装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

764 強制劣化

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「ぐ、は……」

 想像以上にボロボロの悲惨な状態になってしまったアンダンテ。
 膝をつきながら、ジュニアを必死で睨みつける。

「お前、私に、何をした」

 なんとか口を動かして言葉を絞り出すが、息も絶え絶え。
 三色の髪は色あせて、キューリクルも抜け落ちてしまったような具合だ。
 なんとも、肌も唇もカッサカサで一層老け込んだようにも感じる。

「何って? 風化だ、風化」

「なに、を……?」

「疲労破壊とも言えるな」

 ジュニアが言うには、あの球体の中で四季折々を何サイクルもしたとのこと。
 と言っても、熱い寒いの問題ではなく絶滅レベルの噴火規模、氷河期規模で。
 あらゆる気候を操ることのできるダンジョンだからこそ、できる攻撃だった。

 そんな強制的風化、劣化の圧力鍋攻撃により。
 いくら最強のハイガーディアンと言えどもボロボロに。

「ま、普通だったら塵になって消えるんだけどな」

 一応、耐えてみせたアンダンテの実力に拍手を送るジュニア。

「お前は強いよ。ただ俺からすれば雑魚だった、それだけだな」

「ぐ、ぐぐ……」

「こんな攻撃、やろうと思えばそこの代理権限持ちでもできる」

 ダンジョンコアの権利とやらを持っていたらできるのだろうか。
 それを披露してしまうということ、コアの目を通して相手に戦略を教えたことになる。
 果たしてそれは良いものか……。

「……ラブ、できるの?」

「できんのー」

 尋ねてみると、しれっと即答された。

「小空間でそんなものを繰り返すのはリソースがいくらあっても足らんのじゃ」

「……マジで?」

 取り付けたツインテールを揺らしながら、コクリと頷くラブ。
 ってことはだな。

「ジュニア、どれだけ使った?」

「そこそこ」

 インベントリをだーっと確認していくと、ガチでかなりの量減っていた。
 お、俺の鉱石が! 資源が!
 もっとも、それでもまだまだ半分以上残ってるのだけどね。
 ガチで使い切れないくらいの量を獲得していたから、別にこれは良いや。

 俺の場合、資源系は採掘、採取ドロップで倍近く獲得できる。
 魔物を倒しても同様にドロップが期待できるのだから、半分くらいよし。

「んで、結局スキルとかなんも使ってこなかったけど」

「ぐっ」

「何がしたかったの? これだと前いた奴の方が強かったよな?」

 俺の方を振り向いてそういうジュニア。
 うむ、キモキバくんは嫌がらせに無事成功していたからね。
 結果として、何もできずに終わってしまったアンダンテ。
 何しに来たんだと言えるレベルである。

「ぐふっ、わ、私は最強で最高の守護者……ま、まだまだ……」

 それでも戦おうと、立ち上がろうとするアンダンテ。

「ジュニア、喋らせても意味ない。さっさと始末しろ」

「へいへい」

 この様子も、目を通して見ているのだろう。
 だったらさっさと倒してしまう方が無難だった。

 RPGで敵のレベルが上がっていくように。
 逐一、俺たちの実力を確認して準備を整える。
 誤差を修正する。
 なんとなく、そんなことをしているのが見て取れたのだ。

「──さっさと始末する、なかなか良い選択ですね」

「ん?」

「──面白いですよ、アキノトウジさん」

 殺す直前、アンダンテの口からそんな流暢な言葉が飛び出した。
 息も絶え絶え、生きてるだけで精一杯だったはずなのに。
 再び一転した雰囲気に、この場にいた全員が息を飲む。
 そしてラブが言った。

「この声は……ビシャスかの」

 急にアンダンテの声を乗っ取った持ち主は、返す。

「お久しぶり、と言ったら良いのでしょうか。愛情の守護者さん」






=====
ついに対話か
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