379 / 650
本編
680 やれやれ、また新手のトラブ──痛
「うーむ……」
「トウジ、何を悩んでるの?」
俺の唸り声を聞いて、イグニールが声をかける。
「いや、色々とやるべきことが多いな、と思って」
「やるべきこと、ねえ……」
冒険者のトップを決める催し事への参戦もあるのだが、他にも色々だ。
ピーちゃんを送り返し、トガルにいるウィンストにも会わないと。
ルートとしては、冒険者イベント。
その合間にピーちゃんを送り届ける。
で、帰りのルートでウィンスト。
こんなところだろうか?
そのまま昔の賢者の情報が聞ければ、そっちに向かうのもアリだ。
冒険者イベントって、結構長い間行われる予定である。
果たして、ギリスに戻ってくるのはいつになることやら、だ。
ある程度の生活は飛空船内で可能。
長期的な休みがあれば、都度ギリスに戻ると言う選択肢もある。
マイヤーに負担を強いるわけにもいかんし。
一つ用事が済めば、戻ることもありかもしれんね。
「臨機応変にで良いんじゃない?」
「そうかな?」
「今まで、一度も予定通りに行動したことないでしょ?」
「……そうだっけなあ……」
そもそも予定というものを立てて行動することがあまりなかった。
冒険者の依頼は突発的なものでもある。
一応集団で受ける依頼は予定を立てるが、全ての行程に予習は必要ない。
だいたい誰もがその時々によって考えて動く。
すげーびっちり予定を決めていたのはガレーくらいだな、今のところ。
あいつはやばいぞ。
10通り以上、どう動くか決めてからそれ通りに行動していた。
性格がもっと柔らかくなれば、傑物と言っても良いほどの存在。
何にせよ、自然に情報戦なんてものの確定的な情報はない。
見た聞いた、痕跡を見つけた、って状況での一発勝負。
どれだけ準備を整えようが、自然の唐突な猛威は予測できない。
「まあ……可能な限り早く帰れる手段を取ろうか」
イグニールの言葉にも流されて、そういう結論に至る。
「そうしましょ」
どうせ、ことが上手く運んで終わる、だなんてことはないんだ。
何か起こって、それに巻き込まれて、てんやわんやするだろう。
何もないと良いのだが、何かがあると思い行動するぞ、今回は。
「ってことで、目の前にクラウド型の魔物が出現するとかな!」
「きゃっ」
ふと思い立って、バッと走って窓を開けて外を見てみる。
窓はガラス製だが、俺のガチガチ盾装備にて堅牢だ。
ダメージの一部をはじき返す装備効果を持った盾でもある。
「何なのよ、いきなり……」
唐突な俺の動きに、尻餅をついたイグニール。
お尻を抑えながら近づいてくるので言う。
「俺たちが旅に出ると、だいたい何か起こるだろ?」
「そうね」
「だから前もっていつでも対処できるように備えておこうかなって」
「それでいきなり動き出したのね。まったく、わけわかんないわよ」
「ごめんごめん」
でもまあ、時計を気にすると時間の進みが遅くなる。
その理論でいけば……。
常に新手のトラブルかと気をつけていれば、トラブルは来ないのでは?
はいはいまた面倒ごとね、面倒ごと、とかやれやれ感を出していれば。
面倒ごとは来ないのでは?
運命を捻じ曲げる、とはそう言う何らかの思いのせめぎ合いなんじゃなかろうか。
相対性理論に、ヘタレた感情でぶつかっていくぞ、俺は!(???)
「トウジ、そっちの窓じゃなくて、こっちの窓からなんか見えるし」
「……おー?」
船中央のリビングルームは、フロアをぶち抜いたように広く作られている。
故に左右の窓が見渡せるのだが、逆の方を見ながらジュノーが言った。
「ドラゴンっぽくないし?」
「……?」
昨今ドラゴンとか特殊なやつ以外見たことも聞いたこともないぞ。
冒険者ギルドの情報にもドラゴン退治とかはほとんどない。
何故かって?
普通の人じゃ勝てない災害クラスとされているからだ。
ウィンストの肩にいるチビも、基本ワイバーンの亜種とか思われる。
竜に似たような形状を持った、竜には大きく劣る生き物だと。
俺が知るドラゴンは、装備となったイビルテール、チビとなったガイアドラゴン。
そして骨のままで俺のインベントリにいる個体。
ともに、とんでもない魔力を秘めていて、邪竜三兄弟なんか最強クラスだ。
ダンジョンコアや勇者がいなければ、世界を滅ぼせるくらいのやつである。
「はは、そんなドラゴンがこんなところで」
「──ギャオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「……やれやれ、まーた新手のトラブルか」
髪をかき上げながらフッと高貴なため息っぽい様を演出しているとイグニールに叩かれた。
「アホなことやってないで早く戦闘準備! なんかヤバいわよあれ!」
「トウジ、何を悩んでるの?」
俺の唸り声を聞いて、イグニールが声をかける。
「いや、色々とやるべきことが多いな、と思って」
「やるべきこと、ねえ……」
冒険者のトップを決める催し事への参戦もあるのだが、他にも色々だ。
ピーちゃんを送り返し、トガルにいるウィンストにも会わないと。
ルートとしては、冒険者イベント。
その合間にピーちゃんを送り届ける。
で、帰りのルートでウィンスト。
こんなところだろうか?
