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本編
656 準備フェイズ
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「えー、お集まりいただきありがとうございます」
早速家に戻り、リビングにでかい黒板を置いて、その前に立つ。
この黒板は、帰りがけに雰囲気作りとして買った。
「何なの、朝からいきなり畏まって」
大人しく椅子に座ってそう言うイグニール。
「なんやなんや」
「なんですか」
「なんだし?」
イグニールの後に続いてマイヤー、リクール、ジュノーも首を傾げている。
みんなの視線が集まったところで、カッカッカッと骨が黒板に書く。
“──どきどき、ハプニングだらけのすごろく大会ですぞっ”
「だから、何よそれ」
黒板に書かれた文字を読んだイグニールが、再び仏頂面でそう言った。
うん、俺もそう思う。
何ですか、どきどきハプニングだらけのすごろく大会って。
みんなで決めた罰ゲームをするのはわかるが、なんか深夜番組っぽい。
「とりあえず、こうなった経緯を説明するから、聞いてくれ」
「了解」
「今朝、冒険者ギルドに行ったら、とある依頼でパーティーネームが必要になった」
「ああ、そう言えばまだ決めてなかったわね……」
「良い案が浮かばなかったから、みんなでゲームしながら決めようってことで、この状況」
「ははーん、それですごろくをして、先にゴールした人の案が決定するんやね?」
マイヤーは、朝から酒を飲みながらうんうんと頷いていた。
今日は学業も商会も休みらしい。
だからって朝っぱらから迎え酒するなよなあ……。
「すいません、すごろくって何ですか?」
リクールがそろーっと手を上げてそう尋ねる。
どうやらすごろくを知らないようだ。
もともと外で生きてきた魔物だから、仕方ない。
「サイコロ振って、出た目の数だけ進んで、先にゴールしたら勝ち、の簡単ゲームやで?」
「ほうほう、ならば私にもできそうですね」
そう、骨の発案したこのゲームは、意外なことに誰でもプレイ可能なのである。
サイコロを振って、前に進むだけなんだから、難しいことはない。
スライムだって可能だぞ。
もっとも、キングさんは体を変形させて拳を作り、じゃんけんするけどね。
「しかしながら、ただのすごろくとは行かないんですぞ~!」
骨が言う。
「すごろくに点在するマス目に、各自が決めた罰とご褒美を記載し、それを絶対遂行していただきます」
「各自が決めた罰とご褒美? どう言うことかしら?」
イグニールの疑問に、骨は答える。
「ただすごろくするだけじゃ面白くないですからね! 人は飴と鞭があると燃え上がるのです!」
そこからベラベラとテンション高めに説明する骨の話を要約すると。
罰マスを三つ、ご褒美マスを一つ、各自思い思い自由に決める。
誰でもできる範囲のものとするのが、絶対条件だ。
罰マスは踏めば踏むほど、何度も何度も罰ゲームとなる。
しかし、ご褒美マスは最初に踏んだ人のものとなる。
何気にいやらしい仕様だが、ご褒美を無限に準備できないのと。
罰はあればあるほど見てるほうが楽しいからそうなったらしい。
過去の勇者一行は、それで何となく絆的な雰囲気が生まれたそうだ。
「恥ずかしい衣装もよし、恥ずかしい暴露話もよし、できる範囲ならば何でもござれの罰ゲームですぞっ!」
「なるほどね。とりあえずそれを紙に書いて箱に入れれば良いのね?」
「はい。今から3時間の準備時間としますぞ」
各自がどんな罰、どんなご褒美を用意したかは、見えないようにする仕組みだ。
「でも、だったらどうやって作るし。すごろく作った人が有利だし! 不公平だし!」
「その辺は問題ないぞ、ジュノー」
一度は名前決めゲームで不正を図ろうとしたやつが何言ってんだか……。
公平にゲームを行うためのすごろくを作る人物、ちょうど適任がいるのだ。
「ジュニア、こい」
コレクトを一度図鑑に戻して、そして俺はジュニアを召喚した。
「はい、なんすか」
「……あれ、なんでちょっとボコボコになってんのお前」
「うっさい、黙れ、関係ないだろ」
召喚されたジュニアは何だかちょっとボロボロになっていた。
図鑑の中で何があったと言うのだろうか。
まあ、十中八九、キングさんにボコられたと言って良いだろう。
