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7巻
7-3
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「トウジ! 後ろでゴーレム湧いてる!」
「ん? うおお!」
イグニールと話し込んでいると、すぐ後ろの壁からゴーレムが出現しかけていた。
慌ててピッケルを叩き込み、なんとか出現前に砕く。
危ない危ない、ジュノーが教えてくれなかったら、そのまま気付かないところだった。
地形的にそこかしこからゴーレムが出現するから、もう少し気を張っておかないと。
「後ろからまだまだたくさんのゴーレムが来てるし!」
「引き付けて倒そう」
イグニールの魔法で近づく前に蹴散らすこともできるが、ドロップアイテムの回収を考えると引き付けて一網打尽にした方が効率が良い。
「ゴレオー! 後ろからゴーレムが来てるから、一旦止まってくれー!」
前線で大立ち回りを演じているゴレオを一度ストップさせる。
そこそこの数が迫ってきているようだし、ドロップアイテムも期待できるな、と頭の中でニヤニヤしている時のことだった。
――ブゥン!! ドガガガッ!!
「のっ!?」
「きゃぁっ!?」
並んで立っていた俺とイグニールの間をゴレオに持たせていた大槌が縦回転をしながら勢いよく通り過ぎていった。
投げられた大槌は、後ろから迫っていた大量のゴーレムたちをまとめてなぎ払う。
「び、びっくりした……って、今のは危ないだろ、ゴレオ!」
「…………」
「やる気があるのは認めるけど、危ないのは禁止だぞ!」
並みのゴーレムだと、俺たちにダメージ一つ入れることは叶わない。
しかし俺の装備をつけているゴレオの大槌は、掠っただけでも重傷を負いかねないのだ。
さすがに叱るべきだと思ったので声を張り上げる。
「……」
だが、ゴレオは黙ったまま大槌を拾い、俺の目の前で振り上げた。
「――へ?」
近くにゴーレムはいないし、壁や天井から新たに出現する個体も存在しない。
ゴレオの攻撃は、明らかに俺を狙っているようだった。
「トウジッ! ゴレオの声が聞こえなくなってる!」
ゴレオの挙動に固まってしまったが、ジュノーの声で引き戻される。
「ハウス!」
すぐさま、ゴレオが大槌を振り下ろす直前でサモニング図鑑の中に戻すことができた。
し、死ぬかと思った。
いきなりの出来事にみんな呆然としている中で、ジュノーの言葉を思い出した。
「ジュノー、ゴレオの声が聞こえないってどう言うこと?」
「わかんないけど……」
困惑しながらジュノーは話す。
「いつもはゴレオの考えてることが伝わるのに、さっきは一切聞こえなかったし」
「ふむ……」
どういう仕組みでゴレオと意思疎通しているのかよくわからんのだが、とにかくいつもゴレオと仲良くお喋りしているジュノーが聞こえなかったと言うのなら信じるしかない。
「とりあえず、ゴレオに何があったのか直接聞いてみればいいか」
サモニング図鑑を介すれば、サモンモンスターたちと細かな意思疎通が取れる。
さっそくゴレオのページを開いてみると、開口一番にこう書いてあった。
《ごめんなさい……》
ふむ、どうやら反省しているようである。
「いや、いいんだゴレオ。何があった」
《本当に……ごめんなさい……》
「いいって、怒ってないから。びっくりしたけど、優しいお前が仲間に攻撃するはずがないってみんな知ってるからな? 何があったか話してみろ」
「アォン」
反省と同時に、すごく落ち込んでいるようなのでポチと一緒に励ます。
とにかく、ゴレオ自身に何が起こったのかを聞くのが先決だ。
「みんなゴレオを心配してるから。いったいどうしたんだ?」
《声が聞こえて、何かが、私の思考に入ってきた》
「声が聞こえて、思考に……?」
《最初は虫の羽音程度だったけど、時間がたつにつれて大きくなっていった》
小さな声は、洞窟の奥へ奥へと進むにつれて、鳴り響くほど巨大になったらしい。
困惑したが、俺たちが平然としているようなので無視していたそうだ。
《……気付いたら、大切な人に大槌を振り上げていた》
強制的に図鑑に戻されて、ようやくその声は聞こえなくなり正気に戻ったそうだ。
「なるほど……」
《……しばらく、私を出さないで》
「え?」
《――怖い》
「おい! ちょっと! ゴレオ!」
俺に大槌を振り上げたことがかなりショックだったのか、ゴレオはそれだけ告げると何の返事もしなくなってしまった。
俺は別にゴレオのことを怒ってもいないし、怖がってるつもりもないのだが、ゴレオが自分自身のことを信じきれなくなってしまったみたいである。
「ッ……!」
今まさに、ゴーレムが出てこようとしていた壁を殴りつけて倒す。
ゴーレムにだけ作用する何かが、この場所にはあるということか。
「胸糞悪いな、マジで」
ゴレオにこんな真似をさせた声の主もそうだが、俺自身に少し腹が立った。
ここはゴーレムが大量に出現する特殊な場所である。
無尽蔵に湧き出てくるゴーレムの親玉、上位互換的な存在がいてもおかしくない。
この現状は、それを加味した判断ができなかった俺の責任だ。
「アォン」
俺の心情をなんとなく察したのか、ポチが足元に来て寄り添っている。
ポチのもふもふの頭をわしわしと撫でながら、俺は図鑑をしまった。
「どうしたの、トウジ……?」
「ゴレオは大丈夫だし……?」
図鑑が見えないジュノーとイグニールは、俺の挙動から状況を察したのか、心配そうな表情をしている。
「ゴレオは少し図鑑で休ませることにしたよ」
「そうなの……無事なら、いいけど」
「うん、それだけが心配だし」
「図鑑に戻したら正気を取り戻した。大丈夫だと思う」
そう告げると、少し安心したように息を吐くジュノーとイグニール。
ゴレオ、俺の目を通して見てるか?
