に俺の気持ちがわかるか?
寝起き、ポチが作った大学芋がカチカチになって髪の毛にくっついてる時があったんだぞ。
どこぞの少女漫画みたいにな。
「とにかく枕は譲れないし!」
「はいはい」
何を言ったところで変わらなそうだから、枕のクリーニングは欠かさず行うことにしよう。
この際、枕カバーを色々と購入して、寝る前にお好みでつけれるタイプにするのはどうか?
だったら、常に洗濯して置いた枕カバーで健やかなる睡眠を得られる。
太陽の樹の側で干してれば、太陽の香りみたいな感じになってリラックスできるからね。
あ、でも、その香りって、ダニの死骸だっけ……?
多分違うな、太陽の樹の匂いだな、うん、それだ。
「ねえ、帰ったら新しい枕で一緒に寝るし」
「ん? まあ、いいよ。なら大き目の枕を買って帰るか」
「わーい!」
一緒の枕で寝る、これがカップルとかだったら胸熱展開だな。
このあのめちゃくちゃってやつだ。
しかし、ダンジョンコアのちんちくりん。
そんな展開なんて全くないので、ど健全なのである。
さて、マーキングと言えば、で無理やり話を繋げるのだけど。
俺はついに勇者召喚国であるデプリにもマーキングされていた。
フードの男から得た情報によれば。
どうやら俺は、デプリから裏で指名手配されているらしい。
犯罪者とか、なんとか言われていた理由がそこにある。
俺はスキルを偽証し、勇者としての責務を放棄して逃走した。
そんな大罪人であると認識されているようだ。
いやいや追い出したのはそっちだろうが、と思うのだけど。
やはりまだ冒険者の寄生中をやっていたあの時。
俺を狙って急に城下町へと兵士がやってきたのは、そんな理由だったようだ。
まったく、穏便に話し合いて解決とかするつもりはないのか。
なんとなく、どこからも上から目線で使い潰そうって魂胆が見えていた。
そしてそれが叶わなかったら、殺してしまえと言う事だろう。
フードの男が、良い例だ。
まあ、裏の情報として国際的に指名手配されてないのは不幸中の幸い。
どうやら、勝手に勇者を召喚し、勝手にそのうちの一人を追放した。
これは召喚国としては、かなりの黒歴史。
デプリは是が非にでも、そこを露見させずに終わらせたいようである。
「……はあ」
「ため息ついてどうしたし?」
「いや、疲れたな、と思って」
今までは勝手に勇者の因果が絡んでくるだけだった。
が、しかし。
ついにそこに国が絡んで動き出した、と見て良いだろう。
面倒臭いことになった。
対応に気疲れしてしまいそうだよ、これ。
「疲れてるなら、抱きしめてよしよししてあげよっか?」
「……頼むわ」
「よしよーし、ウルトラジュノーヒール!」
「……静かに頼むわ」
髪の毛で遊ばれてるようにしか思えないが、それでも気は紛れた。
=====
公開したつもりが非公開保存になっていました、すいません!
サモンモンスターは家にいるポチ以外を戻して、ジュノーを肩に乗せて帰路を歩く。
保護したハイオークのピーちゃんは、俺の腕の中で寝息を立てていた。
「ピーちゃん、寝ちゃってるし」
「まあ魔物に襲われかけてたんだし、当然だろ?」
「その原因って、あのフード男じゃなくて学生なんだし?」
「うん、そうだって聞いたけど」
「許せないし、どうするし? 倒すし?」
「いや、倒しはしないけど……」
もしおいたが過ぎるようだったら折檻は行う。
俺は人の家の子供でも容赦しないで怒るタイプなのだ。
いやむしろ、いたずらが過ぎる子供は親が甘い。
だったら恐怖の存在として、誰かが叱らないとね。
「さて、帰ったら寝るかー」
首を鳴らしながら大きく息を吐くと、
「ああっ!」
ジュノーが何かを思い出したように声を上げていた。
「どうした?」
「マクラス死んじゃった! どうしようトウジ!」
「あー」
確か俺が宿直で仮眠できないかもって思って持って来たんだよな。
そんでもって、魔物と間違えて真っ二つにしてしまったのである。
ああ、それなりに長く愛用していた枕だったのに、マクラス。
「まあ、新しいの買えばいいよ」
愛用し、思い入れがあるかと言われれば、別にそうではない。
つーか、ジュノーが食べたクッキーのカスとか。
パンケーキのカスとか、クリームとか、よだれとか。
その他様々なジュノー産の何かによって汚染されていた。
……替え時である。
洗濯しても、落ちないシミとかあったんだよなあ。
「えー、なんとか直せないし?」
「あの枕のどこにこだわる要素ある?」
「愛用してたあたしのベッドだし!」
「俺の枕だし」
「あと、長い月日をかけてマーキングしてきたんだし」
マ、マーキング?
