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本編
657 はちゃめちゃ遊戯、ダンジョンすごろく・1
しおりを挟むダンジョン製作の全てをジュニアに委ね、俺たちは3時間の準備フェイズへと突入。
罰が3つにご褒美1つ。
何にしようか、非常に迷いどころである。
せっかく装備を作れるのだからコスプレにしようと思った。
カナトコがあるから、なんか面白そうな装備を罰ゲームで着せる。
そしてご褒美に関しては高級そうな寝具とかにするつもりだ。
食に関してはポチに勝てないので、高級な枕をプレゼントしよう。
そんな訳で、枕専門店へと足を運んで20万ケテルの枕を購入した。
ついでに、隣の高級洋服店へと赴き、珍しい服をゲッツ。
「しかし、スク水、ミニスカメイド、全身タイツ……それぞれ10万ケテルか……」
思ったよりも高い買い物となってしまった。
これらは賢者が残したデザインを真似て作ったものらしい。
だから、かなり高いのである。
装備可能レベルが50前後だったのも、高い理由だった。
「よし、総額50万だが、着てる姿を見れるのは面白そうだ」
ちなみに、ポチやゴレオ、リクールやピーちゃんも罰ゲームマスを踏めば着ることになる。
ゴレオはメイドゴレオ状態になればまあマシだ。
ポチやピーちゃんに関しても、とりあえず可愛いからオッケー。
だがリクールが着ることになってしまえば……想像しただけでやばそうだった。
◇
「ただいまー」
「おかえりなさいまし、トウジ様が最後ですぞ~」
「マジか」
帰宅すると骨が俺を出迎えてくれていた。
みんなはいない。
どうやら、先に待合所なる場所に向かっているらしい。
思った以上に、ダンジョンすごろくは本格的である。
「つーか、そう言えばこいつも参加者だったな……」
骨のスク水もヤベェ、想像できない。
「何ですぞ? 何ですぞその目は? 私も参加しますぞ?」
「いや、こっちの話」
罰ゲーム内容を言ってしまうことになるので、言葉は控えておく。
「ささ、所定の位置に罰ゲームとご褒美のものをお願いします」
「所定の位置に?」
「はい、皆さん罰ゲーム内容を知られないように、ジュニアさんが」
「へー、気がきくじゃん」
こちらです、と案内されたのは新しく作られた個室エリア。
部屋に入って、所定の位置に各自罰やご褒美アイテムを置くようだ。
アイテムじゃなくても、メモ帳に罰の内容を書くらしい。
「よし、これでオッケーだな」
「むふふ、ではトウジ様も揃ったということで、ご案内ですぞ!」
「うん」
ジュノーのダンジョンの隣に急造されたジュニアのダンジョン。
木造や石造のものとは違って、赤い絨毯が敷いてあった。
壁も何だか豪華な造りとなっており、派手な彫刻、調度品が置いてある。
「ド派手だな、俺の趣味ではない」
「ジュニアさん、かなり気合を入れて作ってたみたいですぞ~」
3時間の準備期間で作ったとはとても思えなかった。
やるじゃんジュニア。
そして階段を降りて、一番奥に存在する派手な扉。
金細工があしらってあり、重厚な扉である。
つーか、素材よ。
この金、俺の手持ちの鉱石を使ってんだろうな……。
でもまあ、魔王の精神世界で万単位で手に入れている。
多少使ったところで痛手は全くないのだった。
「もう、遅いし!」
「まっとったで~!」
入ると、ジュノーとマイヤーの声が聞こえた。
ピカピカの明るい空間に目が慣れてくると、正面のスタート地点に全員揃っていた。
スタート地点もなんか電飾っぽいものが飾られていてピカピカ光っている。
この世界に電気なんて通ってないはずなんだけど、魔法道具かなんかだろうかね?
ただっぴろい空間に、数々のアトラクションとアスレチック。
サイコロ振って進むだけかと思いきや、色々と楽しめそうである。
「よく作ったな、ジュニア」
「俺にかかればざっとこんなもんだぜ? ほら、さっさとスタートに来いよ」
「うん」
言われるがままにみんなが集まるスタート地点に向かうと、ダンジョン内が光り輝く。
なんかミラーボールみたいなものが中央に出現してピカピカと光り輝いていた。
クラブみたいだった……行ったことないけど……。
「おお~! ジュニアすごいし! お母さん誇りに思うし!」
「誰がお母さんだ!」
「もー、反抗期だし!」
ジュノーとジュニアのそんなやりとりを見ながら思う。
「本当にすごいな、これ……どうやってんだ?」
「ああ、割と大量にダイヤモンド借りたわ」
「ダイヤモンドね。まあ使い道アクセサリー装備以外そこまでなかったし、オッケー」
「それ普通に装飾品に使ってもめちゃくちゃ高いやつやで! なんやそれ!」
マイヤーのそんなツッコミが飛んでくるが、俺にとってはほぼ無価値なのである。
確かに上位装備を作る上では必要にもなるが、基本的にオリハルコンなのだ。
「お前ら、驚くのはまだまだこれからだぞ? サイコロ、オープン!」
ジュニアの声に合わせて次は空中にでかいサイコロが出現した。
普通の6面サイコロだが、希少鉱石オンリーで作った高いやつだそうだ。
このダンジョンを維持するのに、俺のインベントリにあるいらないポーションを大量に使用しているらしい。
改めて、俺のインベントリを共有しているってとんでもないチートだと思った。
「そんでもって、次はマス目オープン!」
今度は床が光り輝く。
今までは、何も書かれていないマスが道のようになっているだけだったのだが、文字や絵が出現した。
「おおおおおお! ジュニアすごーい!」
「何やこれ! すげーやんけ!」
「各地に『?』と書かれたマスが、誰かの罰ゲームマスだぜ! あとは俺の趣味で罰ゲームマス追加しといた!」
「えっ! お前余計なことするなよ? 大丈夫か、それ?」
「安心しろトウジ。やれる範囲ギリギリをついた罰ゲームだ。加減はしてある」
「本当かなあ……」
「まあまあ罰ゲームはたくさんあったほうが楽しいですぞ~!」
うーむ、まあみんな楽しみな顔をしてるから、よしとするか。
要は罰ゲームマスをできるだけ踏まなきゃいいんだ。
そして、みんなの罰ゲームを見学するのである。
「遠く離れていても罰ゲームを見やすいように、罰ゲーム対象者はしっかり鏡に映すぜ?」
断崖凍土、ダブのガーディアンにそんなモニターのような能力を持った奴がいた。
それと同じで巨大なものが空中のサイコロの隣に出現する。
「恥ずかしいものもバッチリここに移されるし、何なら記録もしといてやる!」
「え、記録とかできんの?」
「俺を誰だと思っているんだ? スーパーダンジョンだからできるに決まってんだろ」
「いや……まあいいか」
あとでみんなで見返す、とかそういうことも可能になるのかね?
どういう理屈なのかわからないけど、できるんだったら何でもいい。
「それじゃ、まずはサイコロを振る順番を決めるぞ!」
まるで某パーティーゲームのように、俺たちの頭の上にサイコロがいくつか出現する。
それがくるくると回転して、出目の合計が一番多かった人から順にスタートだった。
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