みんな、ゴレオのことが心配なんだ。
可愛いものが好きで、恥ずかしがり屋なお前が危険なわけがない。
だって、誰よりも優しくて世話焼きなゴーレムなんだから。
俺はそれを誰よりも知ってるし、理解している。
図鑑の主、だからだ。
「……よし、先に進もう」
頬を何度か叩いて気を引き締めると、洞窟の奥を見据えて歩き始める。
当初は小賢が潜伏しているかの調査で、ゴーレム狩りはついでみたいなものだったが、なにやら厄介な相手がこの先にいるようだ。
だからといって、引き返す選択肢は存在しない。
うちのゴレオがひどい目にあったんだから、俺は主としてきっちり熨斗を付けてお返しする義務がある。
それが終わったら、ゴレオのフォローをしっかりやっておかないとだな。
「サルトに戻ったらゴレオに好きなもの買ってやるか」
「そうね、選ぶのは任せてちょうだい」
「あたしも一緒に選ぶし!」
なら、その辺は女性陣に一任することにしよう。
俺は乙女タイプに何を選んだらいいのか、わからないからね。
「じゃ、ポチには索敵しつつ先導してもらって、ゴレオの代わりに前衛としてこいつを出そう……ゴクソツ」
「――ゴァ」
ゴレオの代わりに召喚魔法陣から出現したのは、薄緑色の大きな鬼。
そう、オーガである。
ギリスでオーガを大量に倒した時に得たサモンモンスターだ。
等級はレアだったが、あの時オーガのサモンカードが100枚集まっていたので、すでにエピック等級にしてある。
【サモンカード:オーガ】
等級:エピック
特殊能力:20%の確率で受けたダメージの50%を反射
ゴクソツの特殊能力は、ダメージの反射。
攻撃を受けたら20%の確率で半分のダメージを相手に返すといったもの。
被ダメージが減ることはないが、接近戦では割と猛威を振るう能力である。
名前の由来は、ライデンをいじめていた不良たちを震え上がらせていたので、獄卒。
痛みを相手に半分返す、なかなか〝らしい〟特殊能力なんじゃなかろうか?
「……うわぁ、顔こわっ」
「おいジュノー、言うなって。いきなり失礼だぞ」
確かにオーガの顔面は強烈だ。
でも仲間だろうが!
コフリータの明かりで顔に影ができて、さらに強烈になっているが……仲間だろうが!
「ゴ、ゴァ……」
召喚されてすぐ顔が怖いと言われたゴクソツは、膝から崩れ落ちてしまった。
ほらぁ! 気にしてる!
偏見はよくないぞ!
「え? 醜悪な見た目に生まれて申し訳ございません? い、いやいやいやいや、そこまで言ってないし! ご、ごめんって、ごめんってば!」
「ゴァァ……」
「オーガの中でもさらに醜悪な見た目で不相応かもしれませんが、精一杯ゴレオ嬢の代わりを努めさせていただきますって? ちょっと、なんでそんなに自分を悪く言うし!? 待って悪気はなかったんだし! ごめんし! 後でご飯の時、あたしのパンケーキの8分の1、いや4分の1を特別にあげるから元気出すし! ね? ねってば!」
両膝を抱えてズーンと落ち込むゴクソツと、必死で謝るジュノー。
強烈な見た目とは裏腹に、めちゃくちゃ腰の低いというか、自己評価の低いタイプだ。
……サモンモンスターって、一癖も二癖もあるやつしかいないのか?
