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本編
512 始まる質疑応答会
さて、宿直明けでの休日を終えて、再び学院へと顔を出すことになった。
その間、冒険者業は基本的におやすみ。
暇な連中は、それぞれが思い思いのことをするようにしている。
俺は基本的に何もない時は家に引きこもっていた。
何をしているかって?
そりゃ日課だ。
装備製作、ポーション製作、その材料収集。
それこそ、なんだかやばそうな奴らに狙われているのだ。
不安だから、余念無く毎日こなしておきたいだろう?
今まで、あまりできていなかった装備の強化を改めてやっている。
一応100レベル装備はあらかた整ってはいるのだけど、正直まだ弱い。
まだまだ改良の余地があると個人的に思っているのだ。
目標としては、110レベルからの装備である。
そこで、さらに厳選した潜在能力を整えていくつもりだ。
パブリックスキルもまだまだ色んなものを揃えたい。
俺のだけではなく、他のみんなの装備も同様なのである。
まあ、どんな装備にするのかは、後のお楽しみとして……。
今日から早速、冒険者としての講義をしなきゃならん。
金をもらっているのだから、そっちに集中しようか。
「みなさん! 噂のトウジさんが、今日は色んな質問に答えてくださりますよ~!」
教壇に立つアシュレイ先生の紹介の元、ぺこりと頭を下げておく。
お~、と拍手が起こるのを見ると、なんだか緊張してきた。
「よよ、よろしくお願いします。トウジ・アキノでしゅ」
あっ……噛んでしまった。
一瞬だけシーンとなって、クスクスと笑い声が響いてくる。
恥ずかしい、穴があったら入りたい。
「ぷーくすくす、アキノっちセンセ、超硬いじゃん? やばっ」
教室の一番後ろから、なんともフランクな声が聞こえてきた。
気だるそうなギャル語の担い手は、ギャル子ことエイミィ。
緊張してあまり前が見えなかったが、このクラスだったんだな……。
実は彼女もアーティファクト科の生徒だったようだ。
ってことは、彼女も研究者志望の生徒だってこと。
そこまで頭良さそうな雰囲気ではないのに、少し見直した。
偏見だと言われたら、偏見であると認めよう。
しかし、俺は偏見の塊みたいな野郎なのでノーダメな?
ちなみに、このクラスにはライデンもいる。
そもそもの推薦としてライデンも一つ噛んでいるのだから、当然だった。
え?
ライデンの席はどこかって?
……俺の目の前だ。
真ん中一番前の席で、ライデンは熱心な視線を俺に送っている。
机の上には積み上げられた参考書と白いノート。
「ふむふむトウジさんでも、自己紹介は噛んでしまう、と……」
そう呟きながら、白いノートに色んなことを書きなぐっている。
勉強熱心なのはわかるが、そこは別にノートする場面ではない。
やばいな、このままいくと俺の黒歴史ノートみたいになってしまう。
正直、こいつが最前列にいるって状況が、一番やり辛くて仕方なかった。
「んーとりあえず、自己紹介はさておいてさっそく質問からやっていきましょー」
俺が緊張しているのを察したのか。
アシュレイは色々すっ飛ばして早速質疑応答に入った。
「は~い!」
「あら、エイミィさん珍しいですね~! どうぞ~!」
当てられたエイミィが座ったまま質問する。
「アキノっちせんせ、彼女はいるんですか~?」
冒険者関係ねぇ。
しかも、女っ気ゼロの30歳に、なんつー質問を……。
「……エイミィちゃん、それはプライベートですよ?」
そう言いながらも、アシュレイがチラチラ。
その他の女子生徒もチラチラ。
「え、これ答えなきゃダメなやつですか?」
「え? あ、ほら生徒の質問なのでできるだけ答えてくださいトウジさん」
「ええ……えっと、彼女はいない……です……」
なんだこれ。
なんでガキどもの前で彼女いない宣言しなきゃいけないんだ。
