装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

文字の大きさ
463 / 650
本編

763 トイレの守護者様

しおりを挟む

「すまんのー待たせたのじゃー」

 みんなと一緒にがやがやと姿を現したラブ。
 ツインテールが片方だけ取れていた。
 そう、右側である。

「予備を探すのに手間取ってたんじゃ、でも見つからんかった!」

「ここにあるしな」

「おー!」

 手元にあるツインテールを渡すと、受け取って右側頭部にパチッ。
 どうやって装備してんだそれ。

「どうなってんだ……?」

「セパレートタイプなのじゃ」

 その日の気分によって、高い位置、低い位置と切り替えるらしい。
 いや、そう言うことを聞いてるんじゃなくてだな……。
 呆気にとられていると、ラブを連れて戻ってきたイグニールが言う。

「まあ、無事で良かったじゃないの」

「そうだけど」

 深く考えない方がいいのだろうかね、この辺。

「ねートウジ! アレ欲しい! あたしもお揃いにしたい!」

「イグニールにやってもらえ」

 ジュノーの髪の長さでも、できないことはない。
 ちょっと短めって形だが、それでもお揃いはお揃いだ。

「イグニールやって! お揃いにして!」

「はいはい。でも地味に難しいのよね……」

 確かに、小さなジュノーの髪を結ぶことは繊細な作業を必要とする。
 イグニールには、言っちゃなんだが無理だ。
 繊細な作業が得意なやつと言えば、ポチである。

「やっぱりポチにやってもらった方が良くない?」

「何よ、その言い方」

「いや、難しそうだから」

「できるわよ!」

「……やっぱりポチにやってもらうし」

 俺の言葉を察したのか、ジュノーはそそくさとポチの元へ行った。
 その後ろ姿を見て、ズーンと気を落とすイグニール。

「ま、まあ人って得意不得意あるからさ」

「……フォローになってない」

「えっと」

「あんたの頭こっちに寄越しなさい、私が結わえてあげる」

「いや俺のはちょっと……髪もそんなにいじって欲しくないかな……」

「黙りなさい」

「いだだだだだ! 引っ張らないで! やめてー!」

 御無体なことに、俺の頭は無理やり二つ結びにされた。
 左右対称ではなく、時計で例えると2時45分程度。

「……」

 そんな俺の様子を見て、さらに自分の不器用さに愕然とする嫁さん。
 もうフォローできないぞ、俺。
 できることは、ひとまずこの妙に突っ張った髪型を続けるくらいだ。

「イグニールの嬢ちゃん、意外と不器用だったんだな」

「ええまあ……」

「せめて料理くらいは俺も教えるの手伝うぜ? 愛妻料理は重要だろ?」

「えっと……」

 パインの提案は嬉しいのだけど、料理はポチがいる。
 1品2品くらいだったら食べんこともないが……。
 イグニールに求めてる部分って確かそこじゃなかった気がする。
 性欲とかも、今は皆無だが、前からそこまででもなかった。

 なら何を、という形になるのだけど。
 もう十分過ぎる程、俺の求めていたものはもらっているのだ。

 わかってくれている。
 そんな理解者は、いてくれるだけで良いのだ。

「イグニール、側に居てくれるだけで俺は十分だよ」

「トウジ……」

 自分の人生には、それが大きく欠けていたわけで。
 そこまで多くを相手に求めるのは失礼だよね。

「私はそれが不満だってキレてんのよ。求めなさいよ」

「あ、あれ?」

 どうやら求めなさいとのこと。
 色恋沙汰って、難しいね。

「まあ良いわ。とにかくさっさとあの3色バカを倒しなさいよ」

「あっはい」

 命令されるがままに、放置していたジュニアの方へと目を向ける。

「あ、あの時一撃で倒したはずでは!?」

 ひょっこり現れたラブを目にして、驚くアンダンテ。
 ラブが言い返す。

「貴様ー! お腹痛い時に攻撃してくれたのー!」

「何! 大事な時に腹を壊す方が悪い! それにしても何故生きている!」

「ギリギリでトイレに転移したからのう、危なかったんじゃ」

 命が、ではなさそうだな。
 危険だったのは漏れそうだった方っぽい。

 時系列的には……。
 俺たちが、ラブがこねえなと不審に思っている時。
 それがトイレで冷や汗を流している時だったっぽい。
 だから気付かなかったらしい。

「戻ろうと思ったら……なんか一気に権限奪われたエリアもあるし、何事かと思ったんじゃ」

「それは後で返すから大丈夫だよ」

 ジュニアを元に戻したらまたこの断崖凍土の一部に戻るだろうしな。

「同じ構造に再建するのが面倒なんじゃー!」

「はいはい、リソースと新しいデザートもあげるから機嫌なおして」

「新しいデザートとな!? よし、許すのじゃ!」

 ちょろい。

「……なんか、やる気がなくなったからもう帰って良い?」

 わいわいと言い合う俺たちを見て、やる気をなくしたジュニアがそう言う。
 今まで熱い展開だったのに、途端に締まらない展開になっちゃったからな。
 見せ場を失って気持ちがだれてしまったのだろう。

 だが、帰るのはダメだ。
 一度戦うと宣言したのならば、最後まで戦いなさい。

「やると決めたことは、しっかりやれ!」

「お前がそれ言う? はあだるい」

 もう良いよ、とため息を交えてジュニアは言葉を続ける。

「情報の引き出し合いとか、そう言うのも目的にしてたけど……このバカ相手には無理そうだからな」

「バカとはなんだ!」

「バカはバカだよ。味方の安否確認も取れたことだし、茶番は終わりにするぞ」

 ジュニアが腕を振るった。
 その瞬間、でかい部屋が大きく揺れた。

「キングたちには全く意味なかったけど、現実に生きるお前にならよく効くだろ」

「む? 何をするつもりかわからんが、意味ないぞ! 貴様の攻撃力じゃ通用しない!」

「だったら耐えてみろ」

 床から球体が生まれて、アンダンテを取り囲む。
 為す術なく捕まったアンダンテ。




 そして数秒後。
 球体が消え失せると、そこにはボロボロの状態になったアンダンテが姿を現したのだった。

 え、何したの……?






=====
ダンジョンだからできることをしました。
しおりを挟む
感想 9,839

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつもりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。