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本編
509 平和的解決方
ハイオークであるピーちゃんを背負った俺は、ロイ様と共に裏庭を目指していた。
なんとも、キングスの一人があのフード野郎をひっ捕らえたらしい。
さすが有能キングス。
ついでに俺の担当していた巡回経路も再確認を済ませたそうだ。
最初からこうしていればよかったのかもしれんけど。
あまりセコい真似をするのは止そうと決めているのだった。
因果が応報してしまうからね。
今でも結構ややこしいことに首突っ込みまくっているのだし。
「こっちだ、盟主よ」
「はいよ」
案内されるがままに裏庭へと到着した。
キングスたちと一緒にジュノーと水島もいる。
「トウジ! 大丈夫だったし?」
「うん、みんな自分から檻に戻ってくれたよ」
「えっ! すごいっ! どうやったし?」
「いや、そのまんまの意味」
檻部屋の魔物たちは、マジで戦う前に自分で檻に入っちゃったのだ。
もっとも、半ば抑止力による強制和平みたいなもんだけど……。
まあ、それもまた一つ平和的な解決法だよな。
俺のいた世界じゃ、どこの国もそうやって平和作ってる。
人を殺す武器の上に作られた平和とは、なんとも業が深い。
それを考えると、勇者という存在。
これもまた、核武装と同じ様なものである。
しかし諸外国は筋を立てて力を持たないようにしているが……。
魔国さんは抑止力として魔王召喚とやらに手を出し始めている。
繰り返すもんだな。
歴史って。
さて、そんなことを考える前に捕まえた奴の対応を行おう。
キングスたちをかき分けてフード野郎に近づくと……。
「うわぁ……」
腕とか足とかへし折れて、顔中もボコボコになっていた。
辛うじて生きてるみたいだけど、それでも死んだ方がマシなレベル。
えげつないなと思って見ていると、ロイ様が弁明する。
「盟主よ、意外と逃げるのが巧みだったようで、手加減できんかったそうだ」
『肯定! いかにも、その通りである!』
「しかし盟主よ、抜かりはない。外傷だけに留め、内臓にはダメージはない」
『肯定! キング殿に上手い半殺しの方法を教わっている故!』
「あ、あっそう」
上手い半殺しの方法って、どういうこと?
キングさん、何を教えてるんですか?
図鑑の中、マジでどうなってるんだ。
めちゃくちゃ気になってきた。
サモンモンスたちを知れば知るほど、気になってきた。
さて、触ってこのボロ雑巾の名前を確認しよう。
【アイン・クランド】Lv:78
思ったよりも高レベルで、少しびっくりした。
「盟主よ、名前は判別したか?」
「うん、アイン・クランド、レベルは78」
「レベルがやけに高いな、そりゃ王室諸君でも手こずるな」
して、とロイ様は言葉を続ける。
「こいつに関して、何か心当たりは?」
「いや、まったく無いよ」
俺の僅かな知人たちを思い返し、アインと言う名前が記憶にあったか辿る。
しかし、どれだけ頭を絞ってもそんな名前を思い出すことはなかった。
「盟主よ、いきなり後ろから攻撃してくるような奴だ。恨みを買った覚えは?」
「うーん……」
恨みを買う、か。
今まで恩は売れど、恨みを買うような真似は一切してこなかった。
頼まれた依頼以外は、他のパーティーとは絡まない。
そのために目立つような真似は控えて来たのだからね。
「だったら、叩き起こして話聞けばいいし? その方が楽だし!」
「それもそうだな」
ジュノーの単純明快な案に則って、こいつの口から聞くことにした。
両腕両足を縛り、回復ポーションでちまちまHPを回復させてやる。
すると、フードの男は意識を取り戻した。
「……こ、ここは……う、ぐあああ!」
そのままキョロキョロと目を動かし、激痛に声を荒げる。
折れた両腕と両足を縛っているから、当然か。
あんまり痛ましい真似はしたく無いのだが、敵だから仕方ない。
「こんばんは、アイン・クランドさん」
「ぐ……な、なぜ名前を……?」
名前を呼ばれたことで、露骨な動揺を見せる男。
素性を隠して狙ってきたならば。
こちらも相手の情報を掴んでいるぞ、ってブラフが効果覿面だ。
「とりあえず、情報整理がてら全部話して貰えますか?」
「……バカが、話す訳ないだろ」
フード男は俺を睨みつけ、鼻で笑いながら言う。
「情報整理? 嘘だな、お前は何も知らない。名前も鑑定使って調べたんだろ?」
名前知ってるぞってブラフ作戦は失敗に終わった。
こりゃ対話で口を割らせるのは難しいか。
だったら作戦変更。
次は、詰問によって厳しく問い正すことにしよう。
「よし、ジュノーやれ」
「はーう! さあ! 何が目的か吐くし!」
「うわっ、や、やめろ! 髪の毛を引っ張るな! 何だお前は!?」
「妖怪ハゲ散らかしだ」
怒らせたら髪の毛を全部毟られてしまうぞ?
