装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
211 / 650
本編

512 始まる質疑応答会

しおりを挟む

 さて、宿直明けでの休日を終えて、再び学院へと顔を出すことになった。
 その間、冒険者業は基本的におやすみ。
 暇な連中は、それぞれが思い思いのことをするようにしている。

 俺は基本的に何もない時は家に引きこもっていた。
 何をしているかって?
 そりゃ日課だ。
 装備製作、ポーション製作、その材料収集。

 それこそ、なんだかやばそうな奴らに狙われているのだ。
 不安だから、余念無く毎日こなしておきたいだろう?

 今まで、あまりできていなかった装備の強化を改めてやっている。
 一応100レベル装備はあらかた整ってはいるのだけど、正直まだ弱い。
 まだまだ改良の余地があると個人的に思っているのだ。

 目標としては、110レベルからの装備である。
 そこで、さらに厳選した潜在能力を整えていくつもりだ。
 パブリックスキルもまだまだ色んなものを揃えたい。
 俺のだけではなく、他のみんなの装備も同様なのである。

 まあ、どんな装備にするのかは、後のお楽しみとして……。
 今日から早速、冒険者としての講義をしなきゃならん。
 金をもらっているのだから、そっちに集中しようか。

「みなさん! 噂のトウジさんが、今日は色んな質問に答えてくださりますよ~!」

 教壇に立つアシュレイ先生の紹介の元、ぺこりと頭を下げておく。
 お~、と拍手が起こるのを見ると、なんだか緊張してきた。

「よよ、よろしくお願いします。トウジ・アキノでしゅ」

 あっ……噛んでしまった。
 一瞬だけシーンとなって、クスクスと笑い声が響いてくる。
 恥ずかしい、穴があったら入りたい。

「ぷーくすくす、アキノっちセンセ、超硬いじゃん? やばっ」

 教室の一番後ろから、なんともフランクな声が聞こえてきた。
 気だるそうなギャル語の担い手は、ギャル子ことエイミィ。

 緊張してあまり前が見えなかったが、このクラスだったんだな……。

 実は彼女もアーティファクト科の生徒だったようだ。
 ってことは、彼女も研究者志望の生徒だってこと。
 そこまで頭良さそうな雰囲気ではないのに、少し見直した。

 偏見だと言われたら、偏見であると認めよう。
 しかし、俺は偏見の塊みたいな野郎なのでノーダメな?

 ちなみに、このクラスにはライデンもいる。
 そもそもの推薦としてライデンも一つ噛んでいるのだから、当然だった。

 え?
 ライデンの席はどこかって?

 ……俺の目の前だ。
 真ん中一番前の席で、ライデンは熱心な視線を俺に送っている。
 机の上には積み上げられた参考書と白いノート。

「ふむふむトウジさんでも、自己紹介は噛んでしまう、と……」

 そう呟きながら、白いノートに色んなことを書きなぐっている。
 勉強熱心なのはわかるが、そこは別にノートする場面ではない。
 やばいな、このままいくと俺の黒歴史ノートみたいになってしまう。
 正直、こいつが最前列にいるって状況が、一番やり辛くて仕方なかった。