「お前なあ……調子こくからだぞ……?」
「知ったような口聞くな、で、何だよ!」
ふがーっと怒るジュニアをはいはいと宥めてから言う。
「話は聞いてただろ?」
「……ああ、ダンジョンですごろくを作れば良いんだよな?」
「うん」
そう、公平にゲームを行うためのゲームマスターとしてジュニアを活用する。
こいつならば、誰にも何の影響もなくダンジョンを作ることが可能だ。
ちなみにコレクトは豪運を持つ存在だから、すごろくは図鑑の中から見学である。
ゲームブレイカー的な存在だから、仕方ない。
名前の案的には、俺が思いつかないので代わりにコレクトの名前を預かるつもり。
「ジュノー、これだったら誰も手出しはできないすごろくが作れるぞ」
「……あたしが作ってあげようと思ったのに、残念だしー」
その言い草、やっぱり不正するつもりだったな、こいつ。
まったく、隙あらばって感じだ。
「なあ、ダンジョンですごろくを作るのは理解したんやけど、その子なに?」
ジュニアの出現に、マイヤーが眉を上げながら尋ねる。
「なんかトウジをすっごく小さくしましたって感じの雰囲気やね。目は死んでないけど」
「目は死んでないって……まあいい、こいつはジュニア。ダンジョンコアの従魔──」
「──あたしとトウジの子供だし! ね、ジュニア!」
俺の言葉を遮って前に出るジュノー。
「えええええ!? 子供いつの間にできとったん!?」
「ちげーよ! そんな訳ないだろ!」
ダンジョンコアと人間の間に子供なんてできるのか?
そもそも体の大きさが違いすぎて行為そのものが不可能だ。
「ハハハ、冗談やって。驚いて見た振りやってん」
「おいおい……」
まったく、悪ノリだとしても驚かれたらヒヤッとする。
「ジュニア、ママだよ? 飴ちゃんいるし?」
「いらん、あっち行け」
「反抗期だし!」
マイヤーが驚いている間、ジュノーはジュニアに母ちゃんずらしていた。
そしてあっさりあしらわれていた。
「騒がしすぎて話が前に進まないから、とにかくみんな罰とご褒美決めるために解散!」
=====
ジュニア「くそ、ムカつくから罰ゲーム増量にしてやる」
ジュニア「ウハハハ嫌がらせと派手さにかけては主を超えるぞ、俺は」
早速家に戻り、リビングにでかい黒板を置いて、その前に立つ。
この黒板は、帰りがけに雰囲気作りとして買った。
「何なの、朝からいきなり畏まって」
大人しく椅子に座ってそう言うイグニール。
「なんやなんや」
「なんですか」
「なんだし?」
イグニールの後に続いてマイヤー、リクール、ジュノーも首を傾げている。
みんなの視線が集まったところで、カッカッカッと骨が黒板に書く。
“──どきどき、ハプニングだらけのすごろく大会ですぞっ”
「だから、何よそれ」
黒板に書かれた文字を読んだイグニールが、再び仏頂面でそう言った。
うん、俺もそう思う。
何ですか、どきどきハプニングだらけのすごろく大会って。
みんなで決めた罰ゲームをするのはわかるが、なんか深夜番組っぽい。
「とりあえず、こうなった経緯を説明するから、聞いてくれ」
「了解」
「今朝、冒険者ギルドに行ったら、とある依頼でパーティーネームが必要になった」
「ああ、そう言えばまだ決めてなかったわね……」
「良い案が浮かばなかったから、みんなでゲームしながら決めようってことで、この状況」
「ははーん、それですごろくをして、先にゴールした人の案が決定するんやね?」
マイヤーは、朝から酒を飲みながらうんうんと頷いていた。
今日は学業も商会も休みらしい。
だからって朝っぱらから迎え酒するなよなあ……。
「すいません、すごろくって何ですか?」
リクールがそろーっと手を上げてそう尋ねる。
どうやらすごろくを知らないようだ。
もともと外で生きてきた魔物だから、仕方ない。
「サイコロ振って、出た目の数だけ進んで、先にゴールしたら勝ち、の簡単ゲームやで?」
「ほうほう、ならば私にもできそうですね」
そう、骨の発案したこのゲームは、意外なことに誰でもプレイ可能なのである。
サイコロを振って、前に進むだけなんだから、難しいことはない。
スライムだって可能だぞ。
もっとも、キングさんは体を変形させて拳を作り、じゃんけんするけどね。
「しかしながら、ただのすごろくとは行かないんですぞ~!」
骨が言う。
