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本編
623 アメリカンドッグ・こぼるとクック編
「勇者の好物だったら料理の名前ですが、確かアメリカンドッグですね」
「アメリカン、ドッグ……? どういう意味だ?」
「さあ? でも聞いた話だとそうなってんすよね、不思議ですね?」
この世界にアメリカなんて国は存在しない。
だから適当にこんな名前だったんですと、ってしておく。
他に言いようがないから仕方ないじゃないか。
そんなこと言ったって、仕方ないじゃないか。
「使われている材料は、おっさんの解読したものとほぼ一緒です」
「おおっ! ってことは、何が悪かったんだ?」
悪い所……は、全体的に悪いかもしれない。
パンケーキを不味く作る、なんて言わば才能では?
しかし、人は練習すればできる様になる生き物だ。
何だってやれる、何だってなれる、そんな存在だ。
無理だの、できないだの、勝てないだの。
そんなことを喚く人もいる。
ただ、やりたいなりたい、そんな人は沢山いるのだ。
その競争でただ他の人の練習に勝てなかっただけ。
チャレンジするって、やっぱり大事なんだね!
と、偉そうに語る俺は、そういうのから逃げたタイプ。
人に言える立場じゃないけど、棚上げしておくぞ。
「おっさん、これは別個で焼いて挟むのではないんですよ」
「むむむ?」
「ソーセージにパンケーキの元をつけて、油で揚げるんです」
「……??」
──わ、わかってねえ!!
ダメだ、根本的に料理を知らない人なんだ!!
なんで屋台なんかやってんだよ。
マジで思いつきで何も調べずにやってたのか。
そりゃ逃げられるぜ、嫁さんに。
「……ポチ、ちょっとやり方教えるからやってみて」
「アォン!」
ハイ、と片手を上げて肯定するポチに教える。
公園の土に、木の棒でガリガリと作り方を書いてった。
メモ帳に書かないのはおっさんにも見せるためである。
「おっさんのパンケーキは甘々だったから、それがダメなんです」
「そうなのか?」
「はい。多分そこまで甘さはいらないですよ」
「ほうほう」
「ソーセージの塩っけが周りの衣の甘さを強調させるんです」
「へー、全然知らなかった」
パンケーキ用に調合された粉の分量とかどうするんだって思ったけど。
どうやら面倒だからスイーツ売ってる店から直接購入してたらしい。
混ぜるだけなんだから、自分で作れよって話なんだけど……。
「アォン!」
ってことで、ポチがシャカシャカと生地を作り出したのであった。
小麦粉、片栗粉、ベーキングパウダー(ふくらし粉)、砂糖。
これに牛乳と卵を入れて混ぜ合わせる。
「うおおお! 元ができた! 元ができたぞ!」
「……アォン」
おっさんの無知っぷりに、呆れて物も言えないポチだった。
ポチはメモ帳を取り出して何か書いておっさんに渡す。
そこにはこう書いてあった。
何も知らなくても、作り方は簡単。
混ぜて、つけて、揚げるだけ。
でも、自分なりに毎日料理の練習してください。
「お、おう……コボルトに説教とは初めての体験だ」
「でも、ポチだって最初はあんまり上手くできなかったらしいですよ?」
「だよな……なんか俺の目から見ても、すげぇ手慣れてるし、頑張ったんだな……」
そう、ポチだって頑張ったんだ。
ぶっちゃけ、最初からできが良いのばかり食わされてたから天才だと思っていた。
しかし、俺が知らないところでポチにも苦労はあったんじゃないかな、と感じる。
「偉いぞ、ポチ」
「わふ」
頭を撫でると気持ちよさそうにするポチは、もう一枚メモ帳を出した。
おっさんと二人で読む。
そして一つの料理で笑顔を作るのは大間違い。
色んな料理をバランス良く食べてもらってこその、笑顔。
料理には真心を込めることが重要です。
ひたむきで、前向きな姿勢で料理をすれば、きっと家族も戻ってくる。
おじさんの料理で、みんなを幸せにしてあげて。
「うおお……そうだよな、大事なところがかけてたぜ……」
「アォン」
「俺が料理をやろうって思ったのも、嫁さんが作ってくれる料理を笑顔で囲う光景が頭にあったからなんだ」
美味しいご飯はみんなを笑顔にする。
しかし、孤食はダメだ、本末転倒だ。
みんなで揃って料理を食べる、それが一番の幸せなのである。
俺がお腹すかなくなったのも、その状況に一気に陥ったから。
そう、一人になったら何もできないんだ、人間って。
「じゃ、続きですけど。元ができたら、ソーセージにつけて揚げると完成です」
「ォン」
「え? ソーセージに片栗粉を先にまぶしとけば、衣が剥がれないって?」
確かにそうだな、ポチの意見採用。
ってことで、食べ易い様にソーセージに串を刺して、衣につけてきつね色になるまであげた。
ジュウウウウウ。
油に落としたアメリカンドッグが、きつね色になって浮かんできた。
これで、アメリカンドッグの完成である。
「おおおー! なんか美味しそうだ! しかもこんなの見たことないぞ!」
「油からあげて、余分な油を切ったら、ケチャップとマスタードをつけて食べます」
「アォン」
ポチが全部やって皿に綺麗に盛り付けてくれた。
さて、みんなで実食する。
さくっ、もぐもぐっ。
安定の美味さである。
こういうジャンキーなのは好きだ。
ハンバーガーとか食べたくなるなあ……。
すっきり爽快な冷たい炭酸飲料も飲みたい。
「うめー! なんだ、俺が作ったやつと、まるっきりちげー!」
「分量間違えなかったら揚げ加減の問題ですから、作りやすいですよ」
「そうだな、俺がどれだけ料理を甘く見てたか再確認できた」
「そっすね。でもこれからですよ。な、ポチ?」
「ォン!」
自分にもできたんだから、と頷くポチだった。
「でもなあ、これでガーっと毎日売れるかはわかんないんだよなあ……」
「それはおっさんの努力次第です。そこにも目を向けて考えて見ては?」
「お、おう……よし、わかった! ひとまずこれ一個提げて考えてみるぜ!」
「その意気です」
クロイツに住む人なら、クロイツで売れる方法を考えることもできるはずだ。
こういうのは目を向ける場所っていうのが違うから成功しないってこともある。
パインのおっさんなんかその良い例だ。
まあ、あの人はなんだかんだメンタル弱い以外は欠点はない。
つまり、成功が約束されてた様な気がしないでもないけどな……。
「約束の件ですけど」
「おう、差し入れ用のものを俺が自分で作って持っていきたいから、明日またこの公園に朝から来てくれ」
「わかりました」
明日か、今日はアメリカンドッグの研究でもするのかね?
まあ、前向きになっている状況だし、水を差すのは止めておこう。
「アメリカン、ドッグ……? どういう意味だ?」
「さあ? でも聞いた話だとそうなってんすよね、不思議ですね?」
この世界にアメリカなんて国は存在しない。
だから適当にこんな名前だったんですと、ってしておく。
他に言いようがないから仕方ないじゃないか。
そんなこと言ったって、仕方ないじゃないか。
「使われている材料は、おっさんの解読したものとほぼ一緒です」
「おおっ! ってことは、何が悪かったんだ?」
悪い所……は、全体的に悪いかもしれない。
パンケーキを不味く作る、なんて言わば才能では?
しかし、人は練習すればできる様になる生き物だ。
何だってやれる、何だってなれる、そんな存在だ。
無理だの、できないだの、勝てないだの。
そんなことを喚く人もいる。
ただ、やりたいなりたい、そんな人は沢山いるのだ。
その競争でただ他の人の練習に勝てなかっただけ。
チャレンジするって、やっぱり大事なんだね!
と、偉そうに語る俺は、そういうのから逃げたタイプ。
人に言える立場じゃないけど、棚上げしておくぞ。
「おっさん、これは別個で焼いて挟むのではないんですよ」
「むむむ?」
「ソーセージにパンケーキの元をつけて、油で揚げるんです」
「……??」
──わ、わかってねえ!!
ダメだ、根本的に料理を知らない人なんだ!!
