装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
306 / 650
本編

607 ごめんなポチ

しおりを挟む

 鉄格子の部分をサクッとインベントリに収納して牢屋を出る。
 手枷も全部しまっちゃったから、俺に拘束具は効かないのだ。

「ポチッ!」

「アォン!」

 もふもふふわふわの感触を、今一度抱きしめよう。

「ふんす!」

「──グハッ!?」

 ポチを抱っこしようと屈んで抱擁の構えに。
 しかし、がら空きの胴を一発ぶん殴られた。

「ポ、ポチ……」

「アォン」

「え?」

 顔を見るに、どうやら怒っているようだ。
 ……そっか、そうだよな。
 何の説明も無しに心配かけちまったもんな……。

「ごめんな、ポチ」

 謝ると、ポチは黙って俺の懐に来てくれた。
 うん、この感触、これは本物である。

「クゥン」

「もう大丈夫、急にいなくなったりしない」

「アォン」

「後でみんなにも説明するよ、みんなで来てるんだろ?」

 そう言うと、頷くポチ。
 どうやってここまで来たのか知らないが、合流しようか。
 結局、みんな揃っていた方が、万事が上手く収まるんだ。

「あの~、そのコボルトはトウジ様の従魔ですぞ~?」

 隣の牢屋から骨の声が聞こえる。
 見て見ると、手枷を付けられた骨がいた。

「……こいつは置いてか」

「ちょ、ちょっと待ってくださいですぞ~!」

「冗談だよ、冗談」

 なんだかんだ精神汚染から防御してくれていた様だし。
 こいつもしっかり連れて行こう。

「つーか、骨と手枷明らかに合ってないけど、自分で逃げれたんじゃないのか?」

「ずーっと意識を失ったままの貴方様を見ておくべく、私も牢屋に入ったんですぞ~!」

「そうなんだ……ってことは、ここがどことか、何があったのかとか、わかる系?」

「ええ、バッチリ状況説明できる系ですぞ~」

「話が早いな、頼む」

 関節はずしてさっさと鉄格子をくぐり抜けた骨から、俺はこの状況を聞いた。
 俺たちは、魔国の軍よりバインドと呪いを体に受けたそうだ。
 なんとも、混沌たる魔王の力を増幅させる闇の魔法とのこと。

 俺が魔王の精神世界に捕まったのは、それで力が増幅されたからだ。
 で、俺たちはバインドに合っている間に拘束され、魔国に運ばれた。

「勇者さん達に感謝ですね、トウジ様」

「ふーむ……」

 話は続く。
 どうやら、勇者たちは俺のことをただ連れてこられた無関係者だと言ったらしい。
 本当に何のスキルも力も持っていないことから、俺は牢屋に骨と放置されたのだ。

「勇者たちは?」

「それはわかりませんが、この建物にはいると思いますぞ~」

「そもそもここってどこなの?」

「魔国軍部、軍師の座につく偉い人の領地ですぞん」

「へー」

「私にはぶっちゃけバインドも呪いも何も効きませんし、建物が何なのかボーンアイで見ていましたぞ~!」

 それは助かるな。
 これは明らかにアドラーの思惑から離れた敵対行為。
 さっさとこの場所から逃げた方がいいだろう。

 もちろん。
 勇者たちも連れてな。

 このまま囚われとけば良いのかもしれんが、寝目覚めが悪い。
 幻の世界では邪竜三兄弟に一瞬で蒸発させてもらったが、現実は違う。
 あいつらをしっかり元の世界に突き返すことが、一番良い選択なのだ。

 ……うん、そうだな。
 あいつらはまだ子供だ。
 子供に過酷なことをさせるもんじゃねー。

「トウジ様、どうなさるんです?」

「俺の仲間がここに来ているから、合流するよ」

 話はそこからだ。
 ポチがここにいるってことは、近くにイグニールたちもいるだろう。
 割と国家間の争いが再び勃発しそうな状況なのに、よく来てくれた。

 ……感謝してもしきれない。
 しかしながら、得るものも大きかったとしておこうか。

「ポチ、みんなの元に案内してくれ」

「ォン」

 俺はポチを抱きかかえると、骨を連れてこの場を後にした。
 ちなみに見張りも何人かいるのだが、全部気絶している。
 これは……ポ、ポチがやったのか……。
 多分コボルトだと侮って、一撃で気絶させられたんだろうなあ……。

 どんまい見張り。
 うちのポチを侮っちゃいけないぜ。

「そういえば、トウジ様の魂に混ざっていた魔王の力が消えてますけど……どうしたんですぞ?」

「ああ、なんか勇者の加護がない俺の体を奪おうとして来たから、返り討ちにした」

「返り討ち……ですぞ……?」

「うん、これ」

 瓶詰めされた力の源、通称ゲンさんを骨に見せる。
 すると、骨はあんぐりと口を開けていた。

「に、にわかには信じがたいですぞ~!」

「まっ、みんな揃ったらその辺もまとめて話すから黙っとけ」

「いや、起きたらカルマ100倍くらいに膨れ上がってますぞ~、説明責任ありますぞ!」

「それも後で」

 カルマに関しては、多分はちゃめちゃにやっちまったからだろうな……。
 マジでカルマが存在するのが今だに疑っちゃいるが、存在するなら俺はヤバイ。
 そう理解できた。

 まっ、それも人間の欲深さよ。
 因果応報が来たとしても、別に悪いことはしてないんだから、もうどうでも良い。
 はちゃめちゃに暴れたし、思う存分好きなことやれて、大分スッキリしています。
しおりを挟む
感想 9,839

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。