獣か、こいつ。
「お漏らしとか、マジで許さんからな?」
「そ、そそそ、それはしないし! 故意ではないし!」
「は? 故意?」
「レ、レレレ、レディに何を言ってるし! バカ! アホ!」
いや、レディはマーキングなんて行為はしないと思うのだが?
あ、いや……するか。
レディもジェントルマンも人間、そして人間だって動物だ。
占有したい思い、独占欲というものは常に働いている。
ポチの料理ともふもふは俺のものだ、常に俺がその存在をもふれる位置にいたいと言う独占欲。
さらに、せっかく全てを知るイグニールを他のパーティーに絶対に渡したくないと言う独占欲。
そんな感じの独占欲が、俺の枕にもあったのだろう、と察した。
しかし、いったいどこでそんな知識を仕入れてきたと言うのだろうか?
「マーキングだなんて言葉誰から教わったんだ?」
「ポチ」
「あっはい」
ポチ、何を教えてるんだ!
密かにガールズトークに参加していたっていうのか?
オスなのに?
まったく。
でもコボルトだから、犬の魔物だから……仕方ないね!
あんなに可愛くて有能なポチにも一応本能のような部分だってあるのだ。
アイドルはう●こしない、ってよく言うけど、する。
それと一緒である。
「とりあえず枕買い直すついでに、ジュノーの分も買うか?」
「それは嫌だし」
「なんで?」
「トウジの使ってる枕じゃないと嫌っ!」
「ええ……」
「でも別に汚くしてる訳じゃないから、そのくらいは許すし」
「いや、汚くしてるんだよ、実際」
「?」
首をひねって馬鹿かこいつ。
100歩譲って、俺から枕を奪うことを許そう。
だが、その上で寝る前にクッキー食べて放置したり、飴舐めて放置したり。
食い物のカスを放置して行くのだけはやめろと言ってるんだ。
お前に俺の気持ちがわかるか?
寝起き、ポチが作った大学芋がカチカチになって髪の毛にくっついてる時があったんだぞ。
どこぞの少女漫画みたいにな。
「とにかく枕は譲れないし!」
「はいはい」
何を言ったところで変わらなそうだから、枕のクリーニングは欠かさず行うことにしよう。
この際、枕カバーを色々と購入して、寝る前にお好みでつけれるタイプにするのはどうか?
だったら、常に洗濯して置いた枕カバーで健やかなる睡眠を得られる。
太陽の樹の側で干してれば、太陽の香りみたいな感じになってリラックスできるからね。
あ、でも、その香りって、ダニの死骸だっけ……?
多分違うな、太陽の樹の匂いだな、うん、それだ。
「ねえ、帰ったら新しい枕で一緒に寝るし」
「ん? まあ、いいよ。なら大き目の枕を買って帰るか」
「わーい!」
一緒の枕で寝る、これがカップルとかだったら胸熱展開だな。
このあのめちゃくちゃってやつだ。
しかし、ダンジョンコアのちんちくりん。
そんな展開なんて全くないので、ど健全なのである。
さて、マーキングと言えば、で無理やり話を繋げるのだけど。
俺はついに勇者召喚国であるデプリにもマーキングされていた。
フードの男から得た情報によれば。
どうやら俺は、デプリから裏で指名手配されているらしい。
犯罪者とか、なんとか言われていた理由がそこにある。
俺はスキルを偽証し、勇者としての責務を放棄して逃走した。
そんな大罪人であると認識されているようだ。
いやいや追い出したのはそっちだろうが、と思うのだけど。
やはりまだ冒険者の寄生中をやっていたあの時。
俺を狙って急に城下町へと兵士がやってきたのは、そんな理由だったようだ。
まったく、穏便に話し合いて解決とかするつもりはないのか。
なんとなく、どこからも上から目線で使い潰そうって魂胆が見えていた。
そしてそれが叶わなかったら、殺してしまえと言う事だろう。
フードの男が、良い例だ。
まあ、裏の情報として国際的に指名手配されてないのは不幸中の幸い。
どうやら、勝手に勇者を召喚し、勝手にそのうちの一人を追放した。
これは召喚国としては、かなりの黒歴史。
デプリは是が非にでも、そこを露見させずに終わらせたいようである。
「……はあ」
「ため息ついてどうしたし?」
「いや、疲れたな、と思って」
今までは勝手に勇者の因果が絡んでくるだけだった。
が、しかし。
ついにそこに国が絡んで動き出した、と見て良いだろう。
面倒臭いことになった。
対応に気疲れしてしまいそうだよ、これ。
「疲れてるなら、抱きしめてよしよししてあげよっか?」
「……頼むわ」
「よしよーし、ウルトラジュノーヒール!」
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