「オ、オーガにも色々いるのね……?」
「どうだろう……」
サモンモンスター以外の魔物と、意思疎通なんてしたことないから知らない。
まあ、いてもおかしくないんじゃないかな、うん。
「ほら、遊んでないでもう行くぞー」
新たな仲間を迎えて快進撃が始まるかと思いきや、一旦飯の時間を挟むこととなった。
理由は二つある。
ゴクソツとみんなの仲を取り持ったり、俺がゴクソツ用の装備を作りたかったからだ。
新装備で心機一転、ゴクソツには頑張ってもらわなければいけない。
この先どんなヤバイ存在が待ち構えてるかもわからないし、そこは入念に。
さて、気になるゴクソツ用の装備は、オーガの素材を元に作り出した鬼鎧シリーズ。
見た目は、中世ヨーロッパ風のこの世界には似つかない、甲冑だ。
特殊能力が攻撃を反射するのならば、VITをマシマシにした全身鎧で受け手に回るのが良いだろうと判断したのである。
オーガ……すなわち鬼の魔物であるゴクソツには、バッチリお誂え向きの装備だ。
ここにアダマンタイト製の斬馬刀を持たせたら、まさに鬼武者と呼んでも差し支えない。
金棒チックな巨大な棍棒も作れるのだが、なんとなくそれだと狙い過ぎてしまったかな、という感じがして斬馬刀にした。
どちらにせよ、破壊力は抜群の代物なのだから別に良いよね?
「うーむ、かっこいい」
洞窟内で飯を食べ終わって、自分で製作した斬馬刀を見ながらそう呟く。
俺は直接戦闘に参加することが少ないので、取り回しのしやすい片手剣と小盾をメインで使っているのだが、やっぱり武器はデカくてなんぼだ。
「これは似合うぞ、ベストマッチだ」
「……本当に似合うと思ってるの?」
うっとりしながら斬馬刀を見つめる俺を眺めながら、イグニールはため息を吐いていた。
「似合うでしょ、絶対」
どのように力説してやろうかと思っていたら、彼女はなんとも言えない表情でジュノーたちの方を指差した。
「ね? 美味しい? 今日は大サービスしてあたしの分も半分あげるし?」
「ゴ、ゴァ……」
「なんならフェアリーベリーのジャムもつける? アイスも美味しいし?」
「ゴァ……」
テーブルの上に立ってデザートを次々と勧めるジュノーと、明らかにサイズがあっていない椅子に窮屈そうにちょこんと座りながら、勧められるがままにデザートを口に運ぶ甲冑を身につけたゴクソツ。
そんな様子を見て、イグニールは言った。
「怖さを助長するような装備じゃない方が良いんじゃないの?」
「……あれはオフの時だから除外」
猫背でデザートをちまちま口に運ぶオーガからは、目を背けることにする。
「オフってどういうことよ……」
普段は物腰が低くても良いんだよ。
戦いになれば、きっと俺の作った甲冑装備は役に立つ……というか映えるはずだ。
ボルテージが上がると共に強くなっていくのが、オーガという生き物である。
ちゃんと戦えるのか少し不安になってくるほど腰は低いけど、きっと大丈夫。
つーかさー……。
これだけかっこいい装備を用意したんだから、かっこいいキャラでいてくれよ。
オーガなのに、なんでこんなに腰が低いキャラなんだ?
オーガだったらもっとワイルドにぶちかましてくれよ、と俺は思うわけである。
夢を壊すなよな?
良い意味でも悪い意味でも、尽く俺の予想を裏切ってくるな、サモニング図鑑め。
まあいい、気にしても仕方がない。
圧倒的ネガティブオーガだったとしても、しっかり前衛を務めてくれるならばそれで良い。
「美味しいし?」
「ゴァ」
「こんなに美味しいものをいただけて、生まれてきてすいませんって……何言ってるし!」
「ゴァ」
「一生物の思い出として、このまま楽に死んでいきたいってバカッ! 死んじゃダメッ!」
……うーむ、なんというネガティブなオーラを纏ったオーガだろうか。
あまりの陰の気質に、陽キャの塊であるジュノーはたじたじである。
「大丈夫かしら?」
「も、問題ない!」
本当に問題ないのか心配になってため息を吐いていると、頭上からパラパラと小石や砂利が降ってきた。
「ん? なんだ?」
何事かと上を明かりで照らすと、無数のゴーレムの顔。
大量のゴーレムが、今まさにボコボコボコと頭上で生み出されていた。
「ほわっ!?」
あまりにもホラー過ぎる光景に、全身の毛が逆立つ。
俺の正面に座っていたイグニールも同じように目を丸くしていた。
「向こうにも大量にゴーレムが湧いてるし……トウジ、これちょっとまずくない?」
「まずいね」
飯休憩に入ってから、ゴーレムの数が急に落ち着きを見せたと思ったら、ここへ来て一気に押し寄せてきたみたいである。
「上からゴーレムが来るぞ! 気を付けろ!」
俺の叫びもむなしく、ゴーレムの一体が俺たちのすぐ側へと落下した。
ドゴッッ!