そのまま昔の賢者の情報が聞ければ、そっちに向かうのもアリだ。
冒険者イベントって、結構長い間行われる予定である。
果たして、ギリスに戻ってくるのはいつになることやら、だ。
ある程度の生活は飛空船内で可能。
長期的な休みがあれば、都度ギリスに戻ると言う選択肢もある。
マイヤーに負担を強いるわけにもいかんし。
一つ用事が済めば、戻ることもありかもしれんね。
「臨機応変にで良いんじゃない?」
「そうかな?」
「今まで、一度も予定通りに行動したことないでしょ?」
「……そうだっけなあ……」
そもそも予定というものを立てて行動することがあまりなかった。
冒険者の依頼は突発的なものでもある。
一応集団で受ける依頼は予定を立てるが、全ての行程に予習は必要ない。
だいたい誰もがその時々によって考えて動く。
すげーびっちり予定を決めていたのはガレーくらいだな、今のところ。
あいつはやばいぞ。
10通り以上、どう動くか決めてからそれ通りに行動していた。
性格がもっと柔らかくなれば、傑物と言っても良いほどの存在。
何にせよ、自然に情報戦なんてものの確定的な情報はない。
見た聞いた、痕跡を見つけた、って状況での一発勝負。
どれだけ準備を整えようが、自然の唐突な猛威は予測できない。
「まあ……可能な限り早く帰れる手段を取ろうか」
イグニールの言葉にも流されて、そういう結論に至る。
「そうしましょ」
どうせ、ことが上手く運んで終わる、だなんてことはないんだ。
何か起こって、それに巻き込まれて、てんやわんやするだろう。
何もないと良いのだが、何かがあると思い行動するぞ、今回は。
「ってことで、目の前にクラウド型の魔物が出現するとかな!」
「きゃっ」
ふと思い立って、バッと走って窓を開けて外を見てみる。
窓はガラス製だが、俺のガチガチ盾装備にて堅牢だ。
ダメージの一部をはじき返す装備効果を持った盾でもある。
「何なのよ、いきなり……」
唐突な俺の動きに、尻餅をついたイグニール。
お尻を抑えながら近づいてくるので言う。
「俺たちが旅に出ると、だいたい何か起こるだろ?」
「そうね」
「だから前もっていつでも対処できるように備えておこうかなって」
「それでいきなり動き出したのね。まったく、わけわかんないわよ」
「ごめんごめん」
でもまあ、時計を気にすると時間の進みが遅くなる。
その理論でいけば……。
常に新手のトラブルかと気をつけていれば、トラブルは来ないのでは?
はいはいまた面倒ごとね、面倒ごと、とかやれやれ感を出していれば。
面倒ごとは来ないのでは?
運命を捻じ曲げる、とはそう言う何らかの思いのせめぎ合いなんじゃなかろうか。
相対性理論に、ヘタレた感情でぶつかっていくぞ、俺は!(???)
「トウジ、そっちの窓じゃなくて、こっちの窓からなんか見えるし」
「……おー?」
船中央のリビングルームは、フロアをぶち抜いたように広く作られている。
故に左右の窓が見渡せるのだが、逆の方を見ながらジュノーが言った。
「ドラゴンっぽくないし?」
「……?」
昨今ドラゴンとか特殊なやつ以外見たことも聞いたこともないぞ。
冒険者ギルドの情報にもドラゴン退治とかはほとんどない。
何故かって?
普通の人じゃ勝てない災害クラスとされているからだ。
ウィンストの肩にいるチビも、基本ワイバーンの亜種とか思われる。
竜に似たような形状を持った、竜には大きく劣る生き物だと。
俺が知るドラゴンは、装備となったイビルテール、チビとなったガイアドラゴン。
そして骨のままで俺のインベントリにいる個体。
ともに、とんでもない魔力を秘めていて、邪竜三兄弟なんか最強クラスだ。
ダンジョンコアや勇者がいなければ、世界を滅ぼせるくらいのやつである。
「はは、そんなドラゴンがこんなところで」
「──ギャオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「……やれやれ、まーた新手のトラブルか」
髪をかき上げながらフッと高貴なため息っぽい様を演出しているとイグニールに叩かれた。
「アホなことやってないで早く戦闘準備! なんかヤバいわよあれ!」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました