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本編
525 第四勢力かと思いきや、色々出てくる
しおりを挟む「さて……さすがにそろそろ拘束し終えたんじゃない……?」
時刻は夜明けも近い頃合い。
王室諸君の仲良しメンバーが捕らえてきた敵陣営はすでに300人を超えた。
……多い、多すぎる!
どれだけギリスの街に敵対勢力がいたんだって話だ。
そろそろもういいだろう、終わっただろう。
しかし待てども待てども収容作業は終わらないのだ。
開いた口も塞がらないのだ。
効率よくしていけ、回せ回せ、浮浪者はぶっちゃけもういいよ。
島国の人口が集中した首都だと、あぶれた者もそれなりだ。
その全てに求人誌を渡すのも、もう紙がないぞと言ったところ。
「盟主よ、デプリとC.B以外は第三勢力としているが……」
ロイ様が言う。
「第四に、第五と、さらに素性のわからない連中も多いぞ」
「マジかあ……」
どうやって身元の確認をしているのかと言えば、だいたいが奇襲後の家探し。
本気になった王室諸君の成果によれば……。
俺に監視の目を向けていた存在は個人から国まで、多岐に渡るそうだ。
「トガルやギリスからの監視者に関しては、基本放置した方がいいか?」
「いや、みんなまとめて連れて来ていい。事情を聞いて解放する」
滞在中の国から差し向けられた監視者もいるだなんて、何よこの状況。
うーん……。
もしかしたら俺の存在を知っている人はデプリだけじゃないのかもね。
そんな連中が監視する理由って、ぶっちゃけその辺しかないのだから。
「よくもまあ、俺も今まで気がつかなかったもんだ……」
ため息交じりで答えると、ロイ様は言う。
「他の奴らは、かなり遠くからの監視である。普通の人ならば気付くことはない」
「うん」
「しかし、ストーンキングはずっとその視線を感じ取っていた」
石王さんね、お勤めご苦労様です。
意外と、大活躍する監視の目。
おかげでロイ様ずっと出しっ放しだった。
いつメン化するスライム上位種である。
使い勝手いいから仕方稲。
「ただ遠くから見るくらいならば捨て置くが、その視線が3時間以上と続けば違和感として強く残り、結果的にはそれだけ熱心に見つめる私たちの客人であることには違いないだろう?」
「そうだね……そうっスね……」
なんだか、今後も見られているのではないかとビクビクしちゃいそうで怖かった。
プライバシーの侵害だぞ、マジで。
「して盟主よ、事情を聞いて放置と言うが、その全てと話し合いを行うのか?」
「……それもそれで面倒臭いな」
とりあえず、効率優先ということでここでもお手紙作戦を決行しよう。
最近周りがややこしいので少し本気で調査しました。
捕まえてしまって申し訳ありませんが、これ以上付きまとわないでください。
こんな旨を書面に起こして、各密偵さん方に配布してお持ち帰りいただく。
これぞ、連絡帳方式だ。
小学校でも採用するレベルが簡単かつ簡潔な連絡手段である。
はえー。
文部科学省もちゃーんと効率化してんだなー。
……と思いました。
「では、文章作成は盟主に任せよう」
「俺はいったい何人分書けばいいんだ……?」
「ざっと30人分程度だろう」
ひとクラス分ってことか、面倒臭いが頑張りましょう。
「明日は学院行った後に収容した奴らのリスト化だな……」
「私は王室諸君と引き続きギリス首都内の捜索を行おう」
「たのむ」
一先ずこれにて終了かな、と思いきや。
「む?」
ロイ様が急に首を傾げた。
その後すぐに、上空から着地してくる一体のスライムキングがいた。
『王室の主! 盟主!』
この個体は、怨嗟の鎖との最終決戦の時、俺の案内役を務めた個体。
ちなみに、スライムキングの長距離移動はハイジャンプね。
『申し訳ない、一人だけ逃してしまった奴がいる! アニマルキングがやられた!』
「大丈夫だ、スライムキング。すでにそれは感じ取った」
アニマルキングとは、あの何処と無く獣ちっくなたてがみと牙と爪を持った個体。
獣ちっくなんだけど、ちゃんとしたスライム、そしてその王種。
俺もまだ出会ったことない個体なんだが、ロイ様って関係なく全て出せるんだよな……。
くそ、これでロイ様が出した個体を倒してサモンカードが出たらいいのに。
そんな美味い話はありませんのこと。
「で、逃げ出したやつの身元はどうなってるんだ?」
キングスを倒せる手練れがいるのは仕方がない。
むしろ、今の今までの闇討ちで、よくもまあ抵抗できる奴がいなかったのか、ってもんだ。
ようやく暗殺者の中でも真打ちが登場して来たと言える。
『人間の女、名前は不明』
俺の問いかけに、スライムキングは答えた。
『情報のやり取り自体、恐らく書面にも何も残さないタイプ』
「あー、記憶しとくタイプね? できる密偵っぽいじゃん」
『故に、部屋にも必要最低限の物しかなくこれ以上の情報は無いと言えた』
「ふむ、そうならば泳がせるまでもなく、探して拘束するのが一番だろう」
ロイ様の意見に同意だ。
できる奴は情報を持っている可能性が高い。
それを何が何でも吐かせるのだ。
泳がせておくのも良いが、すでにこっちの情報を知られている。
万が一、のことを考えると、やっつけるしかないのだ。
多分、情報を吐かない為に自害の可能性もある。
それならそれでいい。
相手に情報が渡るよりも、渡らない方が安全だ。
「スライムキングよ、その逃亡者はどこに向かった?」
『拘束を振り切り、そのまま西へ。港町の方へ直進した模様』
「ふむ、ではドアを用いてさっさと港町へ先行しよう」
「そうだね、行こうか」
不測の事態はロイ様が仕切ってくれるからありがたい。
俺も一緒について行って、その女が誰なのか調べよう。
触れば名前がわかるからね、触れば。
いやらしい意味じゃないよ。
でも、万が一にも暴れちゃったら触れちゃうかも……?
「む? 盟主よ、強力な魔力体が上空より接近している」
「え?」
上空、と言われて夜空を見上げると。
巨大なドラゴンがバサっと翼を広げ、月明かりを遮断していた。
「チビか?」
「うむ、あの強大な魔力はガイアドラゴンのものである」
ってことは、しばらく姿をくらましていたウィンストの帰宅である。
いったいどこで何をしていたんだか……。
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