装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

606 勇者、魔王? 魔物、人間? クハハハ、死ね。

「──まーた、何やら面白い状況になっているようですね」

「うん、とりあえず尻尾は俺じゃなくて向こうにお願いできる?」

 相変わらず、挨拶がわりに尻尾攻撃とか。
 本当に怖いからやめてよね。
 行き場を失った尻尾の一撃は、魔物を500体くらいぶっ飛ばした。

「グルルル、儂は貴様をまだ認めていないぞ!」

「もう、そう言うのはいいよ。な、三男?」

「ギャオ!」

 よし、こいつには景気付けにインベントリにある飯をやろう。
 食って、そして、滅ぼせ。

「がぶがぶがぶがぶ!」

 恐れ慄き、動けずにいる人と魔物の前で、末っ子が米を貪る。
 ポチ特製のふりかけだ、存分に食え。
 がぶがぶしてるのを横目に、俺は長男と次男坊に告げる。

「とりあえず、現実世界じゃないけど、好きなだけ暴れていいよ」

「ふむ……だ、そうですよ次男坊」

「なに! 良いのか! ちなみに暴れたら飯はもらえるのか!?」

「……あっ、うん……あげるよ」

 結局こいつも食べたかったんじゃん。
 まったく。
 暴れたいから暴れさせてやる、その上で飯まで強請るとは……。

「次男、これ貸しだからな?」

「何? 貴様に貸し借りなんざ作りとうないわ!」

「なら、暴れる権限は長男と末っ子で、飯も二人だけだな」

「ぐっ、貴様。あまり儂を舐めると……」

「ギャオ!」

「何! 飯をもらった分暴れるのは自分がやるだと!? 最近調子に乗り過ぎじゃないか弟め!」

「喧嘩はやめなさい。世界を滅ぼすデモンストレーションです。良い機会ですよ、次男」

「むぐぐぐ、素直に言うことを聞けと言うのか! 兄者!」

「ええ、聞きなさい。この力の根源である魔王に、私たちの力を見せてあげましょう」

 長男にそう言われた次男は、渋々頷いていた。
 ふむ、どうやら貸しを作ることに成功したらしい。
 まあ何かの時の保険であって、悪いようにはしないさ。

「じゃー、存分に暴れて良いぞー」

「ちなみに人間をやっても?」

「今日はなんでも構わん」

 どうせこいつら精神世界の存在だしな、罪悪感なんか微塵もない。
 なんだろ、対人対戦ゲームで、相手に知り合いがいた時の気分?
 まっ、魔王の力の源……ゲンさんよ、お前は俺を見誤ったってこった。

「──クハハハハハ! 弟たちよ、今日は全力を出しても良いそうだ!」

「久しぶりの感覚よのう、兄者。憤怒と戦った時以来である!」

「ギャオ! ギャオオオオオ!」

 特に制限を設けていないこの世界で、邪竜はとんでもない存在だ。
 そもそも魔王と勇者ってダンジョンコアより格が下の存在である。
 太古より、その名を轟かせて来た邪竜の本気が、ようやく垣間見える。
 海の上で顕現させた時は、まだまだ全力じゃなかったっぽいしな。
 と、思っていると視界が反転した。

「ん──?」

 目をこらすと、邪竜を中心として、重力が反転。
 魔物、人間、全ての生物、岩盤が捲れ浮かび上がっていた。

「おわああああ!」

「巻き添え食らいたくなかったら必死で逃げることだわい」

「てめぇ次男こらー!」

 俺も指輪のスキル、重力を用いてなんとか態勢を整える。
 本気を出した瞬間、全部の魔物や人が反転するとはとんでもねえな。
 黒い重力場に引き寄せられるように、みんな次々死んでいく。

「ふむ、思ったよりあっさりしとるな。手応えがない」

「まっ、魔王ごときの概念空間では、仕方ないでしょう」

「ギャオ」

 話をそれで軽く済ましているのが、こいつらのやばいところ。
 やっぱり、人と魔族が戦う前から世界を滅ぼさんとする存在。
 とんでもねえ野郎だぜ、マジで。

「なあ、三兄弟。お前らから見て魔王ってどうなの?」

「「「雑魚(ギャオ)」」」

「へ、へー……勇者は……?」

「「「それなり(ギュア)」」」

「ほーん……な、なるほどね……」

 魔王、雑魚なんだ?
 勇者、それなりなんだ?

 スケールが違い過ぎて、なんだか本当に雑魚に思えてくる。
 もっとも、俺に根比べを挑むくらいだから、バカでアホだ。
 
「基本的に、真っ向勝負ができない相手は雑魚じゃ!」

「ギャオ!」

 次男が叫びながらあらゆる人や魔物を引き寄せ、薙ぎ払う。

「この世界を滅ぼすのはこの邪竜、この邪竜であるぞ!」

「ギャオオオオオオ!」

「ヌハハハハ! 魔物ども、人間ども、儂にひれ伏せ!」

 あーもう、やりたい放題だな。
 俺の心を読み取ってか、長男が言う。

「まあ、鬱憤溜まっていたようですし、好きにさせてあげてください」

「はいはい」

「このまま行けば、力の根源を崩壊させ、脱出することも可能ですよ」

「えっ! 待って、ボーナスステージ終わるのは不味い!」

 できれば、もっとじっくり色々やっておきたかったんだ。
 六大性質だって、まだレベル上げ半分程度。
 これを機にできれば全てのものをあげておきたいと思った。
 俺のレベル以外はね。

「貴方、カルマがどうとか嘆いてましたけど、ほとんど自分の業ですよ」

「あ、やっぱり? でも勇者の分のカルマもそこそこ来てるんじゃない?」

「そこまでは知らないですが、裏で魔国にポーションや装備を渡してたでしょう?」

「バレてら」

 そう、戦いを長引かせるために、魔国の間者にも渡していた。
 補給担当である俺の噂は広がり、そこを叩きにくるからな。
 その際交渉して、同じ量のポーションや装備を地味に渡してあるのだ。
 ──タダで。

 え? なんでそんなことをするかって?
 布教のレベル上げだよ、うん。
 一定の品質や価格のものをあげると布教のレベルは上がる。
 デプリには死んでもタダ働きは嫌だったので、魔国相手にやった。

 まるで死の商人である。
 しかしながら、六大性質って仏様の力的な立ち位置のシステムだ。
 カルマ禊教とか入らなくても、これ上げれてば良いんじゃないの?
 俺を救うのは、やはりゲームシステムだったりする。

「あとさ、こうやって煽ればイグニールとジュノーを出すじゃん?」

「ふむ、なんともゲスな考えが私の頭をよぎりましたね」

「……まあ、お見通しっぽいから言うけど」

 魔王の力によって、この世界で俺の敵としてイグニールやジュノーが出て来たとする。
 その際は、教団内部からかっぱらって来た隷属の腕輪を用いて、こっち陣営にしようと思っていた。
 無理やりは良くないけど、敵対心はそれで無効化にできて、こっちの世界のイグニールと過ごせる。

 そしてこっちの世界のイグニールとは、俺がなかなか言い出せなかったことをするのだ!
 デートしたりちゅっちゅしたり、一緒に勇者ボコったり、色々だ!
 ぐへへへ、現実世界じゃないなら何やったって良いんだもんねー!

 ジュノーは、まあダンジョン作るデモンストレーションでもしようかな……。
 潜在装備を作るよりも、どこまでダンジョンを拡張できるのか、止まった時間を利用する。

「邪悪ではないですが、突き抜けるほどの我欲ですね」

「まっ、人間だいたいそんなもんだよ。とどまるところを知らん生き物だ」

「恐ろしい……歯止めとなる存在がいなければ、支配は彼らだったでしょう」

 俺の元いた世界では、世界の覇権を人間が握ったな。
 人口も7、80億を突破し、食料危機だってある。
 頭のいい連中は、間引きよりも新天地を求めて、さらに星の外にまで行こうとしている。
 なんとも、それを邪竜に言われるとは皮肉なもんだ。

「しかし、そのために煽ったんだけど、いないんだよなー……」

「もう死んだのかもしれません。まっ、幻ですしどうでもいいでしょう」

「そうだね。荒野ひっくり返して鉱石とか集めることできる?」

「こんなに牛丼追加でやらんこともないでしょう」

「はいはい」

 そんな契約を交わして、長男にドロップアイテムとか鉱石を集めてもらう。
 重力って便利だね。

 そして、約1時間ほどかけて、周りにいた人間と魔物は全て滅びた。
 荒野はもう地面がめくれ返ったりしてとんでもない状況である。
 それぞれ交代で力を使い、交代で休みながら牛丼を食べるという器用な技を見せた邪竜三兄弟の出番もここで終わりだ。

「力の根源と是非とも戦って見たかったのだが、いかんせん出てこんからつまらんわい」

「ビビったのでしょうね。弱体化させられていたと聞きますし、次は本気で来て欲しいものです」

「ギャオ!」

 そんなことを言いながら、邪竜三兄弟は指輪の中に戻っていった。
 物騒だが、心強いなあ……。

 さてと、散々荒らし回ってリソースももうやばそうだ。
 この世界のドロップアイテムはほとんど回収したと言える。
 俺のインベントリ内のケテル合計額は1300億ケテル。

 なんの苦労もなく。
 バカみたいな額の金が稼げてしまった。
 バカみたいな数のドロップアイテムを得てしまった。

 周りにはもう誰もいない。
 本当に誰もいない。

「たとえ幻で造られた世界だとしても、世界を征服するってこう言うことなんかな……?」

 聞いてるか、魔王、そして邪竜三兄弟。
 誰も何もいなくなったら、残されるのは世界だけ。
 なんだろう、誰も済まなくなった廃墟感。

 実際に滅亡させてみて思う。
 こんなことしたい奴って、何がしたいんだろうね、と。

「いるなら出てこいよ、魔王の力の源ゲンさん」

 ……。

「まだやるのか? やらないのか? 俺の精神を潰してみろ」

 ……。

「切っても切れない縁で繋がる仲間がいるから俺は負けない」

 こういう力技じゃなくても、切り抜けられる。
 だからイグニールとかジュノーが捕まってる感じの展開の世界来て。
 助けて告ってチュッチュして、カルマの限りを尽くす。

 すると右手にはめた邪竜の魂入れて指輪が少し反応していた。
 どうやら「現実でやれよ」と言っているらしい。

 ……この感じは長男かな?
 ハッ、現実世界でできる訳ないだろ!
 本音と建前はちゃんとした方がいい。

「おーい、ゲンさーん? おーい?」

 ──貴様は、絶対に、許さん。

「お?」

 ──何もない世界、何も感じない世界。
 ──その中に身を置いてもらうぞ!

「それも無理だぞ。もういっぱい色んなものゲットしたから。何もなくても向こう十年は耐えれる」

 ──だったら……。

 荒野の世界が再び切り替わる。
 薄暗い世界になり、空間が歪んで、そこに一つの何かが形作られた。
 人型にも近いが、なんとも歪な黒い塊である。

「……大量に魔物がいないと邪竜は呼べんようだから、私自らが貴様を殺し尽くす」

「ほーん、それにしては小さいな」

 いや、小人の秘薬ペナルティで俺がでかいのか。
 目の前に現れた力の源はなんとも小さい存在だった。
 リソース不足なのかね。

「強さに大きさは関係ない。精神が擦り切れるまで、地獄の苦しみを与え続けてやろ──」

「ほい浄水じゃぶじゃぶ!」

「──ぐはっ」

 ひっつかんで浄水の入った風呂にぶち込んだ。
 概念体とはなんども戦って来た。
 ノウハウはあるし、本体が出て来たならばなおのこと良し。
 瓶詰めしよっと。

「お、お前! やめろ! やめろ!」

「ずっとこの時を待ってたんだよ。お前が俺の目の前に来る時をな」

「なっ!? い、いつからここまでのことを予測していたんだ!」

「生まれた時からだよ」

 多分。
 あ、ハッタリです。

「くそ! 出せ! 出すんだ! くそ、力が出ない!」

「概念体コレクション二つ目だな」

「貴様! 貴様あああああああ!」

 人型を保てなくなったのか、黒いもやもやになった力の源は瓶の中で叫ぶ。

「こんなことしても、我の存在は不滅、不滅である! 再び召喚されれば、別のやつを!」

「でも、力の端くれはここにいるんだろ?」

「な、何をにやけている……! 気持ち悪い笑顔やめろ!」

「ずっとお前いたぶり続けるからな。言葉を返すようだが、甚振って甚振って甚振って甚振って、俺が死ぬまで、いや死んでもきっと死なない奴らが甚振って甚振って甚振って甚振り尽くすから覚悟しろよ」

「──!!」








「──ん?」

 気がつけば、何やら石でできた牢屋の中に切り替わった。
 どうやら、戻って来たようである。
 俺の足元には、白目を剥いた黒いもやもや入りの瓶。
 よし魔王の力の源をこっちの世界に引っ張って来ることに成功した。

 俺もこっから出ようかな……。
 なんて思っていると、

「ォン」

 見知った声が牢屋の外から聞こえて来た。
 牢の前にポチが立っていて、俺をじーっと見ている。
 これは本物のポチだ!

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