落下先は、ポチの作ったデザートをプレゼンするジュノーたちのテーブル。
激しい音と共に、テーブルがひしゃげて木片があたりに散らばる。
「ジュノー! ゴクソツ! 大丈夫か!?」
テーブルの上にはジュノーがいたはずなのだが、大丈夫だろうか。
「トウジ! そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
「アォン!」
イグニールとポチが俺に危険を告げる。
ゴーレムの追撃は止むことなく、あの一体を皮切りに次々と降り注ぎ始めた。
ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ!
「おわあああああああああああっ!!」
大岩みたいな巨体が降ってくるのだから、まさに質量攻撃である。
「コフリータ! 上を照らして! とにかく避けないと!」
「イグニール! 降ってくる前に爆散させるのは?」
「やっても良いけど、多分ゴーレムと一緒に瓦礫もたくさん降ってくるわよ?」
「……避けよう」
下手に天井を攻撃して、落盤なんかしたら元も子もない。
ポチのクロスボウで射ち倒したとしても、そのまま落下されれば変わらないのだ。
くそっ、思ったよりも厄介な攻撃方法である。
「アォン……」
落下攻撃をもろに受けてしまったジュノーとゴクソツが心配なのか、ポチが俺のズボンをひしっと握りしめて不安そうな顔をしていた。
「心配するなポチ。ジュノーは分体だし、ゴクソツだってやられても図鑑に戻るだけだ」
しかし、ジュノーがやられてギリスの本体の元に戻ってしまうと、これから先の旅路がなんとも静かなものになってしまう。
うざったいことも多いが、ムードメーカーの存在とは非常に大切なのだ。
「コフリータ、照らして!」
ゴーレムの雨が少しずつ収まりを見せる中、イグニールが何かに気付いたようにコフリータの明かりを強めた。
「あ、ありがとうゴクソツ」
おおっ!
なんと甲冑を身につけたゴクソツが、背中に大量のゴーレムを乗せながらも、身を挺してジュノーを守ってくれていた。
「ああっ!! あたしのパンケーキがっ!?」
せっかく守ってくれたというのに、目の前にある潰れたパンケーキに目が行くとは、さすがはパンケーキ師匠である。
ゴクソツ、さすがにキレて良いぞ。
「ゴァ」
「え? パンケーキさんを守れなくてごめんなさい? いやいやいやいや! 確かに惜しいけど、さすがにそんなことを言ってる場合じゃないってのはあたしもわかってるし! 冗談、冗談だってばあっ!」
「ゴァ……」
「死ぬなしっ! 生きろしっ! パンケーキの代わりになるなしっ!」
多分、パンケーキの代わりに自分が犠牲になればよかったとか言ってるんだろうね。
……っておい、茶番は後にしろよ。
「とりあえずお前らこっち来い! 第二陣が今にも降ってくる直前なんだから!」
「わ、わかったし!」
コフリータに照らされた天井には、無数のゴーレムが追加で生み出されている。
しかも空間全域に広がっており、もはや安全な場所なんてどこにもなくなっていた。
ここ、下手すればダンジョンよりも厄介な場所なんじゃなかろうか。
「コレクト、ありがとう!」
「クエッ!」
降ってくるゴーレムの合間を縫って、コレクトがジュノーを救出する。
ズゥン! ズゥゥゥン!