「ふむふむ彼女はいないっと……」
ノートすんなよライデン。
授業と関係ないだろそれ。
ヤバイな。
黒歴史授業になりかねないので、軌道修正しないと。
「冒険者は、職業柄いつ死ぬかもわからないので、彼女を作らない主義が多いんです」
「そうなんですね~、でもだからこそ作ろうと思う方もいらっしゃるのでは?」
何故か食いつくアシュレイ。
掘り下げるなよな……。
ちなみに質問したエイミィは、それだけで満足したのか窓の外を向いてぼーっとしていた。
ライデンは「ふむふむ彼女を作らない主義」とノートに。
もうやだこの授業。
開始3分で帰りたくなった。
いちいち敬語を使うのもバカらしくなったので、俺もフランクに話す。
「まあ、それは自由だよ。でも俺は基本的にそういうスタンスなんで」
カップルで冒険者パーティーやってる人とか、探せばいる。
ハーレム作ってるアホもいた訳だしな、誰とは言わんが。
「厳密に言えば、俺はしないけど依頼がない時に街で女を漁るやつは多いぞ」
「漁るって……トウジさんもそうなんですか?」
「いや、俺はしないって言ったでしょ? 聞いてた話?」
女子生徒の皆さんも、引かないでください。
傷つきます。
いえ、おじさんもうだいぶ傷ついてます。
「あのな、刹那的だからこそ、そういった生き方するんだよ。俺はしないけどね?」
「せんせー最初の回答と全然話が違うんですけどー」
エイミィではない女子生徒のガヤ。
「それも自由ってことで! 冒険者だから! とにかくこの質問終わり! 次!」
無理やり話を変えつつ、次に手を挙げた生徒を指名する。
とりあえずまともそうなメガネをかけた女子生徒。
ずーっと仏頂面でメガネをクイクイっと動かす生徒を指名した。
「えっと名前は?」
「どうせ臨時講義なので、委員長で良いです。覚えやすいと思いますし」
「あっはい」
「刹那的に生きるのが冒険者ならば、名前だってすぐに忘れてしまうでしょうし」
「あっうん……そっすね、とりあえず質問どうぞ」
なんかすげぇトゲトゲした雰囲気だな。
いかにも私は真面目ですって感じ。
唐突に始まった冒険者の情事の話題も、どこ吹く風だった。
そんな委員長の質問とは……。
「冒険者っていわゆる底辺ですよね? いったい何を目的としてその職業に就かれたんですか? 私たちは研究所に所属し、ゆくゆくはアーティファクトに変わる魔導機器を作っていくという目的があり、そこからさらにキャリアアップもしていけますけど、冒険者はランクを上げて何をするんですか? どうなるんですか? そのキャリアはいったいどこで今後活用されていくんですか? まずはそこを教えていただきたいのですが?」
「うぉぉ……」
でたぁー。
面倒臭い系質問でたぁー。
そして例に漏れず、驚異のワンブレス。
=====
委員長「冒険者って底辺ですよね? なんで冒険者やってるんですか? っていうかさっきまでの質問もくだらないです。なんですか刹那的って、汚らわしいだけじゃないですか? 私たちはギリスの未来を担うアーティファクト研究科ですよ? そんな恋愛にかまけていては、後々のキャリアにも響いてしまいますから、あんまり無駄な話は控えていただけませんかね? 本当にくだらないです。彼女がいないのも、作らないのではなく、できないのではないですか? 冒険者という職業は、生活の保障も将来の保障も何もない訳でしょう? まったく、荒くれ者がモテる時代は、アーティファクト研究科ではない他の雑多な学科の生徒がやってることですよ。ふん、足が速いだけでモテるなんて、それで何ができるんですか? 良い魔導機器が発明できるのですか? 本当にくだらないですね、くだらない。時間が惜しいので、この時間は自習ではダメでしょうか?」メガネくいくいっ
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