なんで屋台なんかやってんだよ。
マジで思いつきで何も調べずにやってたのか。
そりゃ逃げられるぜ、嫁さんに。
「……ポチ、ちょっとやり方教えるからやってみて」
「アォン!」
ハイ、と片手を上げて肯定するポチに教える。
公園の土に、木の棒でガリガリと作り方を書いてった。
メモ帳に書かないのはおっさんにも見せるためである。
「おっさんのパンケーキは甘々だったから、それがダメなんです」
「そうなのか?」
「はい。多分そこまで甘さはいらないですよ」
「ほうほう」
「ソーセージの塩っけが周りの衣の甘さを強調させるんです」
「へー、全然知らなかった」
パンケーキ用に調合された粉の分量とかどうするんだって思ったけど。
どうやら面倒だからスイーツ売ってる店から直接購入してたらしい。
混ぜるだけなんだから、自分で作れよって話なんだけど……。
「アォン!」
ってことで、ポチがシャカシャカと生地を作り出したのであった。
小麦粉、片栗粉、ベーキングパウダー(ふくらし粉)、砂糖。
これに牛乳と卵を入れて混ぜ合わせる。
「うおおお! 元ができた! 元ができたぞ!」
「……アォン」
おっさんの無知っぷりに、呆れて物も言えないポチだった。
ポチはメモ帳を取り出して何か書いておっさんに渡す。
そこにはこう書いてあった。
何も知らなくても、作り方は簡単。
混ぜて、つけて、揚げるだけ。
でも、自分なりに毎日料理の練習してください。
「お、おう……コボルトに説教とは初めての体験だ」
「でも、ポチだって最初はあんまり上手くできなかったらしいですよ?」
「だよな……なんか俺の目から見ても、すげぇ手慣れてるし、頑張ったんだな……」
そう、ポチだって頑張ったんだ。
ぶっちゃけ、最初からできが良いのばかり食わされてたから天才だと思っていた。
しかし、俺が知らないところでポチにも苦労はあったんじゃないかな、と感じる。
「偉いぞ、ポチ」
「わふ」
頭を撫でると気持ちよさそうにするポチは、もう一枚メモ帳を出した。
おっさんと二人で読む。
そして一つの料理で笑顔を作るのは大間違い。
色んな料理をバランス良く食べてもらってこその、笑顔。
料理には真心を込めることが重要です。
ひたむきで、前向きな姿勢で料理をすれば、きっと家族も戻ってくる。
おじさんの料理で、みんなを幸せにしてあげて。
「うおお……そうだよな、大事なところがかけてたぜ……」
「アォン」
「俺が料理をやろうって思ったのも、嫁さんが作ってくれる料理を笑顔で囲う光景が頭にあったからなんだ」
美味しいご飯はみんなを笑顔にする。
しかし、孤食はダメだ、本末転倒だ。
みんなで揃って料理を食べる、それが一番の幸せなのである。
俺がお腹すかなくなったのも、その状況に一気に陥ったから。
そう、一人になったら何もできないんだ、人間って。
「じゃ、続きですけど。元ができたら、ソーセージにつけて揚げると完成です」
「ォン」
「え? ソーセージに片栗粉を先にまぶしとけば、衣が剥がれないって?」
確かにそうだな、ポチの意見採用。
ってことで、食べ易い様にソーセージに串を刺して、衣につけてきつね色になるまであげた。
ジュウウウウウ。
油に落としたアメリカンドッグが、きつね色になって浮かんできた。
これで、アメリカンドッグの完成である。
「おおおー! なんか美味しそうだ! しかもこんなの見たことないぞ!」
「油からあげて、余分な油を切ったら、ケチャップとマスタードをつけて食べます」
「アォン」
ポチが全部やって皿に綺麗に盛り付けてくれた。
さて、みんなで実食する。
さくっ、もぐもぐっ。
安定の美味さである。
こういうジャンキーなのは好きだ。
ハンバーガーとか食べたくなるなあ……。
すっきり爽快な冷たい炭酸飲料も飲みたい。
「うめー! なんだ、俺が作ったやつと、まるっきりちげー!」
「分量間違えなかったら揚げ加減の問題ですから、作りやすいですよ」
「そうだな、俺がどれだけ料理を甘く見てたか再確認できた」
「そっすね。でもこれからですよ。な、ポチ?」
「ォン!」
自分にもできたんだから、と頷くポチだった。
「でもなあ、これでガーっと毎日売れるかはわかんないんだよなあ……」
「それはおっさんの努力次第です。そこにも目を向けて考えて見ては?」
「お、おう……よし、わかった! ひとまずこれ一個提げて考えてみるぜ!」
「その意気です」
クロイツに住む人なら、クロイツで売れる方法を考えることもできるはずだ。
こういうのは目を向ける場所っていうのが違うから成功しないってこともある。
パインのおっさんなんかその良い例だ。
まあ、あの人はなんだかんだメンタル弱い以外は欠点はない。
つまり、成功が約束されてた様な気がしないでもないけどな……。
「約束の件ですけど」
「おう、差し入れ用のものを俺が自分で作って持っていきたいから、明日またこの公園に朝から来てくれ」
「わかりました」
明日か、今日はアメリカンドッグの研究でもするのかね?
まあ、前向きになっている状況だし、水を差すのは止めておこう。
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