「ゴ、ゴァッ……ゴァッ……」
あとはゴクソツだけなのだが、四つん這いになったゴクソツの上に、どんどんゴーレムが降り注いで積み重なっていた。
も、もうダメだ。
落ち物パズルゲームをめちゃくちゃ下手な人がプレイしましたって感じになってる。
「ゴクソツ! 一旦戻して再召喚するぞ!」
「ゴアッ!」
俺の言葉に、首をふるふると横に振って何かを叫ぶゴクソツ。
すぐにジュノーが通訳してくれた。
「ん? うおお!」
イグニールと話し込んでいると、すぐ後ろの壁からゴーレムが出現しかけていた。
慌ててピッケルを叩き込み、なんとか出現前に砕く。
危ない危ない、ジュノーが教えてくれなかったら、そのまま気付かないところだった。
地形的にそこかしこからゴーレムが出現するから、もう少し気を張っておかないと。
「後ろからまだまだたくさんのゴーレムが来てるし!」
「引き付けて倒そう」
イグニールの魔法で近づく前に蹴散らすこともできるが、ドロップアイテムの回収を考えると引き付けて一網打尽にした方が効率が良い。
「ゴレオー! 後ろからゴーレムが来てるから、一旦止まってくれー!」
前線で大立ち回りを演じているゴレオを一度ストップさせる。
そこそこの数が迫ってきているようだし、ドロップアイテムも期待できるな、と頭の中でニヤニヤしている時のことだった。
――ブゥン!! ドガガガッ!!
「のっ!?」
「きゃぁっ!?」
並んで立っていた俺とイグニールの間をゴレオに持たせていた大槌が縦回転をしながら勢いよく通り過ぎていった。
投げられた大槌は、後ろから迫っていた大量のゴーレムたちをまとめてなぎ払う。
「び、びっくりした……って、今のは危ないだろ、ゴレオ!」
「…………」
「やる気があるのは認めるけど、危ないのは禁止だぞ!」
並みのゴーレムだと、俺たちにダメージ一つ入れることは叶わない。
しかし俺の装備をつけているゴレオの大槌は、掠っただけでも重傷を負いかねないのだ。
さすがに叱るべきだと思ったので声を張り上げる。
「……」
だが、ゴレオは黙ったまま大槌を拾い、俺の目の前で振り上げた。
「――へ?」
近くにゴーレムはいないし、壁や天井から新たに出現する個体も存在しない。
ゴレオの攻撃は、明らかに俺を狙っているようだった。
「トウジッ! ゴレオの声が聞こえなくなってる!」
ゴレオの挙動に固まってしまったが、ジュノーの声で引き戻される。
「ハウス!」
すぐさま、ゴレオが大槌を振り下ろす直前でサモニング図鑑の中に戻すことができた。
し、死ぬかと思った。
いきなりの出来事にみんな呆然としている中で、ジュノーの言葉を思い出した。
「ジュノー、ゴレオの声が聞こえないってどう言うこと?」
「わかんないけど……」
困惑しながらジュノーは話す。
「いつもはゴレオの考えてることが伝わるのに、さっきは一切聞こえなかったし」
「ふむ……」
どういう仕組みでゴレオと意思疎通しているのかよくわからんのだが、とにかくいつもゴレオと仲良くお喋りしているジュノーが聞こえなかったと言うのなら信じるしかない。
「とりあえず、ゴレオに何があったのか直接聞いてみればいいか」
サモニング図鑑を介すれば、サモンモンスターたちと細かな意思疎通が取れる。
さっそくゴレオのページを開いてみると、開口一番にこう書いてあった。
《ごめんなさい……》
ふむ、どうやら反省しているようである。
「いや、いいんだゴレオ。何があった」
《本当に……ごめんなさい……》
「いいって、怒ってないから。びっくりしたけど、優しいお前が仲間に攻撃するはずがないってみんな知ってるからな? 何があったか話してみろ」
「アォン」
反省と同時に、すごく落ち込んでいるようなのでポチと一緒に励ます。
とにかく、ゴレオ自身に何が起こったのかを聞くのが先決だ。
「みんなゴレオを心配してるから。いったいどうしたんだ?」
《声が聞こえて、何かが、私の思考に入ってきた》
「声が聞こえて、思考に……?」
《最初は虫の羽音程度だったけど、時間がたつにつれて大きくなっていった》
小さな声は、洞窟の奥へ奥へと進むにつれて、鳴り響くほど巨大になったらしい。
困惑したが、俺たちが平然としているようなので無視していたそうだ。
《……気付いたら、大切な人に大槌を振り上げていた》
強制的に図鑑に戻されて、ようやくその声は聞こえなくなり正気に戻ったそうだ。
「なるほど……」
《……しばらく、私を出さないで》
「え?」
《――怖い》
「おい! ちょっと! ゴレオ!」
俺に大槌を振り上げたことがかなりショックだったのか、ゴレオはそれだけ告げると何の返事もしなくなってしまった。
俺は別にゴレオのことを怒ってもいないし、怖がってるつもりもないのだが、ゴレオが自分自身のことを信じきれなくなってしまったみたいである。
「ッ……!」
今まさに、ゴーレムが出てこようとしていた壁を殴りつけて倒す。
ゴーレムにだけ作用する何かが、この場所にはあるということか。
「胸糞悪いな、マジで」
ゴレオにこんな真似をさせた声の主もそうだが、俺自身に少し腹が立った。
ここはゴーレムが大量に出現する特殊な場所である。
無尽蔵に湧き出てくるゴーレムの親玉、上位互換的な存在がいてもおかしくない。
この現状は、それを加味した判断ができなかった俺の責任だ。
「アォン」
俺の心情をなんとなく察したのか、ポチが足元に来て寄り添っている。
ポチのもふもふの頭をわしわしと撫でながら、俺は図鑑をしまった。
「どうしたの、トウジ……?」
「ゴレオは大丈夫だし……?」
図鑑が見えないジュノーとイグニールは、俺の挙動から状況を察したのか、心配そうな表情をしている。
「ゴレオは少し図鑑で休ませることにしたよ」
「そうなの……無事なら、いいけど」
「うん、それだけが心配だし」
「図鑑に戻したら正気を取り戻した。大丈夫だと思う」
そう告げると、少し安心したように息を吐くジュノーとイグニール。
ゴレオ、俺の目を通して見てるか?
みんな、ゴレオのことが心配なんだ。
可愛いものが好きで、恥ずかしがり屋なお前が危険なわけがない。
だって、誰よりも優しくて世話焼きなゴーレムなんだから。
俺はそれを誰よりも知ってるし、理解している。
図鑑の主、だからだ。
「……よし、先に進もう」
頬を何度か叩いて気を引き締めると、洞窟の奥を見据えて歩き始める。
当初は小賢が潜伏しているかの調査で、ゴーレム狩りはついでみたいなものだったが、なにやら厄介な相手がこの先にいるようだ。
だからといって、引き返す選択肢は存在しない。
うちのゴレオがひどい目にあったんだから、俺は主としてきっちり熨斗を付けてお返しする義務がある。
それが終わったら、ゴレオのフォローをしっかりやっておかないとだな。
「サルトに戻ったらゴレオに好きなもの買ってやるか」
「そうね、選ぶのは任せてちょうだい」
「あたしも一緒に選ぶし!」
なら、その辺は女性陣に一任することにしよう。
俺は乙女タイプに何を選んだらいいのか、わからないからね。
「じゃ、ポチには索敵しつつ先導してもらって、ゴレオの代わりに前衛としてこいつを出そう……ゴクソツ」
「――ゴァ」
ゴレオの代わりに召喚魔法陣から出現したのは、薄緑色の大きな鬼。
そう、オーガである。
ギリスでオーガを大量に倒した時に得たサモンモンスターだ。
等級はレアだったが、あの時オーガのサモンカードが100枚集まっていたので、すでにエピック等級にしてある。
【サモンカード:オーガ】
等級:エピック
特殊能力:20%の確率で受けたダメージの50%を反射
ゴクソツの特殊能力は、ダメージの反射。
攻撃を受けたら20%の確率で半分のダメージを相手に返すといったもの。
被ダメージが減ることはないが、接近戦では割と猛威を振るう能力である。
名前の由来は、ライデンをいじめていた不良たちを震え上がらせていたので、獄卒。
痛みを相手に半分返す、なかなか〝らしい〟特殊能力なんじゃなかろうか?
「……うわぁ、顔こわっ」
「おいジュノー、言うなって。いきなり失礼だぞ」
確かにオーガの顔面は強烈だ。
でも仲間だろうが!
コフリータの明かりで顔に影ができて、さらに強烈になっているが……仲間だろうが!
「ゴ、ゴァ……」
召喚されてすぐ顔が怖いと言われたゴクソツは、膝から崩れ落ちてしまった。
ほらぁ! 気にしてる!
偏見はよくないぞ!
「え? 醜悪な見た目に生まれて申し訳ございません? い、いやいやいやいや、そこまで言ってないし! ご、ごめんって、ごめんってば!」
「ゴァァ……」
「オーガの中でもさらに醜悪な見た目で不相応かもしれませんが、精一杯ゴレオ嬢の代わりを努めさせていただきますって? ちょっと、なんでそんなに自分を悪く言うし!? 待って悪気はなかったんだし! ごめんし! 後でご飯の時、あたしのパンケーキの8分の1、いや4分の1を特別にあげるから元気出すし! ね? ねってば!」
両膝を抱えてズーンと落ち込むゴクソツと、必死で謝るジュノー。
強烈な見た目とは裏腹に、めちゃくちゃ腰の低いというか、自己評価の低いタイプだ。
……サモンモンスターって、一癖も二癖もあるやつしかいないのか?