「んーとりあえず、自己紹介はさておいてさっそく質問からやっていきましょー」

 俺が緊張しているのを察したのか。
 アシュレイは色々すっ飛ばして早速質疑応答に入った。

「は~い!」

「あら、エイミィさん珍しいですね~! どうぞ~!」

 当てられたエイミィが座ったまま質問する。

「アキノっちせんせ、彼女はいるんですか~?」

 冒険者関係ねぇ。
 しかも、女っ気ゼロの30歳に、なんつー質問を……。

「……エイミィちゃん、それはプライベートですよ?」

 そう言いながらも、アシュレイがチラチラ。
 その他の女子生徒もチラチラ。

「え、これ答えなきゃダメなやつですか?」

「え? あ、ほら生徒の質問なのでできるだけ答えてくださいトウジさん」

「ええ……えっと、彼女はいない……です……」

 なんだこれ。
 なんでガキどもの前で彼女いない宣言しなきゃいけないんだ。

「ふむふむ彼女はいないっと……」

 ノートすんなよライデン。
 授業と関係ないだろそれ。

 ヤバイな。
 黒歴史授業になりかねないので、軌道修正しないと。

「冒険者は、職業柄いつ死ぬかもわからないので、彼女を作らない主義が多いんです」

「そうなんですね~、でもだからこそ作ろうと思う方もいらっしゃるのでは?」

 何故か食いつくアシュレイ。
 掘り下げるなよな……。
 ちなみに質問したエイミィは、それだけで満足したのか窓の外を向いてぼーっとしていた。
 ライデンは「ふむふむ彼女を作らない主義」とノートに。

 もうやだこの授業。
 開始3分で帰りたくなった。
 いちいち敬語を使うのもバカらしくなったので、俺もフランクに話す。

「まあ、それは自由だよ。でも俺は基本的にそういうスタンスなんで」

 カップルで冒険者パーティーやってる人とか、探せばいる。
 ハーレム作ってるアホもいた訳だしな、誰とは言わんが。

「厳密に言えば、俺はしないけど依頼がない時に街で女を漁るやつは多いぞ」

「漁るって……トウジさんもそうなんですか?」

「いや、俺はしないって言ったでしょ? 聞いてた話?」

 女子生徒の皆さんも、引かないでください。
 傷つきます。
 いえ、おじさんもうだいぶ傷ついてます。

「あのな、刹那的だからこそ、そういった生き方するんだよ。俺はしないけどね?」

「せんせー最初の回答と全然話が違うんですけどー」

 エイミィではない女子生徒のガヤ。

「それも自由ってことで! 冒険者だから! とにかくこの質問終わり! 次!」

 無理やり話を変えつつ、次に手を挙げた生徒を指名する。
 とりあえずまともそうなメガネをかけた女子生徒。
 ずーっと仏頂面でメガネをクイクイっと動かす生徒を指名した。

「えっと名前は?」

「どうせ臨時講義なので、委員長で良いです。覚えやすいと思いますし」

「あっはい」

「刹那的に生きるのが冒険者ならば、名前だってすぐに忘れてしまうでしょうし」

「あっうん……そっすね、とりあえず質問どうぞ」

 なんかすげぇトゲトゲした雰囲気だな。
 いかにも私は真面目ですって感じ。
 唐突に始まった冒険者の情事の話題も、どこ吹く風だった。
 そんな委員長の質問とは……。

「冒険者っていわゆる底辺ですよね? いったい何を目的としてその職業に就かれたんですか? 私たちは研究所に所属し、ゆくゆくはアーティファクトに変わる魔導機器を作っていくという目的があり、そこからさらにキャリアアップもしていけますけど、冒険者はランクを上げて何をするんですか? どうなるんですか? そのキャリアはいったいどこで今後活用されていくんですか? まずはそこを教えていただきたいのですが?」

「うぉぉ……」

 でたぁー。
 面倒臭い系質問でたぁー。
 そして例に漏れず、驚異のワンブレス。





=====
委員長「冒険者って底辺ですよね? なんで冒険者やってるんですか? っていうかさっきまでの質問もくだらないです。なんですか刹那的って、汚らわしいだけじゃないですか? 私たちはギリスの未来を担うアーティファクト研究科ですよ? そんな恋愛にかまけていては、後々のキャリアにも響いてしまいますから、あんまり無駄な話は控えていただけませんかね? 本当にくだらないです。彼女がいないのも、作らないのではなく、できないのではないですか? 冒険者という職業は、生活の保障も将来の保障も何もない訳でしょう? まったく、荒くれ者がモテる時代は、アーティファクト研究科ではない他の雑多な学科の生徒がやってることですよ。ふん、足が速いだけでモテるなんて、それで何ができるんですか? 良い魔導機器が発明できるのですか? 本当にくだらないですね、くだらない。時間が惜しいので、この時間は自習ではダメでしょうか?」メガネくいくいっ
しおりを挟む
感想 9,840

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。