装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

679 新たな旅路


「トウジもイグ姉も、ポチたちも気をつけてな?」

 ギリス首都と港町を繋ぐ森の中で、制服に身を包んだマイヤーがそう言う。

「ええ、大丈夫よ。フル装備だし」

「なら心配いらんってか、逆に周りが心配やな」

「……手加減覚えてるから大丈夫よ」

 いったい何の心配なのよ、とため息を吐くイグニール。
 朝っぱらから何をしているのかと言うと、今から飛空船で旅立つのだ。
 各国から選りすぐった一番の冒険者を決める催し事へと赴くのである。

「じゃ、行ってくる」

 俺はインベントリから、ここ1ヶ月ほどの間に改良した飛空船を取り出した。
 ズゥンと大きな船が地上に降り立ち、その衝撃で鳥がわらわらと散っていく。

「いつ見ても立派なもんやなぁ~!」

「そうだね」

 約30メートルほどの船体の前方と後方には、スラスターが二つずつの計4つ。
 船首に魔力収縮キャノン、そして後方にも同じキャノンと広域拡散フレア。

 後方キャノンを推進力として用いることも可能だが、浮遊に関しては浮遊結晶。
 サイドのスラスターで十分だろう。
 そもそも高速飛行時はワシタカくんが引っ張るから、後衛用の武装だ。

「これ、全部竜樹で作られてるんですよね?」

「うん」

 マイヤーの隣で船を見上げるリクールの言葉に頷く。

「全てのパーツを余すことなく竜樹で作ってるよ」

「そっちの方が立派なもんですよ」

「普通に作ったら素材だけでも20億ケテルはくだらんぞ」

 しかし、全部苦労してかき集めて来たからタダである。
 竜樹の加工において、相応の道具も準備しないといけないのだが、それもほぼタダだ。
 俺の作った武器を道具にカナトコしてしまえば、大抵の物だったら何とかなる。

「これ、どうやって乗り込むん?」

「贅沢にもヒヒイロカネの浮遊結晶を用いた竜樹製の昇降台で1発だ」

「うわぁ~」

 昇降台だけでも、ぶっちゃけ普通に空を飛ぶことが可能である。
 もっとも浮かぶだけで、移動は無理だけどね。

「まあ、面倒だから跳ぶけど」

「ん? 跳ぶて、どういうことなん?」

「今、俺ジャンプ力10倍になってるからね、地味に」

「……ごめん、なんでジャンプ力10倍なん?」

 カオスアビリティのおかげである。
 そろそろこれもジャンプ力から他のものにチェンジしないといけないな。
 できれば召喚時間延長とか、そう言うものを引きたいところ。

「再召喚されて、俺も多少は強くなれたってことだよ」

 カオスアビリティの説明は、そう言うことにしておく。
 勇者たちと同じように、特殊な力を得た的なね。

「じゃ、イグニール、骨、俺に捕まって」

「了解」

「はいですぞ~!」

 ポチたちに関しては再召喚で済むから上り下りは楽勝だ。
 普通の船って昇降用の階段をつけたり、はしごやロープで登るっぽいけど。
 ジャンプでぴょんは手間が省けてよろしい。
 ハイジャンプおじさんの見せ場だよ、ここ。
 イグニールの胸も腕に当たって良き良きの良き。
 むほほ~。

「ジュノー、フード入って」

「はーい」

「ピーちゃんも、おいで」

「ぷぴ」

 今回はピーちゃんも連れていくことにした。
 その理由は、催し事がピーちゃんの故郷と関係しているからである。
 開催国はデプリ。
 そして内容は、魔国とデプリの境目にある森にて泡沫の浄水を得ること。

 魔国とデプリを隔てる山脈の奥地には、ハイオークもいると情報を得た。
 だからこそ、ピーちゃんを連れて帰るという目的も同時に行うのである。
 少しだけ寂しい気持ちはあった。
 でも、ピーちゃんにとってはこれが一番だと思ったのだ。
 生きてりゃまた会えるだろうし、遠出の理由にもなるからね。

「離陸は私にお任せですぞ~!」

 甲板に飛び移ると、骨が手を上げてそう言う。

「おう、頼む」

「船の修理も何でもござれ、船大工として生まれ変わった骨ですぞ!」

「おう、頼む」

「……何かしらの反応を見せてくれても良いじゃないですかぞ」

「すまんすまん。助かるよ、色々と覚えてくれて」

 船大工としては、オスローたちの代わりに骨が担当する。
 短い期間に、ある程度のことを覚えてしまった骨は基本スペックが高いようだ。

「この時のために海賊用の帽子も買って来ましたぞ~!」

「ボンちゃん良いなあ! トウジ、あたしにも作るし!」

「ほいほい」

 骨が海賊用の帽子を被ると、一見ゴーストシップのようにも見えなくもない。
 まあ、良いでしょう。
 こう言う遊び心は、冒険を行う上で重要なんだからな。

「さて、骨。頼む。上空まで行ったらワシタカくん出すから」

「はいですぞ~!」

 操船室へと乗り込んだ骨が、浮遊結晶へと徐々に魔力を通していく。
 船全体がググググ、と浮上を始めた。
 そして音も立てずに静かに上昇していく。
 騒音がないのも浮遊結晶を用いた飛空船の良いところだ。

「気をつけてな~!」

「そっちも、任せたよ!」

「うん! 帰ってくる頃にはもっとええ感じにしとくから~!」

 どんどん小さくなっていくマイヤーとリクール。
 その姿を見送って、俺は船内へと足を運んだ。
 高高度にたどり着いたら、骨がアナウンスしてくれる。
 それまで待機だ。

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