最後の一本でも、容赦ないからなこいつ。
「ふん! 何が目的かわからないが、そんなものに俺は屈しない!」
「髪よりも情報が大事ってことですか」
「当たり前だ! ふざけるくらいならば、ここで殺せ! 殺してみろ!」
うーむ、なかなかにプロフェッショナルだな。
もしも恨みを買っていたとすれば、心当たりは盗賊である。
俺が知る中で、盗賊って生きる執着心がものすごい。
故に、捕まったらあっけなく情報を吐くかと思っていた。
しかし、おふざけでジュノーを嗾けても殺せと言うこいつはプロ。
そう、プロの暗殺者的な存在なのではないか、と思い至った。
「よし、ジュノー交代。次水島で」
「キュイ……?」
「口と鼻に体液流してやれ」
「キュ、キュイ……」
水島は俺に命令され、仕方なく体からヌルヌルの液体を出してフード男に塗りつけた。
「ぐあっがばっ!? く、臭い! 加齢臭みたいな匂いがする! なんだこれは!」
「キュィィ……」
しかし、ダメージを受けたのは水島の方だった。
主に心に。
「水島、もう戻っていいぞ。辛い役目をさせてすまん」
水島を後ろに下げると、フード男は口からゴホゴホと液体を吐いて叫んだ。
「拷問か? ハッ! 何をされても俺が喋ると思うなよ!」
「拷問じゃなくて話し合いです」
その体裁だけは崩すつもりはない。
だからこうしておふざけレベルの嫌がらせをやってるのだ。
「ふざけやがって、出来損ないの犯罪者風情が! 殺してみろ!」
「はあ? 犯罪者?」
「……チッ、怒らせて情報を割る高度な拷問か、やるな」
「いや、勝手に断片的な情報を喋ったのはそっちだろうに」
まんまと術中にはまったみたいな顔してるけど。
語るに落ちたのは自分だからな?
詰問だけど、これは本当にただの嫌がらせである。
「だが貴様の作戦は知った。もう口を割ることはないと思え。殺せ」
「殺せ殺せうるさいなー」
おふざけ抜きがご所望なら……やってやらんこともない。
俺は水島を戻し、ワシタカくんを召喚した。
「ギュアッ!」
「ロ、ロック鳥……こ、これが報告の……」
目の前に現れた巨大怪鳥に、威勢を失い息を飲む男。
「死にたいなら死んでもらうが、ただで死ねると思うなよ?」
「く……」
「おふざけはここでお終い。素直に情報を吐くなら許すぞ」
「や、ややや、やってみろ!」
焦る男。
「何が来てもいいように、お、俺は暗部の特別な訓練を──」
言葉を言い終わる前に、ワシタカくんが男をつかんでバビュンと飛び上がった。
一瞬にして、巨体な体格が豆粒のような大きさになる。
ワシタカくん、ガチの飛行状態に入ったようだ。
「──行ってらっしゃい」
豪華な豪華な夜空の旅へ。
なんとも、キングスの一人があのフード野郎をひっ捕らえたらしい。
さすが有能キングス。
ついでに俺の担当していた巡回経路も再確認を済ませたそうだ。
最初からこうしていればよかったのかもしれんけど。
あまりセコい真似をするのは止そうと決めているのだった。
因果が応報してしまうからね。
今でも結構ややこしいことに首突っ込みまくっているのだし。
「こっちだ、盟主よ」
「はいよ」
案内されるがままに裏庭へと到着した。
キングスたちと一緒にジュノーと水島もいる。
「トウジ! 大丈夫だったし?」
「うん、みんな自分から檻に戻ってくれたよ」
「えっ! すごいっ! どうやったし?」
「いや、そのまんまの意味」
檻部屋の魔物たちは、マジで戦う前に自分で檻に入っちゃったのだ。
もっとも、半ば抑止力による強制和平みたいなもんだけど……。
まあ、それもまた一つ平和的な解決法だよな。
俺のいた世界じゃ、どこの国もそうやって平和作ってる。
人を殺す武器の上に作られた平和とは、なんとも業が深い。
それを考えると、勇者という存在。
これもまた、核武装と同じ様なものである。
しかし諸外国は筋を立てて力を持たないようにしているが……。
魔国さんは抑止力として魔王召喚とやらに手を出し始めている。
繰り返すもんだな。
歴史って。
さて、そんなことを考える前に捕まえた奴の対応を行おう。
キングスたちをかき分けてフード野郎に近づくと……。
「うわぁ……」
腕とか足とかへし折れて、顔中もボコボコになっていた。
辛うじて生きてるみたいだけど、それでも死んだ方がマシなレベル。
えげつないなと思って見ていると、ロイ様が弁明する。
「盟主よ、意外と逃げるのが巧みだったようで、手加減できんかったそうだ」
『肯定! いかにも、その通りである!』
「しかし盟主よ、抜かりはない。外傷だけに留め、内臓にはダメージはない」
『肯定! キング殿に上手い半殺しの方法を教わっている故!』
「あ、あっそう」
上手い半殺しの方法って、どういうこと?
キングさん、何を教えてるんですか?
図鑑の中、マジでどうなってるんだ。
めちゃくちゃ気になってきた。
サモンモンスたちを知れば知るほど、気になってきた。
さて、触ってこのボロ雑巾の名前を確認しよう。
【アイン・クランド】Lv:78
思ったよりも高レベルで、少しびっくりした。
「盟主よ、名前は判別したか?」
「うん、アイン・クランド、レベルは78」
「レベルがやけに高いな、そりゃ王室諸君でも手こずるな」
して、とロイ様は言葉を続ける。
「こいつに関して、何か心当たりは?」
「いや、まったく無いよ」
俺の僅かな知人たちを思い返し、アインと言う名前が記憶にあったか辿る。
しかし、どれだけ頭を絞ってもそんな名前を思い出すことはなかった。
「盟主よ、いきなり後ろから攻撃してくるような奴だ。恨みを買った覚えは?」
「うーん……」
恨みを買う、か。
今まで恩は売れど、恨みを買うような真似は一切してこなかった。
頼まれた依頼以外は、他のパーティーとは絡まない。
そのために目立つような真似は控えて来たのだからね。
「だったら、叩き起こして話聞けばいいし? その方が楽だし!」
「それもそうだな」
ジュノーの単純明快な案に則って、こいつの口から聞くことにした。
両腕両足を縛り、回復ポーションでちまちまHPを回復させてやる。
すると、フードの男は意識を取り戻した。
「……こ、ここは……う、ぐあああ!」
そのままキョロキョロと目を動かし、激痛に声を荒げる。
折れた両腕と両足を縛っているから、当然か。
あんまり痛ましい真似はしたく無いのだが、敵だから仕方ない。
「こんばんは、アイン・クランドさん」
「ぐ……な、なぜ名前を……?」
名前を呼ばれたことで、露骨な動揺を見せる男。
素性を隠して狙ってきたならば。
こちらも相手の情報を掴んでいるぞ、ってブラフが効果覿面だ。
「とりあえず、情報整理がてら全部話して貰えますか?」
「……バカが、話す訳ないだろ」
フード男は俺を睨みつけ、鼻で笑いながら言う。
「情報整理? 嘘だな、お前は何も知らない。名前も鑑定使って調べたんだろ?」
名前知ってるぞってブラフ作戦は失敗に終わった。
こりゃ対話で口を割らせるのは難しいか。
だったら作戦変更。
次は、詰問によって厳しく問い正すことにしよう。
「よし、ジュノーやれ」
「はーう! さあ! 何が目的か吐くし!」
「うわっ、や、やめろ! 髪の毛を引っ張るな! 何だお前は!?」
「妖怪ハゲ散らかしだ」
怒らせたら髪の毛を全部毟られてしまうぞ?
最後の一本でも、容赦ないからなこいつ。
「ふん! 何が目的かわからないが、そんなものに俺は屈しない!」
「髪よりも情報が大事ってことですか」
「当たり前だ! ふざけるくらいならば、ここで殺せ! 殺してみろ!」
うーむ、なかなかにプロフェッショナルだな。
もしも恨みを買っていたとすれば、心当たりは盗賊である。
俺が知る中で、盗賊って生きる執着心がものすごい。
故に、捕まったらあっけなく情報を吐くかと思っていた。
しかし、おふざけでジュノーを嗾けても殺せと言うこいつはプロ。
そう、プロの暗殺者的な存在なのではないか、と思い至った。
「よし、ジュノー交代。次水島で」
「キュイ……?」
「口と鼻に体液流してやれ」
「キュ、キュイ……」
水島は俺に命令され、仕方なく体からヌルヌルの液体を出してフード男に塗りつけた。
「ぐあっがばっ!? く、臭い! 加齢臭みたいな匂いがする! なんだこれは!」
「キュィィ……」
しかし、ダメージを受けたのは水島の方だった。
主に心に。
「水島、もう戻っていいぞ。辛い役目をさせてすまん」
水島を後ろに下げると、フード男は口からゴホゴホと液体を吐いて叫んだ。
「拷問か? ハッ! 何をされても俺が喋ると思うなよ!」
「拷問じゃなくて話し合いです」
その体裁だけは崩すつもりはない。
だからこうしておふざけレベルの嫌がらせをやってるのだ。
「ふざけやがって、出来損ないの犯罪者風情が! 殺してみろ!」
「はあ? 犯罪者?」
「……チッ、怒らせて情報を割る高度な拷問か、やるな」
「いや、勝手に断片的な情報を喋ったのはそっちだろうに」
まんまと術中にはまったみたいな顔してるけど。
語るに落ちたのは自分だからな?
詰問だけど、これは本当にただの嫌がらせである。
「だが貴様の作戦は知った。もう口を割ることはないと思え。殺せ」
「殺せ殺せうるさいなー」
おふざけ抜きがご所望なら……やってやらんこともない。
俺は水島を戻し、ワシタカくんを召喚した。
「ギュアッ!」
「ロ、ロック鳥……こ、これが報告の……」
目の前に現れた巨大怪鳥に、威勢を失い息を飲む男。
「死にたいなら死んでもらうが、ただで死ねると思うなよ?」
「く……」
「おふざけはここでお終い。素直に情報を吐くなら許すぞ」
「や、ややや、やってみろ!」
焦る男。
「何が来てもいいように、お、俺は暗部の特別な訓練を──」
言葉を言い終わる前に、ワシタカくんが男をつかんでバビュンと飛び上がった。
一瞬にして、巨体な体格が豆粒のような大きさになる。
ワシタカくん、ガチの飛行状態に入ったようだ。
「──行ってらっしゃい」
豪華な豪華な夜空の旅へ。
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