「すごろくに点在するマス目に、各自が決めた罰とご褒美を記載し、それを絶対遂行していただきます」
「各自が決めた罰とご褒美? どう言うことかしら?」
イグニールの疑問に、骨は答える。
「ただすごろくするだけじゃ面白くないですからね! 人は飴と鞭があると燃え上がるのです!」
そこからベラベラとテンション高めに説明する骨の話を要約すると。
罰マスを三つ、ご褒美マスを一つ、各自思い思い自由に決める。
誰でもできる範囲のものとするのが、絶対条件だ。
罰マスは踏めば踏むほど、何度も何度も罰ゲームとなる。
しかし、ご褒美マスは最初に踏んだ人のものとなる。
何気にいやらしい仕様だが、ご褒美を無限に準備できないのと。
罰はあればあるほど見てるほうが楽しいからそうなったらしい。
過去の勇者一行は、それで何となく絆的な雰囲気が生まれたそうだ。
「恥ずかしい衣装もよし、恥ずかしい暴露話もよし、できる範囲ならば何でもござれの罰ゲームですぞっ!」
「なるほどね。とりあえずそれを紙に書いて箱に入れれば良いのね?」
「はい。今から3時間の準備時間としますぞ」
各自がどんな罰、どんなご褒美を用意したかは、見えないようにする仕組みだ。
「でも、だったらどうやって作るし。すごろく作った人が有利だし! 不公平だし!」
「その辺は問題ないぞ、ジュノー」
一度は名前決めゲームで不正を図ろうとしたやつが何言ってんだか……。
公平にゲームを行うためのすごろくを作る人物、ちょうど適任がいるのだ。
「ジュニア、こい」
コレクトを一度図鑑に戻して、そして俺はジュニアを召喚した。
「はい、なんすか」
「……あれ、なんでちょっとボコボコになってんのお前」
「うっさい、黙れ、関係ないだろ」
召喚されたジュニアは何だかちょっとボロボロになっていた。
図鑑の中で何があったと言うのだろうか。
まあ、十中八九、キングさんにボコられたと言って良いだろう。
「お前なあ……調子こくからだぞ……?」
「知ったような口聞くな、で、何だよ!」
ふがーっと怒るジュニアをはいはいと宥めてから言う。
「話は聞いてただろ?」
「……ああ、ダンジョンですごろくを作れば良いんだよな?」
「うん」
そう、公平にゲームを行うためのゲームマスターとしてジュニアを活用する。
こいつならば、誰にも何の影響もなくダンジョンを作ることが可能だ。
ちなみにコレクトは豪運を持つ存在だから、すごろくは図鑑の中から見学である。
ゲームブレイカー的な存在だから、仕方ない。
名前の案的には、俺が思いつかないので代わりにコレクトの名前を預かるつもり。
「ジュノー、これだったら誰も手出しはできないすごろくが作れるぞ」
「……あたしが作ってあげようと思ったのに、残念だしー」
その言い草、やっぱり不正するつもりだったな、こいつ。
まったく、隙あらばって感じだ。
「なあ、ダンジョンですごろくを作るのは理解したんやけど、その子なに?」
ジュニアの出現に、マイヤーが眉を上げながら尋ねる。
「なんかトウジをすっごく小さくしましたって感じの雰囲気やね。目は死んでないけど」
「目は死んでないって……まあいい、こいつはジュニア。ダンジョンコアの従魔──」
「──あたしとトウジの子供だし! ね、ジュニア!」
俺の言葉を遮って前に出るジュノー。
「えええええ!? 子供いつの間にできとったん!?」
「ちげーよ! そんな訳ないだろ!」
ダンジョンコアと人間の間に子供なんてできるのか?
そもそも体の大きさが違いすぎて行為そのものが不可能だ。
「ハハハ、冗談やって。驚いて見た振りやってん」
「おいおい……」
まったく、悪ノリだとしても驚かれたらヒヤッとする。
「ジュニア、ママだよ? 飴ちゃんいるし?」
「いらん、あっち行け」
「反抗期だし!」
マイヤーが驚いている間、ジュノーはジュニアに母ちゃんずらしていた。
そしてあっさりあしらわれていた。
「騒がしすぎて話が前に進まないから、とにかくみんな罰とご褒美決めるために解散!」
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ジュニア「くそ、ムカつくから罰ゲーム増量にしてやる」
ジュニア「ウハハハ嫌がらせと派手さにかけては主を超えるぞ、俺は」
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