「オ、オーガにも色々いるのね……?」
「どうだろう……」
サモンモンスター以外の魔物と、意思疎通なんてしたことないから知らない。
まあ、いてもおかしくないんじゃないかな、うん。
「ほら、遊んでないでもう行くぞー」
新たな仲間を迎えて快進撃が始まるかと思いきや、一旦飯の時間を挟むこととなった。
理由は二つある。
ゴクソツとみんなの仲を取り持ったり、俺がゴクソツ用の装備を作りたかったからだ。
新装備で心機一転、ゴクソツには頑張ってもらわなければいけない。
この先どんなヤバイ存在が待ち構えてるかもわからないし、そこは入念に。
さて、気になるゴクソツ用の装備は、オーガの素材を元に作り出した鬼鎧シリーズ。
見た目は、中世ヨーロッパ風のこの世界には似つかない、甲冑だ。
特殊能力が攻撃を反射するのならば、VITをマシマシにした全身鎧で受け手に回るのが良いだろうと判断したのである。
オーガ……すなわち鬼の魔物であるゴクソツには、バッチリお誂え向きの装備だ。
ここにアダマンタイト製の斬馬刀を持たせたら、まさに鬼武者と呼んでも差し支えない。
金棒チックな巨大な棍棒も作れるのだが、なんとなくそれだと狙い過ぎてしまったかな、という感じがして斬馬刀にした。
どちらにせよ、破壊力は抜群の代物なのだから別に良いよね?
「うーむ、かっこいい」
洞窟内で飯を食べ終わって、自分で製作した斬馬刀を見ながらそう呟く。
俺は直接戦闘に参加することが少ないので、取り回しのしやすい片手剣と小盾をメインで使っているのだが、やっぱり武器はデカくてなんぼだ。
「これは似合うぞ、ベストマッチだ」
「……本当に似合うと思ってるの?」
うっとりしながら斬馬刀を見つめる俺を眺めながら、イグニールはため息を吐いていた。
「似合うでしょ、絶対」
どのように力説してやろうかと思っていたら、彼女はなんとも言えない表情でジュノーたちの方を指差した。
「ね? 美味しい? 今日は大サービスしてあたしの分も半分あげるし?」
「ゴ、ゴァ……」
「なんならフェアリーベリーのジャムもつける? アイスも美味しいし?」
「ゴァ……」
テーブルの上に立ってデザートを次々と勧めるジュノーと、明らかにサイズがあっていない椅子に窮屈そうにちょこんと座りながら、勧められるがままにデザートを口に運ぶ甲冑を身につけたゴクソツ。
そんな様子を見て、イグニールは言った。
「怖さを助長するような装備じゃない方が良いんじゃないの?」
「……あれはオフの時だから除外」
猫背でデザートをちまちま口に運ぶオーガからは、目を背けることにする。
「オフってどういうことよ……」
普段は物腰が低くても良いんだよ。
戦いになれば、きっと俺の作った甲冑装備は役に立つ……というか映えるはずだ。
ボルテージが上がると共に強くなっていくのが、オーガという生き物である。
ちゃんと戦えるのか少し不安になってくるほど腰は低いけど、きっと大丈夫。
つーかさー……。
これだけかっこいい装備を用意したんだから、かっこいいキャラでいてくれよ。
オーガなのに、なんでこんなに腰が低いキャラなんだ?
オーガだったらもっとワイルドにぶちかましてくれよ、と俺は思うわけである。
夢を壊すなよな?
良い意味でも悪い意味でも、尽く俺の予想を裏切ってくるな、サモニング図鑑め。
まあいい、気にしても仕方がない。
圧倒的ネガティブオーガだったとしても、しっかり前衛を務めてくれるならばそれで良い。
「美味しいし?」
「ゴァ」
「こんなに美味しいものをいただけて、生まれてきてすいませんって……何言ってるし!」
「ゴァ」
「一生物の思い出として、このまま楽に死んでいきたいってバカッ! 死んじゃダメッ!」
……うーむ、なんというネガティブなオーラを纏ったオーガだろうか。
あまりの陰の気質に、陽キャの塊であるジュノーはたじたじである。
「大丈夫かしら?」
「も、問題ない!」
本当に問題ないのか心配になってため息を吐いていると、頭上からパラパラと小石や砂利が降ってきた。
「ん? なんだ?」
何事かと上を明かりで照らすと、無数のゴーレムの顔。
大量のゴーレムが、今まさにボコボコボコと頭上で生み出されていた。
「ほわっ!?」
あまりにもホラー過ぎる光景に、全身の毛が逆立つ。
俺の正面に座っていたイグニールも同じように目を丸くしていた。
「向こうにも大量にゴーレムが湧いてるし……トウジ、これちょっとまずくない?」
「まずいね」
飯休憩に入ってから、ゴーレムの数が急に落ち着きを見せたと思ったら、ここへ来て一気に押し寄せてきたみたいである。
「上からゴーレムが来るぞ! 気を付けろ!」
俺の叫びもむなしく、ゴーレムの一体が俺たちのすぐ側へと落下した。
ドゴッッ!
落下先は、ポチの作ったデザートをプレゼンするジュノーたちのテーブル。
激しい音と共に、テーブルがひしゃげて木片があたりに散らばる。
「ジュノー! ゴクソツ! 大丈夫か!?」
テーブルの上にはジュノーがいたはずなのだが、大丈夫だろうか。
「トウジ! そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
「アォン!」
イグニールとポチが俺に危険を告げる。
ゴーレムの追撃は止むことなく、あの一体を皮切りに次々と降り注ぎ始めた。
ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ!
「おわあああああああああああっ!!」
大岩みたいな巨体が降ってくるのだから、まさに質量攻撃である。
「コフリータ! 上を照らして! とにかく避けないと!」
「イグニール! 降ってくる前に爆散させるのは?」
「やっても良いけど、多分ゴーレムと一緒に瓦礫もたくさん降ってくるわよ?」
「……避けよう」
下手に天井を攻撃して、落盤なんかしたら元も子もない。
ポチのクロスボウで射ち倒したとしても、そのまま落下されれば変わらないのだ。
くそっ、思ったよりも厄介な攻撃方法である。
「アォン……」
落下攻撃をもろに受けてしまったジュノーとゴクソツが心配なのか、ポチが俺のズボンをひしっと握りしめて不安そうな顔をしていた。
「心配するなポチ。ジュノーは分体だし、ゴクソツだってやられても図鑑に戻るだけだ」
しかし、ジュノーがやられてギリスの本体の元に戻ってしまうと、これから先の旅路がなんとも静かなものになってしまう。
うざったいことも多いが、ムードメーカーの存在とは非常に大切なのだ。
「コフリータ、照らして!」
ゴーレムの雨が少しずつ収まりを見せる中、イグニールが何かに気付いたようにコフリータの明かりを強めた。
「あ、ありがとうゴクソツ」
おおっ!
なんと甲冑を身につけたゴクソツが、背中に大量のゴーレムを乗せながらも、身を挺してジュノーを守ってくれていた。
「ああっ!! あたしのパンケーキがっ!?」
せっかく守ってくれたというのに、目の前にある潰れたパンケーキに目が行くとは、さすがはパンケーキ師匠である。
ゴクソツ、さすがにキレて良いぞ。
「ゴァ」
「え? パンケーキさんを守れなくてごめんなさい? いやいやいやいや! 確かに惜しいけど、さすがにそんなことを言ってる場合じゃないってのはあたしもわかってるし! 冗談、冗談だってばあっ!」
「ゴァ……」
「死ぬなしっ! 生きろしっ! パンケーキの代わりになるなしっ!」
多分、パンケーキの代わりに自分が犠牲になればよかったとか言ってるんだろうね。
……っておい、茶番は後にしろよ。
「とりあえずお前らこっち来い! 第二陣が今にも降ってくる直前なんだから!」
「わ、わかったし!」
コフリータに照らされた天井には、無数のゴーレムが追加で生み出されている。
しかも空間全域に広がっており、もはや安全な場所なんてどこにもなくなっていた。
ここ、下手すればダンジョンよりも厄介な場所なんじゃなかろうか。
「コレクト、ありがとう!」
「クエッ!」
降ってくるゴーレムの合間を縫って、コレクトがジュノーを救出する。
ズゥン! ズゥゥゥン!
「ゴ、ゴァッ……ゴァッ……」
あとはゴクソツだけなのだが、四つん這いになったゴクソツの上に、どんどんゴーレムが降り注いで積み重なっていた。
も、もうダメだ。
落ち物パズルゲームをめちゃくちゃ下手な人がプレイしましたって感じになってる。
「ゴクソツ! 一旦戻して再召喚するぞ!」
「ゴアッ!」
俺の言葉に、首をふるふると横に振って何かを叫ぶゴクソツ。
すぐにジュノーが通訳してくれた。
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